無意識の恋 Second stage   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 今回は結構長いです。

 これでも縮めたつもりですが、エピローグに書きたいことが山ほどありすぎてこうなってしまいました。

 今回は最終回ですが、ほかにもルートがあるので、次週からはそっちの方を書いていきたいと思います。



 それでは前回のあらすじ

 真は自分の記憶と存在を全て犠牲にして幻想郷を救って見せた。

 だが、それによって幻想郷には真が存在した歴史がなくなり、ぽっかりと穴が空いてしまう。

 その中で唯一こいしだけが違和感を感じていた。

 こいしは霊夢に異変解決の宴会を中止するように直談判しに行くところで声が聞こえてくる。

「ただいま」



 それではどうぞ!


エピローグ ただいま――おかえり

side???

 

「う、くぅ……ここは?」

 

 俺は目を覚ました。

 しばらく目を瞑っていたからだろう、俺の目は非常に光に弱くなっており、太陽から降り注いできている光が目が痛いほどに眩しく感じる。

 

 それにしても体が痛い。全身が筋肉痛のように悲鳴をあげている。

 体が動くということを全力で拒絶しているというのがわかる。

 

 頭もガンガンと痛む。まるで頭を全力で殴られているかのような痛みを感じる。

 

「はぁ……」

 

 なんなんだ、この状況は。どうしてこうなったんだ……。

 俺は今まで何をしていたんだっけか。どうしてこんな場所にいる。

 

 首を軽く捻って周囲を確認してみると、どうやらここは森のようで、木々が生い茂っている。

 森特有の緑の香りがそこかしこから漂ってくる。

 

 今まで俺が何をしていたか、どうして俺はこんなところで倒れているのか、全く分からない。記憶が無い。

 俺は何者で、どういう人間だったのか。

 俺は俺自身の情報をきれいさっぱりと失ってしまっていた。

 

「なんなんだよ」

 

 俺は悪態をつきながらも悲鳴をあげる体にムチを打ち、何とかその場に立ち上がる。

 どれくらい俺はここで寝ていたんだろう。そしてここはどこなんだろう。

 

「とりあえず、町を探してみるか……」

 

 こんなところに居てもただただ野生の肉食獣の餌になるだけだと考えてゆっくり、ゆっくりと森を歩き始めた。

 

 最後に食事をしてからもう結構時間が経過しているんだろう。もう胃の中が空っぽで腹が鳴り止まない。

 このままここに居て野生動物に見つからなかったとしても、いずれは餓死してしまうことになる。

 そうなる前に何か腹に入れなければ……。

 

 しばらく歩くと明かりが見えてきた。恐らくあれは町の明かりだ。

 歩いている間に夜になってしまい、周囲が見えにくくなって歩くのは危ないのだが、暗くなったおかげで町の明かりが見つけやすくなった。

 

 だが、どうしよう。

 町に着いたところで金なんてあっただろうか……。

 

 そう思って服のポケットの中をまさぐってみると、その中には紙が何枚か入っていた。

 

「っ、これって」

 

 1万円札だ。

 日本という国の1番大きい単位の金だ。それが50枚程ポケットの中に袋詰めされて入っていた。

 どうして俺はこんな大金をポケットに入れてあそこに倒れていたんだ?

 

 でも、これだけあれば今日の食事代と宿代は問題ない。

 それから安定して生活するための基盤を整えなければいけない。

 以前どんな生活をしていたか分からない以上、新しく生活を始めなければいけない。

 

 幸いなことに、俺自身のことは全く分からないくせに一般常識については覚えている。

 だからこそ金のこととかも覚えていた。

 

 町並み的にここは日本だ。

 なら、この日本円が使える。

 

 それから俺は飯を食ったあと、この町で住民票の登録をした。

 ここからどこかに行こうにも、地理に関しての知識は全くと言っていいほどないため、たまたま発見したこの町に住むことにした。

 恐らくこれについて記憶が無いってことは前から俺は地理に弱かったんだろう。

 

 この町はそこまでの都会という訳ではなく、いい感じにのどかで過ごしやすい雰囲気のある町だったため、結果的にはこの町に住むことに決定して良かったと思った。

 

 そして俺は家賃を安く済ませるために安いアパートを借りて住むことにした。

 ここの大家さんがとてもいい人で、ご飯が余ったらおすそ分けしてくれたり、ここに入居する時だって通常よりも安くしてくれた。

 本当に俺は大家さんには頭が上がらない。

 

