それでは前回のあらすじ
死んでいしまった真はシャドウに呼ばれてシャドウの空間にやってくる。
そこで神になると誓った真は今までのいきさつと、自分の計画のさらにその先にある最終地点について話す。
その最終地点とは――幻想郷の完全復活。
それではどうぞ!
side真
「非常に面白れぇ話だ。だが、その宛てはあるのか? どうやって幻想郷を復活させる? あれはもう死んだ大地だ。それを復活させるとしたら生き返らせるのと同義だ」
シャドウは笑いを表情に浮かばせながら俺に方法を問いかけてきた。
そう、そうだ。幻想郷はおそらく過去の世界に何かがあって過去を変えられてしまった結果、こんな事態になってしまっている。
なら、どうするか、だが。一つだけ俺に考えがあった。
「あぁ、幽々子の能力なら人間一人なら閻魔などの協力は必要になるが、生き返らせようと思えばできる。だが、幻想郷規模となると話は別だ。さすがにあの大きさのものを生き返らせるのは幽々子や映姫でも不可能」
「ならどうする」
「一つだけわがままを聞いてもらってもいいか?」
「わがまま、か。お前がわがままを言うなんて珍しいな。いつも自分のできる力で解決しようとし、何かを願うとしてもそれはお願いの範疇だ」
「それだけどうしても叶えたいってことだ」
あの時、あの瞬間。
シャドウがこの異変が始まる前に言ったあの一言を思い出してから、俺はずっと考えていた。これならもしかしたらこの異変をなんとかできるんじゃないかって。
本当にそんなことが可能なのかはわからない。だけど、だけどもし可能ならば、少しでも、1パーセントでも可能性があるのならば――
「なんだ、言ってみろ」
「俺を時空神にしてくれ。シャロと同じような、時空神になりたい」
「時空神に? その心は……?」
「シャロから聞いたんだ。一度目、歴史を変えることに制約はないんだが、同じ個所を二度目の歴史改変をする場合は時を操る能力を持っていない限りは不可能だって。歴史の修正力で一度目歴史を変えられた時の歴史にどう頑張っても戻ってしまうのだとか……。だから、俺が歴史を変えるには俺が時空神になって【時空を超える程度の神の能力】を得る必要があるんだ」
俺は歴史を元に戻す案を思いついた後、シャロに相談をしてみたんだ。
シャロは確かに戦闘能力は低いから過去に飛んでジーラを倒すのは難しいかもしれないけど、俺たちを送りこんで俺たちが倒すのじゃダメなのかと。
だが、それでは歴史改変を元に戻すことはできないのだと、その時に教えられた。
そこで俺はシャドウに時空神にしてもらうという案を考えたのだ。シャロと同じ時空神になれば全く同じじゃなくても似たような能力は得ることが出来るはずだ。
だから俺は時空神を希望する。
「確かに時間をさかのぼる能力を自分で持っていなければ二度目以降の歴史改変はできない。そしてもう一つ、これにまつわる話がある」
そこでシャドウはさっきまで笑っていたというのに、突然真剣な表情となって、むしろにらむような鋭い視線を俺に向けてきた。
何を話し出すのかと、内心びくびくと震えてしまって生唾をのみ込み、喉を鳴らす。
「お前の周りには歴史改変の影響を全く受けていないものが居たよな」
「あ、あぁ……」
「歴史改変の影響を受けないのは時渡りによって過去に歴史を変えたことがある人物、もしくはその歴史にあまり深くかかわっていない者。そのどちらかだ。紫と幽々子は例外で力が強すぎるがゆえにその精神力で耐えていたみたいだけどな」
「な、なるほど……」
なんか嫌な予感がしてきた。俺の額に冷や汗がにじみだしてくる。
そしてそんな俺に詰め寄るように顔をグイっと俺に眼前に寄せてくると、シャドウは今までにないほどに低い、冷え切った声で俺の内心を見透かすように言ってきた。
「お前、もしかして前に歴史を改変したことがあるのか?」
その一言に俺は妙に焦り、心臓がドクンと今までにないほどに跳ねた。
もちろんドキドキの方ではない。いや、ある意味ドキドキはしているが、これは恐怖によるドキドキだ。
シャドウのその目は俺を責め立てるように鋭く、そして冷たい目。それが俺の目をまっすぐ見据えてきているものだから、俺は恐怖して今すぐにでもこの場から立ち去りたい気分だったが、魂のみである俺に逃げ場などない、逃げたとしてもおそらくすぐにここに戻されるため、逃げ場のない恐怖というものを俺は味わっていた。
