それでは前回のあらすじ
神楽との戦いの後、真は目を覚ました。
するとその瞬間にものすごく心配していたこいしに抱きつかれ、身動きが取れなくなってしまう。
その様子を見ていた霊夢に冷たい目を向けられたため、真は何とか引き剥がそうとするが、こいしが拒否をしたため、引き剥がせずにいた。
だが、そこで霊夢が痺れを切らしてこいしを真から引き剥がしたことでようやくジーラとの最終決戦へと向かうのだった。
それではどうぞ!
side真
俺たちはジーラの霊力を感じる方へと周囲を警戒しながらゆっくりと歩みを進めていく。
もうジーラ以外の霊力は感じなくなってはいるが、ジーラの仲間に神楽のような奴もいることだ。いつどこで奇襲されるか分かったものではない。
さっきの傷はなんとか妖怪の超絶回復能力によって一命をとりとめたが、次もまた無事に済むとは限らないのだ。
「それにしても足場が悪いな」
「しかも空間が歪みに歪んでいるから空を飛びにくいし」
そう、俺たちは今、階段を上っているのだが、先ほどの戦いの影響かここら辺の階段も一部崩れており、なかなか思うように登っていくことができない。
それに空間も歪んでおり、戦っている間は仕方がないのだが、空を飛ぶと霊力コントロールが難しくなっていく。それもジーラの部屋に近づけば近づくほどに空間が歪んでいっている。嫌な場所だ。
「これ、どこまで続いてんだ?」
「まるで白玉楼の階段だな」
「間違いない」
「空飛びたいのに飛べない……」
白玉楼のある冥界もそこそこ空間が歪んでいるため、飛びにくい場所ではあるが、それでも飛んで白玉楼まで向かうことが出来る。
だが、こんな場所で飛ぼうとしたら墜落して終わるだけのような気がするため、全員階段を歩いて登っている。
やがて俺たちは最上階に到着し、扉の前に集合した。
さすがに今までの戦いで疲労が蓄積されてしまっていてかなり疲弊してしまっているが、みんな己を鼓舞してしっかりと地に立つ。
「間違いない。ここからジーラの霊力を感じる」
「やっぱりあの人が絡んでいたのね」
「みたいだな。そして済まない。今回の異変が起きたのは俺のせいだ」
「どういうこと?」
「真のせい?」
「……」
前回の異変に全く関わっていなかった霊夢、彼方は疑問の声をあげ、こいしだけは唯一その場に居合わせていたため、こいしもジーラを攻撃しようと思ったら出来た状況だっただけに、攻撃しなかったことを後悔している様子だった。
違うんだ。あの時、ジーラにトドメを刺さなかったのは俺に責任がある。
こいしが責任を感じる必要なんてないんだ。
もし過去に戻ることが出来るのならばあの瞬間にジーラにとどめを刺して今回の異変を食い止めたい。
「まぁ、過去には戻れない。今更気にしても仕方がないさ」
「そういう言ことだ」
「そうそう」
「そうね」
「うんうん」
「まぁ、何があったのかはわからないけどあんまり自分を責めるんじゃないわよ」
「みんな……」
龍生、ライト、鈴音、紗綾、彼方、霊夢のみんなが俺のことを励ましてくれた。それだけでとても嬉しくて、ここが、幻想郷が俺にとっては大切な場所であるということを再確認出来て、この場所を絶対に守るためにもこの異変だけは絶対に解決しなければいけないと決心する。
そこでこいしが俺の真横にまで歩いてくると、そっと耳に口を近づけてきた。
「よかったね、真。いい人たちに出会えて」
「あぁ、本当に……そうだな」
こいしの言葉に全力で同意する。
この世界のことを何にも知らなかったときにいろいろと教えてもらったり、優しくしてもらったり、仲良くしてもらったり、いろいろとよくしてもらえた。
そして今も俺を責めることなく励ましてくれている。
本当に俺はいい仲間を持ったものだ。
「それじゃあ、行きますか!」
「おーっ」
そして俺とライトは二人で最後の部屋のとても大きな扉を体全体を使って押し開けると、そこには真っ暗な空間が広がっていた。
どう考えてもこの場所は今までとはまるっきり違う場所となっており、少し脳が混乱してきてしまう。
