感謝……圧倒的感謝……!!
それと誤字脱字報告ありがとうございます。ほんとに。
「全軍、前ヘ……圧倒的ナ勝利ヲ御方ヘト捧ゲヨ」
「「「────!!!」」」
銀騎士総勢五千は凡そ十万────途中離脱したビーストマンらはネームレスにより焼き払われ凡そ一万程が焼け死んだがしかし、竜王国内にて暴れていた他の群れが合流した事で数は当初のソレへと戻っていた────のビーストマンの群れへと行進を始めた。
平均レベル三十台のナザリック・エルダー・ガーダーは
しかし、そんなことを知らぬビーストマンの軍勢はろくな隊列を組まずに食い物が自らやってきたと涎を垂らしながら咆哮し銀騎士の軍勢へと我先にと突っ込んでいく。
振るう刃、突き出す槍。
獅子のビーストマン、蛇のビーストマン、虎のビーストマン、豹のビーストマン、猫の、犬の、多種多様なビーストマンがその爪を牙をもって銀騎士へと襲いかかる。だがしかしだ、所詮は獣。
その爪が牙が鎧へと突き立てるよりも早くに銀騎士の振るう剣が槍がビーストマンの肉へと深々と刺さり切り裂いていく。
それはさながらステーキをナイフで切り分けるかのように軽々と引っ掛かりもなく容易くその身体を解体していく。
倒れ伏した獣だったものを踏み砕きながら銀騎士たちは進んでいく。
死ね。死ね。死ね。死ね。
勝利を。勝利を。勝利を。勝利を。
銀騎士の兜より覗く亡者の赤い眼光は一様にビーストマンの死を、至高の御方へと捧げる勝利を渇望していた。
そんな生ある者では感じられない濃密な死の香りに怯える一部のビーストマン。しかし逃れる事は出来ない、既に王の側仕えたる四騎士が戦場へと歩を進めている。
不死の戦士。壁役を務める事もある彼らはやはり、その身にある力を使い逃げようとするビーストマンを戦場に釘付ける。
これは王へと捧げる戦。それより逃れる事は一切許さない。
そう言っている亡者の赤い眼光を滾らせ四騎士は戦場を進む。
身の丈ほどある鉄槌、聖騎士リロイのグラントが豹のビーストマンらの顎を頭を肩を身体を破砕し、鮮血の花を作り出していく。
狡猾なる騎士、トゲの騎士カークがその手に握るトゲの直剣を振るい獅子のビーストマンらの身体をバターのように裂きながら進み、白獅子のビーストマンを抱擁する。その夥しい程に幾つものトゲを生やしたその全身鎧により抱擁を受けたビーストマンはその身体に幾つもの穴を空け全身から血を流し死に絶える。
放浪のクレイトンがその竜断の斧を振り払いながら進行方向のビーストマンたちを尽くその身体を切断し吹き飛ばしながら道を作っていく。
そして、銀仮面を付けた薬指のレオナールはクツクツと嗤いながらその欠け月の曲剣を振るっていきまるで舞うようにビーストマンを殺していく、途中で襲撃した街より手に入れたのか盾を持ったビーストマンがいたが曲剣は盾を無視してその身体を切り裂いていた。
抗う事が許されない程の存在である四騎士にビーストマンがどんどん数を減らしていく中、彼は未だ苛立っている。
コキュートス、真ん中を開けろ
「ッ!ハッ――――中央ヲ開ケヨ!」
ネームレスに命じられコキュートスが軍勢へと指示を出せば、中央を開けるように軍勢は動き、唐突に開いた中央へとビーストマンらが雪崩込んでいく。
そんなビーストマンらにコキュートスは迎え撃とうとして────
灼けろよ
ネームレスの左腕、指にはめられた二つの指輪がその力を発揮する。
片方は先日に使用した召喚モンスターのステータスを強化するサモン・アップ・リング。もう片方は……
『────!!!!』
戦場に王都に響き渡る程の咆哮をあげる存在。
一つの屋敷程はあるだろう灰色の巨躯に動かせば簡単に人間など吹き飛ぶであろう翼、生命を容易く奪う鋭い爪と牙、幾つも生えた角に家屋を容易く倒壊させる太い尾。
ネームレスの上空、壁上よりも高所に突如として現れるは一体の竜。
課金アイテムによってネームレスの望む姿に生まれ変わった竜の名は『古の飛竜』、レベル八十代後半の召喚モンスターである。
そんな突如として姿を現した飛竜に中央へと雪崩込んできたビーストマンたちはその脚を止め、そのまま後から来たビーストマンらに押し倒され転んでいきパニックに陥る。
そのビーストマンの醜態にネームレスはその兜の下で眉一つ動かさず腕を振るう、そうすればそれに応えるように飛竜はその強靭な顎を開き、口内を赤く染める。つまるところ、竜種の代名詞とも言える
吐き出された火炎はそのまま左右の銀騎士を灼かずに中央へと雪崩込んでいたビーストマンらだけを灼き殺していく。
辺りに満ちる焼けた肉の臭い、それはビーストマンたちに怒りと恐怖を抱かせ、銀騎士たちはその士気を高めた。
好きに灼け
『────!』
ネームレスの言葉に従い飛竜はその場からビーストマンの軍勢の方へと飛翔し時折
それを亡者の赤い眼光で見届け、戦場へと歩を進める。
「ネームレス様」
