それでは前回のあらすじ
紗綾の言葉に昔の光景が思い浮かび、苦悩する鬼流。
そんな鬼流に神楽はいらいらし、霊夢はそんな鬼流を煽る。
霊夢と神楽のラストバトルが開幕。両者共に最強の技を放つものの、霊夢の夢想天生の前に破れ、空中にぶっ飛ばされる。
そんな神楽の背後に突如としてシャドウが出現、怒り狂う神楽とは反対にシャドウは冷静であった。
そしてついに、大神の大口がみんなの前に出現し、秩序を乱した神楽を飲み込もうとする。
当然抵抗する神楽だったが、シャドウと記憶を取り戻した鬼流の二人によって神楽を大神の口の中に放り込むことに成功し、ついに神楽に勝利を収めた。
しかし、その代償としてシャドウと鬼流が命を落とす結果となってしまった。
さぁ、まだ異変は終わっていない。
みんなは異変解決へと向かって歩き始めた。
それではどうぞ!
side真
あれ、ここは?
暗い。何も見えない。至近距離にあるはずの自分の体すら見えず、瞼を開けているはずなのに、瞼を閉じている状態と景色が変わらないほどに真っ暗だ。
俺は確か、神楽と戦っていたはずだ。だけど、俺は言霊によってやられてしまって、体力が限界だったというのも相まって気を失ってしまった。
目を開けたらそこは知らない天井だったり、知っている天井だったりで病室で目を覚ますというのは幾度となく経験しているが、目を覚ましたらそこは異空間だったというのは初めての経験だ。
これほど真っ暗な場所は幻想郷にはないはずだ。ルーミアの闇ですらここまで真っ暗になることはない。そう考えるとここが幻想郷でないことは確かだ。
もしかしたら俺の体力が限界だったというのも相まって【致命傷を受けない程度の能力】が発動しなくてついに死んだか?
いつかは戦って死ぬかもしれないと思っていたけど、今このタイミングで死ぬのは非常に嫌だな。しっかりと異変を解決できればいいけど、神楽が異常に強すぎるからどう頑張っても勝てる未来が見えない。
俺は今までずっと戦い続けてこいしたちみんなを守れるようにと強くなってきたつもりだった。だけど、ゲンや鬼流、神楽と戦ってようやく自分の力の限界を知った。おそらく今この場所が俺の限界点であり、これ以上強くなることはできないのだろう。
幻想郷では実力もそうだが、能力によっても勝敗が決まってくると言っても過言ではない。俺の能力はタフなだけで、戦いには全く使えるものじゃない。
所詮、俺はこの程度の力だったってことだ。
シャドウは俺を買いかぶりすぎなんだ。
俺は一人じゃ何もできない非力なんだ。
「俺の力じゃ、なにも守れないっ!」
「随分と弱気なことを言っているじゃないか、海藤真」
「っ!?」
突如として闇の向こう側から一人の男の声が聞こえて来た。
今までこの空間には俺一人しかいないと思っていたので、驚きのあまり弾かれるように声の下方向へと顔を向けて確認した。だが、やはり真っ暗すぎて何も見えない。
「だ、誰だ!」
見えないというのに、声だけは聞こえる。姿はどんなものか、どんな表情をしているのか全く見えないので、俺は警戒しつつ暗闇の向こうへと問いかけた。
その瞬間、周囲にあったのであろう灯篭に徐々に灯がともり、周囲が徐々に照らされ始めた。
真っ黒で反射するほどに磨かれた床だが、そのところどころにカラフルな模様の石が混ぜられていた。
至る所に白い柱が存在していて、若干青みがかった壁。まるで屋敷のエントランスのような見た目の空間だった。いや、まるでではない。これは本物の屋敷をトレースされた空間、地霊殿を模した空間だった。
しっかりと扉や部屋の数なども再現されており、ここ数日地霊殿に変えれていなかっただけなのに、非常に懐かしく感じてくる。
「こ、これは」
さすがにこれには驚きが隠せない。
一瞬、本当に地霊殿なのかと思ってしまうほどの完成度だったが、ここが地霊殿なわけが無い。そもそも地霊殿にこんなに灯篭なんてないし、周囲にとんでもなくデカい霊力と妖力が合わさった力を感じる。
「気に入ってくれたか?」
「っ」
そういって俺の目の前に瞬間的に出現したのは黒いパーカーを着て前のファスナーを全開にし、フードを目深にかぶって顔がよく見えない男だった。
その瞬間に俺は把握した。この周囲に漂っている霊力妖力はこの男から発せられているものだ。
つまり、こいつは半人半妖であり、それだけではなく、かなり高レベルまでその二つを使いこなせるようだ。おそらく今の俺よりも。
「お前は誰だ」
「俺か? 俺はかい––
やっぱり半人半妖ってわけか。
それにしてもさとり妖怪の血を持っているというのは厄介だ。下手に思考をこらしたら極に読まれてしまうかもしれない。
「お前の事はよく知っているよ。たぶん、お前よりもずっとお前の事を俺は知っている」
「なんだ? お前は俺のストーカーってことか?」
「言い様によっちゃそうなるか。ずっと一緒に居るっていうのはかわらないしな」
「気持ち悪いな。男にストーカーされても何もうれしくないよ」
「女にストーカーされてもうれしくないくせに今さら言うことか?」
「違いない」
どうやら俺の事を知っているというのは本当の事らしい。というか、俺だったらこう返すというのをトレースされているようでなんだか気味が悪くなってきた。
俺が立場逆だった場合は確実に今極が言ったセリフをそのままいう自信がある。
おそらくさとり妖怪ならではの思考を読んでの相手のトレースと言うやつなのだろう。やっぱり非常に厄介な能力を持っている。
それにしてもこいつの目的が全く分からない。俺を孤立させてどうするつもりだ?
