それでは前回のあらすじ
昼寝をして居た154681は目を覚ますとそこは真っ暗闇だった。
その中央には少女が居た。
少女を殺そうと154681が少女の肩に手を置くと少女はは154681が体調が悪いのではないかと心配し、あんパンをあげる。
そのパンを食べた154681は少女にはじめての感情を抱いた。
そして邪神界から帰ってきた154682こと神楽に少女だけは殺さぬように頼み込み、そのかわりに自分も侵略に参加することを申し出た。
それではどうぞ!
side154681
俺は神楽のやつと別行動をして街を目指していた。
侵略をするならば街を潰し歩くって言うのが一番手っ取り早い。なぜなら街には多くの人間が存在し、人間を一網打尽にするには一番いいからだ。
だが、どうやらこの世界は人間が集中している箇所があるようで、先ほどの少女の住んでいる村は近くにあったが、ほかの街が全然見当たらないのだ。
ちなみに先ほどの少女の住んでいる村は少女のためにも放置してきた。あんな小さな村位、放置していても問題はないだろう。
俺は生まれてこの方、侵略活動に貢献したことが無かったので、戦ったことが無いから正直、俺にどれほどの力があるのかが分からないが、とりあえず邪の力とやらを使って攻撃をすればいいのだろう。
邪の力は近くで神楽が使っているのを見たことができるから何となく使い方が分かる。
とりあえずウォーミングアップとして空を飛んでみることにする。
やり方は何となくわかる。今までの世界に居た神たちが飛べていたのを見て、俺も何となく出来る気がした。
「こんなもんだろっ」
俺は空を飛ぶのをイメージし、体に力を纏わせて体を持ち上げることによって宙に浮くことに成功した。
意外に簡単だ。それに思ったよりも体力を消費することはない。これならば一生浮き続けていることもできるだろう。まぁ、神や邪神には寿命という概念が無いから殺されない限りは死なないんだけどな。
普通に歩くよりも楽だと感じた俺はそのまま宙を浮いた状態で移動を始めた。
しばらく浮いて移動していると立派な城門がある街を発見した。
城門の上には大砲がずらりと並べられており、敵襲が来ても全く問題なしという風貌だ。
それに立派な鎧を着ており、あの鎧を貫くのは普通であればかなり大変そうだ。
「あの街を俺の最初の侵略の獲物にするか」
邪の力を高め、その力を手のひらに集めていく。
あんまりこの力を使ったことはないけど、何となく使い方が分かる。
手のひらに邪の力、そして神力が合わさることによって手のひらに真っ黒なエネルギーボールが出現し、さらにそのエネルギーボールに周囲のエネルギーが吸収され始めた。
どうやらこのエネルギーボールに重力があるようで、近くの石なんかが次々と吸い込まれ始めた。
これはさしづめブラックホールと言ったところか。
「な、敵襲だ! 撃て!」
大砲から一斉に俺に向かって砲弾が放たれるが、そのすべての砲弾が俺のブラックホールに飲み込まれていき、意味をなさなくなっている。
そして吸収すればするほど威力が上がっていっているようで、吸収するほどに遠くのものまで吸い込み始めた。
その時だった。
ガツンと頭をトンカチでぶん殴られたかのような痛みが走った。しかし、実際に殴られたわけではないし、何かの能力によってダメージを食らってしまったわけでもなさそうだ。
その瞬間、見覚えのない顔が脳裏に浮かんできた。だが、何となく懐かしく、自然と笑みがこぼれてきてしまう。
それによって戦意を失った俺はブラックホールを消し、踵を返して再び飛び始める。
まぁ、侵略を開始するといっても今日すぐに開始する必要はない。
そう考えてその場を後にするといつの間にか先ほど寝ていた草原へとやってきていた。もちろん、近くにはあの少女が住んでいるであろう村が存在しているのが見える。
完全に無意識だった。
さ迷い歩くだけのつもりがいつの間にか帰ってきてしまっていたらしい。
すると、そこには真っ黒な球体のようなものが見えた。
間違いない、あそこの中心には先ほどの少女がいることだろう。
しかし、あんなところで何をやっているんだろうか。さっき、あの少女はここら辺は野生動物が良く出没するから危ないって言ってなかったっけ?
