それでは前回のあらすじ
こいしと買い物デートをする真。
服を試着して真が評価をする。だが、こいしに激甘な真だからどれも高評価だった。
そのまま服を購入して着たまま再び街へと繰り出した。
それではどうぞ!
side真
ちょうど時間は御昼時だ。結構おなかが空いてくる時間だった。
「おなかすいたねぇ」
「そうだなぁ。近くの飯屋を探して––」
「人がいっぱいいるね」
「……妖怪だからって食うなよ」
「食べないよ!!」
こいしがちょっと不穏なことを言い出したため、一応くぎを刺しておいたのだが、どうやら心配はないらしい。
それに幻想郷に居たときも一度だってこいしが人間を食べているところなんて見たことが無いからおそらくこいしは人間を食べることはないだろう。
少し食べ物を販売している店を検索してみると、ここら辺に結構食べ歩きできる店があるようだ。
よく見てみると確かにコロッケとか肉まんとかいろいろある。中には幻想郷では見ないようなレアな食べ物なんかもあるため、さっきからこいしが興味津々に見ている。
そういえば幻想郷で肉まんとか美鈴が作っているイメージしかないな。
基本的にあまり幻想郷では中華料理は出ない。出るとしても幻想入りしてきた紅魔館や守矢神社ぐらいだろう。
「ちょっと肉まん食おう」
「うん!」
ちょっと気になっていたのだろう。俺が提案するとすぐにこいしは頷いて俺の提案に賛成してきた。
近くにあった肉まん屋で二つ買うと一つをこいしに手渡した。
「熱いから気を付けて」
「う、うん!」
すでに包み紙の上から熱さを感じるため、俺はもう十分に分かっているだろうが、念のために言っておく。
小籠包なんかも初めて食べる人は熱いとわかっていても火傷をしてしまうらしいし、念には念を入れて言っておくのが一番いいだろう。あまりこいしに火傷してほしくはないしな。
こいしは慎重に小口で熱さを感じない程度に食べていくが、俺は一口かじるとはふはふと口の中の熱気を外に追い出して口の中で冷まして租借し、嚥下する。
うん、久しぶりに肉まんなんて食べたが、久しぶりに食べると美味いものだな。
するとこいしも俺の食べ方を真似してはふはふと口の中の熱気を外に追い出して冷まして食べていた。ちょっとその姿が可愛いと思ってしまうのは夫婦補正が入っているからだろうか?
「んんんんん~~~~~~~っ!」
するとこいしは身じろぎ始めた。
俺はすぐに何事かと思って慌ててこいしの様子を見たんだが、すぐに問題はないということに気が付いた。なにせ、こいしの表情がとても幸せそうに惚けていたからだ。
一瞬、口の中を火傷した痛みで身じろいでいるのかと思ったが、美味しそうに食べているこいしの姿を見ているとそうではなく、美味しいという表現だったんだなと自分の中で結論がついた。
ちなみに今こいしが食べているのは普通の中華まんで、俺が今食べているのはピザまんだ。昔はよく学校からの帰り道で龍生と一緒にコンビニで買い食いをしたものだ。
その時に良く買うのは龍生が焼き鳥で俺がピザまんだった。あれから結構年数が経過しているが、この味、このおいしさは当時のまま全く変わらないなと考えて感傷に浸る。
しかし、ここまでこいしはずっと楽しそうに、嬉しそうに笑ってくれているから本当に楽しんでくれているのだとしたら今回は来てよかったとしみじみ思う。
少し腹ごしらえをした俺たちはついに旅館へと向かうことにして歩いていると突然声が聞こえて来た。
「やめて!」
「離してください」
「いいじゃねぇか少しくらいよぉ」
「へへへ、俺たちと楽しいことしようぜぇ」
二人の女の子の声と複数人の男たちの声が聞こえて来た。会話の内容からまず間違いなくナンパだろう。
見てみると路地の行き止まりで大勢の男で女の子を二人囲っている構図が目に入ってきた。
幻想郷だろうが日本だろうがやはりこういうことはあるものだ。特にこの安全な日本国内の話だ。変なことをしたって反撃される確率は高くはない。だから余計にこういうことをしやすい環境になっているのだろう。
あまりこういうことに関わりたくはないものだが、このまま放置していても後味が悪いものだし、こいしがなんだか不安そうで何かを訴えかけるような目でこっちを上目遣いで見てきている。
「……こいし、ちょっと待っててくれ」
「うん、頑張ってね」
今さらこの平和ボケした日本人相手に何を頑張ればいいのかが分からないが、とりあえず頑張ることにするか。
「あのーお取込み中のところすみません」
「あ?」
「なんだてめぇ」
「痛めつけられないうちに引っ込んでろよ坊主」
俺、もう年齢的には二十歳超えてるんだけどなぁ……。
まぁ、俺の背格好は完全に高校一年生の時のまま止まっているから舐められても仕方がない。
「その人たち、嫌がっているように見えるんですが」
