無意識の恋 Second stage   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 ついにジーラを倒した真。だが、クレア神の反動によって動けなくなってしまう。

 そこでジーラが倒れたことによって空間が維持できなくなって空間が崩壊を始めてしまう。

 だが、真は動けず、空間が不安定なことで紫も真の真下にはスキマを出せない。

 そこで龍生が自分の命を犠牲にして真を救出した。

 龍生はすべてを託して真を送り出す。

 そして幻想郷へと戻ってきた真が目にしたものとは?



 それではどうぞ!


第227話 都合のいい状況を作り出す程度の能力

side真

 

「え?」

 

 詰めが甘いというのは確かにこういうことを言うのだろう。

 俺は今まで幾度となく異変を解決する手伝いをして、時には自分で異変を解決したりしてきた。そしてそのたびに異変の元凶を倒すことができればその異変は終わりをつげ、平和な世界が帰ってきていた。

 世界が霧でおおわれる紅霧異変、永遠に春が来ない春冬異変、永遠に夜が来ない永夜異変など様々な異変を解決してきたが、しっかりと元の幻想郷に戻ってくれていた。

 

 そんな今までの経験から、異変というものは元凶を倒せば解決され、元の日常が帰ってきてくれると思っていた。

 だが、それは勝手な思い込みというやつだ。

 

 現実はそんなに甘くはない。それは今までの人生で嫌というほど思い知らされていたはずなのに、この幻想郷に来てからどうやら自分の中の認識が非常に甘くなってしまっていたようだ。

 俺の視界に移る景色がそんな非常な現実を突きつけてきていた。

 

「こ、これは」

 

 今まで黙って静観を決めていたライトがたまらず声を漏らした。

 

 むしろ今までうまくいきすぎていたんだろう。

 そしてジーラの言葉とも辻褄が合う。

 

 確かにあんたの言う通り、あんたを倒しただけでは何も解決しなかったみたいだ。

 

「世界が、崩壊を続けている!?」

 

 紫のその言葉から分かるように、この幻想郷はジーラを倒した今でも常に少しずつ崩壊をしていってしまっていた。

 世界崩壊をしている元凶が居なくなったというのに崩壊が止まらないということは、この崩壊はジーラが操っているものではないということになる。

 ジーラが操っているのだとしたらジーラの霊力がなくなった瞬間に直ることはないにしても崩壊は止まるはずなのだから。

 

「世界の崩壊が止まるはずないよ。だって過去が変えられてしまった結果なんだから」

 

 そう発言したのはシャロ。

 俺たちがこっちの世界に帰ってきたのを察して飛んできてくれたのだろう。

 そして今、シャロが言ったこと。前に音恩が言っていたことと同じだ。

 音恩がどうしてそのことを知ったのかはわからないが、これが本当なのだとしたら俺たちにはどうすることもできない。

 あとは黙ってシャロに頼るしかない。なにせ、この現状で過去に飛ぶことができる人物はシャロしかいないのだから、シャロに過去に行ってもらって何とかしてもらうしかない。

 

 だが、なんでシャロはそれをしないのだろう。それをわかっているのならば、止めに行けばいいというのに。

 

「ジーラの能力はなんだった?」

「え? 時を戻す能力だったけど」

「うーん、たぶんね、それは正確には時を自在に操るっていうことなんだろうね。それで過去に飛んで過去を変えた後にこの世界に戻ってきた。この世界はね、その替えられた正史に世界が修正されようとしている。だから今あるこの世界は崩壊をして行っている。でね、ここからが一番大事なんだけど、一度変えられてしまった過去を元に戻すのって前に変えた人よりもさらに上の力を持っていなければいけない。何と言うか、神として恥ずかしい限りなんだけどね、私は戦いに関してはダメダメなんだよ」

 

 そうか、つまりはもう一度世界を変えて元に戻すには前に変えた人物、つまりジーラを超える人物じゃないとだめということか。

 今この場にはジーラを超える人物はごろごろと存在しているが、シャロは戦いに関してはダメダメだからジーラを超えることができないということか。

 

