それでは前回のあらすじ
シャドウの問いは真を脅し、考えを改めさせるものだったと告げる。
シャドウはすべてを知っていたのだ。ここで真が神になるということも全て……。
そしてついに真はシャドウから神力水を受け取って神になった。
そんな真が受け取った神の力は過去へと飛ぶ力と身体強化だった。
それではどうぞ!
side真
『お前には時を渡る力と身体能力を向上させる力を付与した』
頭の中にそう声が聞こえてくると、そこから徐々に体の苦しみが消えていき、そして完全に苦しみが消滅した。
だが、未だに心臓がバクバクしている。一気に体に負荷をかけられてしまったからだろう。動悸が激しくなってしまっている。
はぁはぁと荒い呼吸をゆっくりと整え、膝をついてゆっくりとその場に立ち上がった。
声が聞こえていた時はなんだか霊力や神力の高ぶりを感じたのだが、今となっては何も感じない。
頭の中に声が聞こえてきていたので、たぶん力を貰うことはできたのだろうが、今となってはその力を貰えたのか怪しいほどである。
少し経過したら体のコンディションもいつも通りに戻っていた。いや、むしろいつもよりも調子がいいくらいかもしれない。
「よし、神力を受け取ることが出来たな。今のお前は『時を渡る程度の神の能力』を得ているはずだ」
「時を渡る……これがあれば俺は歴史を元に戻すことが出来るんだな。幻想郷を救えるんだな!」
「それはお前の努力次第だ」
シャドウは地面に転がった神力水の酒瓶を拾うと、その中身を見てため息をつきながら言った。
シャドウがいうには俺は『時を渡る程度の神の能力』という能力を得たらしい。過去を元に戻すには時を渡る能力が必要なため、俺はこれで能力を得たことで理屈上は過去を元に戻すことが可能になったはずだ。
やっと、ついにここまでこれたんだ。あと一歩、あと一歩で俺はすべてを取り戻すことが出来る。
「シャドウ、ありがとうな」
「なにがだ」
「いや、俺に協力してくれだろ。しかも初めて助けてくれた時だって俺と全く面識がないというのに助けてくれて……思い返せばシャドウには助けられてばっかりだなって……俺は神様に返せるほど何かを持っている人間じゃないのにさ」
特に今回の異変では何度も助けられている。
シャドウが居なかったら俺たちは全滅していた場面もいくつもあっただろう。さらにこうして俺はシャドウのおかげで神になり、時を渡ることが出来るようになった。
感謝しかない。
「ふん、お前に何かを求めているわけじゃねぇ。何かを求めるっていうのはよ、対等だから出来ることだ。お前と俺が対等だっていうのか?」
「ご、ごめん」
頭を小突きながら言ってくるシャドウに対して俺はすぐに謝った。
そうだ、俺とシャドウは対等じゃない。何かを違いに求めあうことが出来る対等な存在だと一瞬でも思ってしまったのがおこがましいんだ。
シャドウはシャロや紅蓮たちが信頼を置いている本当にすごい神様だ。
何度も会って会話しているうちに麻痺してしまっていたが、本当は俺の様にいち幻想郷住民がおいそれと関わることが出来る相手じゃないんだ。
それはそれとして、今俺がやるべきことはこの幻想郷を元に戻すことだ。シャドウに認められることじゃない。
早く手遅れになる前に過去へ行くんだ。
時間が経過すればするほど歴史が定着し、歴史修正が難しくなってしまう。
今の俺ならやれるはずだ。
過去の俺には合わず、無駄に歴史を改変することはなく、歴史を元に戻す。
そして俺は目の前に霊力を集中させ、空間を引き裂くイメージをする。
するとその瞬間、目の前の空間が裂け、スキマが現れた。
だが、それはただのすきまではなく、中に見えるのは大量の目ではなく大量の懐中時計だった。
これが時を越えるスキマだ。
このスキマを抜けたら最後の戦いが始まる。
戦いが終わったあと、俺はどうなるのか分からない。
記憶を無くし、知らない場所へ放り出されるのか、はたまた歴史を改変した代償として俺という存在はパラレルワールドとなってこの世界に存在し続けるのか。
でも、それでも。
「みんなが平和に過ごせるならそれでいい……シャドウ、行くよ」
俺は恐れることなく覚悟を決めてゆっくりと目の前に開いたスキマの中に足を踏み入れた。
スキマの中は通常のスキマとは違ってより空間がねじ曲がっている気がする。
それはそうだ。空間同士を繋げるのではなく、時間と時間を繋げているんだから。
一歩、また一歩とスキマの奥へと歩みを進める。
その最中、俺は今までの幻想郷の日々を思い出していた。
初めて俺が幻想郷にやってきて出会ったのがこいしだった。
そしてこいしに地霊殿へ案内されてそのまま地霊殿にお世話になることになって……。
本当に楽しかった。
あぁ……忘れたくないな……。
この幻想郷の日々は俺にとってどれも大切な日々なんだ。
行きたくない。でも、行かなくちゃ。
みんなを助けるために……。
俺が奥へ進む度にスキマの入り口が閉まっていく。
「真っ」
「っ!?」
その時、突如としてシャドウが背後から話しかけてきた。
シャドウのいる場所はさっきと変わっていない。
シャドウはここまで聞こえるような大声で俺の名前を呼んだのだ。
そして俺は次にシャドウが放った言葉をきいて目を見開いて驚愕した。
「幻想郷を………………頼んだぞ」
俺は思わず立ち止まってしまう。
さっき、シャドウは自分で人に何かを求めるってことは対等だと認識しているからだと言っていたのに、シャドウは今、俺に幻想郷を託してくれた。
幻想郷を守ってくれと、頼んだぞ、求めてくれた。
それはつまり、シャドウが俺の事を認めてくれたことに他ならない。
「シャドウ!」
俺は勢いよく振り返って返事をしようとした。
だが、スキマは既に完全に閉まっていた。これは俺の意思とは関係なく自動的に閉まるようになっているようだ。
だからもう、俺の声はシャドウに届くことはない。
でも、それでも俺はその方向へ向かって言い放った。
「あぁ、任せろ」
再度俺は勢いよく振り返ると
はい!第241話終了
とりあえずもうすぐ完結ですね。
前は無意識の恋3期もやろうと思ってました。
ただし、現状はインフレがやばいんで子供たちを主人公にして書こうと。
でも、2期で終わった方がキリがいいので2期で終わらせます。
多分過去編はそんなに長くは無いですが、実際の難易度は神楽討伐より少し楽位なんじゃないかなと思ってます。
神楽はチートなんで。
あいつは俺TUEEEE主人公みたいな性能してるんで
それでは!
さようなら