それでは前回のあらすじ
ついに真のクレア神を発動させたシャドウ。
その力で神楽の技をカウンターしてみせたり、相手の技をコピーしてみたり、圧倒的な強化を果たした。
しかし、なかなか神楽へ止めを刺すことはできず、神楽の怒りのパワーで龍生たち人間にとてつもないダメージが入っていく。
あまり時間を掛けることができないというこの状況にシャドウは焦り、イライラしてくる。
そこへ、本来だったら避けられたはずの攻撃がシャドウへ襲い掛かり、思考能力が低下していたシャドウはそれに直撃、直後に隙が生まれ、その隙を突かれてシャドウは奈落の底へと叩き落されてしまう。
そのシャドウへ攻撃したその人物はさっき倒したはずだった鬼流だった。
果たしてこの絶望的な状況で一同はどうするのか?
それではどうぞ!
side三人称
「なんで春斗がここにいるのさ!」
「……」
紗綾が鬼流がここにいるという事実に驚愕し、声を荒げて聞いたが、鬼流は全く紗綾に興味はなさそうな態度を示し、何も答えることはなく、そこら辺にいるみんなへと視線を向けた。
その風貌はまるで全く感情が無いアンドロイドのようだ。
「春斗! 聞いてるの、春斗!?」
紗綾が必死に声をかけるものの、その声が鬼流へと届くことはなく、鬼流はまっすぐとライトの方へと視線を向けた。
そしてその次の瞬間、鬼流は一瞬にしてライトへと距離を詰めると、拳を構えた。それを見た紫は慌ててスキマを発動させてライトを退避させようとするものの、邪の力に当てられている状態では妖力をうまくコントロールすることができず、発動できなかった。
シャロと彼方もスキマを発動させようとするものの、そんな二人の目の前に神楽が現れた。
「そんな野暮なことをするなよ。お前たちはお仲間さんがやられているところを大人しく見ていろ」
「双拳殺法《悪鬼羅刹》」
紫もシャロも彼方もスキマを使うことができない。加えてライトは邪の力の影響をもろに受けてしまっている。
万事休すか、そう思われたが、その直後みんなの眼には予想だにしていなかった光景が映った。
目にもとまらぬ速さで連撃を加える鬼流、そしてその正面にはそのすべての攻撃を完璧に刀で受け流しているライトが居た。だが、鬼流の攻撃は回避したら終わりではない。
拳から放たれる衝撃波が瞬間移動してライトの背後から襲い掛かる。
「すぅっ! だぁぁぁぁぁぁっ!」
その瞬間、ライトは大きく息を吸うと霊力を刀に込めて自分の周りを格子状に囲うように刀を振った。それによってライトの周囲には斬撃の折が形成され、背後からの攻撃はかき消されて鬼流を遠ざけることに成功した。
この場にいる誰もがこの邪の力を受けているライトじゃここまで動くことはできないと考えていたが、ライトはそれをやって見せた。
だが、やはり邪の力の影響は大きいようで、頭を押さえて膝をついてしまった。
「ふん、まぐれで動いたか。でももう限界みたいじゃないか。やれ、鬼流!」
「っ!」
「誰が限界だ!!」
再び鬼流が拳を振り下ろすとそれに対抗してライトも刀を振り上げて防御をした。
その力は互角のようで、邪の力によって弱体化されているはずのライトがこれほどまでの力を使っていることにただただ驚くしかなかった。
だが、そこにはからくりがあった。
なんと、邪の力の影響は妖怪である紫よりは大きいものの、人間としては軽い方だったのだ。
なぜあまり影響を受けていないのかと言うと、ライトは人造人間だからだ。
ライトは真の細胞から作り出された人造人間であるからして、能力値的には真とほぼ同じだし、気配も人間、見た目も人間ではあるがライトは純粋な人間ではないため、影響は純粋な人間よりは少ないのだ。
だからライトはこの有害な邪の力に当てられ続けても苦しむだけで死ぬことはない。
「だけど、やっぱりちょっときついな。お前、帰ってくれないか? 俺たちは今あいつと戦うのに忙しいんだよ」
「…………」
「へへ、だんまりかよ。差し詰め直したことによって生き返りはしたが、感情も何もかも失った完全な戦闘機械になり下がったといったところか。気味わりぃな」
「っ!?」
「はっはっは、どうやら君は頭が切れるようだね」
神楽はさっきまで戦っていたシャドウが死んだことによって気分が元に戻り、いつも通りの上機嫌な様子になって手をパチパチと叩きながらライトが言い当てたことを祝福した。
「俺は君たちがそいつを殺した後、すぐにそいつの元へ向かって修理した。その時に思ったんだ。ジーラの奴は感情を捨てることはしなかったが、戦闘サイボーグには感情なんて不必要だろ? だから破壊した。今のそいつはお前らの事も何もかも覚えていない、そして記憶することすらしない、ただの戦闘サイボーグ。戦うための兵器さ」
上機嫌にけらけらと笑う神楽に一同はドン引きするしかなかった。
一緒に戦う仲間だというのに、ここまでするのかと。
シャドウから邪神と言うものは感情の起伏が少なく、相手の感情を考えることが苦手だというのは教えられていたが、まさか他人の感情を要らない部分だと切り捨てるほどだとは思っていなく、誰もが怒りで震えていた。