ジーラの仲間だったとしても俺だけをこの空間に閉じ込める意味が全く分からない。
「俺をこんなところに閉じ込めて、どうするつもりだ極!」
「目的? 目的かぁ……勝つため、だな。というわけで、行くぞ海藤真!」
「え、えぇっ!」
突如として極は霊力の刀を作り出して俺に斬りかかってきたため、俺も咄嗟に霊力の刀を作り出して極の刀を防いだ。
極の霊力の刀の色は全く同じで、それは俺と極の霊力の性質が酷似していることを表す。気味が悪い相手だ。
だけど、俺には刀だけではなく、他の技も豊富に存在している。
「霊縛波」
「霊縛波」
俺は片腕で刀をしっかりと握りつつ、もう片方の手で霊縛波を作り出してぶっ飛ばそうとしたら、なんと極の方も霊縛波を使用して俺の霊縛波にぶつけて来た。
その二つの技は互角––いや、俺の方が少し劣っていたため、二つのエネルギーがぶつかり合って爆発し、爆風によってよりダメージを受けてしまったのは俺の方だった。
俺は地面を転がり、何とか立ち上がるものの、極の方は何事もなかったかのように涼しい表情で俺の事を見ていた。
しかし、霊力刀ならわかるが、この技は妖忌さんが作ったものだ。この技を使える人に教わらなければ使えないもので、俺は妖忌さん、妖夢は俺の言葉からヒントを得て完成させたが、妖忌さんから俺ら以外に使える人がいるということを聞いたことが無い。
「なら、これでどうだ!」
この技には幾度となく助けられたことがある投擲技だ。
本来は刀を投げ飛ばす目的で作り出したのだが、最近は石をよく投げていた。だけど、この場所には意思なんてものは無いから普通に刀を投げ飛ばすっ!
「狙撃《スナイパー》」
「狙撃《スナイパー》」
俺が刀を投げ飛ばすと極はなんとノーモーションで俺の刀にぶつけるように刀を投げ飛ばしてきた。
この技は投げ飛ばした物質が耐えられないほどの衝撃が加わると爆発するようになっている。なので刀はそうそう爆発することはないのだが、なんと刀同士がぶつかり合ったその瞬間、大爆発を起こした。
とてつもない威力で刀同士が飛んできてぶつかり合ったせいで衝撃に耐えきることができなかったのだろう。そんなことを思っていると、なんと俺の方に刀が飛んできたため、俺は咄嗟にその刀を回避した。
今、刀は爆発したはず。なのになんで飛んでくるんだ。
まさか、もう一本投げたのか? いや、本当にそれだけなのか?
極を見てみると一本目を投げたときから全く姿勢が変わっていなかった。つまりは二本目を投げていないということになる。
おいおいおい、あいつもしかして俺の霊力刀よりも強靭な霊力刀を作れるのか?
「霊力を鍛えれば強靭な刃となる。それはお前自身も実感していることのはずだ」
「そう、だな」
ライトとの戦い、未来の俺との戦いでそれに関しては嫌と言うほど実感した。
霊力刀の強さは使用者の霊力次第。霊力次第でなまくらにも、それこそ伝説の名刀クラスにもなったりする。でも、俺の実力では伝説の名刀には全くと言っていいほど届くことはない。
今のこの場所が俺の限界点だからだ。
でもなぜだか、こいつは越えなければいけない俺の限界のような気がして、高く高い限界と言う壁でこいつを倒した先に何かがあるように感じる。
こいつとの戦いが俺の試練なのだと、そう感じる。
「お前の目的は把握済みだ。この異変を解決したくば、まずは俺を倒して見せることだ!」
はい!第211話終了
どうでしたか?
久しぶりに真が出てきましたが、いきなりの新キャラ海流極。
極は真と全く同じ技を使用することができます。そのうえでそのすべてにおいて真を上回るほどの力を持っています。
真と同じ技を使え、そのすべてにおいて上回っているということは今のままの真では絶対に勝てない相手と言うことですね。まさに限界を超えるための試練と言う感じですね。
それにしても極はジーラの仲間なのでしょうか? それともジーラとは関係が無いのでしょうか?
登場したばかりで謎が多いですね。自由にここら辺は考察していってください!
ただ、今回の章の一番の強敵は倒したので、山場は乗り越えたといっても過言ではないでしょう。
まぁ、まだ半分くらいですけどね。
ちなみにこの真対極はこの章で最も大事な戦いですのでお見逃し無いように。
それでは!
さようなら
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