それでは前回のあらすじ
彼方は真を救うために世界を何度も繰り返す。
だが、そのたびに真は誰かを守るために強さを求め、クレア王を会得し、クレア王と限界突破を同時に発動してしまう。
そして今回も……。
だから彼方は今回も刻を破壊しようとした。
しかし、それを止める誰かの声が聞こえてきた。
それではどうぞ!
side彼方
「もう、いいんじゃないか?」
「――っ!?」
その声が聞こえた瞬間、私は肩をびくっと震わせながら驚愕のあまり声にならない声を上げてしまった。そして驚いた拍子に思わず破壊の能力の発動を止めてしまい、空間に一瞬ヒビが入ったものの、すぐに修正され、何もない元通りの空間になった。
早く時を戻さないと、私はまたシンが大切な仲間たち、大切な人たちを傷つけてしまう前に、私はそんな光景をもう二度と見たくないがために、本来なら真がクレア王と限界突破の併用をしたときにすぐに刻を破壊しなければいけなかったというのに、私はその手を止めてしまった。
なぜなら、本来ならこの声はもう二度と聞くことはできないはずの声だった。
肩に優しく置かれる手。
「なん……で」
「誓ったからな。君のことを永久に見守り続けるってさ」
「しゃ……どう」
少し首を動かして背後を見てみるとそこにいたのは確かに先ほど死んでしまったはずのシャドウだった。
私の肩に手を置いているシャドウは今までに見たことないくらいに優しい表情を浮かべて私のことを、私の目をまっすぐじっと見つめてきている。
「もう、いいんじゃないか? お前は今までよくやってきた。よく頑張ったな」
「どう……して」
「今言ったじゃないか。君のことを永久に見守り続けるって」
「っ、でも、でも……っ」
でも、確かにさっきシャドウは私たち全員の目の前で大きな口の中に神楽と共に飲み込まれて……死んでしまったはず。
シャドウは昔、私の修行をつけてくれていた時、口癖のように言っていた。シャドウは強くあろうとしているけど、それでも絶対に敵わない相手っていうのが存在していて、そんな相手の前だと自分はあっけなく殺されてしまうだろうと……。
でも、シャドウは今生きている。
シャドウの言う絶対に敵わない相手っていうのがあの口の持ち主なのだとしたらシャドウはなんで今、生きて……。
「お前が幸せになるまで、俺は死ねねぇよ」
「そう……なんだ……」
ちょっとドキッとしてしまった。私だって女の子だから白馬の王子様に憧れたりする。
今のシャドウの台詞はその憧れている白馬の王子様っぽいなって思ってしまった。
だけど、一つ気になることがある。口ぶり的にシャドウは知っているような気がする、私が今まで刻を破壊し、同じ時を何度も繰り返してきたことを……。
「ねぇ、シャドウは」
「――彼方、お前は今までよく頑張ってきた。ずっと誰かのために戦ってきた。誰かのために動いてきた。お前は昔から優しかった。前世でも、何度別人に生まれ変わったとしてもお前は誰よりも、ずっと優しいままだった。お前は自分以外が傷つくのを極端に嫌う。だからこそ自分だけが傷ついて誰かを助けようとする。でも、それじゃお前の心が壊れてしまう。俺にはそんなのは耐えられねぇ。だから、もういいんじゃないか? もう、休んでもいいんじゃないか?」
「でも、それじゃシンが」
「大丈夫だ。お前は今回の真を見ていてどう思った?」
「別にどうも……」
「あいつは頑張り屋だよ。お前と同じようにずっと誰かのために戦い、誰かのために動く、そんな優しい奴だ」
「……うん」
それは知っている。
どれくらいの時間、私は真と過ごしてきたことやら。
多分人間の一生なんて軽々と超えるほどの時間を真と一緒に過ごしてきた。だから真がいつも誰かのために動いているっていうのも知っているし、すごいお人よしということも分かっている。
だから甘い私は毎回真に強くなるための協力をしてしまう。今回だってそうだった。
「でも、あれだけは、シンでも無理だよ。あれは神、シャドウほどの力がないと制御できない。私だってうまく制御できないんだから」
「そうか……なぁ、知ってるか?」
「なに?」
「……あいつの能力」
「【致命傷を受けない程度の能力】……?」
「あともう一つ…………【都合のいい状況を作り出す程度の能力】」
「……あ」
「今回で終わりにするんだ。安心しろ、あいつは今までお前が接してきたどの真よりも強いぞ」
そういわれて私は真の方へと向き直った。
別に今までの風景と何も変わらない。
真の霊力がどんどんと膨れ上がって、そして完全に強くなったとたん、真が私の知っている真ではなくなって、狂暴な顔つきになって……そして、みんなを殺しつくすまで暴れ続けるのだ。
そう、今までのことを考えるとそうなる。
でも、シャドウはじっと真のことを見据えている。いや、違う。シャドウはもっと未来のことを見据えているんだ。
シャドウの目にはこれから起こる出来事が映っているんだろう。
本当なら今すぐにでもシャドウの言葉を無視して時を戻したいところだけど……でも、なんとなくだけど、私もそう感じている。
今の真は今まで出会ったどの真よりも成長しているって。
――だからお願い、真。その小物男をさっさとぶっ飛ばしちゃえ!
「…………へ、そんなに力んだところで何になるんだ! お前の攻撃は俺には当たらな――」
ドガン。
ジーラが口を開いた瞬間、周囲に地響きにも似た音が響き渡った。
そして私たちの目はある一点に釘付けになった。
「はは、まじ……かよ」
さすがにこの光景を目の前で目撃した龍生は引きつった笑みを浮かべて一歩二歩と後ずさった。
「あ、あぁあぁ……」
「おいおい、攻撃は当たらないんじゃなかったのか? それとも何か? 反応できなかったか? 違うだろ? それがお前の能力の限界、連続で
「ぐあああああああああああああああああああああああ」
私たちの目に映っていたそれは――真に踏みつぶされ、ちぎれてしまったジーラの左腕だった。
はい!第222話終了
ついに真の攻撃がジーラに当たりました。
いや、正確に言えば今までも何回も当たってはいたんですけどね。
そして彼方の危惧していたこと、真の理性がなくなるというのがありましたが、どうなのでしょうか?
でも、これ以上繰り返すことになっていたら本当に彼方の心が壊れていた可能性もあるのでこれで終わりになってほしいですね。
シャドウがなぜ生きているのか、というのですが、昔邪神だったというのが関係しています。
それでは!
さようなら
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