そう、俺は前に一度、歴史を図らずとも改変してしまったことがある。
いや、変えてしまったという自覚はあんまりないのだが、それでも歴史に干渉をしてしまったことは確かだった。
あれはシャロのせいと言ってはシャロのせいなのだが、過去に飛んでしまっていることに気が付いた時におとなしくしていればよかったというのに好奇心と放っておけないという気持ちから行動に出てしまった。
今は非常に反省している。
結局結末は変えることが出来なかったしな……。
でも――
「……ある。一度だけ……あの時は運命を変えることはできなかったけど、今回は違う。今回は絶対に成功させなければいけない。今回は絶対に成功させて見せる」
シャドウの威圧に臆することなくシャドウの目をまっすぐと見て言い放ってやった。
するとシャドウは目をぱちくりとさせた後、俺から離れて静かに話し始めた。
「そうか……まぁ、改変したことがあるということは責めるつもりはない。覚悟があり、しっかりとした決意があるというのも結構だ。だが、歴史改変をさらに改変するというのは生半可な覚悟じゃ成し得ないぞ。お前にその覚悟があるっていうのか?」
「あぁ、大切なものを救うためならばなんだってする」
「たとえ幻想郷のみんなの記憶から消えることとなったとしても? お前の記憶が全て無くなるとしてもか?」
「―っ! ……それでも、それでも……俺はただあの場所が存在して、こいしたちに幸せに暮らしてほしいんだ。そこに俺が居なくても別に問題はない」
俺の望みは幻想郷の存続とこいしたちの平和だ。そこに俺がいる必要はない。
確かにみんなに忘れられてしまって俺もみんなのことを忘れてしまうのだとしたら悲しいけど、それでも俺はやると決めたらやる。
それでみんなのことを助けることが出来るとしたら本望だ。
またこいしに怒られるな……。
いや、これが終わったころには俺が存在していた記憶なんてないんだから怒られもしないかもしれないな。
「二度目の歴史改変は力が時空神以外が行った場合は何らかの代償が発生する可能性が高い。そして時空神だとしても力が未熟だとしたら代償が発生してしまう。お前が時空神になってすぐに歴史の修正に行くとしたらまず間違いなく代償が発生するだろう」
「暫く修行してから行ったとしたら?」
「歴史修正はできるだけすぐに行わなければ歴史が定着して時を操る者が修正しても歴史の修正力というものが働くようになってしまう。つまりは時間を置いた場合、誰にも歴史の修正は不可能になるということだ。だから歴史を修正できるチャンスがあるのは今だけということだ」
歴史修正の代償というものの中にみんなの記憶から消えてしまったり、すべての記憶が消えてしまうという内容が含まれているのだろう。
そしてシャドウがそういうということは多分今までにそういう運命を辿ってきた相手を見ているんだ。
つまりはこれはシャドウなりの最後の警告ということになる。今ならまだ引き返すことが出来る。みんなは消えてしまったとしても俺だけは存在し、みんなのことを記憶し続けていくことが出来ると、そう言っているんだ。
もし本当に行くとしたら今しかチャンスはなく代償が降りかかってくることは覚悟しろと、そう言っている。
「……これは俺がジーラを倒さなかったから起こってしまった出来事だ。俺が何とかしなければいけない。行くよ俺」
「……そうか……それじゃあ、お前はやるというんだな」
「あぁ」
絶対にみんなを助けて見せる。その気持ちが俺を奮い立たせている。
たとえ俺が生き残ったとしてもみんなが生きていなければ俺にとっては意味がないんだから。
はい!第239話終了
真は実はシャロに相談をしていたんですよね。
なので、あの場にいた人物たちの中で唯一真の計画の全貌を知っているのがシャロになります。
ならシャロはどうしていたのか。
真はスキマを使えないというのにスキマを利用して移動していたというのが答えになりますね。
ちなみに紫は真に協力していません。
果たして真は幻想郷を救うことが出来るのでしょうか?
それでは!
さようなら