 ということは、もう実質詰み状態ということだ。

 この幻想郷を元に戻す方法なんて何もない。この崩壊を止めることはできないし、過去に戻って歴史をただすということもできない。

 

「それにね、過去を元に戻したとしても一度変えられた後の出来事はあったこととして残り続ける。だからこの幻想郷の崩壊が止まったとしても戻ることはない」

「……最初から知っていたのか」

「うん、ごめん。でも、どっちみち今後変えられないためにあいつらを倒す必要があるし、もしかしたらこの異変は過去改変の結果じゃないんじゃないかって希望を抱いてみたけど、ダメだったよ。教えなかったのは単純にあの場でみんなのやる気を、士気を下げるような発言をする必要はないかなと思っていたんだよ。だって、このことを知ったら誰だってやる気がなくなるでしょ?」

「あぁ、確かにそうだな」

 

 元凶を倒しても意味がないかもしれない。それを聞かされて尚、士気を保ったままでいられる奴は一体この場に何人いるのだろうか。

 俺はそこまで意思が強い方ではないから、もしかしたらこのことを聞かされた瞬間にやる気がなくなっていた可能性がある。

 

「やっぱりだめだった。幻想郷はもう終わり、なんだよ」

「そ、そんな……なにか回避する方法は」

「ないよ」

 

 紫のすがるような問いにシャロは悲しそうな声で即答した。

 そうだ。シャロもこの幻想郷が大好きなんだ。なのに、この現状を受け入れなければいけなくなってしまっている。だから、シャロも辛いのだろう。

 このままだとみんな仲良くこの崩壊に巻き込まれてしまって消えてなくなる。

 そのあと、俺たちがどうなってしまうのかは知らないが、少なくとも今の俺たちというのが死んでしまうというのは確かだ。

 

 どうにかして今この場にいる人だけでもどうにかして逃がしたい。

 この崩壊から逃れたらどうなるのだろうか。その人はそのあとも生き続けることができるのだろうか。

 

「なぁ、この崩壊から逃げて外へ出た場合、どうなると思う?」

「……わからないけど、たぶん助かる。だってここに居る人たちはみんなこの世界の改変から逃れているんだから」

「じゃあ、みんなで逃げれば!」

「私は逃げない」

「え?」

 

 逃げないと一番にそう口にしたのは紫だった。

 

「私は何があってもこの幻想郷は離れない。この幻想郷が死ぬときは私が死ぬとき。だってこの幻想郷はわが子のようなものなんだから」

 

 そうか、紫は妖怪だ。それも妖怪の賢者と呼ばれるほどの人物だ。この幻想郷が成長していく様をずっと見てきていたのだろう。

 そんなに長く見てきていたら愛着も沸いてわが子の様に思うというのは自然なことなのだろう。

 だからこの幻想郷を離れたくない、それは分かる。だが、ほかの人たちは――

 

「私も残るよ。だって、私の生まれ育った場所はここなんだよ。私の居場所はここしかない。真たちとはもう会えないのはさみしいけど、それでも私はここに残りたいんだ」

「紗彩……」

「俺も残る。もともと俺は存在するべきじゃなかった人造人間だ。こんな奴が長生きしていてもろくなことはない。ここら辺が引き際って奴だろう」

「ライト……」

 

 紗彩とライトもこの幻想郷を出て行かないという。

 だが、俺にとってはみんな大切な仲間だ。誰一人としておいていくということを考えたくはないが、ここで無理強いすることもできない。

 みんなにとってこの幻想郷は大切な場所なのだろうから。

 そして俺にとってもこの幻想郷はとても大切な場所なんだ、だからその気持ちは痛いほどわかる。

 

「はぁ……あんたね、あんたはどうしたいのよ」

「俺?」

「そう、あんたはさっきからみんなに聞いてばかり。あんたはここに残りたいの? それとも外に出る? どっちでも私たちは止めないわよ。それにあんたはもともとこっちの人間じゃないのだから好きにすればいいわ」

 

 そうだ。俺はもともと外で生きてきた人間だ。

 幻想郷にいた時間よりも圧倒的に外で過ごしてきた時間の方が長い。でも、この幻想郷は俺にとって非常に大きなものになっていた。

 そう簡単に捨てられないものになっているんだ。

 