止めるな。心配だと言うのなら旗持ちを連れていく
「ハッ」
止めようとするコキュートスに先んじて妥協案を投げつけるネームレスにコキュートスは頭を下げ、ネームレスの近くにいた旗持ちの黒騎士二体が旗をその場に突き刺し、背負う大剣と盾を手にして中央を進んでいくネームレスに追従する。
中央を進むネームレスは灼けたビーストマンだったものを踏み砕きながら進む。
そんなネームレスに怒りが湧いたのか一体の大柄なビーストマンがネームレスへと突っ込んでくる。
緑色の体躯に赤い角を生やし、カメレオンの様な眼を持つ蛇のビーストマンの様な存在。ネームレスはすぐにそれが蛇のビーストマンの王のようなモノだと理解する。
「死ねぇッ!!!」
殺意を剥き出しにその手に握られた鉈の様なモノをネームレスへと振るう。
それを火継ぎの大剣で受け止めれば剣が孕む熱に鉈は溶けてしまい、すぐ様ビーストマンはそのカメレオンの様な眼をネームレスへと向けて妖しく輝かせるが何も起きない。
「っ!?何故だ、何故石にならない!!??」
ほう……さしずめギガントバジリスクのビーストマンか……面白い……面白いが
不愉快だ。
そう恐ろしい声音で呟いたネームレスにギガントバジリスクのビーストマンは熱を帯びた寒気の様なモノを感じてその下顎をネームレスの左手に掴まれる。
瞬間左手から吹き出す炎。
悲鳴をあげる暇もなく首が灼かれ、頭が灼かれ、身体が灼かれ、後に残るのはビーストマンだった灰。
その灰を踏み躙りながら、ネームレスは剣を握り身体だけを右側に捻じる。
その眼光も下半身も眼前のビーストマンたちへ向けたまま。
灼け死ね、虹の橋よ堕ちろ、世界を斬るは我が焔の剣ィイイ!!!
《
限界まで捻った身体を勢いよく引き戻し、そのまま右手に握る火継ぎの大剣を振るい自身の持ちうる最強のスキルを行使する。
先日より引きずっていた苛立ち、戦場での高揚もあるのか、火炎領域最強である自身を同じく火炎領域の
距離にして数キロ。
放たれた一撃は一直線にビーストマンの軍勢を灼き切り裂き、ビーストマンの軍勢後方にてビーストマンを攫っていた悪魔たちを掠めそうになりながら軍勢からさらに後方まで大地に切傷と焼け跡を残した。
そんな有り得ない光景に壁上のクアイエッセは狂喜の極みで白目を剥き、ニグンは滂沱の涙を流し、宰相や衛士らは半ば気絶し、そしてドラウディロンはボーッとした表情でそれを見ていた。
無論、コキュートスはネームレスのその一撃に感激し心撃たれより一層に軍勢の指揮に力が入り、それに応えるように軍勢もまたその士気を高めた。
「討チ滅ボスハ今カ、ナラバソノママ潰セェ!」
「「「「────!!!!」」」」
振るった大剣を下ろし、ネームレスは自ら作り出した切傷と焼け跡を眺めながらその場で足を止める。
今の一撃でどれほどのビーストマンを殺したのだろうか、ある程度落ち着いたネームレスはそう自問自答をしながら戦場ではなく自分の内を見ている。
苛立ちは最初の時よりもなるほどたしかに無くなっただろう……だが、それでも苛立ちは完全には無くならず、チラチラと意識の端に映る煩わしいモノごと灼こうと火継ぎの大剣に炎を灯し、自分を何としてでも殺そうと迫る他のビーストマンよりも大柄な屈強なビーストマンらを見据えて────
「おおぉぉおお!!!」
ネームレスの後方より男の叫び声が聴こえた。
コキュートスの声ではない。
四騎士と違い黒騎士や銀騎士は言葉を使う事は出来ない。
ならばいったい誰なのか、意識の端でそう気になったネームレス。次の瞬間、そんなネームレスのつい隣を大槍の如き雷が迸りネームレスの前方に迫るビーストマンらをその雷をもって殺してみせた。
その雷を見て、ネームレスの中の何かが溶けたような気がした。
ネームレスは後方を振り返る。
追従していた黒騎士二体が大剣を構え、その男を警戒する。
指揮をしていたコキュートスが何時でも動ける姿が見える。
そして、肝心の男は……
一度両足を揃えて少し屈み、その後ゆっくりと両手を肘から順に学ランを着た応援団がする様なYの字に広げつつ、軽く胸を張って伸びをする。
知らぬ者が見れば何とも奇妙なポーズでありこの場でやる意味が理解出来ないもの。
しかし、ネームレスはそのポーズを登る太陽を表現し、太陽の光を全身で受けているようにも全身で輝く太陽を表現しているとも見えた。いや、いや、それよりもこの男こそが太陽なのだと知っている。
「おお!太 陽 万 歳!!!」
そこには太陽の男がいた。
そして、月が炎に消えた。
太陽万歳!
竜種召喚の指輪。セレネとして倒したマッチポンプのヘルカイトと同じくぶくぶく茶釜が当てたLv90ドラゴンのガチャと同じガチャ産の課金アイテム。
課金アイテム等を使用する事で召喚するドラゴンのデザインを変えられる。召喚できるドラゴンはあくまでレベル八十代な為微妙なアイテム。