UNDEAD───不死人   作:カチカチチーズ

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火曜のうちに投稿するつもりだったのに十天衆の素材集めに集中してたらこんな時間に……すまぬ、番外席次が何でもするから許してクレメンス

今作でNPC関係ないダークソウルキャラは四人ぐらいしか出しません




本音

 

 

 

 や、やらかしたァぁぁ!!

 

 現在ネームレスの心中にあるのはそれである。

 本来ネームレスの予定では死の騎士の肉壁相手に苛立っている番外席次を伝説級(レジェンド)装備の一つ、ハベルシリーズと大竜牙でゴリ押すつもりだった。

 しかし、蓋を開けてみれば番外席次が武技を連発した挙句にモモンガの魔法最強化(マキシマイズ・マジック)した現断(リアリティスラッシュ)と同火力であろう広範囲武技をぶっぱなして来るというまったくの予想外に急遽、ハベルシリーズと大竜牙を取りやめ普段のオール神器級・ムスプルヘイム仕様を装備し自分は次元断層を発動、絶対防御を成した。

 その後は武技が消えるまで待とうとしたのだが、何を血迷ったのか次元断切(ワールド・ブレイク)を使って吹き飛ばし番外席次の左腕を焼き切って更にはパリィからの致命を入れて殺す、というネームレス本人もどうしてそうしたのかいまいちよく分かっていない状況だった。

 

 とりあえず消し炭となった番外席次をどうにかしよう、とネームレスはアイテムボックスからスクロールを取り出して────

 

 

「か、神よォォォォォォォ!!つ、ついに御降臨なされたのですね!!??」

 

 ひぇ……

 

 

 目の前で土下座しながら音的に涙と鼻水を出しながら感激の意を示している金髪モブことクアイエッセにネームレスは若干引く。

 しかし、顔を伏しているクアイエッセはそんなネームレスに気づく様子はなく言葉を続ける。

 

 

「ど、どうか、我ら人類をお導きください…………どうか、どうか」

 

 

 信仰深く漆黒聖典という法国の深い所に関わっているクアイエッセは勿論六大神や八欲王がプレイヤーである事を知っていた。

 そして、先祖返りした事でプレイヤー程ではないがそれに近い実力を持つ番外席次をああも容易く打ち倒すなどプレイヤー以外にありえない。…………竜王という選択肢はクアイエッセのなかから消えているようだ。

 何より、クアイエッセはネームレスに神を見た。もはや、信仰深い彼がネームレスを神と信ずるのは無理がなく…………。

 

 

 え、あ、うん

 

 

 ついでに言えばネームレスは押しに弱い。

 ネームレスとしては神扱いされるのはどうしようもなく苛立つがしかし、法国の舵をきるには丁度いい為ソウルから迫り上がる怒りを抑えクアイエッセを見下ろしつつスクロールを使う。

 発動するのは伝言(メッセージ)。予定通りレティシアに言葉を伝え何かを言われる前に切る。

 

 

 ああ、クソっ……さて、どうするか

 

 

 ネームレスは火継ぎの大剣をしまい、土下座をしているクアイエッセの肩に手を置く。無論、その際にクアイエッセが燃えないよう炎を消してだが。

 

 

「っ……!!」

 

 あー、名は?

 

「く、クアイエッセ……ハゼイア・クインティア……でございます……!」

 

 

 そういや、そんな名前の奴いたな……。とネームレスは心の中で呟いて顔を上げさせる。

 顔を上げたクアイエッセに既視感を覚えつつ、数歩離れた所に出現した黒い歪みに視線を移す。

 

 

 来たか……

 

「……お呼びでしょうか灰の方」

 

「なっ……」

 

 

 転移門から現れた火防女に目を見開くクアイエッセを放置してネームレスは火防女へ歩き……

 

 

 レティシアに蘇生して貰いたい娘がいるんだが…………

 

 

 瞬間、背筋に氷を突っ込まれたかのような寒気を感じてネームレスは言葉を止めた。

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 あ、失言した。

 そう理解した時には遅かったのかもしれない。黙って俯いたレティシアからは普通では無い雰囲気が醸し出されている。

 氷を突っ込まれたかのような寒気……なんてちゃちなもんじゃあない。きっとこれはエルフリーデよりも寒い何かだろう……うん、間違いなくレティシアからの好感度はパッチへの期待度以下に下がっていってるはずだ。

 ああ……ナザリックにいる間は教会にいよう。きっと彼女なら受け入れてくれるはず……あ、いや、異世界転移してから一度も顔出してないし、若干忘れてたし…………好感度下がっていたらどうすればばばば────

 

 

「……灰の方、どうか、おやめ下さい…………」

 

 え?