「私はシンについていくよ。私の生きている意味ってほとんどシンだしね。神としてシンを見守ります」

「何だよそれ……」

「それじゃ、私も真にゆだねるかなー。私もほとんど同じようなものだしね。私も真と同じく外来人、真が外に行くっていうなら外に行くし、残るっていうなら残るよ」

「彼方、鈴音……」

 

 二人は俺についてきてくれるといっている。つまり、俺の決断次第では二人を巻き込んでしまうということになる。

 

「そういえば、こいしは?」

「ここに居るよ」

「っ、こいし」

 

 こいしのことを探してみると、なんと突然、背後から目を覆われてしまった。

 背後にいるのは気配的にこいしだ。こんな風にこいしに背後を取られるのはすごく久しぶりだ。いや、たぶん今は無意識とか使っていないからなんだろうな。

 でも、なんとか少し動けるくらいになったんだな。

 

「こいし……よかった……」

「うん、事情は全部聞いたよ。ごめんね、気を失っていて」

「いや、大丈夫だ。助けてくれてありがとう。あと、無事でよかった」

「無事じゃ……ないんだけどね」

「そ、そう……なのか?」

 

 こいしの深刻そうな声に俺は思わず息をのんでしまった。

 今までにないくらいに真剣な表情をしている。

 

「うん、いま私は妖怪の力があるからこそこうして深手を負っても生きていられている。だけど、外に出て妖怪の力を失ったら私は生命活動を維持できない。どっちみち死んじゃうって事なんだよ」

「え」

 

 この現状に驚き、絶望し、苦難しているところにさらなる追い打ちが来たような気分だった。

 こいしが外の世界にいったら死んでしまう。それはつまり、この幻想郷に残るしかないが、この幻想郷に残ったらいずれあの崩壊に巻き込まれて死んでしまうということになる。

 どの道を進んだとしてもこいしは死んでしまう。この幻想郷に残る以外生きる道がないのだから。

 

 さすがに永琳先生と言えども幻想郷が崩壊する前にこいしの怪我を回復させることはできない。

 

「真とお別れしなければいけ居ないのはさみしいよ。でも、それ以上に真には死んでほしくないんだよ。これから先も……そして、さ。こんなことを言ったら重たいって思われるかもしれないけど、私のことを忘れないでほしいんだ。私が確かに真の隣にいたっていうことを真だけでも忘れないでほしいんだ」

「……くっ」

 

 こいしを諦める? そんなことできるわけがないだろう。

 

 何かないのか、何とかする方法は何もないのか?

 今までのこの幻想郷で何をして、何を学んできた?

 何があった? どんなことを経験してきた?

 

 考えろ。頭を巡らせるんだ。

 俺の能力は【都合のいい状況を作り出す程度の能力】だろ! こんな時くらい、自分でこの能力を使えなくてどうするんだ。

 

『そうか、じゃあこういうのはどうだ?』

 

 あった、一つだけ。

 一つだけ、わずかな、雀の涙ほどの可能性。だが、それでもあり得る可能性。

 0パーセントじゃない限り、かけてみる価値はある。

 

『そして最後に一つ』

 

 ほかに何も思いつかないからな。あいつのことを信じてみる。

 最初の目標は決まった。

 

 最初の目標は――()()()()()()




 はい!第227話終了

 ジーラを倒した真たちでしたが、まだ異変は終わりません。

 こいしを諦めきれない真はこの幻想郷を救う策として最初に幽々子を殺すことを決めました。

 どういう意図があるのでしょうか?

 ちなみに、当初はここで選択肢を用意するつもりでしたが、ここで選択肢を選ぶよりもそのままの流れで進んでいって、このルートが終わった後にもう一つのルートを進めていった方が自然だと思ったので、こういう流れにしました。

 次回から数話は三人称視点に戻ります。

 それでは!

 さようなら

あなたが真の立場だった場合、どうしますか?

  • 外の世界へ逃げる。
  • 諦めて幻想郷に留まる。
  • 抗う
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