それでは前回のあらすじ
ついに始まる再臨した神楽との戦い。
ライト、紗綾、龍生などの強者ですら絶望感を抱く中、シャドウは的確な指示で触手の壁を打ち破る。
そしてシャドウと神楽の戦いが始まるものの、神楽はシャドウと戦いながら下にいる霊夢達に攻撃をする。
しかし、その攻撃は龍生の空絶によって防御に成功する。
だが、神楽はシャドウの力を上回り、力比べでシャドウは敗北してしまう。
そこでついにシャドウは本気を出し、神の使う最強のクレア、クレア神を発動させ、ここから反撃開始かと思われた。だが、しかし、クレア神を発動させ、強化した拳は神楽の斬撃によって切り傷をつけられてしまった。
これはシャドウの力をまだ神楽が上回っていることの証拠である。
果たして神楽を倒すことはできるのでしょうか?
それではどうぞ!
side三人称
シャドウはキッと神楽のことを睨むように見据えると、神楽以外誰も目で追うことができないほどの速度で飛び上がって神楽へと接近した。
しかし、この速度でも再臨を果たしている神楽の視界から外れることは叶わない。
そんな状態で神楽を倒せるとは全くシャドウも思っていないが、これは防衛戦だ。倒せなくてもいい。
下にいる奴らを死なせないことが目的なのだから。
そしてシャドウが拳に神力を込めて殴りかかると、神楽は大剣に邪の力を込めてシャドウの拳を受け止め、さらには薙ぎ払ってシャドウを壁へと叩きつけてしまった。
「かはっ」
シャドウは叩きつけられた時の衝撃で口の中を切ってしまい、血を吐き出す。
骨が何本か今の一撃で折れたようで、体の痛みでうまく体を動かせないが、止まっている暇などない。なにせ、止まったら死が待っているのだから。
「っ!」
気がつけば目の前に邪の弾幕が大量に迫ってきていた。
それを認識した瞬間、シャドウは近くの影を操って自分の体を強引に動かすことによってその弾幕を回避し、影を操って拳を作ることで影の拳を神楽へと飛ばした。
「その程度の攻撃、効かないわ!」
しかし、その攻撃は神楽の大剣によって一刀両断され、神楽に攻撃が届くことはなかった。
神楽の攻撃はシャドウを追い詰めるほどの力があるのに、シャドウの攻撃は神楽を追い詰めるに至らなかった。これが何を意味するのか、猿でもわかることだった。
「だぁぁぁぁぁっ!」
シャドウは周囲の影を大量に操っていくつもの拳を作り出して神楽へ飛ばした。
しかし、その攻撃には神楽は触手をぶつけて相殺するのではなく、打ち破って見せた。
「滅符《ダークデリート》」
慌ててシャドウは目の前の触手を消滅させようとするものの、少し間に合わず、急所に飛んできていた触手は消滅させることに成功したが、かなりの数の触手がシャドウの体に突き刺さった。
すぐに残りの触手も消滅させるものの、もうすでにシャドウのダメージは深刻だった。
「はぁ……はぁ……」
「ケハハハハ、滑稽だな。嫌な奴が惨めな姿を晒しているのがこんなに面白いこととは思わなかった。さぁ、もっとだ、もっと苦しんでくれ。俺が味わった屈辱はこんなもんじゃないぞ!」
「っ!」
神楽が弾幕を作り出すと同時にシャドウは自分の体に影を纏わせるとダメージが深刻で思うように動けない自分の体を無理矢理動かした。
そんなシャドウに対して神楽の弾幕の雨が降り注ぐ。
しかし、その弾幕の速度はシャドウには見えているので、影を操って自分の体を強引に動かし、回避するのは容易ではあったが、ボロボロの体を強引に動かすのは負担が大きかった。
「ブースト!」
今度はシャドウから仕掛けた。
シャドウは影で強引に自分の体を動かし、自分の限界を超えた速度で神楽へと走り出した。そのおかげで、神楽の視界から外れることに成功した。
「っ!? どこに行きやがった。」
突如としてシャドウが視界から消えたことによって困惑を隠しきれない様子の神楽にシャドウは自分の限界を超えた威力の拳を背後から叩きつけた。
それによってやっとシャドウは不意をついてまともな攻撃を神楽に与えることに成功し、神楽を殴り飛ばすことに成功した。
そして壁に神楽が激突し、砂煙が上がったかと思ったその次の瞬間にはその砂煙の中から大量の触手がシャドウ目掛けて飛んできたため、自分の体を覆っている影を解除して慌ててシャドウも大量の手を作り出し、触手を掴んで止めて見せた。
その止まっている隙にシャドウはすべての触手を消滅させて見せたが、これだけ力を使っているので、消耗が激しく、息も上がっていた。
一方、神楽もシャドウと同じくらい能力は使っているが、今殴られて壁にぶつかったダメージはもうすでに回復し、全く息も切らしていなかった。
「はぁ、はぁ」
「辛そうじゃないか、シャドウ」
「はぁ……おま、えは、ずいぶ、んと余裕そう、じゃないか」