そんな風に考えながら遠巻きに少女の事を見ていると、その少女に野生の熊らしき動物がゆっくりと近づいていっているのが見えた。しかし、少女はそんな熊に気が付いていないようだった。
何かを探しているように見える少女。おそらくその何かを探すことに夢中になっていて気が付いていないのだろう。
あの熊は間違いなく少女の事を狙っている目をしている。あのままでは少女があの熊に襲われてしまうことは間違いないだろう。
しかし、あんなに真っ黒なオーラを放っている少女を襲おうとするとは熊も能力持ちには相当なれている様子だ。俺だったら好き好んであんな中に入っていこうとはしないぞ。
「うーん……いないなぁ……どこに行ったんだろう」
ぐおおおん!
熊は雄たけびを上げて闇の中に突っ込んでいった。
あのままじゃ少女が襲われてしまう。だが、そんなことを俺がさせるわけがないだろう。
「《ブラックホール》」
手のひらにエネルギーボールを出現させ、出力を調整させて熊だけを吸い寄せるようにする。
「きゃあああああ」
よく見てみると出力を調整しているとはいえ、少女の服も引き寄せようとしてしまっているようだ。おかげでスカートが少し吸い寄せられてしまっているが、今回は緊急事態故に許してもらいたいものだ。
熊は勢いよく俺のブラックホールに吸い込まれるとぺちゃんこに潰れながら吸収されていった。正直えぐい光景である。
少女はそんな光景を見てショックを受けているのか、はたまた驚愕しているのかは分からないが、惚けて固まってしまっていた。
だが、俺はそんなことは関係ないとばかりに少女に声をかけた。
「お前、ここら辺は野生動物が出てくるから危ないって言ってなかったっけ?」
「え、あ、さっきの人。そ、そうですね。迂闊でした。助けてくれてありがとうございます」
少女はぺこりと頭を下げるが、夜の暗闇と少女が放っている暗闇のせいで表情が良く見えない。
あの能力の出力を止めることはできないのか?
「しかし、何かを探していたようだが、何を探していたんだ?」
「そ、そうです! 今、あなたを探していたんですよ!」
「俺を?」
「はい! あなたを探していました。あなた、行く宛てがないんですよね?」
「どうしてそう思ったんだ?」
「私は読心術が得意なんですよー」
「へー、そ、そうなんだ。ははは」
えっへんと無い胸を張る少女。
どうやらあの時少し話しただけなのに微妙な表情の変化から察したらしい。
まぁ、本当のことを言えば行く宛てがないわけじゃないが、あまり邪神界が好きじゃないから戻りたくないというだけだ。それに、こっちの世界の方が断然空気が美味いっていうのがある。
だが、それを馬鹿正直に伝えるわけにもいかないので、とりあえず笑ってごまかすことにした。
「なら、私の家に来てください! おもてなししますよ」
「はぁ? なんで今日会ったばかりのお前の家に行かにゃならんのだ」
「むぅ……いいから来てください!」
「ちょ、まて!」
初対面の時点で気がついてはいたが、この少女はかなり強引な性格をしているらしい。
否定する俺を無理やりに引っ張って連れて行こうとするもので、俺も抵抗をしようとするが、なぜだかこの少女を攻撃しようとすると自分の中でストッパーがかかり、何もできずに言われるがままに引っ張られていくしかなかった。
それにしても村に入ってから気が付いたが、この少女がこんな真っ暗闇に覆われているというのに誰一人として気にしていないようだった。まるで、初めからそこには存在していないかのように。
その光景は正直、異様なものだった。
この少女がハブられていて、気が付いていないふりをされているんだとしたらわかる。だが、本当にそこには誰もいないかのような振る舞いを––いや、本当にこの人たちにとってはこの少女は居ないのかもしれない。
だが、俺の事には気が付いているようで、初めて見る人物、そして何かに引っ張られているかのような体勢ということでかなり怪しまれてしまっている。
俺だけがこの少女を見えている理由はもしかして俺が邪神だからか? よくわからん。
「ここです。入ってください」
「これは……」
少女に案内された場所はそれはそれはボロボロの建物だった。どう考えても人が住んでいるようには見えない建物。
だが、少女はなんの躊躇もなくその建物の中に入っていった。
「あ、そういえば自己紹介を忘れていました。私はルミア・フォンセって言います。見ての通り私は
「見ての通りって言われてもな……じゃあ、彼岸側の人間なのか?」
「うーん……そういうわけでもありません。私はこの世をふらふらと渡り歩き、この街を拠点として過ごしているものですよ」
「つまり地縛霊か」
「地縛霊言わないでください!」
説明を聞いた限りは地縛霊としか思えないのは俺だけか?
