それでは前回のあらすじ
ついに始まるシャドウと神楽の戦い。
遠距離攻撃が苦手な邪神である神楽に優位に立つために空を飛んで遠距離攻撃を仕掛けるも、全て無力化されてしまう。
ルミアはそんな光景を目にしてシャドウの名前を叫ぶが、そんなルミアを神楽は苛立ち紛れに蹴り飛ばし、まずはルミアから殺すと宣言した。
ルミアは意識が朦朧とする中、自分が幻の都の神であり、シャドウが邪神であるということを知っていたことを明かす。
シャドウの中にある優しい心を見抜いたルミアはシャドウに心を奪われ、一緒に居たいというが、その瞬間に神楽によって殺されてしまう。
怒りによって邪神から全能の神へと覚醒したシャドウは幻符《シャドウレイ》によって一撃で神楽を葬り去り、自身がルミアに変わって幻想郷の守り神になることを誓った。
それではどうぞ!
side三人称
シャドウはルミアのことは除いた出来事をみんなに話した。
その話を聞いている間はみんな口をはさむことはなく、静かに、そして一言も聞き漏らさないようにと必死になってシャドウの話を聞いていた。
さすがにシャドウが邪神だったという事実を聞いた時はこの場にいる誰もが若干動揺したが、それでも心の優しい神だったということを知って全員納得した。
「ちなみに先ほど話していた再臨とは何ですか?」
「再臨とは邪神が一度邪神ではなくなり、その後に功績をあげ、邪神として復活することによって以前よりも数段強力な力を得ることができるというものだ」
「そう……ですか。では、神楽が再臨してしまう確率は?」
「わからん。だが、この幻想郷という世界は様々な世界において重要な存在となっている。それを侵略することに成功したら、神楽の再臨は確実となるだろう。そしてあいつが再臨をしたら正直いってお前たちでは勝ち目はゼロだ」
「っ!」
シャドウのその言葉にこの場にいるものはみんな息を呑んだ。
神楽が再臨してしまったらもうどう足掻こうが勝つことはできなくなってしまう。その事実は絶望的なものだった。ただでさえ今も壊滅状態に追い込まれていてシャドウが駆けつけてくれなかったらおそらく全滅してしまって敗北していた。
そうなったらもう神楽に対抗できるものは居なくなって幻想郷は侵略されて神楽が再臨してしまってもう手が付けられない状態になっていた可能性があったということだ。
「俺も本来は邪神だった。神楽のような姿が、本来俺があるべき姿なのかもしれないな」
そこでシャドウはちらっと彼方へと視線を飛ばし、だけどと付け加えて言い放った。
「この幻想郷だけは絶対に明け渡すわけにはいかない」
「残念ながらシャドウ、お前は俺に敗北する!」
「っ!」
シャドウの言葉に反応するようにその瞬間、地面のタイルを突き破り、下から神楽が飛び出してきた。
大量の瓦礫が降り注いできたため、シャロが瓦礫からみんなを守るために薄い膜のようなものを作り出してそれをバリアの様に使用して瓦礫から身を守った。
だが、一同は神楽のその邪の力を感じて息を呑んだ。
飛び出してきた神楽の体に纏われているその邪の力、その強さはさっきまでの比じゃなくなっていた。一気に、加速度的に今も尚、神楽は成長し続けている。
先ほどシャドウから受けた傷は一切体にはなく、完全に治癒してしまっていた。
「神楽……」
「お前は今、俺がこの幻想郷の侵略を成功したら再臨すると言ったな?」
「あぁ、そうだが」
「俺はこの通りに加速度的にどんどんと力を高めて行っている。俺はお前の予想よりも遥かに速く再臨へと近づいて行っている!」
神楽は試しにと邪の力を含んだ威圧を周囲に解き放った。
その瞬間、この場にいるシャドウ以外の者が全力で殴りつけられたかのようにぶっ飛ばされ、壁に激突。周囲に散乱していた瓦礫は木っ端みじんに破壊され、気を失っているものもぶっ飛ばされ、真を固定していた剣山も粉々になったことから真を固定するものは何もなくなってぶっ飛ばされる。
その真を彼方は必死の思いでジャンプしてキャッチした。
「くぅっ」
キャッチして着地する際に膝をすりむいてしまったが、彼方にとってはそんなことは問題ではなかった。真を守ることが最優先事項だったのだ。
他の人たちは紫がスキマでキャッチし、優しく自分たちの近くの床に下ろす。
だが、今の力を食らって紫は戦慄し、動けなくなってしまっていた。
この幻想郷は自分たちが本気を出せば必ず守り抜ける、そんな軽い気持ちがレジスタンス結成当初はあった。いつもよりも主犯の力が強いだけで本気を出せば勝てない相手ではない、そう思っていた。
だが、実際は自分たちの想像していたよりも遥かに強い敵の連続。どんどんと倒れていく仲間たち。崩れ去っていく希望。
もう、紫には戦う気力など残されてはいなかった。
自分たちに待っているのは死だけ、それしか考えられなくなってしまっていた。
「見たか! 今の俺は威圧、気迫にすら邪の力を込めることができる! お前に圧だけでダメージを与えられる!」
「え?」
一同が余裕の佇まいでそこに居るシャドウへと目を向けた。