「当たり前だ。シャドウ、いいことを教えてやろう。再臨した途端に俺はな、とてつもない力を得ることに成功した。今までの俺の力の比じゃないくらいに。体力も何百倍にも膨れ上がった。つまり、今の俺の体力はほぼ無限ということになる!」
「はは、化け物め」
流石にこの情報にはシャドウも笑うしかなかった。
自分はもうすでに能力の多用によって体力が尽きようとしているというのに、神楽の体力はまだ無限に近いほどにあるという情報はシャドウにとっては絶望以外の何事でもなかった。
その次の瞬間、疲労によって思考がうまく定まっていない中、その瞬間を突いて特大の触手がシャドウに襲いかかってきた。
その攻撃にシャドウは反応しきることができずに地面へと叩き落とされてしまった。
「か、は」
流石にこの攻撃にはシャドウも視界がチカチカとし、意識が一瞬飛びかけた。
だが、意識が飛んでいないだけで、全く思考は回っておらず、戦う気力はもう残されてはいなかった。
(あぁ、視界が白黒する。
死を間近に感じるシャドウ。
意外にも死を覚悟すると冷静になれるもので、シャドウはそんなことを考えていた。
だが、正常に思考が回っていないせいで、思考が二転三転とぐるぐるしている。
「––どう」
(あぁ、なんか声が聞こえてくる)
「シャドウっ!」
シャドウに声をかけているその人物は彼方だった。
彼方はシャドウへ駆け寄り、シャドウの手を握って何度も何度も声をかける。
しかし、シャドウは意識が朦朧としているせいか、その声に反応することができないでいた。
「シャドウ、しっかりして! 死なないで!」
必死に叫ぶように話しかける彼方だが、シャドウは一切の反応を示さない。
「シャドウ、本当にこんな最後でいいの? シャドウ、いつも言っていたよね。自分はある約束を果たすために戦っているんだって。本当に、こんなんでいいの?」
彼方は滝のように涙を流し、叫ぶように話した。
これはシャドウの口癖のようなものだった。
彼方が昔、シャドウに修行をつけてもらっていた時は頻繁に言っていた言葉だった。
『なんでシャドウはこの幻の都だけを守っているの? 幻の都ならいくらでもあるし、シャロとか紅蓮は他の幻の都とかも見に行ったりしてるけど、シャドウは他の幻の都に行ったりしないよね』
『行く意味がないからな』
『どうして?』
『俺は別に守護神になりたくて神をやっているわけじゃない。自分の正義の元、守護神をやっているわけでもない。ただ、俺はある約束を果すためにこの幻の都を守り続けなければいけない。それだけだ』
このやり取りの後、シャドウは口癖のようにこの言葉をいうようになっていた。
彼方は何度もこの台詞を聞かされたため、どんな声のトーンでいつも言っているかも完全に記憶していた。
そしてそれによってこの約束が何よりもシャドウにとって大切なものであるということも彼方は理解していた。
そしてようやく彼方の言葉がシャドウの耳に届き、シャドウは懐かしさにポロリと一粒の涙を流した。
「ルミア、俺はもう、どうしたらいいのか、わからない。わからないんだ」
シャドウの絞り出すような言葉に彼方はルミアという人物が誰なのか全くわからなかったものの、この場にいなく、いまの流れで大体シャドウにとってどんな人物なのかを理解した。
そしておそらくその人物はもうこの世にいないということも察した彼方はその人物の代わりに言葉を紡いだ。
「頼ればいいと思うよ」
「頼る?」
「うん、一人で守るんじゃなくて、みんなで。この世界が大切なのはシャドウだけじゃないんだよ。この場にいるみんながこの世界を大切に思っているからこそ集まっているんだから」
いつの間にかシャドウと彼方の周りにはみんなが集まってきていた。
そしてシャドウは意識が朦朧とする中、一人一人の顔を見て行く。
紫、ライト、紗綾、彼方、シャロ、霊夢、龍生。シャドウが顔を見るとみんな一人ずつ頷いて行く。
「シャドウは優しい。でも、優しすぎる。この状況を一人で解決しようと、私たちを傷つけないようにと必死に戦ってくれたし、神楽にでさえあまり強く攻撃したら可哀想だと無意識に思って力をセーブして本気で戦えていない。優しいというのがシャドウの長所であり短所でもある。だけど、それじゃ強くなった神楽には勝てないんだよ。神楽に勝つにはシャドウの本気が必要なの。お願い、シャドウ。私たちに力を貸して。そして私たち幻想郷の守り神たちの強さをあの邪神に見せつけようよ! 私に、もっとシャドウのことを教えて!」
「っ!」
その瞬間、シャドウの脳裏に昔の光景がフラッシュバックした。
あの運命の日、ルミアとの最後の会話。
––あなたは邪神なのに、とても優しい心を持っている。
––あなたは邪神じゃなくて神として生まれるべきだった。
––私はシャドウの事をもっと知りたい。
(あぁ、そうだ。そうだよ。俺の体は呪われている。誰かを本気で傷つけようとしたら、例えその相手が敵であったとしてもセーフティーがかかってしまったように力を抜いてしまうんだ。でも、そうだ。やっと思い出した。俺は約束したんだ。この世界を守るって)
