UNDEAD───不死人   作:カチカチチーズ

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ちょっと遅れましたね投稿。
風古戦場、風パが弱くて辛たん
これからどんどん暑くなってくぞぉ
るしふぁーの声には笑ってしまった


休息

 

 

 

 

「むぅ……」

 

 

 俺、モモンガこと鈴木悟、現状冒険者モモンはとある悩みを抱えていた。

 なんやかんやで冒険者として先輩である銀級冒険者チーム・漆黒の剣と一緒にモンスター狩りをしようとしていたら、あの街エ・ランテルで有名なタレント持ちの薬師ンフィーレアより指名依頼でこの薬草取りの護衛に来たわけだが……一つ問題が出来た。

 いや、同じ魔法詠唱者で声も似てて名前も似てたからという理由でエンリ・エモットにカルネ村を救った魔法詠唱者モモンガだとバレてしまった事は……うん、そんなに問題じゃあない。

 彼女には内緒にしておいて欲しいと頼んでおいたし、彼女も内緒にしてくれると約束してくれたし…………で、その問題なんだが……。

 

 

「……やはり、無理ですか」

 

「ああ、無理っぽい……」

 

 

 トブの森にて現在依頼である薬草取りの護衛をしている俺たちだがせめて自分らも薬草取りを手伝おうとンフィーレアから薬草と取り方を教えて貰ったのだが…………何故か、俺は薬草が摘めなかった。

 え?パンドラズ・アクター?最初は摘めなかった癖に何か考え込んだと思ったら摘めるようになってたよ!なんなんこいつ……泣くぞ

 

 

「……お前、どうやって摘んだ」

 

「恐らく取得しているスキルか職業または種族の問題かと思いまして至高の御方々の中から指輪を装備出来て且つ森司祭等の職業をお持ちの御方の姿を取らせていただきました」

 

 

 まあ、さらに鎧を装備出来る職業をお持ちであるという条件もありましたが、と笑うパンドラズ・アクターに俺はひとまず納得し少し考え事をする。

 恐らく俺やパンドラズ・アクターが最初薬草を摘めなかったのはパンドラズ・アクターの言う通り職業やスキルの問題なのだろう。だが、それなら魔法詠唱者であるニニャや戦士であるペテルが摘めるのは何故か?恐らくユグドラシルというゲームシステムの影響下にいた我々と違って彼らはそういう経験があった故に出来るのだろう。

 ゲームが違うがなにかの行動についての熟練度により、より良い結果を出せるなどそういったシステムを思い出せば納得出来る話だ。

 経験を積む事で最初は出来なくとも段々と出来るようになっていく、熟練度がレベル関係無しにあるのならそれはきっと我々プレイヤーやNPCたちが限界を超えた成長を得ることが出来ることではないだろうか。

 

 ………………アレェ?そうなると焼死体がより強くなって爆走し始める未来しか見えないぞ。PVPはタイミングとか何とか言うあの人がもし、熟練度上げてこの世界特有の武技なんか手に入れたら……うわぁ、えぐっ。

 鬼に金棒じゃなくてたっち・みーさんにウルベルトさんになってしまう……。

 

 

「モモン、どうした」

 

「ん、あ、いや、すまない。少し考え事をしていた」

 

 

 危ない危ない思考の海にどっぷり浸かってたようだ。アクトに戻ったパンドラズ・アクターに声をかけられ現実に戻ってみれば既に薬草摘みは半分近く終わっていた。

 どうやら、パンドラズ・アクターは俺や別の方で警戒しているルクルットの様に周囲の警戒に回ってきたようだ。

 

 

「それにしても災難でしたね。正体がバレるとは」

 

「お前、他人事だからって軽く見てないか?というか、お前創造主に対して軽くない?」

 

 

 いや、ほんと。他のNPCたちに比べてもなんかパンドラズ・アクターはなんというか気安い。ついつい素が出る程度に気安いんだが……もしかして他のギルメンはともかく自分の創造主に対してはどのNPCもこんなんなのか?

 いや……アルベドといいデミウルゴスといいセバスといい、こんな態度はしないだろう……多分。

 

 

「いえ、実はネームレス様に言われまして。モモンガ様はナザリックのシモベから寄せられる過剰すぎる信頼と言いますか期待と言いますかそういったプレッシャーに応えようと自らを抑えられている、と。なので不肖、この息子パンドラズ・アクターはモモンガ様の為にこうかるーく接しています」

 

 

 なので必要ならどつきます。そう漆黒の剣やンフィーレアには聞こえないように小さな声で俺に告げたパンドラズ・アクター。

 ネームレスさんから貸し出された兜でその表情は見えないがきっと笑っているのだろう。……ああ、本っ当にネームレスさんがいてよかった……いや本当にありがとうございます。

 なんか、パンドラズ・アクターの大仰な仕草やら言葉遣いをこう普通にさせてくれて…………だけどきっと、パンドラズ・アクターはストレス感じてるんだろうな……俺が設定したとはいえ普段の振る舞いをするなって言われたわけなんだから…………よし、ナザリックに戻ったらなんかしてやるか。これも支配者として必要な事だな。

 ………………まあ、なんか、その支配者もといまとめるモノがつい昨日増える予定が出来てしまったんだが……いやいや、法国って……しかも神って……俺、ただのサラリーマンなんだけど、小卒のしがない社畜だったんだけど……どうしてこうなった……とりあえずネームレスさんに投げつけよう。あの人ならなんとか出来るだろう多分。

 

 

「はぁ……」

 

「で?名声の為に例の森の賢王とやらを呼ぶのは?」

 

「ああ、それは止めた。ネームレスさんがランクアップの為のチャンスを上手く作ると言っていたからな……それに銀級の言葉よりアダマンタイトの言葉の方が大きいからな」

 

