それでは前回のあらすじ
ライト、紗綾、霊夢、龍生の四人が神楽を追い詰めていく。
ライトと紗綾の連携、霊夢と龍生の援護によってどんどんと追い詰められていく神楽だが、神楽も負けじと真っ黒な触手を出して対抗する。
しかし、ライトと紗綾の猛攻の前に触手が破れ、言霊で攻撃しようとするも、龍生に真空にされることによって声が出ない。
そしてライトと紗綾の合体技である竜巻・斬––炎陣《
だが、その瞬間、強烈な攻撃によって暴風・乱にでかい穴が空き、神楽の左腕が木っ端微塵に吹き飛んでしまったのだった。
「《
それではどうぞ!
side三人称
龍生の拳から放たれた衝撃波によって正面にあったものが全てくり抜かれてしまったかのように消滅してしまった。
そしてそれは神楽の腕も同様で先ほどまであった左腕が完全に消滅してしまっている。
龍生の拳には龍生のクレアの霊力が纏わり付いている。つまり、今龍生はクレア装を使用しながら能力を発動したのだ。
龍生のこの技を知っているのはシャドウだけだ。なぜならこの技はシャドウとの修行中に会得した技だからだ。
真との修行だけではクレア装までしか会得することはできなかった。なぜなら真はまだクレアの本当の力を知らず、その力を最大限活用する方法を知らないからである。
そこの部分をシャドウが補ったことによって龍生は技を完成させることができた。
「神楽、お前は昔から変わっていない。どんなに相手が自分より格下だとしても侮るな。その驕りでお前は今、その腕を弾き飛ばされたんだぞ」
「黙れ黙れ黙れ! 邪神である俺が人間ごときに負けるはずがないんだ。人間ごときに負けちゃいけないんだ!」
「いや違う。今のお前は邪神でもなければ神でもない、ただのそこら辺のゴロツキだ。お前はあの時も俺のことを侮ったせいで俺に殺された。全く成長していないようだな」
「黙れ黙れ黙れ! 俺は強いんだ、最強なんだ! こんな奴らはすぐに蹴散らしてやるよ!」
シャドウの言葉に激昂した神楽は怒りのままに背中から真っ黒な触手を出して周囲にいるライト、紗綾、霊夢、龍生の四人に攻撃をしていくが、この四人もいくつものの死線を乗り越えてきた強者だ。
今更そんな怒りに任せたデタラメな攻撃にやられるわけがなかった。
全員、各々の方法でその触手を捌いていく。
先ほどまでの強い神楽はもうここには居なかった。居るのはただの怒りに身を任せた喧嘩程度の攻撃しかしないゴロツキであった。
神楽はシャドウ以外に四肢を破壊されたのは初めてだった。しかも、その相手というのがただの人間であるということが彼の精神に異常をきたし、正常な思考能力が欠如してしまったのだ。
もう誰の目から見てもこんな攻撃をし始めた神楽には勝ち目などなかった。
「どいつもこいつも俺のことを苛立たせんじゃねぇ!」
神楽の力がパワーアップした。なかなか攻撃が当たらないことに苛立って居るのだ。
さらには神楽の霊力がどんどんと膨れ上がり、暴風のように周囲に吹き溢れ始めた。流石にこれには四人も飛びのいて一旦距離をおいた。
この霊力の嵐は遠距離にいる紫達にまで影響を与えて居た。
「こ、これが一人が放つ霊力だとでもいうの?」
「だ、だけど、あれは怒りに身を任せているだけ。さっきみたいに考えて行動することができなくなっているよ」
シャロの言う通りだった。
怒りに身を任せ、技の威力はアップしているが、所詮はその程度。この実力者の集まりに通用するかと聞かれたら到底通用するものではないだろう。
「下がれ。悪影響だ」
シャドウがそう言うと紫達の周りに小さいバリアのような結界が構築された。
通常、霊力に当てられたからって体に悪影響が出ることはない。それで悪影響が出るならば今までの戦いで何度も体調を崩してしまっている。