 

 

 俯くレティシアの口から零れた言葉は今まで聞いたことがないほど寂しげだった。

 まるで私の思考など見当違いも甚だしいと言わんばかりのそれに私はただ、ただ動揺し

 

 

「……もう使命は終わったのです。だから、どうか無闇に自ら危険に飛び込むなんて……ことはしないでください」

 

 …………。

 

 

 ああ、クソったれ。前回レティシアの所に顔を出した時はなんとも言えない雑なものだったが…………彼女はきっと自分の言いたいことを抑えていたのだろう。

 想起するのは嘗ての記憶……あの頃、彼女はずっと祭祀場にいた筈だ。外に出た時なんて……最後のあれだけか。

 となると彼女はずっとずっと、外へ使命の為に奔走する私を見てきて、傷つきボロボロになった私を見てきて……何度も死んだ私を見てきて…………ユグドラシルで創り出した時も最初の火の炉から出ずに毎度毎度狩りから帰ってきた私を出迎えるばかり……ああ、まったく

 

 

 ……すまない。それは少し約束できないな

 

「っ…………」

 

 使命は終われど、今の私には貴公は勿論ナザリックの、友らの子供らをモモンガさんと共に守るという義理がある。だから、すまない

 

「ですが……」

 

 それに性分なのでな。それは幾ら死んでも変えられない

 

「…………わかりました。灰の方はずるい御方ですね、私では貴方を止められないようですし」

 

 

 顔を上げ、微笑を浮かべた彼女に私は手を伸ばしてその綺麗な肌を傷つけないように優しく撫でる。

 これだけじゃあ足りないだろうな、またナザリックに戻った時は一緒に食事でもしよう……そして、その時には彼女の所に行かねばな。

 

 

 と、それですまないが蘇生を頼みたい……出来るか?

 

「はい、火防女としての役目を果たしましょう……どれを使いましょうか」

 

 死者復活(レイズデッド)……いや、あれは死体がなければ無理だったな、ペストーニャなら真なる蘇生(トゥルー・リザレクション)が使えたが……まあ、仕方ない。蘇生(リザレクション)で頼む

 

 

 そう言って先程の戦闘で切り飛ばしていた番外席次の左腕を拾ってレティシアの前に置く。

 第七位階なら問題は無いはずだ。これで駄目なら虎の子の真なる蘇生入りのスクロールを使うがアレは他のスクロールと違って絶対数が無いと言うかマイルームのボックスに入れっぱなしだ。

 あのザ……蜥蜴人(リザードマン)の蘇生直後を思い出してみれば満足に身体が動かせず呂律も回っていなかったが番外席次はどうか分からんからな、もしも蘇生直後に動けてレティシアに危害を加えられても困る為、火継ぎの大剣を用意しておこう。

 

 

 さて、クアイエッセと言ったか……貴公らは何をしに来た

 

「っ……!!は、はい……わ、我々は……さ、最高神官長方の御命令により竜王国の危機を単身救った御身を神人かプレイヤー様かを確認、いえ御伺いする為に来ました……」

 

 ああ……それもそうか。人類の守護者を名乗ってる以上、数千のビーストマンを単身滅ぼした相手を引き込もうとするのは当然か

 

 

 クアイエッセの言葉に頷きつつ、レティシアの魔法行使を見守る。

 これなら身体を吹き飛ばさず殺せば良かったな………………いや、駄目だわ。この装備だと種族認識不可の指輪を付けてる代わりに人化の指輪外しているから種族レベル由来のスキルがあるわけで…………死の騎士(デス・ナイト)取ってたからな、番外席次の死体が残ってたら従者の動死体(スクワイア・ゾンビ)が発生してしまう。そうなったら面倒だ。