 

 切り替え早いなーと思いつつ、カルネ村で考えていた案を思い出す。

 聞けばこのトブの森には森の賢王とかいう魔物がいるらしく、冒険者としての名声を勝ち取るべくその森の賢王を倒すか屈服させるかする予定だったのだが……その旨をネームレスさんに伝えたら、なんか普通に「銀級よりアダマンタイトの推薦の方が良くないですかねぇ……いや、別にカッコつけたいならどうぞ」って言われたからなぁ……。

 アレだよなぁ、プレイヤーから見れば初心者プレイヤーの前でそこそこの奴瞬殺して、それを自慢するカンストプレイヤーというなんか恥ずかしい光景だよなあ。

 

 

「なるほど、強さ自慢が恥ずかしいんだな、分かるよ」

 

「口にしなかったことを言わんでいい」

 

 

「あ、モモンさん、アクトさん、薬草は取り終わったので森を出ましょう」

 

 

 と、どうやら、終わったようでニニャが声をかけてきた。俺はそれに軽く会釈し、パンドラズ・アクターを連れて彼らの方へ足を向ける。

 それにしても、偉業を用意するっていうのは別に俺的にはいいけども…………ネームレスさんだからなぁ……。

 

 

「むぅ……新作の素材がなんか色々足りないな……ちょろまかした分合わせても足らない……どうするべきか」

「やはりマラソンか、私も行こう」

「焼死た院」

 

 

 あのるし☆ふぁーさんとそれなりにつるんでいて無茶振りかますところあるからなぁ、普段は趣味に全振りなロールプレイヤーで気配りもするけど、結構……アレなところあるからなぁ。

 変な無茶振りが無いことを祈っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「よろしかったのですか?」

 

 ん?何がだ?

 

 

 エ・ランテルに幾らかある中でも最高の宿屋である黄金の輝き亭、その宿屋の一角にある部屋にて一人の騎士に青年は疑問を呈していた。

 普段装備している鎧は既に脱ぎ、この世界から見てもそこそこの私服に身を包んでセレネはナザリックのそれとは比べられないほど格の下がったソファーに腰掛けながら、何やら書類のようなものを書いていく。

 

 

「いえ、あのブレイン・アングラウスという男です。確かにあのガゼフ・ストロノーフと同格で人類の戦力としては申し分ありませんが……仮にも盗賊に与していた男、逃がしてもよかったのですか?」

 

 

 ああ、それか。そう呟きながら万年筆を走らせ書類から目を離さずに青年、クアイエッセに告げる。

 

 

 アレは強くなるよ。流石に私たちにはいかないだろうが貴公らには届くだろうさ

 

「……我々にですか」

 

 

 流石に受け入れにくいその言葉にクアイエッセは顔を顰めるがすぐにその表情を崩す。

 自分たちでは決して届かぬ存在、神たる御方がそうおっしゃるのならきっとそうなるのだろう。私如きではその理由は分からないが、神はそれを見抜いていらっしゃる……おお、なんと素晴らしい事か。

 と、まあ、自己完結し始めたクアイエッセをよそにセレネは先程から自分の背中とソファーの間に入り込みセレネの背中に張り付いている人物に意識を向ける。

 

 

 それで貴公はいつまで私に張り付いてるつもりだ?

 

「貴方の子供を孕むまで」

 

 ちっ、死ぬまで離れないのか

 

 

 死んでもお前を抱かん、そう宣言してるに等しい言葉を受けても番外席次は動かず離れない。

 そんな彼女にため息をつきつつ書き終わった書類を傍らに待機していた影の悪魔に手渡し、腰を上げる。無論、番外席次は張り付いたままである。

 

 

 …………降りろ

 

「嫌だ」

 

 降りろ

 

「孕ませて」

 

 

 剥がそうと番外席次の腕を掴むが流石はレベル九十代、ステータスダウンにより殆ど同等のセレネではなかなか手古摺るようでその表情は引きつり、それを見ているクアイエッセはオロオロしていた。

 だが、そんな二人など一切気にせず番外席次はセレネの首元に顔を埋めたままである。

 

 

「か、神…………」

 

 こ、これで外に出るわけにも行かんしなぁ……

 

 

 どうにかして引き剥がさないとなぁ、そんなふうに愚痴りながらもう一度ソファーに腰掛けようとして────

 

 

 む……

 

 

 伝言が繋がったのを感じ取り、指を頭に当てる。

 

 

『私だ────誰だ』

 

『はっ、アルベドでございます。御忙しい中、御身の時間をしばし頂くことを御許しください』

 

『アルベドか……なんだ』

 

 

 アルベドからの伝言に珍しいなと感じつつ、用件を聞く。

 

 

『ネームレス様が御命じになられた竜王国の周辺ビーストマンの調査ですが……どうやら、おおよそ一ヶ月以内に竜王国に攻め入るようです』

 

『ほう……それは面白い、予測規模は?』

 

『報告された時点で数万……少なくとも五万は超える見込みです』

 

『なるほど、前回のは本番前の斥候じみたものか…………ならば、利用するしかないだろう』

 

 

 そう、アルベドに告げて妖しげな笑みを浮かべるセレネ。それを見たクアイエッセは背中に冷や汗が垂れるのに嫌な予感がしつつも、それが人類にとって良い事ではあるのだろうと察し、ここにはいない最高神官長らに後を任せ自分はただ仕えることを決めた。

 

 

 

 

 




悲しい話だ。読者の表によって竜王国により大きな災厄が……
明後日……2章が楽しみです。オフェリアを泣かせたい、屈服させたい、調教したい!(欲望だだ漏れ)
心をもっかい折って依存させたい


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