 今の俺の名前は海流極ということになっている。なんだか突然その名前が頭に浮かんできたから住民登録する時はこの名前で登録した。

 多分本名では無いだろうが、昔の俺の名前が分からないのだから仕方がない。

 身分証も何もかもなかったんだ。

 

 あるのは金だけ。

 金があるだけマシだったが、それでもちょっとここまでやるのには大変だった。

 

 それから俺は仕事を探した。

 今は節約したら暫くは金が持つが、それでもいつか限界が来ることになる。だから俺は仕事を探すことにした。

 とはいっても記憶喪失になっている俺にできる仕事なんて限られている。そのため、内職を軽くやりながら細々と暮らしていくことにした。

 大家さんが好意で家賃を安くしてくれているのだから給料の安い内職でも節約すれば生活することが出来ないこともないだろう。

 むしろ記憶の無い俺がどこかの会社に入って仕事をするとかいう方が周囲の人たちに迷惑をかけそうで怖い。

 

 そんなこんなで静かに部屋で内職を市、たまに外に出て買い物をしたりなどしながら生活すること早5年が経過した。

 

 どうやらこの生活は俺には合っているようだ。

 あんまり多くの人と関わるような仕事っていうのは俺にはやはりあっているようだ。

 それに、前にやってみたブログがそこそこ跳ね、ある程度は稼げるようになり、特に苦労することもなく生活ができるようになっている。

 

 だが、未だに俺の記憶が戻ってはいない。

 今俺は息抜きに買ったRPGゲームをのんびりとプレイしている。

 

 最近、不思議な夢を見ることが増えてきた。

 その夢の内容は、こことはまた別の場所に俺が居て、俺の周りには沢山の仲間がいて、一緒に幸せそうに暮らしている。

 まるでゲームのような内容の夢だ。

 

 普通ならその夢をただの夢だと切り捨てるだろう。

 だが、なんだかその夢はとてもリアリティーがあるんだ。だからなぜだかただの夢だと切り捨てることが出来ずにいる。

 

 そしてここで暮らし始めて暫くしてから気が付いたが、俺の左手の薬指には指輪がはめられていた。

 もう体の一部化の様にごく自然にはまっていたから特に違和感もなく気が付くこともなかった。

 どうして俺はこの指輪を付けているのだろうと考えるが、全くわからない。もしかしたら記憶が無くなる前は結婚をしていたのかもしれない。

 そう考えたが、記憶が無くなってしまった今となってはどうすることもできない。再会するというのはかなり絶望的と言えるだろう。

 

 しかし、もし俺が結婚していたんだとしたら、この指輪を外すことは奥さんを裏切る行為になってしまうんじゃないかと、そう考えて決してこの指輪を外すことはない。

 

 ピンポーン。

 

 突如として鳴らされるインターホン。

 よくあることなので、俺はもう慣れた様子で部屋の扉を開けた。

 

「極君、これ作りすぎたからおすそ分け」

「あ、いつもありがとうございます」

 

 大家さんだった。

 いつもおすそ分けしてくれるため、非常に助かっている。

 

 大家さんからのおすそ分けを食べながらゲームを再開する。

 

 ――安心して。もう会えなくならない。離れないから。

 

 ついにのんびりペースで進めてきたゲームがエンディングを迎えた。

 最後は離れ離れになった主人公とヒロインが再会し、抱擁を交わしてエンドロールが流れるという定番パターン。

 こんな終わりの作品はいくらでもあるし、この程度では泣かないと、俺はそう思っていたのだが、気がつけば俺の目からは涙が零れてきていた。

 

 溢れて止まらない。

 心が何かを叫んでいる。そう感じるような出来事だった。

 

 俺の脳裏に全く知らない世界のことが浮かび上がってくる。

 それは俺が夢で見る世界と全く同じもので、そして何となくわかる。

 これは俺が1番大切なものだ。命をかけてまでも守りたいと願った世界なんだ。

 

「こいし――っ!」

 

 その瞬間、俺は駆け出していた。

 向かう先は大家さんの部屋。

 

 インターホンを押すと大家さんがゆっくりと出てきた。

 

「なんだい? 何かあったかい?」

「大家さん。俺、今日でここを出ていきます」

「なんだい、どうしたんだい急に――いや」

 

 そこで大家さんは俺の表情を見て何かを察したんだろう。

 

「そうかいそうかい。覚悟は決まっているみたいだね。なら、行きなさい。大切な人が待ってるんだろう?」

「はい、すみません。俺の部屋のものは処分していただいて結構ですので!」

 

