無意識の恋 Second stage   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 仕事をしようとする154681だったが、なんだかやる気になれなくて断念。

 その後、あんぱんをくれた少女––ルミアに誘われるがままにルミアの家までやってくるが、そこへ神楽が襲撃しに来た。

 果たしてどうなってしまうのか?



 それではどうぞ!


第198話 幻想郷の守り神

sideシャドウ

 

 俺は空へと飛びあがると神楽を見下ろした。

 空を飛ぶには神力をうまく扱わなければいけない。そのために俺は神たちの力の使い方を観察していた。

 だが、こいつは他人にはあまり興味が無いやつだ。だから神たちの力の使い方なんか観察していないだろうし、神力の扱いの訓練を受けていないこいつでは空を飛べないはずだ。

 いくらこいつが邪の力の使い方が天才的といっても空を飛んでいる敵とは戦いにくいだろう。

 

「へぇ、空を飛べるようになってたんだ」

「あぁ、邪の力は基本的には身体強化技だ。空を飛ぶ相手とは相性が悪い。そして俺は今まで幾度となく多くの人々の戦い方を観察してきた。お前と戦う分には申し分ないほどにな!」

 

 そういうと俺は周囲に大量の神力で作り出した球体を出現させ、神楽へと飛ばした。

 この攻撃方法は前に偵察しに幻の都へ行ったときに見た戦い方だ。そこの住人はこの球攻撃を弾幕と呼んでいた。遠距離技としては今まで見て来たいろいろな世界の攻撃方法の中でも強いほうだと考えている。

 邪の力が主な戦い方である神楽に対しては有効な戦い方だ。

 

「へぇ……確かに邪神なだけあって邪神との戦い方は熟知しているというわけだぁ……だけどさぁ、邪神である154681が遠距離攻撃をできるっていうことは、同じく邪神である俺も遠距離攻撃の手段が無いわけではないということを忘れないで貰いたいっすね。失せろ!」

「っ!」

 

 今の声、邪の力が載っている。まさか、こいつは自分の体以外、声なんかにも邪の力を載せられるというのか。

 すると、その声が発せられた瞬間、俺の放った弾幕は一瞬にして全て消え去ってしまった。

 これが声に邪の力を載せるということか……初めて見た。

 

 こんな芸当ができるのはこいつと一部の邪神のみだろう。さすがは神楽と言ったところか。

 だが、今一度こいつの言霊を受けて分かったが、この言霊の有効範囲は意思を持たないものと言ったところだろう。つまり、俺たちの様に意思を持つ者には効果が無いということだ。

 

 なら、身体能力を強化して神力を上乗せした攻撃で殴れば!

 

「残念ながら、さぼってばかりだったあんたに負けるほど、俺は落ちぶれてはいないんでね」

 

 神楽はそういいながら思い切り両手をパチンと叩いた。その瞬間、暴風を思わせるほどの衝撃波が放たれ、俺の体に襲い掛かってきた。

 この衝撃波からも邪の力を感じることからこいつはおそらく音に対しても邪の力を載せて来た。本当にこいつの邪の力の使い方はめちゃくちゃだが、とても強力だ。

 俺は衝撃波にぶっ飛ばされてしまって地面に落ちてしまったが、受け身を取ってなんとかダメージを最小限に抑えた。

 だが、これでは攻撃手段が無い。遠距離で攻撃しようとしたら無力化され、近づこうとしたら衝撃波でぶっ飛ばされる。どうしたらいいんだ。

 

「さぁて、あんたの攻撃手段は全て絶った。これで勝負あったんじゃないかい? それともまだ続けるのか?」

「く……」

「それじゃあ、この世界を侵略する。この世界の全住民を殲滅する」

 

 こいつの力はどんな能力を持った世界だとしてもそれを可能にしてしまうほどだ。こいつが本気になったらこの世界どころかゆくゆくは邪神界を支配することも可能だろう。それくらいのポテンシャルを持った奴だ。

 人間にも才能というものがある様に俺たちにも才能というものがある。こいつの才能は破壊の才能だ。

 もともと邪神は破壊の才能が長けて生まれるということが多い。邪神は生み出す神とついになる様に生み出し過ぎたものを破壊するために存在しているからだ。

 そしてこいつの才能はそれがずば抜けている。

 

 ここまで成長してしまった俺にはもう、こいつに勝てる道理など無いんだ……。

 

「シャドウ!!」

「っ、ルミア……」

「はぁ……うるせぇな。ちょっと黙れよ」

「きゃっ!」

「––……っ!」

 

 神楽が苛立ち紛れにルミアを蹴り飛ばし、それによってルミアはぶっ飛ばされて近くに瓦礫に背中を強打してしまった。

 どうやら現世の住人ではないが、実体はあるようで、背中を強打して激痛によって悶えている。

 神楽は秩序を保つっていう目的の他に住人を殺すということを楽しんでいて、痛み付けて殺すことが多いから、あんな姿は幾度となく神楽の横で見て来たはずだ。

 だけど、なんでだろうか。今、この瞬間に俺の目に入ってきている姿はとても痛々しく、そして神楽に対して無性に怒りがわいてきた。

 俺がこんなに感情を昂らせることになるとは思わなかった。今の俺はこの昂った感情を静める方法が全く分からない。

 

「うるせぇからこいつから殺しとくか」

「や、やめろぉぉぉぉぉ!」

 

 神楽は両手を思いっきり叩きつけ、辺りにパァンという破裂音のようなものが響き渡った。

 俺は全速力で走ってルミアをかばおうとするが、俺の速度では間に合わなかった。その結果、ルミアは衝撃波によって瓦礫をぶっ飛ばしながら飛んで行った。

 