しかし、感情が込められた霊力だったら話は別だ。
クレアのように正規の方法で感情を増幅して霊力に込めるならば大丈夫なのだが、今回のように怒りに我を忘れ、その大きすぎる怒りが霊力に影響を及ぼして含まれてしまっている場合は非常に危険だ。
現にこの霊力に当てられてライト、紗綾、龍生は非常に苦しそうにして膝をついている。
霊夢も少しこの霊力の悪影響を受けてしまっているのか口元に袖を当てて若干苦しそうにして居た。
「あ、あんた、すごい霊力ね。でもこんな霊力じゃ天下は取れないわよ」
「ウルセェ! テメェらは俺に、殺されるべきなんだぁぁぁぁぁ!!!」
ついに激昂した神楽が怒りのままに背中の大剣を構えて霊夢へと走り出した。
この霊力の悪影響を受けて体調を崩してしまっている霊夢じゃこの攻撃を回避しきれない可能性がある。
流石にシャドウもこの状況を見逃すことはできないようで、走り出そうとしたその瞬間、シャドウは足を止めた。そして冷や汗を額に浮かべた。
(人間がそのクラスの技を使えるのかよ。あの博麗の巫女ってやつはバケモンだな)
そうこうしている間にも霊夢に神楽の攻撃が迫ってくる。
「死ねぇ!」
そしてついに神楽は霊夢へと大剣を振り下ろし、その攻撃を霊夢は回避しきれず、頭から一刀両断されてしまった––かのように思えた。
神楽は霊夢を殺したと確信し、ニヤニヤと笑みを浮かべながら霊夢の方を振り返り、その瞬間に言葉を失ってしまった。
なぜならその霊夢は綺麗に原型を保っており、全く傷ひとつついて居なかったのだ。
しかし、今間違いなく神楽は霊夢のことを切り捨てた。
だが、そこで神楽は先ほどの感触を思い浮かべて違和感を抱いた。
(今の感触、全く手応えがなかった。なんだ? 残像でも使ってんのか?)
そんなことを神楽が考えている間にやれやれといった感じで霊夢が振り返り、神楽へと視線を向けた。
その目はまるで神楽の心の中を見透かしているかのようだった。
「多分今あんたは残像とか考えているんでしょうけど、そんなものじゃないわ。夢想転生、私の最強の技よ」
「無双、転生だと?」
「っ!」
夢想転生と言う言葉を聞いて龍生はすぐに霊夢に攻撃が当たらなかった理由がわかった。
夢想転生は霊夢の最終にして最強のスペルカードで、霊夢の能力の特性を存分に活かし、この世界から浮くことによって別次元に存在している敵の攻撃を全く受け付けなくなると言うチートスペルカードだ。
霊夢はこのスペルカードがあるから負けない。負けることなどあり得ないのだ。
「あんたの攻撃はもう当たらないわよ」
「っ!」
夢想転生を使用したことによって霊力による悪影響も全く受けなくなっている。
神楽が今の霊夢に勝てる要素などただの一つもなかった。
霊夢の夢想転生はスキマを使用して引っ張り出せるような代物でもない。完全にこの世界から隔離されてしまっているのだから。
「俺が、負ける? 負けるだと? あり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ない! 絶対にあり得ない、あってはならない––っ!」
「終わらせてあげる」
霊夢の手のひらに作られた霊力でできた巨大な陰陽玉。
それを構えながら霊夢は神楽へと急接近していく。
「く、来るなぁぁぁぁぁ!」
神楽は霊夢を遠ざけようとして真っ黒な触手を何本も放つが、それが霊夢に直撃することはない。
言霊で地形を変えたり、剣山を作り出すが、この世界から浮いている霊夢にそんなのが通用するはずがない。当然衝撃波も直撃するわけもない。
