それでは前回のあらすじ
激しい霊力のぶつかり合いを感じた鈴音、紗綾、霊夢の三人はスノーランドのキルタワー前にやってきた。
そこでは竜巻が発生しており、中から出てきたのは倒れているライトと様子がおかしい真だった。
霊夢はそれを見てやる気をなくし、どこかへと飛び去ってしまう。
残された二人は真と戦おうとするものの、真の霊力の圧に負けて動けなくなってしまう。
そこへ援軍がやってきた。
それではどうぞ!
side三人称
「紬か……」
「そうだよー、あなたのパートナーの紬ですよ~」
紬は真を蹴り飛ばした後、一回転して着地し、舞い上がって服に付着した雪を手で軽く払う。
蹴り飛ばされ、地面に倒れ込んだ真の目の前までやってくると仁王立ちをして軽く笑みを浮かべ、真のことを見下ろす紬。
この時、真は気が付いた。
紬は相棒であって、ずっと一緒に戦ってきた仲間であるからして、真の力を知り尽くしているといっても過言ではない。
自分は戦闘向きの力ではなく、サポート。アタッカーが別にいることによってやっと活躍できる存在のため、自分一人だけが立てたってアタッカーである真に勝つことはできないということなんか当の昔から分かり切っていた。
だけど、それでもこの紬という少女は真に臆してはいなかった。真の圧に負けていないのがその証拠だ。
神としての意地なのか、それともほかに理由があるのかはわからないが、それでも、紬が真の前に立ちはだかってきているのは確かだ。
なら、真の答えはただ一つだった。
「俺の邪魔をするなら、今ここで破壊する。なぁに、心配するな。今破壊するか、後で破壊するかの違いだ。少し計画が早くなるだけだ」
「そうかぁ……でもね、それをするっていうことは、私たち全員を敵に回すっていうことなんだよ? 後戻りはできないよ」
「もとより後戻りする気はない。……もう、戻れない場所まで来ているんだ」
「そう……真、君のことは信じていたんだけどな……」
紬は今までのことを思い出しているのか、遠い目をして空を仰ぐ。
空は紬の心情とは真逆にこれ以上ないほどに雲一つない青空が広がっていた。
「何をする気かは知らないけど、お前の能力が俺に効かないということは前に幻想郷に来た時に証明済みだぞ」
「大丈夫……ここに来たのは私だけじゃないから、ね」
その次の瞬間だった。
真の真横にスキマが出現し、その中から一本の腕が伸びてきて真の腕を掴もうとしてきた。
それを瞬時に察した真は慌ててその場から飛びのいてその腕を回避するが、慌てていたせいで不完全な体制で飛びのいてしまい、体勢を崩して膝をついてしまった。
それを見て真は察する。
「そうか、紫も来ているのか。それに、この状況なら、彼方も来ていそうだな。さすがに分が悪いか」
真が霊力の放出を留めたことによって動けるようになった鈴音と紗綾、それに今集まってきた紬と紫と彼方。五対一の構図となってしまっている。
鈴音と紗綾、紬だけならば真は勝つことができるだろうが、紫と彼方はかなり厄介な存在だった。
特に彼方の破壊の力は上書きの力でも消しきることができないほどの威力を誇っている。
真にとっては絶望的な状況。だというのに、それだというのに……真は口角を少し上げて「ふっ」と笑った。
「まぁ、いいか……」
「? 真、何を考えてるの?」
「いや、集まってくれて好都合だなってな。これなら探す手間が省けるってもんだからさ!」
その声を聴いた瞬間、紬は真へと走り出し、その手には小さいナイフが握られていた。
真は霊力刀を作り出そうと、霊力を練り始める。だが、それを許さないとばかりに紗綾は刀を構えて真に斬りかかった。
それを見て、ぎょっととした真は回避することができなかったため、クレア装を腕にまとわせて紬のナイフと紗綾の刀の両方とも腕で受け止めた。
だが、紬のナイフはそれで受け止めることができるが、紗綾の刀はそう簡単に止められるほど安い技ではない。
クレア装にはクレア装、クレア装同士ならばクレア装を貫くことができるようになる。
「っ!」
もちろんそれを知っている紗綾は間髪入れずに刀にクレア装をまとわせ、真の腕を斬りにかかる。
それに真もいち早く気が付き、皮膚を少し切られてしまったものの、冷静になって地面を蹴って飛びのいた。
皮膚は切れたものの、真は半人半妖であることから一瞬にして傷は回復した。
「もっとだ……もっと……もっと……こんなんじゃだめだ」
真は小声でつぶやき、手に刀を作り出す。
「真、目を覚まして!」
「そうだよ、真。あなたはこんなことをする人じゃない!」
(目を覚ませ、じゃねぇんだよ。目を覚ましたらダメなんだよ)
真はみんなの言葉に憤りを覚えずにはいられなかった。
今のこの状況、このどうしようもないこの異変に真は相当きている。そしてやっと浮かんだ自分の考え、シナリオがスムーズに進まず、イライラが募っていた。
みんなは真の目を覚まさせようと必死に真を止めるために戦っている。その攻撃に殺意はない。
真とみんなは関わりすぎたのだ。だからこそ、誰一人として真のことを殺そうとしない。殺さずに目を覚まさせてこの暴挙をやめさせようとしている。
だが、真の目的はそんな生ぬるい攻撃では達成することはできない。
真は焦っていた。
このまま幻想郷が崩壊してしまったら自分たちはどうなってしまうんだろう。自分たちという存在がなくなり、そして新たなそんなに置き換えられてしまうのか。
そんなことになる前に、早く自分の目的を達成しなければいけない。そう思って焦燥感に駆られていた。
そして誰にも聞こえることのない、誰にも届かないような声で真は虚空に叫んだ。
「誰か……俺を、
はい!第233話終了
もう少しで真との戦いも終わりにしようと思っています。
今回の話で見えてきたと思いますが、とりあえず今の真の目標は誰かに殺してもらうことでした。
しかし、みんなは真を殺すことなく退治して考え直そうというものでした。
なので、もともと生存能力が高い真ではそんな攻撃で死ぬことはなく、永遠に真の目的が達成されることがないという状況です。
もどかしくてイライラしています。
果たして真は殺してもらうことができるのか?
それでは!
さようなら