それでは前回のあらすじ
紗綾たちが神楽と激闘を繰り広げている中、異次元では真と極が戦っていた。
真の猛攻、しかし極はそんな猛攻を同じ攻撃で、さらに上回って真を追い詰めていく。
だが、極は真に対してアドバイス紛いなことをしていく。
そこでついに真は自分の事をよく知っていて自分を上回っている敵を倒す方法を考え付く。
果たして真は極に勝つことはできるのか?
それではどうぞ!
side真
俺の分身に対し、極は少し驚いたような表情を見せた。だが、すぐに極は普通の表情に戻って口角を上げた。
ここまで俺の事をいろいろと知っているのだ。俺の考えなどお見通しで、その上こいつも分身を使うことができるのだろう。
だが、極を倒すにはこれ以外思いつかなかったのだ。
これなら単なる運でしかない。これならワンチャン勝てる可能性がある。
「行くぞ、極!」
俺の残像は俺と同時に動き出し、極へと斬りかかった。
これは単なる残像で分身ではないため、全員同じ動きしかできないものだが、この数を相手にすぐに本物を見つけることなど容易ではないはずだ。
おまけにこの残像は俺がつくりだしたものだから全く同じ霊力を持っている。探知することも不可能だ。
「考えたな。だけど、俺なら残像を使わずともお前ら全員をぶっ飛ばすことはできる」
「なに!?」
極は手のひらに霊力を集めると霊力の球を手のひらの上に作り出し、そのままそれを地面にたたきつけた。
その瞬間周囲にとてつもない衝撃波が放たれ、俺はその衝撃波にぶっ飛ばされて当然周囲に居た残像たちも一瞬にして消え去ってしまった。
「ぐぅっ」
とんでもない破壊力に体が悲鳴を上げたが、そんな体に鞭を打って地面に足を付ける。
確かに今のは全く残像を使用してなどいないし、あんな技は俺も使ったことが無い。
今のは霊縛波に似ているのだが、あいつはなんと地面にたたきつけたのだ。
通常、霊縛波は相手にたたきつけるものだ。地面なんかにたたきつけたところで軽くクレーターが出来上がるのみで何の意味も無いはずだった。
なんなんだ、今のは一体。
「霊縛破と言ったところか。音は同じだけど、波動ではなく破壊の力を宿した霊縛波だ」
「っ! 破壊!?」
「そうそう、別に俺はお前の技が使えるというだけでお前の使えない技は使えないわけじゃないよ。俺はお前の分身体でもドッペルゲンガーでもないんだからさ」
残像まで封じられてしまった。もうなにもできないのか?
「第一、ワンチャンなんて考えている時点でお前は負けている。そんなんではこの異変は絶対に解決できない。お前もジーラを倒すことなどできない」
「っ、なんで」
「なんでって……言っただろ? 俺はお前の事をお前以上に知っているってな」
確かに言っていた。だからこそ俺はこの技もすぐに見切られてしまうと考えているんだ。
だが、俺の今のなんでと言う言葉は俺の考えていることを知っているということに対して放った言葉と言うわけではない。
極が言い放った俺がジーラを倒せないという発言、この一言に、何の根拠もないこの一言に対して俺は言ったのだ。
「違う。なんで俺が負けるなんて言いきれるんだ? これから俺がお前をぶっ飛ばしてジーラを倒して幻想郷を救うかもしれないだろ」
「甘い、甘すぎる。その甘さが、今のこの状況を作り出しているんだ。今お前がしているのはもしかしたらと言うifの話などではない。もっとくだらない、妄想の話だ。お前は具体的にどうしたらこの状況を乗り切れるのか、どうしたら幻想郷を救えるのか、全く持ってビジョンと言うものが無い。救えたらいいな、救いたいなと思うのは簡単だ。だが、それを実行に移すのがどれだけ大変かを、お前は未だに理解しちゃいない」
「理解しているさ、痛いほどに! これまでどれだけ苦難を乗り越えて来たか、どれだけの強敵を倒してきたか、お前は何もわかってなど」