その瞬間、シャドウの肉体に無数の切傷が出現し、服が引き裂かれてしまっていた。
額からも血が出ていて血が伝って目を真っ赤に染めていた。今までダメージというダメージを負ってこなかったシャドウがついに外傷を付けられてしまった。それは非常に大きなことだった。
それも、圧だけでだ。それが本気の一撃だった場合、どうなってしまうのか、考えるだけでも恐ろしいことだった。
「もう終わりだシャドウ。もう、偉そうな面を下げることはできない」
「そうかよ……」
それだけいうとシャドウはスキマを出現させるとその中から小さい青緑色の小瓶を取り出すと徐にその中に入っている液体を飲み始めた。
突然のその行為にこの場はシンと静まり返ってしまう。
そしてその小瓶を見てシャロと彼方は驚愕の表情を浮かべた。その小瓶の事を二人は知っているのだ。
かつて自分たちもそれと同じものを口にしたことがある。あの小瓶はもうこの世には存在していない代物のはずなのだが、現実、シャドウがその小瓶を手にして中の液体を豪快に飲み干していた。
「なんだぁ? そのきたねぇ小瓶は」
「これは酒だ。神力水っていう……な」
「酒!?」
再びシャロと彼方は驚愕した。
やはり二人が思っていた通り、あの小瓶の中に入っている液体は神力水というものだった。しかし、シャドウはその神力水のことを酒だと言った。
二人の知っている神力水はとてつもない力を秘めているものであって、その液体を口にすると神になることができるというもので、今現在は争いの種になりかねないという理由で封印され、もう二度と手に入ることはないというものだ。
「これは俺が作った酒でな。本当はこれを飲みながら地上の様子を見ていたんだが、下界に忘れてきてしまったみたいでな。各地にこれがあるっていうわけだ。そしてこれには不思議な力があってな、神以外が飲むと神になれるという超超超すげー効果付きだ」
「ほう……で、今なぜそんなものを取り出した。舐めているのか?」
「あぁ、舐めてるさ。パワーアップしてもその程度なのかってな」
「なにぃっ!」
「今の攻撃を食らって確信した。お前は絶対に再臨はできないってなぁ!」
「なら、見せてやるよ! この俺の力ってやつをよぉ!」
シャドウの言葉に切れた神楽はこれまでとは比にならない速度でシャドウへと突撃し、拳を振るった。
しかし、その拳がシャドウに直撃することはなかった。まるで空間に見えない壁でもあるかのようにそれ以上進むことはできなかった。
いや、正確にはこの空間には"穴"が開いたんだ。それによって先に進むことができなくなってシャドウへ拳が届かなくなった。
さすがの神楽もこれには驚愕が隠しきれなかった。
シャドウはこれがあるからこそ、余裕の表情で酒など飲み始めたのだ。そして自分の力がなくとも幻想郷は神楽に勝てる、そう信じたからこそ、このような態度を取り始めたのだ。
「シャドウ、何しやがった!」
「俺は別に何もしていないよ。ただ、俺には優秀な弟子が居た、ただそれだけだ」
そういうとシャドウは指をパチンと鳴らして両脇に人ひとり通れるほどの大きさのスキマを作り出した。
その中からは紫ですら身震いしてしまうほどの霊力が発せられていて、その中から出てこようとしている人物たちがものすごい実力を誇っていることが分かる。
シャドウのスキマから出てこようとしているのだから敵ではないとは確信しているものの、その力の大きさ故に警戒せざるを得ない。
「やっと俺たちの出番っすね」
「ちょっと、遅い気がするけど。みんなもこんなにぼろぼろだし」
「っ!」
そのスキマの中から出て来た二人の人物を見て一同は驚愕した。
なぜなら、その中から出て来た人物は刻雨龍生と南雲鈴音だったからだ。
はい!第199話終了
最悪の展開になってきました。なんと神楽がパワーアップし、シャドウに圧だけでダメージを与えられるようになってしまいました。
しかし、そこにさっそうと助っ人登場! 刻雨龍生と南雲鈴音の二人です。
この二人は主人公組だというのにこの異変が始まってから一度たりとも絡んできていなかったので気になっていた方もいたことでしょう。
みなさん、お待たせいたしました! ついに二人が活躍するときが来ました。
しかし、非常に辛い状況ですよね。二人にとっての大切な人、真は瀕死、そして音恩はもうこの世にはいません。
この状況で二人はどのように神楽と戦っていくのでしょうか?
それでは!
さようなら
好きな主人公枠キャラは?
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海藤真
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刻雨龍生
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南雲音恩
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南雲鈴音