 大家さんと最後に会話をしてアパートを後にした。

 がむしゃらに走り続ける。

 

 ()()()()()

 全部思い出したんだ。

 

 俺の名前は海藤真。この現代日本で育ったが、ある日突然幻想入りして幻想郷で暮らすことになった。

 そこで俺は古明地こいしと恋人になった。

 

 異変解決を終えた直後に俺は歴史修正の代償で記憶を失い、この世界から俺という存在が消えてしまった。

 幻想郷のみんなも俺の事を忘れているなら、嫌だなぁ……とそんなことを考えながら森の中へと走っていく。

 

 そしてやがて俺は5年前に倒れていたバショヘトたどり着いた。

 あの後すぐは地面に俺が倒れていた跡が残っていたが、さすがに5年も経過していたら俺が倒れていた痕跡は全くない。

 

 でも、確かに俺はここに倒れていたんだ。

 

「シャロ」

「ふわぁ……あれ、真君?」

「またせたな」

「……本当だよ。本当に、ずっと待ってたんだから」

 

 俺が来るとその場には1人の少女が座って寝ていた。

 その少女、シャロは多分ずっと、俺が記憶を取り戻してここに戻ってくるまでずっと待っていたんだろう。

 シャロの姿を見ただけで俺は目頭が熱くなってくる。

 

 懐かしい。

 本当に懐かしい。

 

「んもう、僕に会っただけでそれだったらこいしちゃんに会った時はどうなるやら……」

「だが、どうしてシャロは俺の事を覚えていたんだ?」

「時空神だよ? 歴史が変えられたくらいで僕の記憶をどうこうできるなんて思わないことだね」

「そ……か。良かった……」

 

 シャロだけでも俺の事をずっと覚えていてくれたって事を知って安堵してその場に崩れ落ちる。

 するとシャロはしゃがんで俺の頭を撫でてくれる。

 シャロは神だから長生きのはずだが、その見た目は少女のため、傍から見たら少女に撫でてもらう男性というやばい構図が出来上がっている。

 

「あ、その指輪、外さないでくれたんだ」

「あ、あぁ。なんだか大切なものに思えたから」

 

 シャロが示したのは俺の左薬指にはめてる指輪。

 

「その指輪は僕が真にはめたんだよ。真が元々はめてた指輪は代償で消えてしまったから。だけど、真の記憶を繋ぎ止めておくために真の結婚指輪と全く同じものを」

「そうか……そういう事か」

 

 この指輪が指にはまっている事で俺の深層心理にまだ記憶が残り続け、今回記憶を取り戻すことが出来たって言うことか。

 もしこの指輪が無ければ俺の記憶は完全に消え去り、そして二度と記憶を取り戻すことは無かっただろう。

 

「ありがとう……ありがとう!!」

「うわわっ!? ちょ、君には奥さんがいるんだからね! こんなことをするなんて浮気だよ!?」

「ありがとう……ありがとう……」

 

 俺が感極まってシャロを抱きしめたことによってシャロは目を回しながら浮気だと言ってくるが、今の俺の耳には一切入ってこない。

 この姿、こいしに見られていたら1悶着があったかもしれないため、ここにこいしが居なくて良かったと思う。

 

「本当に、お前だけでも覚えててくれて良かった」

「うん。忘れるわけないでしょ? だって、初めての友達なんだし……」

「そうか……ありがとう」

 

 今日ほどシャロが居てくれてよかったと思ったことはない。

 本当に、よかった。

 

「それじゃあ、帰ろうか」

「あぁ、頼む」

 

 多分俺は記憶を取り戻すことはできたが、幻想郷のみんなは俺のことを覚えていないだろう。

 なら、また新しい関係を紡いでいけばいい。俺が死なない限り、また俺とみんなは友達になることが出来るんだから。

 

 俺とシャロはスキマに飲み込まれて行く。

 この感覚も5年ぶりで懐かしくて涙が出てくる。

 スキマの内部に濃密な霊力が充満していて、自分の霊力も回復していくのを感じる。

 外の世界には全く霊力などはなく、失ってしまった霊力を回復することはできない。そして俺が目を覚ました時にはすっかり空っぽになってしまっていたため、俺は霊力を使うことはできなかったんだが、今ならば霊力でいろいろとできそうだ。

 

「真君。頑張ってきてね」

「あぁ、任せろ」

 

 その言葉と同時に俺はスキマの出口を通過し、約5年ぶりの幻想郷の大地へと降り立った。

 外の世界よりもきれいな空気。懐かしい。

 

