それでは前回のあらすじ
真は殺してもらうためにみんなと戦う。だが、誰一人として真を殺そうとはしない。
もっとみんなに危機感を持ってもらうために真はさらなる攻撃をしようとしたところで彼方が止めに入る。
なんとか真の説得を試みるものの、真の決意は固く、攻撃をされそうになってしまう。
しかし、突如として横から真が殴られたことによって攻撃は当たらなかった。
その攻撃した人物とは、古明地こいしだった。
それではどうぞ!
sideこいし
体がうまく動かない。
気絶させられたからだろうか。脳がまだ目を覚ましていないようで、体をピクリとも動かすことができない。
だけど、意識は戻ってきた。妖怪だからか、気絶させられた後の復帰も早いようだ。
今は真とライトが戦っている。多分ライトは真が私のことを気絶させるのを見て怒って勝負を仕掛けたのだろう。
本当なら今すぐにでも立ち上がって二人の戦いを留めたいけど、指一本動かすことができないから見ていることしかできなくてもどかしい。
二人の戦いは互角。
真はクレアの力を極限まで高めているけど、素の実力や才能はほぼ同じ。だから同じ攻撃をすれば二人とも決着がつくことはなく、互角の戦いを繰り広げることになる。
それにしても霊力波がすごい。突風の様に感じられる霊力の圧。
二人とも技で戦うようなタイプだから無駄に霊力を使うような戦いはしないはずなのだが、今回はなにやら力と力をぶつけ合うような、荒々しい霊力の使い方をしているような気がする。
多分二人とも無意識なんだろうけど、焦っている。だからこそ相手に自分の全力を叩きつけるような戦い方をしているんだ。
だからこんな風に霊力が吹き荒れ、暴走している。
それによって周囲にある雪が舞い上がり、猛吹雪の様に周囲に吹き荒れた。
さらに二人はクレアの力を使用してお互いに拳を繰り出すと、二人の拳がぶつかり合った瞬間、霊力がぶつかり合い、相乗効果によって高濃度の霊力が放出され、それが空気を圧迫し周囲の温度をどんどんと上げていく。
温度が上がったことによって地面の雪を溶かし、水たまりが出来上がってその水が蒸発して高濃度の霧となる。
地震の様に大地が揺れ、大気が揺れる。
このままじゃまずい。このままじゃ二人の暴走した霊力がこの幻想郷を崩壊へと導いてしまう。
止めなければ、何とかして止めなければ。
なんとか力を振り絞り、這って二人のもとへと向かうと、私たち三人は霊力の流れによって出来上がった竜巻によって囲われてしまった。
まるで突風のような霊力に私は吹き飛ばされてそうになるけど、手に力を込めて吹き飛ばされない様にこらえる。
「なぁ、ライト…………」
「あぁ、分かっている。お前、最初のあの一撃……本気じゃないだろ」
「気が付いていたのか」
「当たり前だ。俺はお前の
この突風のせいでよく聞き取れない。
そもそもなんで真は私を気絶させたんだろうか。どうしてライトと敵対しているのだろうか。
よくわからないけど、一つわかることはどっちにも殺気というものがないということだ。
霊力の荒ぶり方は尋常じゃないけど、二人の雰囲気はまるでただただ模擬線をしているかのような雰囲気。でも、これは摸擬戦ではない。
あの真の鬼気迫る表情は本気だ。
「そうか……じゃあ、俺の考えも分かってんのか?」
「馬鹿言え。俺はお前と思考は同じだが、同じことを知っているわけじゃねぇ。お前が何を思って死のうとしているのかわからねぇが、本当にそれが最善手なのか?」
「そこまでわかってれば充分だ」
「そうかよ」
その次の瞬間、ライトは片手をポケットの中に突っ込むと赤い豆のようなものを口の中に放り込んで、それをかみ砕いた。
すると、その豆からは勢いよく真っ赤な液体が飛び出し、ライトの口からまるで血が出たかのような見た目となった。
そしてかみ砕いた時、勢いよく液体が飛び出したことによってその真っ赤な液体が真にもかかってしまい、まるで返り血を浴びたかのような見た目となった。
そのままライトは力を抜くように地面に倒れ込み、それを察した真は即座に攻撃をやめて倒れていくライトを見下ろす。
この状況は何も知らない人が見たらまるで真がライトを殺したかのように見える光景だった。
もちろん私も状況を見ていなかったら勘違いしていたことだろう。
そうこうしているうちに紗綾、鈴音、霊夢がやってきた。霊夢は察しがいいから状況をすぐに察したのか興味をなくして帰って行ってしまったけど、鈴音と紗綾は戦う気満々といった感じ。
だけど、二人は真の力を知っているからか恐怖を感じ、そこを付け込まれるような感じで霊力に押しつぶされて動けなくなってしまった。
だけど、そこで紬がスキマから突如として出現して真と敵対した。そして紗綾は紬が戦っているのを見て恐怖を乗り越えて真に攻撃をする。
二人の攻撃じゃ真を倒すことはできないものの、追いつめることはできている様子だった。
その時、真がボソッと言った言葉が聞こえてしまった。
「誰か……俺を、殺してくれ」
一瞬何を言っているのかわからなかった。
今のやり取りで真が何をしようとしているのかは理解した。多分パラレル真と同じようにみんなが死んでしまう前に自分の手で殺してしまおうというものなのだろう。
だけど、今の言葉はまるで真は自分を殺してもらうために戦ってるみたいだ。
何よ、それ……どういうこと……。
いつも命を賭けて戦っている真だけど、今回のは今までで一番意味が分からない。
いつもいつもいつも命を大事にしてと言っているのに、一度も私との約束を守ってくれたことはない。
ムカついてきた。私の大好きな人は
だから、だから少しわからせることにする。
そんなに死にたいなら、そんなに死にたいなら……。
――殺してあげる。
はい!第235話終了
今回はずっとこいし視点の独白でした。
ここ最近はずっと三人称視点といった感じだったため、一人称視点は久々でしたね。
あのライトと真の最後のやり取りの後をどうやって過去話として書くかと迷っていたところ、近くでこいしが気絶していたことを思い出してこいし視点で描いた感じです。
次回は今の時間へと戻りまして三人称視点になります。
それでは!
さようなら