このスペルカードを攻略するにはガス欠になるまで耐久しなければいけないと言うのが基本で、逃げるのが一倍いいのだが、ただの人間相手に逃げるなど神楽のプライドが許すはずもなかった。
「ただの人間ごときがぁぁぁぁぁ!」
「あんたはもう終わりよ!」
そしてついに霊夢が神楽に追いつき、その手に掲げている陰陽玉を神楽の腹に押し付けた。
するとその瞬間、神楽を飲み込んで巨大化し始めた。
この陰陽玉はとてつもない霊力の嵐が神楽の体を攻撃して行き、神楽は悲鳴をあげることすらできないほどのダメージを負い始めている。
霊夢がその陰陽玉から手を離したその瞬間、その陰陽玉はまっすぐ飛んで行き、壁に激突して爆発した。
その爆発の威力はものすごく、周囲の壁を吹き飛ばし、この場にいる全員が爆風によって少し飛ばされてしまうほどだった。
そして砂煙が上がり、その砂煙が晴れたその先に見えたものは身体中ボロボロになってフラフラとその場に立つ神楽だった。
「お、俺、はぁ、つ、よい、んだぁ! 負け、ない。ぜ、ったいに、負け、ない。負けられ、ないんだ」
その神楽は誰がどう見ても満身創痍であり、もう立つのでやっとの様子だった。
霊夢はもう一撃加えて本当に倒そうと考えてお祓いぼうを構えるものの、すぐにそんな必要はないと悟った。
ついに神楽はその場に前のめりになって倒れたのだ。
流石に神楽といえどもこれほどのダメージを負って居たら生存するのは奇跡でしかない。
全員がこの瞬間に勝利を確信した。
「つ、つ、ついに」
「か、神楽を倒したぁぁぁぁぁっ!」
「やった! やった!」
「つ、疲れたぁ」
「あいつ、強すぎるのよ」
「よかったぁ」
「だが、誰一人として死んでない。負傷者、意識不明者は大勢だが、誰一人として犠牲者は出て居ない。それだけが救いだな」
紫、シャロ、彼方、龍生、紗綾、鈴音、ライトが各々喜びを表現する。
シャドウもこの状況を見てホッと一息ついた。
流石にシャドウも放任主義とはいえ、この状況にはハラハラドキドキして居た。
(ルミア、お前の敵、ついに倒したぞ。これがお前の大切な世界の住人たちだ。みんな、強くなったぞ)
シャドウは感慨深くなって思わず近くにいた彼方の頭を優しく撫で始める。
「な、何?」
「ルミア、やったぞ」
「る、ルミアって誰よ!?」
神楽という強敵を倒したことによって完全に気が緩んでしまっているみんなだが、敵はあと一人いる。
今回の異変の主犯だと思われる人物との戦いが。
神楽が目を覚ますとそこは真っ暗な空間だった。
いや、その真っ暗な空間の中に裁判所のようなセットが配置されており、異様な空気を醸し出していた。
(ここはなんだぁ? どうやら邪神界のようだが、こんな場所は見たことがねぇ。それに、体が思うようにうごかねぇ。どうなってやがるんだ)
すると神楽の体は勝手に歩き始め、ゆっくりとゆっくりと証言台へと歩み始める。
神楽の歩みとともに左右の灯篭に火が灯り、神楽の進む道を照らしていく。
今の神楽の気分は処刑台に登っていく死刑囚のような気分だった。
そしてついに神楽が証言台へとたどり着いたその瞬間、覆面をかぶった人物が裁判官席に出現した。
その人物は性別が全くわからない格好をしていて異様な雰囲気を醸し出している人物だった。
「元邪神ナンバー154682、神楽とはお前で間違いないな」
「あぁ、俺が神楽だが、どうした」
「お前は死んだ、よって今後どうするかの裁判が行われる。当然いまの記憶はなくなり、今後邪神として生まれ変わるか、神となるか、人間として生まれ変わるか、それが決まる」
「ほう、ここはそのための施設、差し詰め俺の未来を決める裁判といったところか」
「飲み込みが早いな」
ここは邪神界。
だが、邪神界の中でもさらにお口にあり、邪神の中でも数少ない限られた邪神しか知らない神聖な場所。
