魔が注ぐは無償の愛   作:Rさくら

27 / 37
純白04

 

 

 

 

 

 晴れ渡る空の下、緑生い茂る山林に優しい風が吹く。

 

 眼下で歩み行く人々を眺め、岩壁の上でたっち・みーは満足気に頷く。

彼を包む白銀の鎧も誇らしげに輝き、喜びを現すかの如く赤いマントははしゃいでいる。晴天、爽やかに広がる青空。囀る鳥たち。薫る風。全てが祝福を贈るべく世界を奏でているように、彼には感じられた。

主人が抱く悦びを察した執事が、横からそっと祝いの言葉を述べる。

「おめでとう御座います、たっち様」

「あぁ、ありがとう、セバス」

自身が創造した執事のセバス・チャンに返す言葉が弾んでいることは、たっち自身も自覚している。しかしそれも仕方無いと思う程、崖の下に続く途切れることのない行列は、たっちにとって至極嬉しいものだった。

全くもって、爽快なる気分であった。

「ウルベルトさん、悔しがってるだろうな」

「おそらくは」

黒衣の執事は微笑み、前向きな返事をする。

実際の所どうなのかは全く分からないのだが、悔しがっていると良いとたっちは意地悪く思う。そしてまた、眼前の自身が救済した万単位の人々を嬉しそうに眺めた。

その顔に蔓延る陰鬱とした表情も、アインズ・ウール・ゴウン魔導国でいずれ笑うだろうと、満足気に。

 

 

 

 現在、ゴーストタウンが散らばる森林地帯と連なる山脈の一部にかけて、黒と白の両陣営で互いの足を引張り合いながらの地道な作業が続いていた。偵察を放っては潜む者達を見つけ、適当なモンスターに襲わせて自身の陣地に追い込むという、なんとも地道な作業が。

 ルール上どちらの陣営にも属さない場所となってしまったその一帯には、スレイン法国の兵士達だけでなく非戦闘員も含めた数多くの法国民が未だ潜伏している。

法国軍は徹底抗戦の構えを解かず、潜伏のため散り散りとなっても武装解除をどの部隊も行わなかった。彼らは決して諦めずに、魔導国の拠点目掛けての侵攻と攻撃を未だに仕掛け続けている。それは残された人類としての誇りによるものでもあり、そして囮の役割もあった。生き残った法国民達が少しでも多く魔導国の手が及んでいない国外に逃亡できるようにと、彼らは戦っていたのだ。

その中に強者が紛れ込んでいる可能性に警戒しつつ、黒の陣営も白の陣営も少しずつ彼らを捕縛する作業を続けていた。

 たっちの率いる白陣営も、黒陣営にちょっとした嫌がらせをしつつ、地道に法国民の保護活動を行っている。白の陣地内に人々を追いたて捕縛し連行する、ちまちまとした作業は真面目な白陣営参加者達には合っていたらしく、保護活動に今のところ大きな失敗は無い。それどころか先程たっちが眺めていた万単位の人々の救済は、大成功とも言えるものだった。

 数時間前に見つけた護衛部隊に守られていた法国民の大移動は、一般市民はほぼ死傷者無しで保護が出来ている。

先に白陣営側が見つけたこと、発見場所が白側の陣地が近く有利だったこともあり、とんとん拍子で陣地内に追い立てることができたのだ。黒陣営には全く邪魔されることなく、大量の人間が。

 黒陣営側にとっては、何も面白くない展開だろうとたっちはまたにんまりする。白陣営側に黒陣営側がまんまとしてやられたというだけでも、彼には愉快なことであった。

 

 

 

 たっちの足元に落ちる影に、影の悪魔がやって来て報告を上げる。捕縛した人々を移送する馬車の準備が整い後は順次出立するだけという報告を受け、思わず鼻歌交じりになりながら、たっちはアイテムボックスからスクロールを取り出す。