 そして何よりも、俺が最初に降り立った場所は――

 

「地霊殿」

 

 俺の思い出の場所地霊殿。

 どうやら俺が最後に幻想郷のことを生き返らせたことによってこの場所も元に戻ったようだ。

 

 こうして周囲を見回してみると、まるであの戦いがあったのは嘘、夢の様で、地底の住人達も何事もなかったかのように暮らしている。

 まぁでも、あれから5年も経過しているのだから、みんなの記憶からもあの異変が薄れてきているのかもしれない。

 

 さて、こっちに走ってくる妖力を感じる。

 それはとても懐かしくて、今俺が一番会いたいと思っている人物の妖力。

 思わず飛び出して泣きつきたいと思ってしまうが、俺はその感情を抑え、その人物が通りかかった瞬間に言った。

 

「ただいま」

 

 フードを深くかぶっているため、あまり俺の顔を見ることはできないだろう。

 これでこいしが俺のことを覚えていないようならばこのままここから立ち去って海藤真としてまた来ればいい。

 そう考えたのだが、どうやら俺の考えは杞憂で終わったようだ。

 

 立ち止まって目を見開いて俺のことを見たかと思うと、その少女は突如として俺に襲い掛かるかのように飛び掛かってきたが、どうやらそれは俺のことを襲うためではなく、抱き着くためだったらしい。

 

 その瞬間、どこからともなくパリンという音が聞こえてきたが、今はそんなことは気にしている場合じゃなかった。

 俺に抱き着きながら大粒の涙を流している少女――古明地こいしを俺は抱きしめ返す。

 

「おかえり」

 

 どうやら俺は色々と恵まれているらしい。

 


 

「あ、あんた、今までどこに行っていたのよ!」

「はは、すまん」

「本当に、みんな心配していたんだから」

「それは霊夢もか?」

「うっさいばか」

 

 俺はこいしたちに連れられて博麗神社に来ていた。

 どうやらあの異変の後、どうにも宴会をやる気になれなくて宴会を全くしていなかったらしいが、今日は宴会をするという話になっていたらしい。

 そして霊夢たちは俺のことを忘れていなかった。

 

 いや、正確に言えばついさっき思い出したということが正しいらしい。

 どうやらちょっと前までは俺のことは頭の片隅にもなかったが、突如として俺という人物がいたという記憶がよみがえり、今に至るということなんだとか。

 どうして記憶が戻ったのかはわからないが、どうやら俺はそうとう仲間に恵まれているらしい。

 

 シャロの考察によると、俺という人物がいた記憶はないが、誰かが足りないという気分になって宴会をする気になれなかったんじゃないかということ。

 つまり、シャロの考察が正しければみんなは俺が帰って来るまで待ってくれていたっていうことだ。

 忘れていたとしてもずっと待ってくれるなんて、俺は本当にいい仲間を持ったものだ。

 

「真、改めておかえり」

「あぁ、ただいま。ところで、こいし」

「なに?」

「その態勢で食べにくくないの?」

「ぜーんぜん」

 

 こいしは今、俺の腕にがっしりと抱き着き――いや、しがみつきながら料理を食べていた。

 抱き着いているというよりかは俺の腕をがっしりと掴んでもう離さないということを主張しているように見える。

 まぁ、俺としてはうれしいが、この場所ではとても恥ずかしいため、今は離してほしいところではある。しかし、二度と離れないとか言いながら離れてしまったのは俺なので、信用無いんだろうなと思いながら甘んじて受け入れる。

 

「もう、どこにもいかないでね」

「あぁ、もう疲れたから、おとなしくしていることにするよ。俺が働かなくても今回の戦いで幻想郷は安泰だって確信したからな」

「信用できない」

「信用できないって……じゃあ、どうしたら信じてくれる?」

「それはねぇ――」

 

 俺たちはもう絶対に離れたりすることはない。

 異変解決をこれからさぼったとしてもこれだけ頑張ったんだから神様も許してくれるだろう。だから俺はもうゆっくりとこの幻想郷で暮らすことにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 True End ――完――




 はい!エピローグ終了!

 これにてTrue Endが全て終了!

 次からはNormal Endへ向かっていきます。

 このNormalルートでこのTrue Endで回収されなかった伏線が回収されるかと思います。

 ここまでお付き合いありがとうございました!

 Normalルートは必ず見なければいけないものでは無いですが、呼んでいただければ嬉しく思います。

 それでは!

 さようなら
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