無意識の恋 Second stage   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 ダーラの攻撃が始まった。

 ダーラはやはり強く、クレア装を使ってもダメージを受けてしまう。

 だが、真はそんなダーラの攻撃を利用して転移装置の操作盤である座標入力装置を破壊するという荒業に出る。

 果たしてこの判断が吉と出るのか凶と出るのか?



 それではどうぞ!


第248話 代償

side真

 

 座標入力装置が剥がれ落ちたのを見て俺はニヤリと口角を上げた。

 やっぱりあれはジーラが後付けした物のようで、その下から本当の機械が出てきた。

 そこには操作盤なんかなく、本当に対象を決めてランダムに転移させるだけの装置だったらしい。

 これで俺がこの世界でやることはもう終わったはずだ。あとは俺はどうにかダーラを撒いて、そして現代に帰るだけ。

 それだけなんだが、ダーラが地味に実力があるだけに振り切るのが難しい。

 

 今すぐにでもスキマを開いて帰ることはできるが、それだともしかしたらダーラがスキマの中にまで追ってくる可能性があって面倒くさいことになる。

 あいつを殺すのは今じゃない。

 あいつを殺すのはこの時代の未来の俺だ。

 

 何が何でもこの時代では誰一人として殺さないようにしなくては……。

 そして歴史が変わってしまうようなことはしてはいけない。

 

「逃げてばかりじゃ何も解決できないぞ」

 

 ダーラはこの薄暗がりで自分の攻撃が機械に当たったことに気が付いていないようだ。

 さらに攻撃を追加してくるダーラだが、このままではダーラから逃げきることは厳しい。

 

 かと言って下手に本気を出して実力を悟られて本気を出されても困る。ダーラとの本気の戦いは避けたい。

 

「どんどん逃げ場が無くなっていくぞ? 上手いこと回避しているようだが、それもいつまで持つ?」

 

 その通りだ。

 逃げようと思ったらいくらでも逃げる手段はあるが、ダーラに実力を悟られないように逃げ続けるのには限りがある。

 そもそも、ダーラに俺が生きていると思われながらここから逃げるのもダメだ。

 それじゃあダーラが俺の大捜索を始めてしまって歴史改変が起こってしまう可能性がある。

 

 であれば、ここから切り抜ける条件はダーラの頭の中からは永久的に消えてここから去る。

 とするとダーラはもう俺の事を気にしない状況を作るしかない。

 

 そんな状況にする手っ取り早い方法があるにはある。タイミングがシビアだし、一歩間違えたら怪我をするって言うのはあるが、それは今でも同じことだ。

 この計画が思いついた時から俺は既に危ない橋を渡っている。

 怪我をするとか、今更問題では無い。

 この状況を切り抜けることが出来る可能性があるなら全て試す。

 

 俺に弾幕が一斉に襲いかかってくる。

 さっきまでは全力で逃げ回っていたが、バレない程度に力を落としていく。

 それによって俺と弾幕の距離はどんどんと近づいていく。

 

「諦めたのか? なら、大人しく死ね!」

 

 そうだ。

 今ここで俺は死ぬ。

 どうせ俺は全ての記憶を無くし、現代に戻ったとしても誰も俺のことは覚えていない。

 そもそもあれだけのことをやりながらみんなに殺されて死んだということになっている。考えてみたら戻れるわけが無いんだ。

 現代にはもう、俺の居場所は……。

 

 ――幽々子を殺せ。

 

 そう言えばあいつはどうして俺に幽々子を殺させた?

 どうして……何か見落としているような……。

 

 そんなことを考えている間に既にもう弾幕は俺の目の前にまで迫ってきていた。

 こうなったら考えている暇は無い!