先程、死者の魔法使いから相談されどこかに移動した執事はまだ戻ってきていない。わざわざ彼の戻りを待つ必要もないかと思い、たっちも仕事を進めることにした。

スクロールを放り上げ、たっちはその魔法を唱える。燃え上がったスクロールは使用者の指示通り〈伝言〉を発動させた。

「ペストーニャ、今は大丈夫か?」

たっちが〈伝言〉を飛ばした相手は、ペストーニャ・S・ワンコだ。彼女は今、二日前に無傷で拠点にしたばかりのそこそこ大きな都市に居る。

『た…!んん、し、失礼しましたわん…!』

驚いてしまったせいで名前を口走りかけたペストーニャが、咳払いで誤魔化す。その反応から近くに彼女を慕う冒険者達がいるのだろうと察し、タイミングが悪かったかなとたっちは懸念する。

「すまない、タイミングが悪かったみたいだな。セバスが仕事中で手が離せないから、私から連絡した方が早いと思ったんだ」

『そんな!御身が謝られることなど、何一つとて御座いません!』

慌てふためく声音に苦笑し、しかしせっかくスクロールを使ったのに切るのは忍びなく思え、たっちは尋ねる。

「それで、今は大丈夫かな?どうやら周りに人がいるみたいだが…」

『大丈夫で御座います。皆さん、部屋から退室してくださいました』

「そうか。それじゃあ本題に早速移ろう。こちらは無事終わって、今そちらに向かう馬車の出立準備が済んだところだが、そちらはどんな様子だ?」

ペストーニャと彼女を慕う冒険者達に無条件降伏を飲んだ小都市の掌握と保護施設として利用するための準備を、たっちは任せていた。今回の一件で急遽保護することとなった人々は、その都市に行くことになっている。しかしそれは、既に利用している法国都市の施設の容量があまりに足りない為に急遽決まったことだった。そのために最後の確認作業を急ぎ終わらせるように、彼女達にたっちは頼んでいたのだ。

申し訳無いとは思いながらも、他に手段がないために仕方なく。

「私から指示を出しておいて何だが、無理をさせる気は無いんだ。受け入れが厳しいなら言ってくれ。それに、何かの罠ということも無条件降伏の時は考えなければいけないからな」

『御安心下さいませ、たっち様。不可視化スキルや魅了スキルのある者達の協力で最終確認は終わりました。何かしらの企みごともなく、皆さん改心しております。施設の準備も整っておりますので、そちらの皆様をちゃんとお世話させて頂きます、わん!』

最後の元気な鳴き声に、たっちは微笑む。感謝を述べ、それに恐縮されながら、たっちは最後にペストーニャに頼んだぞと伝え〈伝言〉を切った。そして足下で大人しくしていた影の悪魔に、移送担当者に出立するよう言伝を指示する。

そして振り返り、死者の魔法使いと共に戻って来ていた執事に声をかけた。

「セバス、そっちは終わったのか」

「はい、片付けは終わりました。それから、少し報告が御座います」

「報告?緊急事態か?」

少し慌てた声を出した騎士に、執事も慌てて首を横に振る。

「いえ、緊急では御座いません。少しばかり確認を取りたいことがあるだけです。御御足が汚れてしまいますが、よろしければこちらにご足労願います」

首を傾げつつ、彼に招かれるままにたっちは歩み、足を進めた。

「どうぞこちらへ」

先導する死者の魔法使いに続き、岸壁の縁から執事が飛び降りる。見た目とは全く合っていない軽快さで、彼は岩壁を何度か蹴って地面にべちょりと降り立った。そして同じく執事が仕える騎士も、迷うこと無く飛び降りた。その鎧姿からは想像できない軽々とした動きで、岩壁をまるで階段のように降りて行く。

 