霊夢だったらどっちが勝つか分からない。だけど、それ以外の面々は神楽と戦ったら必ず死ぬことが分かっているため、動き出すことはできずにいたが、ついにただ一人、怒りが抑えられなくなって飛び出していった。
「っ! 炎々っ」
「このクズがぁぁぁぁぁぁぁ!」
感情をあまり昂らせることが無い紗綾の怒りが爆発してしまい、怒りが抑えられなくなって周囲を焼き尽くしながら神楽へと飛び出していった。
「人の、人の思い出を……人の大切な思い出を、心を、お前は何だと思っているんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「っ」
その紗綾の気迫はさっきまで戦っていたシャドウ以上のものがあり、一瞬神楽は気圧されてしまって怯んだものの、すぐに我に返って腕に邪の力を纏わせて紗綾の振り下ろした刀を受け止めた。
だが、その一撃には怒りのパワーが上乗せされ、さっきまでとは比べ物にならないほどの力を発揮して、なんと紗綾は再臨した神楽の腕を弾き飛ばしたのだ。
しかも、その一撃はクレアも使用していない一撃だったのにも関わらず神楽は邪の力を纏わせた腕を弾き飛ばされてしまったのだ。
「んなっ」
「たぶん私たちと再会した時からすでにあの頃の優しい春斗は居なかった。だけど、心の片隅には昔の思い出っていうものが残っていたんだよ。私への罪悪感からなんだろうけど、私に攻撃するときだけ真やライトに攻撃するときよりも攻撃力が低く感じられた! サイボーグとなって鬼流となっても優しい春斗は居たんだよ! そして、そんな春斗の心の中には多分いつも楓花がいた。本当にあの二人は互いを大事に思いあっていた。多分だけど、春斗は楓花を助けるために乗り込んだけど掴まってしまったって感じなんだと思う。だから春斗は今も昔もずっと優しいままだった。自分の命を懸けてまで楓花を助けたかったんだと思うよ。でもあんたらは簡単に楓花を殺し、あまつさえ春斗を戦闘サイボーグにした。卑劣、極悪非道、これほどまでに吐き気がするほどの悪意を、私は今まで見たことが無い! 人の、春斗の、楓花の、大切な思い出をあんたらは何だと思っているんだ!!」
「っ!」
その瞬間、今まで感じたことが無いほどの威圧が紗綾から解き放たれ、その威圧によって周囲に漂っていた神楽の邪の力が上書きされて邪の力からみんなが解放された。
そしてその力を感じたライトは驚愕して目を見開いた。
その力はクレアのものでもクレア装のものでもない。もっと、さらにその上の力。
「く、クレア王っ!?」
なんと、紗綾は怒りによって自信の潜在パワーを解放し、クレア王までも発動してしまったのだ。
だが、そのクレア王のパワーは真のものよりも圧倒的に上の領域にまで達しているように感じられるほどに凄まじいパワーを周囲に放っていた。
そしてクレア王を発動すると霊力が神力に近いものになるため、周囲に解き放たれた神力が今度は邪神である神楽を苦しめた。
「く、お前、その神力は!」
「私はあんたらを許さない。どこまで逃げようともどこへだって私は追いかけ、あんたらの心臓にこの刃を突き立てる!」
「っ、鬼流! お前何してる! 速くこっちを助けろ! お前の体がどうなろうとかまわない! どんな手を使ってでもこの女を排除しろ!」
「……オーバーヒートっ!」
神楽が鬼流へ命令したその瞬間、鬼流はいつぞやに発動しようとしていたオーバーヒートを発動させると、体から蒸気を発生させ、周囲の温度を急上昇させて目にもとまらぬ速さで神楽と紗綾の間に入った。
その鬼流からはとてつもないほどのパワーを感じられるほどにさっきまでとは打って変わってパワーアップしていた。
だが、体から蒸気を出しているところからわかる様に鬼流の体は今、とてつもないほどの高温となっている。高温は機械にとってあまりよくないものであるからこれは自分の命までも削る鬼流の大技と言ったところだ。
「春斗……」
「……」
両者にらみ合い、周囲は紗綾の炎と鬼流の蒸気の温度が合わさって灼熱地獄と化した。
はい!第208話終了
ついにジーラと神楽の春斗の扱いに関して紗綾がぶち切れてクレア王を発動させました。
これでしっかりとクレア王を発動させた描写のある人物は真と紗綾の二人となりましたね。
まぁ、クレア王までは才能と修行で発動させることが出来るようになるので、真より前から使えて修行を続けていた紗綾が使えるようになるのは別に不思議なことではないと思いますがいかがですか?
しかし、真よりも強いクレア王を発動させたんですよね。主人公よりも強いんですよ。
修行パートで紗綾に修行を付けていたのは真だったので、師匠越えと言ったところですね。
そして以前から出ていて全くそのあと発動されることが無かったオーバーヒート、ついにお披露目です。
次回は炎対熱と言った感じになります。
それでは!
さようなら
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