その時、みんなの立っているその場所に超巨大な影が出現した。
驚き、弾かれるように一斉に上を見てみると、そこには超巨大な隕石のようなものが出現していた。
よく見てみると、それは触手が複雑に絡まった集合体であり、それが玉のようになって宙に浮いていると言った感じだ。
それを落とそうとしてきているのだと感づいたみんなは逃げようとするものの、先ほど同様に触手の壁が出現してしまっていて逃げることが叶わなくなっている。
「ライト、あんた、さっきのはできるかしら?」
「く、悔しいが無理だ。あれをまたやるにはもう少し時間を置かなければいけない」
「絶望的な状況ね。《夢想天生》を使えば私は助かるかもしれないけど、あんたらは助からないしね」
この絶望的な状況、しかし、誰一人としてこの幻想郷を守り抜くことを諦めてはいなかった。
(そうか、俺の優しさは長所であり短所か。つまりは俺の心の弱さでもあるわけか。なら、偉そうにしていた俺は滑稽だったわけだな)
するとついにシャドウの手が動いて彼方の手を握り返した。
それに驚いて彼方は目を見開いて自分の握り返されている手をまじまじと見た。
そしてシャドウはゆっくりと、ゆっくりと消え入るような声で呟いた。
「ルミア、見ていてくれ」
「うん、見ているよ」
シャドウの言葉に対してルミアの代わりに優しく答える彼方。
ルミアのことは知らないけど、シャドウの大切な人なら、こう答えるのではないかという予想ではなった言葉だった。
だが、この一言がシャドウに大きな勇気を与えた。
「終わりだ」
その神楽の言葉とともに触手の隕石が逃げ場のないフィールドへ落下し始めた。
するとシャドウは彼方と手をつないでいる手と反対の手のひらを天へと高く高くあげると、ぐっと握った。
その瞬間、この場所へと降ってきていた触手の隕石が一瞬にして弾け飛ぶように消えてしまった。
「っ、なんだと!? お前はもう体力は残っていないはず。どこからそんな力を!」
「俺の目が黒いうちはこの幻想郷で好きにはさせない。そう、決めたからな。俺は無意識にこの力を除外していた。でも、《
そういうと彼方の手を借りて立ち上がるシャドウ。しかし、そのシャドウは今までのシャドウとは別人かのように雰囲気がガラッと変わっていた。
クレア神を発動し、周囲に先ほどと同じオーラを放つものの、そのオーラは全くの別物だった。
「さぁ、クソ邪神。かかってこいよ。今の俺は元邪神らしく、お前に対して慈悲の感情なんて全くない。もう俺に慈悲を期待するなよ」
はい!第206話終了
やっぱり前回は次回くらいに終わらせたいと言っていましたが、終わりませんでしたね。
この神楽戦ではシャドウの謎を色々と深掘りしてきましたが、どうでしたか?
わかってます。僕もわかってますよ。
神楽戦、長すぎ!
もうアニメだったら第一クール終わって第二クール突入しちゃってますよ!
まぁ、まぁね? あと数話でこの神楽戦は完結しますので、まだまだお付き合いいただければと思います。
今までシャドウを真たちに関わらせて来なかった分、色々書きたいことが多いんですよね。
そのせいでかなり膨らんでしまっているんですが。
まぁ、ネタバレが入ってくるので、プロットをお見せすることはできないんですけど、プロットでは神楽戦は5行くらいで終わってるんですよね。
どうしてこうなった。
あと、本来はシャドウにクレア神まで使わせる予定はありませんでした。まぁ、クレア神の設定はもともとありましたけどね。
どこで出す予定だったのかはネタバレなので、言えませんが、少しヒントを出すと彼方が非常にクレア王を真に教えるのを拒んでいたことに関係します。
ちなみに本編での設定では自分で戦うのが苦手だから異変解決に今まで関わって来なかったというのがありますが、僕の都合でいうと、シャドウは強すぎるため、今までの敵全てが雑魚になるというのが理由ですね。
めちゃめちゃ強くて紅蓮が死んでしまった異変の主犯である龍磨もシャドウがいたら一瞬で解決しました。
つまり、シャドウの俺TUEEEEが始まってしまうわけです。
なので、神楽が一番シャドウと戦わせるのにちょうどいい強さの敵と言えるんですよね。
というわけで、今回はここまで!
それでは!
さようなら
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海藤真
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刻雨龍生
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南雲音恩
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南雲鈴音