人間たちでいう三途の川に当たる場所、それがこの邪神裁判所という場所だ。
本当に死んでしまった邪神たちはまずここにきて裁判を受けることになる。そして活躍によって今後の運命が決まるという場所だ。
「だが、お前の場合は悪事を犯しすぎたというのがあるな」
「はぁ? 悪事だと? 邪神なんて悪事してなんぼだろ」
「邪神でも我々は世界の均衡を保つために存在している。神が作り過ぎた世界を我々が侵略して均衡を保つ、それが我々の仕事だ。人々を嬉々として虐殺するのは世界の秩序に反していると言わざるを得ない」
邪神は感情の起伏が少なく、神たちが作り過ぎた世界を侵略して均衡を保つために存在している。その秩序からはいくら邪神といえども外れることは許されない。
それは邪神たちの中では常識のことだというのに、神楽はそれを反して必要のない世界まで侵略したり、嬉々としてその世界の住人を虐殺したりなどをしていた。
これは明らかに秩序に反している行為だ。だからこそ、一度シャドウに殺されたときに神楽は邪神から除外されてしまったのだ。
しかし、神楽はそれを死んでしまったせいと解釈してしまい、シャドウも知っている邪神が死んで生き返った例を知らないため、勘違いしていたのだ。
「じゃあ、俺はどうなる」
「まぁ、お前のしたことを考えると、消滅だな」
「っ!」
そこでようやく神楽の表情が変わり、焦りのような表情が見られた。
流石に神楽も消滅するというのは嫌なのだろう。なにせ、転生するのとは違ってもう自分の魂は消えてしまって存在がなくなってしまうのだから。
消えてしまうという恐怖が神楽にも存在していた。
(あいつらだ、あいつらのせいで俺はこんな目に遭っているんだ。全部あいつらのせいだ)
「それじゃあ、消滅してもらおう」
(俺はまだ消えられない! あいつらをどんな手を使ってでも殺してやる!)
「さようならだ、154682」
そういって不思議な人物が神楽へと手をかざした瞬間だった。
どうやってか、異常な神楽の力が発揮され、謎の力で抑えられていた体が動き出し、不思議な人物へと駆け出した。
流石にこの状況には不思議な人物も驚きを隠しきれなかった。
「この俺を再臨させろぉぉ!」
この日、前例がない初めての大事件が発生した。
邪神裁判官が殺害されて裁判に書けられている邪神の魂が現世へと逃亡し、そして––
「シャロ、紫、彼方。そこらへんで倒れている奴らをとりあえずスキマの中に避難させてくれ」
「わかりました」
「ええ、わかったわ」
「うん!」
そうしてシャドウも含めた四人が倒れているみんなを安全なスキマの中へと避難させようとしたその時、とてつもないほどの邪の力がこの場にいる全員を襲った。
「く、苦しい」
「な、何、これ」
流石にこれには神である彼方とシャロにも効いたようで、二人とも苦しそうにうずくまってしまう。
これはかなりの濃度の邪の力であるため、同じく邪神上がりであるシャドウにも影響を及ぼし、頭が痛くなり始めている。
「キタキタキタキタ! ついについについに、再臨を果たしたぞ」
「こ、この声は神楽!」
はい!第203話終了
ついに神楽を倒したと思いましたが、まさかのまさか、執念で神楽が復活し、ついに再臨を果たしてしまいました。
果たしてみんなはどうなってしまうのでしょうか?
ただ、一つ言うとしたらこんな悪事を働く奴にはろくな運命が待っていないと言うことですね。
ちなみにシャドウはみんなにルミアのことについては伏せて話していたため、みんなはルミアのことは知りません。
それでは!
さようなら
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