しかし、この少女––ルミアが現世の者じゃないとは思わなかった。
俺が触れた時はしっかりと体温があったし、くれたあんぱんなるものは非常に美味だった。
どうやらただの彼岸側の人間というわけでもなさそうな雰囲気だ。
「で、なんで俺を連れて来たんだ?」
「その前に、あなたの名前は?」
その問いに俺はドキッとしてしまった。
俺には名前はない。与えられた呼び名としては154681というものだが、そんなものをルミアに教えるわけにはいかない。
必死に思考を巡らせるが、俺に名前を考えるセンスというものが一切なくてそれは断念することにした。
「俺には名前が無いんだ」
そういうことにした。
彼女は読心術を会得しているとの事だが、この回答はある意味真実であるため、嘘をついたことで俺の嘘がばれるということもないだろう。
「そ、そうなんだ……じゃあ、私がつけていい?」
「好きにしてくれ」
もうなんだか面倒くさくなってきた俺は彼女の問いに投げやりで答え、肩をがっくりと落とした。
「じゃあね、じゃあね、シャドウ!」
「あ?」
「これからあなたの名前、シャドウだよ!」
シャドウは確か影っていう意味だったよな。
影の者とか、闇の者っていう意味なんだったらそれこそルミアの方が合いそうな名前ではあるが、俺に自分で名前を考えるセンスなんかないからとりあえず任せることにする。
しかし、俺は何も邪神として実績を上げていないのに名前を貰うなんてな。しかも、その侵略しに行った世界の女の子に着けてもらったのなんて俺が初めてじゃないか?
なんだろう……あんまり悪い気はしない。それどころか結構嬉しい。おそらく上司に名前を貰ってもここまで嬉しくなることはなかっただろう。
「シャドウ……か。大切にする」
「えー、名前なんて大切にするものじゃないでしょ?」
フフフと笑う彼女がとても可愛いと感じ、自然と俺も笑みを浮かべた。
なんか強引な少女だが、それもこの少女のいいところなのかもしれないな、そう思っていたその時だった。
「爆発しろ」
ドカーン!
突如として大気が揺れるほどの轟音と共にすぐ近くで爆発が発生した。
この家の壁が吹き飛ばされ、こっちの方に飛んできたので俺は咄嗟に少女をかばうように覆いかぶさって瓦礫から彼女の身を守る。
なんとか邪の力を使用して体を硬化させていなかったらおそらくかすり傷じゃ済まなかっただろう。
そしてこんなことをする奴は俺は一人しか心当たりがない。
おそらくあいつは俺たちの事を狙って攻撃してきた。
「なにをするんだ。神楽」
「なにって、そりゃ邪魔者のお掃除っすよ」
「なにやってんだ。彼女には手を出さないって約束したよな」
「はっはっは、あんたこそ何言ってるんすか。俺たちは邪神っすよ? 口約束なんて、信じる方が馬鹿なんすよ」
「っ!」
俺の絶望する表情を見て神楽は大きく高笑いをした。
そうだ、最初からこいつに期待することが間違いだった。
今までいろんな同業者を見てきたが、こいつはその中でも残忍で凶悪なやつだ。だからこそこの短期間で名前を貰うほどになったんだろう。
確かにこいつの言う通りこいつに期待する方が馬鹿だったってことだ。
「なら、お前をぶっ飛ばす」
「そんなことをしていいんすか? 邪神から追放されるっすよ。俺は邪魔をしてきたあんたをぶっ飛ばした。だけど、逆の言い訳は効かないっすよ?」
「いいんだ。もともと邪神業なんて興味はなかったしな。今はこの子を助けることが最優先事項だ!」
はい!第197話終了
このような経緯でシャドウと神楽が戦うことになったんですね。
シャドウって名前はルミアにつけてもらった名前で、役10000年経過した今でも、ものすごく大事にしています。
恐らく次回で過去編終了です。
それでは!
さようなら
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