それでは前回のあらすじ
遂にキルタワー編、終了
それではどうぞ!
第64話 シャロ様は友達が欲しい
side真
音恩を紫を呼んで永遠亭まで運んだ後、スノーレストで一泊し、次の日。
ぼふっと俺は雪の上に倒れ込んだ。
皆には珍しい雪な訳で、随分とはしゃいでいる様に見える。
……二人を除いて。
「ねぇ、燐火。私の真から離れて?」
「なんで私がダーリンと離れなくちゃならないのさ。ダーリンは私のだよ」
ダーリンって……少なくとも俺はお前のじゃねーよ。
と言うかそんな言葉この世界にあったんだな。今どき日本でもそんな言葉聞かねーぞ?
「だだだ、ダーリンっ!?」
あー面倒くせぇ……俺を解放してくれませんかね?
「真は私のダーリンなんだから!」
こいし、お前もかよ。
俺は流石に妖怪の血のお陰で傷は無いって言っても尋常じゃないくらいに疲れてるんだからな。
実はキルタワーから出てきてここまで来るまでに何度かあのバークと戦った時に発動できた奴を練習したんだが、一向に成功しなかった。
どうやら俺の自己防衛本能が咄嗟に起こしたまぐれだったようだ。
と言うかあれはなんだったんだ?
「とりあえず離れてくれ」
「「嫌です!!」」
お前ら変なところで息ピッタリだな!! その息ピッタリ加減を別の所で発揮して欲しかったよ!
「真、離したら直ぐに別の女を誑かしに行くもん」
別の女って言う響きが怖いんだけど!? こいしさん病んでませんか!?
「ふひひ〜面白いことになってきた!」
よし分かった。お前は単純に俺をからかいたいだけだな!?
「むぅ……パートナーは私なのに」
なんか向こうからも黒い感情が見え隠れしている。
何とか妖夢が押さえてくれてるから良いけど妖夢が居なくなった瞬間、俺に突撃してくるな。
「な、な? 俺に構わず皆に混ざって遊んで来いよ」
しかし、俺に抱きついて離れない。
仕方が無い……こうなったら。
「シャロぉぉぉぉっ!」
その瞬間、真下から引っ張られ、引きずり込まれる事によってこいし達から逃れる事に成功した。
次の瞬間、俺は紅魔館前に居た。
本当に来てくれた!
「いやぁ〜。ね? 真君。僕はタクシーじゃないんだよ? 神様なんだよ? 多分君くらいだよ。神様をタクシーとして使うのは」
シャロは俺の目の前に現れてグチグチと文句を行ってくる。
確かになんぼなんでも普段親しくしてもらってるとはいえあの女神、シャロ様に対して少々厚かまし過ぎたか。
「すみませんシャロ様。この様なことは二度と起こしません」
「いやあの──」
「二度とシャロ様にはこの様な厚かましい事は致しませんのでどうか──」
「やめてぇぇぇっ! お願いだからもっと親しくしよ? 僕、もっと真君となかよくしたいよぉぉぉっ! 僕を奴隷みたいにこき使っても良いからさ!」
抱きついて泣きながら懇願してきた。
こういう時なんて言うんだっけ? 計画通りで良いんだっけ?
でもさすがに奴隷としては扱わないよ? ……タクシーにはなってもらうかもしれないけど。
と言うか神様が奴隷にして下さいとか言っちゃダメだろ。
と言うかここまで必死になるってことはシャロは──やめよう。可哀想になる。今度何かプレゼントしてやるか。
そして俺は抱きついてきているシャロを
『くくく』
どこからともなく笑い声が聞こえてきた。
その笑い声が聞こえた瞬間、シャロの顔はリンゴのように真っ赤になった。
「ぐ、紅蓮!?」
シャロが名前を呼ぶと紅蓮は何も無かった空間から出てきた。
「いやぁー。まさか時空神さんが、まさかあの! 時空神さんが人間の奴隷になってもいいからと懇願するとはな。くくく面白っ」
紅蓮か……久しぶりだな。未来の俺との戦いの時以来じゃないか?
「いやぁ、この世界はおもしれぇな。まっさか時空神を飼い慣らしてる人間が居るとは」
そして紅蓮は俺の方に近寄ってきて──
「やめてぇぇぇっ! お願いだからもっと親しくしよ? 僕、もっと真君となかよくしたいよぉぉぉっ! 僕を奴隷みたいにこき使っても良いからさ! だとよ。くかかか」
するとシャロからどす黒いオーラが出始めた。
「紅蓮、僕は悲しい。まさか君を消さなくちゃいけない日が来るとは思わなかったよ」
いやお前じゃ力神の紅蓮にゃかてねぇぞ?
「あ? お前が俺に勝てると思ってるのか?」
そうだぞ〜やめといた方が身のためだぞ〜
一触即発。
これは俺でも割り込んで行ったら殺されそうだ。
「死ぬがいいよ紅蓮!」
「それはこっちの台詞だ僕ロリっ子!」
そして二人ともファイティングポーズを取り、もう誰にも止めることは出来ない状況になってしまった。
この状況で俺が出来ることと言えば、遠くで静観するくらいである。
せめて紅魔館は巻き込んでやるなよ
そしてお互いに殴ろうとした瞬間だった。
空から何かが降ってきた。
そしてその何かを二人で挟んで殴った。
「ふぎゅっ!?」
その拳に吹っ飛ばされて俺の方に飛んでくる。
「ぐはっ!」
なんて威力……。
吹っ飛んできた物に巻き込まれて壁に叩きつけられた。
降ってきたのは紬位の女の子だったらしい。
その女の子は俺の上で目を回してしまっている。
「ふぎゅ〜」
その人物を見てシャロと紅蓮は青ざめた。
「「か、彼方様!?」」
──どゆこと?
はい!第64話終了
遂に第惨章終了です!
いやぁ滅茶苦茶長かったですね。
終わるまでに約半年程かかりました。
それでは!
さようなら
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紬
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シャロ
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金糸雀優
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燐火(菜乃花)