 そして、地面の上にたっちが降り立った瞬間も、べちゃりという粘ついた音がした。

それに対して騎士は、仕方ないなと諦めの溜息を短く零すだけだ。なにせ地面の乾いているところは少ない。そこだけ踏んで移動しようとしたら、かなり跳躍しなければならなくなる。それは少し面倒だった。

びちゃり、ぐちゃり、彼らの足の動きに合わせて湿った土と液体がその存在を主張する。空は青く澄み渡り、雲一つ無い。しかしまるで雨が降りしきった後の様に、大地は湿っていた。

 そうして騎士と執事が異様に湿った大地を数歩進んだ先に、その原因が見えてくる。

彼らが眺め見渡す方向から流れてくるのは、血腥い風。開けた場所に、万の軍勢だった人間達が息絶え、横たわっていた。綺麗に整頓されて、隊列のようにずらりと死体は並んでいる。並ぶ遺体の中には欠損が激しい物も多く、悪ふざけのように腕や足が一本だけ転がっているのが幾つも見えた。

大地は、命燃え尽きた兵達の流した血潮と臓腑によって、濡れていたのだ。そして、その散った命は全て、たった独りの騎士によって掻き消されたものだった。

「死体はこれで全てか?」

「はい、全て集め終えたと思われます。念の為に吹き飛んだ死体がないかも、広範囲に探させました。それから、あちらに居るのが、どうするか確認したかった何名か居た軽傷者です」

執事が指し示す先、木陰の下で蹲る三人の男がいた。項垂れる彼らの傍には報告してきた死者の魔法使いとは別の見張りがおり、たっちの命令一つで即座に殺すべく待機していた。

「生存者がいたのか!?」

たっちが死者の魔法使いと執事に頼んだのは、彼が殺し尽くした法国兵士の死体の探索、そしてその整理だった。同時に息の根を止めきれていなかった者は、苦しまないように殺してあげることも頼んでいた。しかし、それはあくまで念の為の命令である。

全員が無駄に苦しむことなどないようにと、たっちは全身全霊をもって相手取り兵士達の即死を心がけていたのだ。そして内心、間違いなく即死だろうなという自信があった。

それに失敗した事実は、彼にとってなかなかにショックなことだった。

「なんてことだ…。苦しまないように即死を心掛けたのに…、腕が落ちてしまったのかもしれないな…」

「滅相もない。私めの方で念の為に何か防御系のスキルやタレント、アイテムか確認しましたが、どれも違いました。皆死体の山でこっそり隠れていただけで御座います」

「そうか…。それでも鍛錬した方が…、やっぱり鈍っているんじゃ、ああいや、今はそれどころじゃなかったな、すまない」

独り言を並べつつ、ふと我に返ったたっちは慌てて自分を戒める。そして自身が今抱えている、するべき仕事をするために、向かうべき場所へと足を向けた。

死体のように動かない、生き延びた兵士達の傍へと。

 たっちが近付くと、先程までぼんやりとしていたはずの三人が揃いも揃って俊敏に動き、土下座を始めた。敵国の、きっと仲間を殺し尽くしたはずの騎士に向かい、必死に彼らはその頭を地面に擦りつけていた。その姿には、敵意は見当たらない。そして、誇りも、何も感じられない姿だった。

「……顔を上げてください」

「は…、はい…」

ゆっくりと持ち上げられたその表情を正面から見て、たっちは一歩、後ろに下がりそうになる。塗り込められた絶望、悲哀、眼の奥で消えはしないが風前の灯火となった怒り。それは、たっちのよく知る顔だった。

 たっちは、何度も何度も何度も何度も、その顔を見てきた。そして全て見送ってきた。あの世界では何の力も無い、その手で握れる相手しか守れなかった彼は、ただ全て見ているだけだった。圧倒的な力を持つ搾取する側が、搾取される側を何の感慨も意味もなく踏み潰すのを。ただ、見ているだけだった。

