無意識の恋 Second stage   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 ついに神楽に勝利した一行は目を覚ました真と共に最後の戦いへと臨む。

 最後の部屋にたどり着いた一行の目の前に現れたのはやはり真に恨みを抱くジーラだった。

 以前戦った時は相手にならないほどの小物だったが、あれから非常に強くなっていることに驚愕しながらも真はジーラを倒し、幻想郷を救う決意を高める。

 ついに主犯との対決。

 果たして勝つのは真たちか、それともジーラか。



 それではどうぞ!


第216話 そういうことだろ?

side真

 

 もしも、もし、俺があの時、ダーラのところに直接転移されてしまっていたら。

 もしもあの時、こいしが俺の事を見つけ、あとをついてこなかったら、そう考えると時々眠れないことがあった。

 

 となりで眠るこいしにおやすみと告げ、俺も同じように仰向けになって目を閉じるが、その瞬間に見たこともない景色が視界に広がるのだ。

 

 人里も、妖怪の山もめちゃくちゃに破壊され、空が真っ黒なエネルギーで覆われて住人がみんな苦しんでいく。

 真っ黒なエネルギーは幻想郷に住んでいる人たちにとってはとても有害なもので、それによって苦しみながら息絶えていく人々の姿をダーラとポリオンは上空から笑いながら眺めている。

 そしてそんな二人の横に俺も居て、これをやったのはほとんどが俺で、現実では自分の命よりも大切なはずの幻想郷を崩壊させ、こいしを苦しめてしまっていた。

 だが、この俺は何も思っちゃいなかった。なにせ、これをしでかした俺に幻想郷への思いなどゼロだったからだ。

 俺がこいしと接触したおかげで俺はこの幻想郷の事を好きになったし、守りたいと本気で思うようになっていた。

 

 だけど、俺がこいしと接触することが無かった場合、俺はこっちの運命を辿っていたかもしれない、そう考えると俺は恐ろしくて夜も眠れなかったんだ。

 

 その可能性がある俺に本当にこの世界を、幻想郷を救う資格なんてあるのだろうか、そんな考えがこの戦いの最中にも何度も何度も頭をめぐっていた。

 でも、今の俺はこの幻想郷を救いたい、その思いが俺を何度も助けてくれ、原動力になってくれている。

 しかし、みんながことごとく俺に敵対していく、そしてこの幻想郷が崩壊の一途をたどっている。まるで俺が見た夢の話みたいだと、今更ながら考えてしまっていた。

 

『幽々子を殺せ』

 

 極のその言葉を聞いてから俺はこの考えが頭から離れなくなってしまっていた。

 俺には幻想郷を崩壊させた世界戦も存在している。幽々子を殺してしまったら俺もそいつらと同じことになってしまうんじゃないだろうか。

 違う違う。俺は違うんだ。

 

 今、目の前に居る敵に集中しよう。今の俺の敵は誰だ? 俺じゃないだろう。

 ジーラだ。ジーラを倒せばこの異変は解決される。この異変は収束し、幻想郷ももとに戻ってくれるはずだ。

 なら、俺はただ、今まで通りにこの異変を解決して平凡ないつもの生活を取り戻す、それだけだ。

 

「さぁ、緑! ここがお前の死に場所となるのだ。そして魂となって永遠にこの空間をさ迷い続けるがいい!」

「……なぁ、みんな」

 

 俺は今までの事を思い出しながら静かに言葉を放った。

 正直この異変が始まってから俺はずっと迷いっぱなしだった。いや、今もずっと迷い続けている。

 本当に俺はこの場に居ていいのだろうか。ジーラが幻想郷をめちゃくちゃにしている原因は俺にある。

 俺こそみんなに叱責され、退治されるべき存在なんじゃないかとずっと思い続けている。

 

 今回の異変の元凶は俺だと言っても過言ではない。

 ここまで着いて来てくれたみんなには感謝しているし、悪いことをしたとも思っている。だから––

 

「この戦いは俺一人に任せてくれないか?」

「っ、シン。それって」

「あぁ、自分の尻拭いは自分でする」

 

 もとはと言えば俺がこいつに止めを刺しておけばよかっただけの話なんだ。だけど、それをしなかったのは俺の責任だ。

 だから、自分の尻拭いは自分でする。

 すると彼方は血相を変えて自分一人で戦おうとする俺を必死に止めようと前に立ちふさがってきた。

 

「ば、馬鹿なことを言わないでよ! みんなで一緒にここまで来たんでしょ? なんでそうなるのさ! 私たちも一緒に戦うよ!」

「やる気を出してくれているところ、本当にすまないと思っている。だけど、俺が前に完全に止めを刺しておけばこんなことにはならなかった。あいつだけはどうしても俺が、俺自身の手で決着を付けなければいけないんだ。それが落とし前ってやつだ」

「シンはなにも悪くないよ! 悪いのは全部あいつだよ! もし本当にシンのせいでこうなったんだとしたら私たちにも背負わせてよ! 私たちは仲間でしょ?」

「……ごめん」

 