 

 俺は壁際にまで追い詰められたフリをして弾幕が直撃する寸前に背後にダーラに見えないようにスキマを作り出して、そのスキマに転がり込んで弾幕がスキマに入ってくる前に瞬間的にスキマを閉じた。

 間一髪の出来事だった。

 

 恐らく外では弾幕が壁に直撃して爆発が起こっていることだろう。

 

 チラッと小さくスキマを開いてダーラの様子を見てみることにした。

 

「威力が強すぎたか。跡形もないとはな。だが、これで邪魔者は居なくなったな」

 

 どうやら俺が逃げたことに気が付かれてないらしい。

 その事が分かってホッと胸をなでおろした。

 

 戦いで人が1番安心するのは戦いの相手が死んだ時だ。

 つまり今、ダーラは俺が死んだと思い込んでいる。

 これでもうダーラは筋書き通りの人生を歩んで過去の俺と戦って散ることになるだろう。

 

 だが、これで安心だ。

 安心したことによって脱力してしまい、眠く、視界がボヤっとしてきてしまう。

 目の前が霞むようなそんな感覚、初めてじゃない。

 

 何度も死にかけた。あの時と同じような、そんな感覚だ。

 そうか、1度死んだことで俺の肉体は再構成されているが、精神が疲労を抱えすぎていたのか。

 

 色々ありすぎたもんな。

 休む暇なくずっと戦い続けて、やっとここまで来たと言うのに、こんな疲労に今更負けてたまるか。

 

 俺は何とか気力で体を起き上がらせると、その瞬間、胸の内から激しい嘔気(おうき)が襲いかかってきた。

 しばらくもう何も口にしていないと言うのに何かが、熱い何かが胃から登ってこようとする感覚。

 これは、無理をしたせいか? 精神が、魂がもう限界だと告げているのか?

 

 いや、違う。

 腕が激しく痙攣する。

 

 これは、拒絶反応だ。

 前に聞いた話だが、俺が妖怪の肉体に作り変わった時も激しい拒絶反応があったらしい。

 俺は気絶していたから知らなかったが、激しい痙攣が起き、胃液を吐き出していたらしい。

 

 その時と状況が似ている。

 

 これは多分、歴史修正したことによる代償だ。

 俺が時空神として未熟だからこそ、歴史修正に対して俺の魂が拒絶を示している。

 ダメだ、苦しい。視界がぐるぐると回る。

 

 確かにシャドウに代償があるとは聞いていたけど、ここまでキツイものだったなんて……。

 

「く、かはっ」

 

 意識が飛びそう。死にそう。

 でも、ダメだ。まだ死ねない。

 まだ俺にはやるべき事が残っているんだ。なんのために幽々子を殺したんだ。

 今ここで倒れたら幽々子を殺したことが無駄になってしまう。絶対に無駄にしては行けない。

 これが俺の仲間を刺した覚悟だ。

 

 体を引き摺って何とかスキマを通って現代へと帰ってきた。

 

 そこで俺の目に飛び込んできた光景は目を疑うような光景だった。

 

「うそ、だろ」

 

 俺の目に映る景色は、全く幻想郷が元通りになっておらず、死んだ人は死んだまま、そして消えてしまった土地はそのままになってしまっている幻想郷だった。

 確かに崩壊は止まっているようだが、その崩壊が直っていない。

 

 また、ダメなのか……。

 また、俺は運命を変えることが出来なかったのか……?

 

「おい、随分としょげてんな。歴史修正は上手くいかなかったのか? 違ぇだろ?」

「シャドウ……。見てくれよ、この幻想郷。元に戻らないんだ。ちゃんと俺は歴史を修正したはずだ。だが、ダメだった。やり方が違ったのか? 俺が時空神として未熟だからダメなのか? 教えてくれよ、なぁ……ぐっ」

 

 俺はシャドウに縋り付いて自分の思いを吐き出すが、同時に別のものも吐き出しそうになってしまう。

 拒絶反応がキツイ。今も気を抜いたら直ぐに意識が刈り取られそうになってしまう。

 すると、そんな俺に呆れたようにシャドウが言った。

 

「はぁ……歴史修正が出来てねぇんなら、お前のその拒絶反応はなんなんだ? 向こうで変なもんでも食ったか? 違うだろ? お前のやった事は何も間違っちゃいない。自信を持て」