「…立って、ください」

たっちは手を伸ばす。法国兵の顔に驚愕と戸惑いが浮かぶ。白銀の甲冑に覆われたその手は、なかなか取られない。しかしそれでも、じっとたっちは待った。暫らくしてやっと、震える手が、恐る恐ると騎士の手に近付いていった。信じて良いのか、惑う幼子のように。

その手がたっちの手に触れた瞬間、そっと握り締められる。そして、法国兵は騎士に引っ張られるまま立ち上がった。ざわりと、戸惑いの声があがる。

それもそうだろう。勝国の圧倒的な力を持つ騎士と、敗国の弱小な兵士が握手をしまるで対等な友のように並び立っているのだから。

「…死にたいのなら、苦しみもなく殺してあげます」

その言葉に、ぎくりと兵士達の顔がゆがむ。法国の兵士としての模範解答と、個人としての希望の間で揺れ動く彼らの答えは、次の騎士の言葉で決まった。

「生きたいのなら、これからは魔導国民として、幸せに生きて下さい」

「幸せ、に」

「ええ、幸せに、生き直してください」

それは当たり前の答えだったのかもしれない。死にたくなくて、生きたくて、彼らは死体の山の中で息を潜めていたのだから。

 

 

 

 死者の魔法使いに誘導される未だ戸惑った表情のままである兵士達を見送りながら、たっちは影の悪魔に伝言を任せる。

「……彼らが妙な真似をしたら、残念だが、その時は殺すように伝えておいてくれ」

影の悪魔が去ったのを感じ取り、たっちは辺りを見渡す。

 近くに侍っていたセバスは、死者の魔法使いと影の悪魔と共に移動と見張りの段取りについて打ち合わせ中だ。それを横目で見、そして並ぶ死体を見て、たっちは溜息を吐き出す。せめて殺し尽くしてしまう前に、降伏してほしかったなと。

「いや、さすがに兵士の彼らは大人しく降伏する訳にはいかないか…」

「しかし、残りの一万ほどの市民の方々は大人しく降伏してくださいました。それもたっちさまが圧倒的な御力を御見せになったからでしょう」

いつの間にか再び傍に控えていた執事の心配りに、眉間にしわを寄せていたたっちの表情が緩む。

「それでも、初めから降伏してくれるのが一番良いんだがな…」

転がる肉塊の無意味な死に、たっちは暗い声を落とす。

たっちは彼らに、降伏し考えを改めて魔導国で幸せに生き続けててほしかった。彼らが死のうが生きようが、法国の末路はどうせ変わらないのだから。それならば、友が築く、メッキの世界を見たからこそ創れる真の黄金の国で、幸せに生きてほしかったのだ。

「たっち・みー様は本当に、お優しい」

「…優しくはないさ。俺はずっと、諦めているだけだ。全てに対して」

今までとは違うどろりとした重いトーンに、執事は顔付を変える。それを見て、そして周りに誰も居ないのを見て、構わないかとたっちは口を滑らせた。限りなく独り言に近い、独白を。

「現実で、皆が平等に幸福になるなんて有り得ないのは解ってる。ずっと、諦めてきたんだからな。それこそ、この世界に来るまでの自分には何の力も無かったのだから、そんな世界を創れる訳がなかったんだ。理想郷を夢想するしかできない、弱者だった俺には」

「たっち様が…?」

信じられないという表情を見せる執事に、たっちは苦笑する。

「俺は弱くて、くだらない、在り来りな存在だったんだよ、セバス。自分と大切な存在以外なんかどうでも良い、そんな、在り来りな」

憧れていたヒーローと違い、そこら中に溢れているどこにでも居る存在にしか、たっちは成れなかった。自分と、その左右の手で握りしめられるモノを守るだけで精一杯な、そんな存在にしか。

「自身の足元がどうなっていようが気にもとめない。そんな奴らが支配する世界で、甘い蜜を啜っていた側だ。最後の最後にみっともない足掻きをして、…足掻いただけで、終わったが」

