それでは前回のあらすじ
紗綾の言葉に昔の光景が思い浮かび、苦悩する鬼流。
そんな鬼流に神楽はいらいらし、霊夢はそんな鬼流を煽る。
霊夢と神楽のラストバトルが開幕。両者共に最強の技を放つものの、霊夢の夢想天生の前に破れ、空中にぶっ飛ばされる。
そんな神楽の背後に突如としてシャドウが出現、怒り狂う神楽とは反対にシャドウは冷静であった。
そしてついに、大神の大口がみんなの前に出現し、秩序を乱した神楽を飲み込もうとする。
当然抵抗する神楽だったが、シャドウと記憶を取り戻した鬼流の二人によって神楽を大神の口の中に放り込むことに成功し、ついに神楽に勝利を収めた。
しかし、その代償としてシャドウと鬼流が命を落とす結果となってしまった。
さぁ、まだ異変は終わっていない。
みんなは異変解決へと向かって歩き始めた。
それではどうぞ!
第210話 真の目覚め
side真
「あ、あんた、大丈夫なの?」
「大丈夫よ。それよりも、先に進みましょう? まだ、戦いは終わっていないんだから」
霊夢と紗綾の声が聞こえてくる。
視界が真っ暗で、全身がものすごい痛い。
体もものすごく気だるい。どうやら霊力もかなり消耗してしまっているようだ。
だが、俺はこうして死なずに生きている。恐らく俺が妖怪だったことが功を奏して耐久力が上がっているのだろう。
「気を失っているみんなはどうする?」
「気を失っているみんなはこれ以上戦いに巻き込まないように私の家に運んでおくわ。あそこは幻想郷の中でも辺境の地だから崩壊するのも遅いはずよ」
そっか、会話を聞いている限りおそらく神楽を倒して戦いに一区切りがついたと言ったところだろう。
ならよかった。あのあと何があったのかは分からないけど、なんとか神楽を倒せたことにホッとした。
でも情けないな。神楽と戦っている間ずっと俺は気を失っていたということになってしまう。
しかしここで落ち込んでいても仕方がない。紗綾の言うとおりにまだ戦いは終わってなど無いのだから。
そして俺は手に伝わってくる神成りの感触を確かめ、がっしりと握りしめ、そして杖代わりにしてその場に立ち上がる。
「「「「「「「「真!」」」」」」」」
おそらく全員俺がやられてしまって、目を覚ますことは無いと思っていたのだろう。俺が目を覚ましたことによって驚いて声を上げていた。ただ一人、霊夢を除いて。
「遅いわよ、あんた――」
「真!!!」
「ぐえぇっ」
霊夢が俺に声をかけようとしたその瞬間、霊夢の声を遮るほどの勢いでなにかにタックルされてしまってその場に転がり込む。
いや、実際にはタックルではなく抱きつかれたの方が正しいが、タックル並みの勢いだったため、俺の悲鳴をあげていた体はさらにダメージを受けることとなってしまった。
やべ、今ので死にそう。
「真……真……よがった……いぎででよがっだよぉ」
「心配かけたなこいし」
俺にタックルしてきたのはこいしだった。
こいしは大粒の涙を流しながら俺の胸に抱きついてきている。
そんなこいしを少しでも安心させてあげるために俺は静かに頭を撫でた。
「良かった……もしかしたらこのまま目を覚まさないかもって……」
「大丈夫だ。俺はそんなにヤワじゃない」
本当はちょっとやばかったかもとは絶対に口にしない。
多分俺が妖怪だったってのと俺の能力である【致命傷を受けない程度の能力】がなかったらまず間違いなく俺は目を覚ますことは無かっただろう。
それにしても酷い有様だ。
壁はほぼ吹き飛び、野ざらしになっており、かろうじて残っている柱が天井をギリギリ支えている。
神楽には勝ったようだが、神楽にかなり人数を減らされてしまったみたいだ。
みんな死んでいないといいが……。
「それにしてもあんた頑丈すぎて怖いわよ」
「ははは、自分でも時々思う」
気を失う前の記憶は朧気に覚えている。
確か俺は腹を貫かれて気を失ってしまったはずだ。普通なら確実に死んでいる。
「真……真……」
「……」
「……」
霊夢がものすごくこっちを見てくる。
もうそろそろやめろやお前らって視線を感じる。グサグサと突き刺さる鋭い視線を感じる。
ジト目になった。
戦場のど真ん中でてめぇら何やってるんだって言う圧を感じる。
さすがに俺もこの状況でずっと抱き合っているのはどうかと思うため、こいしにそろそろ離れるように説得することにした。。
「こ、こいし、そろそろな?」
「もうちょっと……もうちょっと……お願い」
蔑みの視線になった。
完全に俺たちは空気が読めないやべえやつら扱いだ。
とっとと離れろやてめぇら。もう時間はないんだぞ空気読めという圧というか怒りを感じる。
「そろそろアンタ離れなさい」
「あぁっ!」
さすがに霊夢は痺れを切らしたのかこいしを俺から強引に引き離した。
するとこいしは抗議の声を上げるが、観念したのかしょぼんとしながら自分の足で立ったので、俺も服に着いた砂埃を払って立ち上がった。
「待たせたな」
「ホントよ。時と場合を考えてくれないかしら?」
「ごめん」
「まぁ、それに関してはもういいわよ。で、どうなのよ」
「どうって?」
「傷よ傷」
「ん? あぁ、大丈夫だ。半分妖怪のおかげでかなり回復も早い」
「そ? なら、傷を理由にして足を引っ張るんじゃないわよ。そうなりそうなら邪魔だから引っ込んでなさい」
悪態をついてくる霊夢。
だが、恐らくこれは霊夢なりに俺の事を心配して言ってくれているのだろう。
ツンケンした態度をしているが、その実、誰よりも仲間のことを気にかけている優しい人でもある。
だからみんな霊夢に集まっていくんだろうな。
「なによ、悪態突かれているのに笑顔なんて浮かべて、気持ち悪いわね」
「いや、気にしないでくれ。それよりも進むんだろ? 最期の戦いへ」
「そうね、絶対にこの異変を解決して過去一番の宴会を開くわよ!」
「だな」
そして俺たちは笑いあい、最後の戦い、ジーラの待つ最深部へと気を失っているみんなを運んで行っている紫とシャロ以外のみんなで向かっていった。
はい!第210話終了
このNormal Endの世界は極が現れなかった世界線です。
そのため、極からのアドバイスや極との修行もありません。
果たしてここからどう物語が展開していくのか。
お楽しみに!
ちなみにこのルートではこいしは真が倒れたあと、戦いに参加しなかったため、気を失うことはありませんでした。
True Endの時とは違ってものすごく心配して付きっきりで様子を見ていた形となります。
あと、暫くは似たような展開が多くなるので、ジーラ戦が終わるまでは流し読みをして頂いて大丈夫です。
それでは!
さようなら