「あ? そんなわけねぇだろ。喜んでんだよ」
「俺たちはこれから遊びに行くんだよ」
「関係ないやつは失せた方が身のためだぞ」
「え、あ……」
「私たちが喜んでいるわけないでしょ––むぐぐ」
金髪の方はこの状況におどおどしている。そして黒いハットをかぶった方は反論をしようとして口を抑えられて口封じをされていた。
なるほど、物おじしない強さは認めるが、強がってばかりいてもあまりいいことは無いということだな。
それにしても困ったな……あの男たちからは強者のオーラというのを微塵も感じない。まぁ、この安全な日本国内に住んでいてそんなに戦闘力がある人もいないか。
おそらく少し喧嘩が強いからって調子に乗っているだけなんだろう。それではあまり応戦したりするとうっかり大けがを負わせてしまうかもしれない。
「うーん……喜んでないって言ってるんですし、解放してやってはくれませんか?」
「誰がてめぇの言うことなんぞ聞くかよ!」
「てめぇら、やるぞ」
俺に殴りかかってくる男たちだが、非常にスピードが遅すぎてあくびが出てきてしまう。
そんな攻撃では俺に当たるはずもなく、俺は冷静にすべての攻撃を対処すると、一気に男たちの間を駆け抜けて二人の女の子の元へとやってきた。
「こいし、どうしようか」
「うーん……私が一人抱えるから真がもう一人お願い。それで全力疾走」
「まぁ、それが一番か。二人とも、少し我慢していてくれ」
するとこいしが屋根の上から降ってきた。どうやら俺と男たちが会話をしている間にこいしは屋根を伝ってこっちに来ていたようだ。
こいしは一人––金髪の女の子の方をお姫様抱っこしたので俺はもう一人の黒いハットの女の子をお姫様抱っこした。
「ひゃっ! なに、何なの貴方たち」
「説明は後でということで」
俺とこいしは男たちの間を突っ切ると全力疾走で男たちと距離を離した。
途中、背後から逃げるなやクズどもという言葉が聞こえて来たが、完全に無視して男たちの追跡を振り切った。やっぱり俺たちの足の方が何倍も速く、男たちの追跡を振り切るのは簡単だった。
早速面倒くさいことをしてしまったような気がするが、こいしはなんだか満足そうなのでいいとしよう。
「あ、あなたたち、足速いのね」
「まぁ、鍛えてるので」
ちなみにクレアも
俺たちはとりあえず男たちが追ってきていないことを確認すると俺とこいしは二人を下ろした。
「助けてくれてありがとう」
「助けていただけなければ危ないところでした」
「二人とも無事でよかったよぉ」
まぁ、女の子二人だけであの数の男たちを振り切れるわけがないしな。
こいしはにこにこと笑みを浮かべながら安堵の息をついた。他人のことを慮ることができるこいしだから俺は好きになったんだ。だから俺はその光景を見ているだけで何となく微笑ましくて笑みが浮かんでくる。
こっちに来て早々に面倒なことに首を突っ込んでしまったと思ったけど、このこいしの姿を見れただけで十分価値があることをしたと思う。
「っ」
その時、俺たちの進行方向から学ランを着て前を開け、頭には使い古されたぼろぼろのキャップをかぶった男が現れた。
ゆっくりゆっくりと俺たちの方へと歩いてくる男に俺は威圧感を覚え、思わず身構えてしまう。
こっちの人には能力が無いからそこまで威圧感など覚えるはずがないのだが、それでもあの男には幻想郷ならば俺たちを倒せそうな、そんな凄みがあった。
「ここにいたのか宇佐美、メリー……急に通信が途絶えたから心配したぞ––ん? そいつらは?」
帽子の唾を持ち上げて俺とこいしの事をじっくりと見てくる男に少しビビったが、すぐにこの男が悪いやつじゃないってことが分かった。
ちょっと口調やトーンがぶっきらぼうに聞こえるが、今二人にかけた言葉は心配しての言葉だ。人の事を慮ることができる人に悪い人はいない。
「旅行客か。悪いな二人がちょっと世話になっちまったようだ」
この男言葉から「あれ? 保護者なのかな?」って考えてしまうのは俺だけではないはずだ。
それにしても、今俺もこいしも一言たりとも発言していないというのに、俺たちが旅行客だっていうことをすぐに見極めて来た。
すると男は二人の女の子を連れて「世話になったな」と一言残すとこの場を後にしていった。いったい何だったんだろうかと思い、俺とこいしは少し硬直してしまったが、すぐに本来の目的を思い出して俺たちも歩き始めた。
はい!記念第3話終了
ついに【東方現代物語 〜最強の相談屋が華麗(物理)に事件を解決する〜】のキャラが登場しました。
今回出て来たのは宇佐見蓮子、マエリベリー・ハーン、輝山一輝の三人で、主人公は一輝なので、この中では一輝が活躍します。
それと飛鶴ファンの方はすみませんが、飛鶴は出て来ません。
この後の話もお楽しみに。
それでは!
さようなら