長い、疲労感の滲む溜息を零して苦笑交じりにたっちは話を締めた。

「だから、俺が弱者を救済するのは自分の為なんだ。誰のためでもない、俺のために、理想郷を創りたいだけなんだ」

「……それならば、ナザリックに正式に帰還されては如何でしょうか。どのような理想郷にせよ、地獄にせよ、支配者は要りようで御座います故」

その返答は意外なもので、ぱちくりと瞬きをしてたっちはセバスを見詰め返す。彼にとって訳の分からぬ話を聞かせてしまったことは自覚しており、てっきり流されるだけかと思われた話に、思わぬ提案が返ってきた。それは驚きであり、そして嬉しくもあった。

「たっちさま、私めはきっと貴方様の抱えてきたことを何一つ理解していないでしょう。それでも、」

そこでやはり、偉大なる造物主への提言という行為に逡巡し始めた執事の言葉の続きを、なるべく優しい声音でたっちは促す。

「構わない。言ってくれ」

「…たっち様、今の貴方様は、貴方様の意志一つでナザリック地下大墳墓に帰還しアインズ・ウール・ゴウンの頂点の座席に腰掛けることが許される身です。貴方様には…、この世界を、理想郷とする力が御座います」

その執事の単純明快なる事実の羅列に、たっちは雷に打たれたかのような衝撃を受ける。この世界はあの世界とは違う、解っていたはずの只の事実が、また改めてたっちの脳天を直撃した。

 たっち自身がまだ、あの世界での思考を未だ引きずっていたことに、やっと気付かされたのだ。

妥協も、忖度も、我慢も、切り捨ても、無視も、沈黙も、暗黙も、全て、今のたっちに強要できる者など、在りはしないのに。理想郷を目指し嘲笑う者も、自ら目を逸らしたくなるような高すぎる分厚い壁も何も無い世界。

その世界に、たっちは今、立っている。

「そもそも、このゲームが開催されなければ先程の人々全員が即死か、最悪の場合は死ぬよりも苦しい地獄へと連れて行かれていたでしょうし…」

セバスの言葉に、それもそうだとたっちは頷く。自身の言動が、我が儘が、国を動かした事実がやっと実感を伴う理解へと昇華されていく。

「……そうだ。今の俺には、力が、あるんだ」

顔を上げて、果無く続く大地の地平線の彼方へとたっちは思い馳せる。この世全てを平定し正義と幸福のもと支配する、それが今は夢物語ではないのだと、ここが今は現実なのだと、やっと彼は呑み込めたのだ。

今までずっと、手放して諦めて目を逸らして夢想することが正しかった自身の理想と夢。それを、たっちは確かに、掴み直した。見つめ直した。

目を見開いて、直視した。

「…セバス!!この世界全てをアインズ・ウール・ゴウンが支配するための戦争、それを、この世界の最後の戦争とするぞ!!」

その兜の下で主人の眼が何を睨みつけているのか、解った執事が恭しく、どこか嬉しそうに応える。

「畏まりました。御身に造られしこの身、その道阻む世界の全てを討滅してご覧に入れましょう」

執事の熱い返答に、にかりと笑い、たっちは果てない世界の先の先へと思い馳せる。

そして、嘗て自身に対して随分と嫌な質問をしてきたゲーム対戦者のことも、睨みつけてやった。

「俺は、答えを見つけたぞ…!!」

与えてきた問に、答えを返してやろうと獰猛に騎士は笑う。そして、その問をそのままに、あの悪魔の皮を被った人間に返してやろうと、仄暗い思惑をそっと胸中に潜めたのだ。

それがどれ程に胸クソ悪いことなのか、理解しながら。

 

 

 

 

 

