それでは前回のあらすじ
真とライトの戦い。
真はみんなを殺すために、ライトはみんなを守るために戦う。
そんな二人の実力は拮抗しており、二人の霊力がぶつかり合って周囲へと影響を与えていく。
地形までも変化させてしまいそうな二人の戦いの行方は如何に?
それではどうぞ!
side三人称
「こっちからとんでもない霊力のぶつかり合いを感じる」
「でもどうしてこのタイミングで? 元凶は倒したからもう敵はいないはずじゃ……」
「…………少し、嫌な予感がするのよね」
紗彩、鈴音、霊夢の三人はひた走っていた。
二人が向かっている先はスノーランドのキルタワー前。そこからとてつもなく大きな霊力のぶつかり合いを感じた三人は急いで向かっていたのだ。
だが、紗彩と鈴音はどうしてこのタイミングで霊力のぶつかり合いが発生しているのか、それも戦闘しているとしか思えないほどの霊力のぶつかり合いが怒っているのか不思議に思い、霊夢は何となく事情は感づいていた。
もちろんスノーランドのキルタワー前となると、そこにいるのは真とライトで、今絶賛二人とも戦っている最中だ。
この霊力のぶつかり合いを感じて三人は走っていたのだ。
紗彩と鈴音は遠すぎて誰の霊力なのかがまだ判別ついていないが、霊夢ははっきりと真とライトが戦っているのだと感じ取っているため、嫌な予感を覚えていた。
そしてその嫌な予感は的中することとなる。
「あ、あそこ!」
「竜巻!?」
「いや、あれは霊力同士がぶつかり合って渦が発生しているみたいね。あれでは近づけない」
三人は近くまでやってきたものの、とんでもない大気の対流が発生しており、近づくだけで吹き飛ばされそうになるため、三人はあまり近づくことができずに遠巻きからその様子を眺めている。
それは暫く続き、ようやく霊力の渦が収まってきて舞い上がった雪が周囲に散り散りになって舞い降る。
先ほどまで雪は降っていなかったのに、突如として大雪となって周囲がよく見えなくなる。だが、その中でも三人は竜巻が消滅して見えるようになった内部の様子は見えていた。
「え、」
「うそ」
「……やっぱりね」
三人は三種三様の反応を見せ、けれども全員等しくその内部の様子を見て絶望感を抱いていた。
その中に見えている景色とは――ライトが倒れていて真が血を浴びて立っている様子だった。だが、その真の様子は今までの真とは全く違う、少しぼーっとした危ない様子だった。
何をしでかすかわからない。そう思ったら思わず紗彩と鈴音は一歩後ずさってしまった。
「来たか……だが、遅かったみたいだな。こいしとライトはこの通りだ」
徐々に雪が晴れていき、周囲の状況が鮮明に見えていく。
その中で三人はとある一点を見て息をのんだ。
そこにはこいしが倒れていた。外傷は特に見当たらないものの、そばに倒れているということで三人は真がこれをやったのだと判断し、今までの真とは別人だと考えて相手をすることにした。
「何だろうね、何回真と戦えばいいんだろうね。まぁ、そのうち二人はあなたじゃなかったんだけど……今回は本当に君と戦う必要がありそうだね」
「あの時は私のことを殺さないでくれた。それどころか仲間として引き入れてくれた。だけど、今のあなたは別。私の大切な仲間に手を出すというのなら、あなたを敵とみなします」
「はぁ……好きにしたらいいんじゃない? 私はもう干渉しないから」
「え、ちょ、霊夢!?」
鈴音と紗彩がそう言うと霊夢は興味なさそうにあくび交じりにそう口にしながらここを去ろうとしたため、鈴音は驚いて霊夢のことを引き留めた。
今まで霊夢は確かに面倒くさそうにしてきたが、異変解決をしなかったときはない。だが、今回の霊夢は本気で面倒くさがってこの場を去ろうとしているのだ。
「あなたともあろう者がこの幻想郷を破壊しようとしている輩を放っておくと?」
「だって……ねぇ?」
霊夢は紗彩の言葉を受けて少し振り返ると数秒間真と目を合わせるとそのまま視線を前に向けて空を飛んでどこかへ去ってしまった。
霊夢は自分の役目、この幻想郷を守る役目を放棄したと言わざるを得ない状況に鈴音と紗彩は目を白黒させてしまう。
「さて、二人とも。やるのか、やらないのか、どっちなんだ?」
「そりゃ……」
「やるでしょ」
鈴音は拳を、紗彩は刀を構えて真に向き直る。
二人とも真の強さを間近でずっと見続けてきたため、真がどれほどの実力を持っているかを知っている。
真が本気を出して来たら二人かかりでも勝てるかどうか怪しいほどだということも……。
だから二人は死ぬ気で真に立ち向かっている。自分が死んだとしても真にこれ以上殺人をさせない様に止めることを目的として。
真が真であるということを守るために。
「
「クレア王っ」
二人は同時に戦闘態勢に入る。
今出せる二人の全力だ。
基本的にこの二人が揃えば負けることはまずない。圧倒的に強い相手以外ならば敗北の心配は必要ない。
だが、相手は真だった。二人は真の強さを知っていたため、真と戦うことに少し怖気づいてしまっていたのだ。
そこを突かれた。
真は一気にクレア神までも開放して周囲に霊力を爆発するように放出した。
クレア神が含まれている霊力はクレア王よりも強く、上から霊力で押しつぶすことが可能なほどだ。
そのため、二人は足をがくがくと震わせて動けなくなってしまっていた。
通常、上から霊力で押されたとしてもここまで動けなくなることはない。だが、相手に恐怖を感じていたり、覚悟が足りていなかったら恐怖が倍増して動けなくなることがある。
「どうした? 来ないのか?」
「足が……」
「動けない……」
「来ないのか……じゃあ、こっちから――」
「させないよ!」
「がっ」
突如として真の背後に出現したスキマ。
そこから勢いよく飛び出してきた蹴りを真は後頭部にもろに食らってしまったため、そのまま蹴り飛ばされて地面に倒れ込み、放出していた霊力を止めてしまう。
誰が真に蹴りを入れたのか、見てみるとそこには紬が居た。
「相棒が道を違えたんなら、それを正すのが相棒の役目だもんね」
はい!第232話終了
もうちょっとこんな感じの話が続きます。
間違えても真との闘いが神楽のような長さになることはないと思いますのでご安心ください。
ちなみにジーラがクレア神の霊力を浴びても動けなくならなかったのは自分の能力に自信を持っていてまったくおびえていなかったからですね。
今回二人が動けなくなった理由は二人が真におびえていたからっていうのがあります。
それでは!
さようなら