それでは前回のあらすじ
ジーラとの最終決戦。
クレア王と限界突破の同時使用に成功した真はついにジーラを追いつめる。
そこでジーラは命乞いをし、挙句の果てにはみんなを殺したのは真だと言い放った。
その言葉に一時は罪の意識に苛まれた真だが、龍生の言葉によって真は目を覚まし、ついにジーラの首を跳ね飛ばすことに成功した。
それではどうぞ!
side真
ついに、ついに俺の刀はジーラの首を一刀両断し、跳ね飛ばすことに成功した。
一刀両断されたジーラの頭と首は完全にお別れし、宙に舞う。そして何よりも今までとは違い、時間が戻らない。
今までも俺は何回もジーラの首を切ってきたが、その全てで時を戻してきて復活してしまっていた。そのせいでジーラを倒すことはできなかったのだ。
だが、今回は時が戻らないということは能力を発動できなくて、本当に俺はジーラを倒すことに成功したということなのだろう。
そのことを理解して俺はそのまま背後に倒れ込んで仰向けで寝ころび、深呼吸をする。
正直もう体力の限界だった。そしてそれは俺だけじゃない。この数日間、ここに居るメンバーはずっと戦い続けてきたのだ。疲労も正直限界をとうに超えている人も何人もいるだろう。
この場にいる人だけじゃない。戦線離脱しなければいけなくなったみんなも俺たちと一緒に戦い続けてくれたんだ。特に正邪には何回も助けられた。
帰ったらお礼をしないとな……。
そしてこいしのおかげで俺はなんとか正気を保つことができた。
こいしは重症だが、まだ大丈夫だ。心臓も動いているし、妖力は徐々に弱くなっていっているが、永琳先生に見てもらえればまだ助かる。
早く幻想郷に帰らないと……。
だが、俺は力尽きてしまったのか、体をピクリとも動かすことができずにただ呼吸をして心臓に酸素を送り込むだけの行動しかできなくなっている。
今まで意識がある状態でここまで動けなくなったことがないのでおかしいと思うが、一つだけ原因に心当たりがあった。
そうだ、共に体への負荷が大きい
「お疲れ、真」
「あぁ、ありがとうな」
「いや、お互い様だ。それに、前に俺もお前に助けられたしな、このくらいのことは全然するさ。だが、一つ気になることがあるんだが……」
「な、んだ?」
「いやさ、幻想郷のみんなはどうにもお前を敵対視していたみたいだが、どうして俺たちは敵対視しなかったんだろうな。あの霊夢でさえ一時は敵対視していたわけだろ?」
「そう、だな。でも、徐々に俺とのかかわりが濃くなっていった人から順に敵対視していっていたから、俺が関係しているのは間違いないだろう」
本当は一つだけ可能性は思いついている。
ジーラが時を戻すことができるとしたら、それは周囲の時間を戻すことしかできないのだろうか?
普通に時を超えて過去にいったり未来にいったりすることってできないのだろうか? もしそれができるのだとしたら、考えられることは一つしかない。
音恩も言っていた。この異変はただの洗脳ではない。歴史の改竄ゆえに、この敵対視している根本にある記憶は幻想郷自体が住人に植え付けているものなのだと。
でも、そうだとしたら一つ不可解なことが、どうしてここに居る皆にはその記憶の改竄が効いていないのかということだ。
まぁ、でも今となってはそんなことはどうでもいいか。元凶を倒すことができたんだから、幻想郷も救えたのだから。もう何も考える必要はない。
あとは時に身をゆだねるだけで、それだけでいい。
もう疲れたから休みたいんだ。
その時の事だった。
突如として空間が揺れ始めた。まるで大地震が発生しているかのような強い揺れに立っているみんなは思わず尻餅をついてしまっていた。
だが、俺以外のみんなはまだ立ち上がる力はあるため、すぐに立ち上がって地震に対応する。
「な、なによこれ」
「空間が揺れている」
「も、もしかしてこれってっ!」
「まずいわ。空間が崩壊する! 空間を維持していたジーラが死んだことによって空間が保てなくなったんだわ! このままだと空間の崩壊に巻き込まれて虚無の空間を永遠とさまようことになるわよ!」
それはまずい。一刻も早くこの空間から抜け出さなければ。
そう考えて立ち上がろうとするものの力が入らずに立ち上がれない。霊力はもう空っぽだ。力の源である霊力が枯渇していたらそりゃ動くことはできないだろう。
「紫!」
「く、分かっているわ!」
龍生が叫んだ瞬間に俺の目の前の20メートルほど先にスキマが出現した。
いつもの紫だったら俺たちの真下に出せそうなものだが、紫はその場所にスキマを出現させた。
「空間が不安定すぎてそれ以上遠くにスキマを出せない!」
「ちょ、まじかよ」
なんとか這ってでもスキマの中に飛び込もうと思って体を引きずって這って行こうとするものの、体に力が入らなくて全然前に進むことができない。
このままじゃ間違いなく俺はこの空間の崩壊に巻き込まれてしまう。