 間違いなく法国との亀裂は確実だろう。

 

 

「蘇生────」

 

 

 行使される魔法は光となり左腕を包み込んで少しずつ大きくなっていく。

 丁度人一人分の大きさになったと思えば光は消え、そこには一糸まとわぬ番外席次が────

 

 

「は、灰の方!!」

 

 ぐふっ────

 

「ァアッ!?」

 

 

 兜のスリットに入り込む白魚の様に美しい二本の指、眼球に走る激痛、隣から聞こえたクアイエッセの悲鳴。

 おうふ、目が痛い。

 

 

「灰の方、何か、何か着替えを……!」

 

 あ、ああ……こ、これでいいか……

 

 

 片手で目元を────兜を被っているため正確には目元を押さえられていないが────押さえつつもう片方の手でアイテムボックスを開き鎧ばかりの装備の中からローブ系……黒金糸の上下を取り出してレティシアに渡す。

 そういえばそうだった。蒼の薔薇と違いシャルティアの様に遺体がない状態での蘇生だから裸で蘇生されるのか……ああ、目が痛い。

 

 

「……もう、大丈夫ですよ」

 

 ……目が……

 

 

 そこそこに回復した視力でちらりと番外席次をみれば元々十代前半そこらの体躯であった為にややぶかぶかな黒金糸を着ている少女がいる。つい先程までの戦意などなく、何やら妖しい……いや、やばい眼をして更にはやばい雰囲気を醸し出している。

 そう、とても嫌な予感しかしない。さながら狭間の森その湖の奥にあった黒い歪み、さながらあのマヌスの落とし仔な王妃、さながら螺旋の剣が刺さったグンダ。

 

 

 …………え、あ

 

 

 だから、だろうか。私はつい、呻くように数歩下がり……

 

 

「私貴方の子を孕むわ────」

 

 ファッ────!?

 

 

 番外席次の言葉に私はモモンガさんと違って臓物がある為に胃がキリキリとしているのが嫌にはっきりと理解出来てしまった。コフッ

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 火は燃える。

 火は燃える。

 

 嘗て使命に囚われた憐れな火防女は火の無い灰に語った。

 

 火は消える。しかし、どれだけ小さくとも、暗闇の中に火は現れる。

 

 

 

 

 そこは大地の中にあった。

 岩を削り出したかのような建築物、普通に建てられた建築物、そんな複数種類の建築物が立ち並ぶその都市には天井があった。

 先にも述べた様にその都市は地下に広がる都市……いや、一際巨大で悠然と佇む建築物をみればただの都市ではなく王都という呼称が正しいだろう。

 そんな王都には小さくずんぐりとした体躯のモグラのような種族が跋扈しているがきっと彼らがこの王都の支配者ではないのだろう。

 文明に対して彼らの身なりが釣り合ってはいない。さしずめ侵略した都市にそのまま居座っているのだろうが…………。

 

 

 そんな王都の中心街路にポツリと異様なモノが顕れた。

 灰に埋もれた白骨。

 唐突なそれに誰も気が付かない。

 そこに突き立てられた螺旋の剣。

 

 そして、火は舞い、灰は散り

 

 火が熾った。

 

 

 

────火を継いだ者がこの世界に顕れた事で縁は作られ王の縁者もまた火の無い灰として顕れた。

 

 

 そして、いま、また一人

 

 

 火は吹き上がり、その中より一つの人影をこの世界にい出させた。

 しかし、その体躯人にあらず。

 家屋二階分では足りぬ体躯に人二人分はあろう大鉈を持ち、王冠を戴く者。

 

 

「……古き友よ(old friend)

 

 




ヒロインアンケート
イビルアイ……13
ドラウディロン……12
聖棍棒、ラキュース……9
レイナース……3
ネイア、アルシェ……2
エンリ……1

こんな感じですかね。イビルアイがドラウディロンを抜かしたようです。とりあえず土曜まで受け付けてるのでまだの方はどうぞ

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