 俺は静かにそう呟いた。

 今俺が彼方に言った言葉は確かにそういう意図もあるが、これはほとんど建前のようなものだ。

 これ以上みんなを傷つけたくないし、何より今の俺の頭の中は怒りでどうにかなりそうなのだ。だから俺は自分自身の手であいつを倒したい、そう考えてしまっていた。

 今までの異変では幻想郷を救いたい、そんな思いがほとんどを占めていたが、今の俺の思いは幻想郷を救いたいという思いよりも怒りによってあいつをぶっ倒したいという感情、自分の一個人の感情であいつと戦おうとしていた。

 そんな自分にびっくりしてしまったが、一度頭によぎってしまった以上、もう収まりは効かなかった。

 

 俺は彼方を押しのけると、ゆっくりとジーラへと向かって歩き始め、ジーラも俺と同じように同時にゆっくりと部屋の中央へと歩き始めた。

 

「シンっ」

「真!!!!」

「っ!」

 

 その時、彼方が追いかけてくるかと思ったが、いや実際に追いかけようとして声をかけて来たのだろうが、そんな彼方の声をかき消してしまうほどの声量で声をかけられたものだから俺はびっくりしてその場に立ち止まってしまった。

 この声は俺の親友、刻雨龍生の声だ。

 こんな大きい龍生の声を聞いたのは初めてで驚きのあまり動けなくなってしまった。

 

「まぁ、いろいろと言いたいことはある。ふざけんなとか、調子乗んなとか、今すぐ殴って頭冷やせと言いたいところだが、正直言うと俺も真の立場だったら我慢できるかどうかわかんねぇんだよな」

「龍生?」

「でも、お前の事だから俺たちをこれ以上危険な戦いに巻き込みたくないっていう気持ちもあるんだろ? なんだそれと、ふざけろと……なぁにが自分の手で倒さなければいけないだ。お前がお前自身の手で倒したいだけだろバーカ」

「ちょ、ちょっと龍生、言い過ぎじゃ」

「はぁ……なんだかんだ俺たちはお前に信用してもらえていなかったわけか」

「そ、そういうことじゃ」

「そういうことだろ?」

 

 龍生は俺に対して言いたいことをぶつけてきた。そしてそのどれもがぐぅの音も出ないような正論だったため、俺は何も言い返すことなどできないでいた。

 さすがに言い過ぎだと感じたのか鈴音は龍生を止めようとするものの、龍生はそんな鈴音の言葉を遮るようにため息をついて言葉をさらに並べた。

 

「守りたい、そりゃ自分より弱い物、自己保身ができない人に対して使う言葉だぜ? そんな言葉を俺たちに使うってことはお前にとっては俺たちは自己保身ができないくせにこの異変解決についてきた間抜けっていう認識なわけだ」

「ち、違う! みんな頼れるし最高の仲間だと思っている!」

「まぁ、でももうどっちでもいいんだ。多分俺も同じ立場になったら同じことを考えてしまうだろうからさ、だからもうこれ以上は何も言わないし、この場はお前に任せるとする」

「ちょ、ちょっと龍生!」

「だからさ、()()()()()()。勝ってこの幻想郷が元に戻った暁には、今回の異変でお世話になったみんなにジュース一本、驕れよ」

 

 言い方はきついし、日ごろの俺に対する文句を並べているだけの様に思えるが、これが龍生流の鼓舞なんだ。

 異変解決後の約束を取り付けるということは龍生は俺が勝つということを一切疑わずにすべてを俺に任せてくれるという意思表示に違いない。

 だから俺は振り返ることはなく龍生の期待に応えるために一歩、また一歩と歩き始めた。

 

「ちなみに何が飲みたいんだ?」

「そうだなぁ、ドクターソイルだな」

「お前、それ嫌いじゃなかったか? まぁ、いいか。あと、俺は()()()じゃなくて()()だからな」

 

 俺は少しにやける顔を正し、ジーラと共に部屋の中央へとたどり着くとジーラをじっと見据える。

 

「随分と舐めたことを言ってくれるじゃないか。今の俺に勝てるわけがないだろう」

「やってみなければわからないぞ?」

 

 そして俺は神成りを、ジーラは拳銃を構え、そして同時に攻撃を開始した。




 はい!第216話終了

 ついに次回から真対ジーラが始まります。

 というか、この最終章に入ってから独白多めですよね。

 真対ジーラ、以前のままだったら真が圧勝ですが、今のジーラの実力が未知数ですからね。

 そして一番最後の真と龍生のやり取りは長年の信頼が感じ取れるように頑張ってみたんですが、どうですかね。親友ならではの会話です。

 久々にまこっちゃんネタやりましたね。やっぱり二人のやり取りと言えばこのまこっちゃんネタですから、この最終章に龍生を存分に絡ませると考えたときからやりたいと思っていたことの一つです。

 それでは!

 さようなら

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  • 海藤真
  • 刻雨龍生
  • 南雲音恩
  • 南雲鈴音
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