やっとこの異変を解決することができたのに、ここで死ぬのはごめんだ。何とかして飛び込まなければ。
そう考えていると龍生はうつむき、覚悟を決めたように顔を上げると腕に抱えたこいしをスキマの中へと投げ込み、その後、俺を背負った。
体重が軽い女の子であるこいしならば龍生の体力ならスキマに近い位置にいた龍生は簡単にスキマの中に投げ込むことができただろうが、俺とスキマの間には20メートルほどの距離がある。
普段だったら近いのだが、この体力が減っている状態で男一人を背負って20メートルを移動するのはかなりきついはずだ。
だが、龍生はゆっくりながらも俺が移動する速度よりも早くスキマへと運んでくれる。
「紫!」
「わ、分かったわ」
龍生が名前を呼んだことで意図が伝わったのか、紫は俺と龍生以外の面々の真下にスキマを出現させてみんなをスキマの中へと非難させると、自分もスキマの中から顔だけを出してこっちの様子を見守る。
だが、徐々にこの空間が崩れ始め、真っ黒な空間が俺たちに襲い掛かってくる。
背後を見てみるとそこはすでに真っ黒な何もない虚無の空間と化しており、それが追いかけてきている。俺たちはあれに飲み込まれたらいっかんの終わりだ。
龍生が俺を運ぶ速度よりも空間の崩壊の方が速い。
俺を運ぶことによって龍生も飲み込まれてしまいそうになっている。
俺のせいで龍生が死ぬことになるくらいだったら。
「龍生、俺はおいていけ。このままじゃ龍生まで」
「うるせぇ。黙ってろ」
「でも」
「でもじゃねぇ。お前は生きるんだ。生きなければいけないんだ。これから先の幻想郷の未来のためにも、そしてお前の帰りを待つ人のためにも」
龍生は俺の言葉を一蹴して俺を運び続けるが、もうすでに空間の崩壊はすぐ真後ろまで迫ってきてしまっている。
このままだと本当に俺たち二人とも空間の崩壊に巻き込まれてしまう。そうしたら本当は龍生だけでも生き残れたはずなのに、二人とも死んでしまう。
「お前だけは、お前だけはここに居ていい奴じゃねぇんだ!」
もう俺たちの真後ろまで崩壊が迫ってきていて今にも俺たちまでも飲み込まれてしまいそうだ。
だが、龍生は諦めない。俺をどうしても放す気はないらしく、背負ったままスキマに向かって歩き続ける。
残りはおそらく5メートルほど。だが、この5メートルをアイルいている間にまず間違いなく崩壊に巻き込まれてしまう。
どう考えても終わりだ。
そう思ったその時だった。
「まこっちゃん」
「なんだよ」
「俺たちはいつまでも親友だよな」
「っ、当たり前じゃねぇか」
「……その答えが聞けて安心した」
「お前、何をする気だ!」
その瞬間の出来事だった。
背負っていた俺の腕を握ると、そのままその場でぐるっと一回転し、その遠心力を利用してハンマー投げの要領で俺をスキマの中に投げ込んできた。
「龍生!」
「頑張れよ」
「どうしてだよ、龍生。今まで一緒に頑張ってきたじゃねぇか! せっかくジーラ戦では誰も死んでいないんだ! お前が死んだらすべてがダメになるんだよ!」
どうやらすべての力を使い切ってしまったらしい龍生はその場で膝をついてしまう。
俺が叫ぶようにして龍生に言うと、龍生は今までにないほどに優しい笑みを浮かべて言った。
「お前はいつもみんなを守る、こいしちゃんを守るって言っていたよな。俺にとってその対象がお前だった。お前は俺の唯一の親友だ。現代に居た頃は特に俺たちは二人だけだった。多分、あの環境はお前が居なかったら耐えられなかっただろうな。俺はお前に生きていてほしいんだ。それに、俺は信じている。まぁ、ここまでたいそうな理由を付けたけどさ、本当のことを言うと今までのことを返したいだけだ。返済だ。だって俺には感情というものがあまりないからさ、自分でも何がしたいんかわからないんだ。でも、お前に死んでほしくないっていうのは本当だ」
「龍生……」
「でも、俺は死なないさ。お前が俺を親友だって認識していてくれる限り絶対に死なない。俺は信じてる。だから、この幻想郷を救ってやってくれ。お前ならできると信じている」
「え、救うってどういう――」
「真! スキマの中に入って!」
その瞬間、龍生は崩壊に巻き込まれ始めた。
俺はそんな光景は見たくなくて顔を伏せてスキマの中に入る。
龍生の言葉の意味は分からないけど、龍生の言葉にはいつも意味があった。だから今回も何らかの意図があるに違いない。
そしてその意図を俺が知るのはすぐ後の事だった。
「え?」
はい!第226話終了
ジーラに勝ったというのに龍生が死んでしまいました。
主人公組が半数もやられてしまいましたね。
これだけやられているのに一期や二期の前半部分では全く活躍がなかった鈴音が生きているっていうのが不思議ですよね。
そして次回、最後の真の「え?」の意味が分かります。
それでは!
さようなら
好きな主人公枠キャラは?
-
海藤真
-
刻雨龍生
-
南雲音恩
-
南雲鈴音