「あ、あ、あ……」

 

 口からはそんな言葉にならない声が漏れた。

 ルミアへと手を伸ばした状態で俺は放心状態になり、固まって動けなくなってしまった。目の前には体から血を流してぐったりと倒れているルミアが居て、すぐに駆け寄りたいはずなのに、足が鉛の様に重くなって動けなくなってしまっていた。

 

「しゃ……どう……」

「っ! ルミア!」

 

 ルミアのかすれるような声によってようやく我に返った俺はルミアへと慌てて駆け寄った。

 抱き上げてみるとルミアの体の傷はとてもひどいもので、俺を見つめるルミアの表情はとても弱弱しいものだった。

 

「わた、し……」

「もう、しゃべるな……」

「私、本当はもっと昔からあなたの事を知っていた」

「っ!」

「私の名前はルミア・フォンセ。幻の都*1を担当している神。前、たまたま幻の都に来ているあなたを見て何となく気になってあとをつけていた」

「ま、幻の都を!? しかも、俺のあとをつけていたって……じゃあ、俺が邪神だってことも知っていたのか」

「うん」

 

 どうやらルミアは前に俺が幻の都へ一人で偵察に行ったときに俺の事を見かけて何となく気になって俺のストーカーのようなものをしていたらしい。

 つまり、ルミアは俺が邪神だってことを知っていて俺に接近したということになる。

 それに、こんな神はあの時、見かけなかったが、もしかして俺が気が付かなかっただけっていうことか。

 

「やっぱり、私の勘違いじゃなかった。あなたは邪神なのに、とてもやさしい心を持っている。誰かを思いやる心がある。邪神にとって世界の住人なんてつぶすだけの存在でしかないというのに、貴方はその行為に罪悪感を覚え、そして仕事をすることができないでいる。やっぱりあなたは邪神じゃなくて、神として生まれるべき存在だった」

「ルミア……」

 

 ルミアに言われたことを今まで一度だって考えたことが無かった。

 誰かを思いやっているつもりなんて微塵もなかった。今までやる気が出なかった理由が罪悪感だということも今、ルミアに言われて初めて気が付いた。

 そして神として生まれるべきだったというセリフを聞いて俺は一つの感情が湧き出て来た。

 俺も、神になりたい。

 

「私、私ね。シャドウ……私はシャドウの事をもっといろいろと知りた––」

「ごちゃごちゃとうるせぇんだよ! 剣山になりやがれ!」

「っ!」

 

 その瞬間足元が剣山と化し、俺とルミアは共に串刺しにされてしまった。

 

「ルミア……ルミア!」

 

 必死に手を伸ばしてルミアのだらんと垂れている腕をつかむものの、もう何の反応もなくなっていた。

 人間たちにも死というものが訪れるように神にだって死というものが存在している。

 今、この瞬間にルミア・フォンセという神はその命を落とした。

 

「あ、あぁ……」

 

 悔しい。俺にもっと力があれば……。

 欲しい、もっと力が欲しい。

 神楽を倒すことができる、そしてもう誰にも負けないほどの力が欲しい!

 

『あなたに私の力の全てを捧げます。私の、いえ、私たちの愛した幻の都をお願いします』

 

 そんな声が聞こえて来たような気がした。その瞬間、胸の内に燃えるようなパワーがみなぎってきた。

 そして神力がどんどんとルミアの体から流れてきて俺の神力がどんどんと強くなっていくのを感じる。

 ルミアは俺にすべてを託してくれたんだ。

 わかったよ、ルミア。あなたの大切な幻の都は何があっても絶対に守って見せますよ。

 

「もういいか? その程度じゃあんたは死なないだろ? 来いよ」

「はぁ……だああぁぁぁぁぁ! 幻符《シャドウレイ》!」

「何⁉ ぐ、ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 力を全て振り絞って手のひらから超極太ビームを放った。

 そのビームに神楽は邪の力を使用する暇もなくビームに飲み込まれて消滅していった。今、俺自身でも信じられないほどの力が出て神楽でも反応しきれないほどの超強力な技を放つことができた。

 ルミアのおかげだ。おかげで俺は神楽を倒すことができた。

 だけど、今の技はかなり消耗が激しく、俺は力なくその場に倒れこんでしまった。

 

 その時、ルミアの魂が天へと昇って行ったような気配があった。これからルミアは生まれ変わって新たな生を得て新たな生活を送り始めることになる。

 ルミアに託された幻の都はずっと見守って守り続けるからな。そしてルミア、君が何度生まれ変わって俺の事を忘れてしまったとしても俺は絶対に忘れない。君のことを永久(とわ)に見守り続ける。

 

 俺が幻の都……幻想郷の守り神になる。

*1
昔の幻想郷の呼び名というオリジナル設定




 はい!第198話終了

 ついにシャドウの過去が完結しました。

 まぁ、神楽との戦いがあっさりしている気がしないでもないですが、これによって最強とまで言われるほどの力を手に入れたということを見せたかったわけです。

 なにせ、シャドウは最強の神ですから。

 これ以降シャドウは幻の都の神となり、そしてルミアの魂、生まれ変わりを幾度となく見守ってきました。

 今、神楽と戦っているメンバーの中にルミアの生まれ変わりが居ます。誰だと思いますか?

 ヒントはシャドウが一番関わっていて大事にしていそうなキャラです。(真が当てはまりますが真ではないです)

 それでは!

 さようなら

好きな主人公枠キャラは?

  • 海藤真
  • 刻雨龍生
  • 南雲音恩
  • 南雲鈴音
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