「わかってないのはお前の方だ海藤真! 貴様の詰めの甘さが原因で今のこの状況が出来上がってしまっていると言ったばかりだろうが! 過ぎ去ってしまった過去は今の俺たちではどうしようもないし、歴史に過干渉すれば粛清される。だからこそ、今のこの行動によって今後どんな風になってしまうのか、しっかりと考えるべきだったんだ。今回のこの異変だって、あの時お前がしっかりとジーラに止めを刺していれば起こりうるはずがなかったんだぞ!」
「っ!」
そうだ、俺はあの時、ジーラを銃で撃つのを辞めてしまった。ジーラがあまりにも腰抜けすぎて呆れて何もする気が起きなかった。
だが、それは建前だった。無抵抗である相手に対して刃を突き立てるなんてことを、俺はしたくはなかったんだ。たとえそれがどれだけ極悪人で、倒さなければいけない相手なんだとしてもそれは同じだった。
その詰めの甘さ、己の甘さが原因で今、幻想郷は大ピンチとなってしまっている。
全て俺のせいなんだ。俺が後の事を全く考えていなかったから。
確かにこいつの言うことはすべて正しい。すべて正しくて、俺の痛いところを的確に指摘してくる嫌な奴だ。
でも、だからこそ、俺はここから幻想郷を救って見せるということを証明するためにも、今俺は極に勝ちたい。
「甘さを捨てろ海藤真そして敵を残虐に、無残に、同情など捨てて倒すんだ。感情を捨てろ!」
「そんなことできねぇよ。俺は根っからの妖怪じゃないんだ。根っからの幻想郷の住人じゃないんだ。現代日本に住んでいてあまり喧嘩もせずに生きてきていきなりこんな世界に放り込まれて、さぁ戦えだ? ふざけるのも大概にしろよ! 俺はな、本当は戦いたくなんてないし、辺境の地で戦いなんてない場所でこいしとスローライフを送るっていうのが俺の夢なんだよ。龍生の様に戦いの才能は無いし、南雲姉妹の様にチート能力を持っているわけじゃない。あるのは幸運とちょっとばかしの耐久力のみ、これでどうやって戦えっていうんだよ!」
「でも戦わなければいけない。じゃないと大切なものを失うことになるぞ」
「んなのわかってんだよ、でもこれが俺の限界なんだよ! 俺には伸びしろが全くと言っていいほどに無いんだよ! それでも精いっぱい頑張ってるんじゃねぇか! 霊力斬、霊縛波、スナイパー、クレアに限界突破。俺は今まで頑張ってきたんだよ! でも今回分かったんだよ絶対に勝てない敵がいるって。俺にはあいつの前に立つ資格すらないって!」
「じゃあ、何か? だからお前は戦うことを諦めますってか? ふざけるのも大概にしろよ。これ以上ふざけたことを抜かすならこれから俺はお前を一瞬にして地に沈める。そしてお前の仲間たちを一人ずつ殺して––」
どすっ。
極が言いかけたその瞬間、極は俺の放った拳を腹に受けて殴り飛ばされて行った。
だが、さすが極と言ったところだろうか、すぐに空中で態勢を立て直して地面に着地してふみとどまった。
怒りが、自分の中で怒りがふつふつと湧いてくる。
俺の仲間たちを皆殺しにするだと? そんなことは絶対に許さない。
今ここで必ずこいつを抹殺する、そのことしか今の俺の脳内にはなかった。
そしてどんどんと俺の中で落ち着きが出てくる。どうやら怒りが限界を超えすぎて逆に冷静になってきているようだ。
今のこいつを倒すためにはどうしてもクレア王と限界突破を合わせたような力が必要だ。だが、これは彼方に絶対にやるなと禁止されてしまっている。
でも、今はもうなりふり構っている場合じゃない。
やるんだ、海藤真。たとえこの身が壊れようとも。
そして俺はクレア王と限界突破を使用した瞬間、意識を失ってしまった。
はい!第213話終了
次回でこの異次元編は終了です。
重要な戦いのわりには短いと思う方もいらっしゃると思いますが、この最終章の戦いがどれも長すぎて麻痺しているだけでちょっと前までは一つの戦いはこの位の長さだったんですよね。
そしてもう時期彼方がクレアと限界突破を同時に使用するなと言っていた意味が分かってきますよ。
それでは!
さようなら
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