そして床もどこにあるのかが全く分からない部屋だ。だが、これだけは言える。この部屋の空間は今までの空間のものじゃない。ジーラの奴、空間の中に空間を作っていやがった。
その瞬間、突然背後から突風が吹き、俺たちは風に吹き飛ばされてしまう。
とっさに俺はこいしを守るために抱きしめて庇ったが、俺たちは全員部屋の中に突風によって押し込まれてしまい、俺たちが入ったその瞬間に入り口の扉が閉まった。
あまりに突然のことだったため、俺たちは地面を転がってしまうが、霊夢とライトはさすがと言うべきか、受け身をとって直ぐに立ち上がった。
それにしてもこの部屋は床が見えないだけで普通に床はあるようで、立ち上がることは出来た。
「来たか、愚か者ども。この場所が貴様らの墓になるということも知らずにのこのこと入ってきたな!」
「っ、ジーラ」
突然声が聞こえて来た。少ししか聞かなかった、この下種さは忘れるわけがない。
ジーラの声だ。姿こそ見えないものの、これは確実にジーラの声で、そしてこの空間に漂っている濃厚な霊力はジーラのものだろう。
以前のハエほどしかなかった霊力とは見違えるほどに大きくなっており、普通に危険人物認定できるほどの霊力量となっていた。
その次の瞬間、周囲に存在していた灯篭に灯がともり始め、周囲を火の光で照らし始め、ようやく真っ暗闇となっていたこの部屋の全貌が明らかとなった。
「っ、気持ち悪いわね。あんた、趣味悪いんじゃないの?」
さすがにこの気味悪さに霊夢も言わずにはいられなかったようで、ここに居るみんなを代弁するかのようにその言葉をつぶやいた。
この部屋は全体的に宇宙空間のような見た目となっており、さらに床までも宇宙空間みたいな見た目となっていて常に動き続けている。
そんな見た目の空間に大量の灯篭と椅子、テーブルがあるのだから違和感しかない。
そしてこの声の主、ジーラは俺たちの真正面、俺たちが立っている側とは真反対の壁に寄りかかって立っていた。
「緑の! お前にやられたあの日の屈辱はまだ忘れていないぞ。お前らに壊滅させられて、俺はお前らを殺すことを誓った! 強くなって、今の俺は自分の力だけでも十分戦えるほどとなった! もう、緑、お前が俺に触れることはない。そこの小娘もだ。お前たち2人は間違いなく俺がこの手で殺してやる」
「っ」
「し、真っ」
そう言い放ったジーラからは威圧が放たれており、その威圧によって一瞬だけ俺も怯んでしまうほどだった。
この威圧の対象はこいしも含まれているため、こいしは不安そうな声を漏らした。
ジーラにとって俺とこいしはセットで殺したい対象なのだろう。
「お前を倒し、この異変を解決する!」
「あの時の私とは違う。私はもう守られるだけじゃない!」
「俺、地味に幻想郷気に入ってるんだよね。だから幻想郷をめちゃくちゃにされちゃ困るんだわ」
「右に同じくだね、私はこの幻想郷が大好きなんだよ。だから守るよ、絶対に」
「まぁ、俺はあまり幻想郷には思い入れは無いが、幻想郷がなくなると困るやつが居るんだ。だから全力で……」
「あなたと私は元仕事仲間。上司と部下の関係。だけど、それも今日でおしまい。楓花や春人の為にも決着をつけるよ」
「シャドウがさ、すごくこの幻想郷を大切にしてるんだよ。どうしてなのか、それは今まで一度たりとも教えてくれたことはなかったんだ。だけど、すこし気持ちはわかるんだよ。確かに私は幻想郷にいるどの神よりも後に神になったけどさ、それでも幻想郷は大切なんだよ。今も、昔も、だから戦うよ」
「ほんっとうに今までのどの異変よりもダントツで面倒な異変だったわ。幻想郷は崩壊していくし、どいつもこいつも真の事を敵対視しているし、ちょっと本当に投げ出そうかと心が折れかけたわ。でも、私の仕事は幻想郷を脅かすやつを退治することなの。あんたを退治して幻想郷を守らなければいけない。だから、絶対に勝つわよ」
はい!第211話終了
ここまではこいしがメンバーに含まれていたり、極の話題が上がらないこと以外は同じ展開なのですが、ジーラ戦は変わりますので、お楽しみに。
それでは!
さようなら