「じゃあ、なん、で」

「言っただろ。この幻想郷は死んだんだ。歴史改変自体は時渡りの能力がなくとも過去へ行ければ改変が出来る。しかし、それを時渡りの能力者がやってしまうと、後で修正しても既に起こってしまった改変は実際にあった事となる。この幻想郷はもう元には戻らない」

「じゃあ、俺が今までやってきたことって……」

 

 ――無駄――

 この2文字が頭を過ぎる。

 今までの行為が全て無駄なんだとしたら、俺は今までなんのためにみんなを傷つけて、嫌われて、殺して来たんだ。

 これまでにない絶望感が襲いかかってくる。

 

「いや、お前のやってきた行為は全く無駄じゃない。それだけは保証しよう。お前のやってきた行為を誰かが無駄だと言うならば俺はそいつを消す」

「じゃあ、どうして……どうしてっ、俺の今までの好意が無駄じゃないんならどうして幻想郷は元に戻らないんだよ!」

 

 思わず俺はシャドウに掴みかかってしまう。

 自分でもこんな行動に出るとは思っていなかった。それほどまでに俺は動揺してしまっていたんだろう。

 ここまで苦労して心を鬼にしてまで頑張ったのにそれが報われないとなって俺の精神状況はおかしくなってきている。だからこそ、何も悪くないシャドウにこうして当たってしまっている。

 むしろシャドウは俺に協力してくれて、本当はお礼を言わなければいかないはずなのにだ。

 

「この状況は想定内だ。まだ、お前の戦いは終わっていない。ただ、もうお前は過去に行く必要はない。すでにお前は必要なカードを全て手に入れている。そしてそれらをつなぎ合わせるだけだ」

「つなぎ合わせる……」

「今までのことを思い出すんだ」

「思い出せって言われても……」

 

 いままでいろいろなことがありすぎて今までのことを応用しろと言われても何をすればいいのか全く分からない。

 何が使えるっていうんだよ。

 シャドウはいつもそうだ。大事なことは絶対に言わないで俺たちに考えさせる。

 でも、今回のことに関しては本当に俺一人ではどうしようもない。ダメなんだ。

 

 幻想郷が死んでしまったって……大勢の人が死んでしまったって……俺に幽々子のような生死を操れる能力があれば違うんだが、俺にあるのは【致命傷を受けない程度の能力】と【都合のいい状況を作る程度の能力】、【上書きする程度の能力】、【崩壊させる程度の能力】。俺には生死を操れるようなたいそうな能力なんてない。

 

「俺は、俺には人を生き返らせることはできない……」

「本当にそうか? 試してみたのか?」

「た、試すって……俺にそんな能力があるわけないだろ! そんな能力を持っていたらとっくにいろんな人を生き返らせている。母さんも、音恩も、龍生も!!! でも、俺にそんな能力がないから!」

「はぁ……三大能力」

「三大能力?」

 

 突然シャドウはその一言をつぶやいた。

 確か三大能力って【能力を奪う程度の能力】、【崩壊させる程度の能力】、【幻影を見せる程度の能力】だったはずだ。そして俺はこの中の一つ【崩壊させる程度の能力】を持っているはずだ。

 

「はぁ……あいつらはこんな大事なことも教えていなかったのか? 盲点だったな……」

「大事なこと?」

「あぁ、三大能力っていうのは古に失われた能力だと思われているが、それは実際は使い方がわからなくなっただけで現代にもそれが存在している。だからこそお前やデイが持っていたんだが、この三つの能力はちょっと特殊でな、ある条件を満たすと他人に能力が譲渡される」




 はい!第248話終了

 おそらく次回、最終回でその次がエピローグでTRUE END完結です。

 最終回とエピローグを同日に投稿できたらいいなと思いますが、最近はリアルが忙しいので今回はできるかわかりません。

 そしてTRUE ENDが終わったらNORMALルートが開幕します。

 このTRUEルートとは少し内容が違っています。

 本格的に内容が分岐するのは神楽戦のところですので、そこから書き始めることになります。

 それでは!

 さようなら
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