 深呼吸をして、たっちは思考を切り替える。答えは出たが、今は救済とゲーム勝利に向けて尽力すべき時である。

「セバス、何時も通り確認と火葬を頼む。自分は馬車に戻って偵察隊の報告を聞くことにする」

「畏まりました」

執事が死者の魔法使い達に指示を出し、〈火球〉による、おそらく法国の兵士として戦い死んだ者達にとってはとんでもない方法で火葬が始まった。セバスはスクロールで〈伝言〉を起動し、何時も通りにアンデッド作成に何体か残しておいた方が良いかの確認を取り始める。〈伝言〉の相手が時間に余裕があればアンデッドは作成され、忙しい時は面倒なので焼却処分という流れになっている。

今更救えない死体に対して特別興味もないたっちは、一瞥もせずに馬車へと歩みを進めていく。

『たっち様、突然申し訳ありません、ユリ・アルファです。今は大丈夫でしょうか?』

「どうした、ユリ。珍しいな」

ユリ・アルファから直接かつ唐突な〈伝言〉に、たっちは驚く。真面目な彼女はまずセバスを通すので、珍しいどころか初めてのことだった。

『それが、北の国境近くで問題が起きております』

「なに?」

とうとうどこかの施設で暴動でも起きたかと、たっちは焦る。しかしユリの返答は、たっちにとって全く想定外の問題であった。

『多くの法国民が、黒陣営の陣地を通過して国境を越えて逃げようとしています。黒陣営は何故か法国民を無視しており、誰も何もしておりません。このままでは、あの法国民は全員死にます』

「なっ…!」

その報告に、たっちは驚き、言葉を失う。

 今回のゲームにおいて、国境は審判側が管理することになっている。ゲームの開始時点から決まっているルールで、国境に近付いた者達は基本皆殺しと規定されている。だからこそ、白陣営は初めに国境周囲の陣地ばかりを取ってきた。当然全てではなく、黒陣営の物となった国境近くの拠点や陣地になった場所だって無数にある。しかし、今までに黒の陣営側がわざと人間を逃していたことは無かった。ルール違反ではないが、わざわざ行う意味がないからだ。

 それを、このタイミングで行うということは間違いなく何かの罠に違いないとたっちは考える。そして、あちらも仕掛けてきたということかと、たっちは無意識ににやりとした。

「…ユリ、北の湖を通して白陣営が法国民を運搬してるルート近くか?」

『仰せの通りです。黒陣営の陣地を通過して、私達が利用しているルートからの脱出を法国民は考えているようです。信じられない程の集団、兵ではなく主に民間人の者ばかりが大移動をしています』

たっちの予想は当たり、現在黒と白が睨み合う土地から近い国境近くの陣地が問題の場所であった。

「ユリ、少しの間待機してくれ。こちらから〈伝言〉を飛ばす」

『はっ』

緊迫した空気を感じ取った執事は、地図を広げ待機していた。その有能さに感謝を述べ、地図の中から問題となっている国境付近の道と、陣地を見つける。

白陣営側が利用している魔導国側に向かう道と、そして現在黒陣営側が何もしていない問題の陣地。地図を睨みながら、問題の場所を指さして現状の問題をセバスに説明する形でたっちは整理し始めた。

「黒陣営側がこの陣地に穴を空けた。確かに、ここから馬車移動の光景を見れば、法国民達が無事に脱出している様子に見えるだろうな…。アンデッドの壁もなくて、警備がいないようにも見えるし…」

だが実際は違う。白陣営側が国境を通過するのも全て、審判側に許可を貰ってからの行為だ。移送中の馬車から飛び出し逃げた者達の安否保証はしないと、モモンガよりも念押しされている。

「…先程浮かれていたのも、馬鹿だったな。黒側はずっと煽っていたんだろう、潜伏中の大量の民間人を。助かるかもしれないという情報を流して、大移動させるために」

たっちは、にやにや嘲笑っている様子のウルベルトが脳裏に浮かび不愉快になる。白陣営のしていることを利用する辺りに彼らしさを感じつつ、顔を歪ませた。

「襲われてから白陣営側に逃げ込んでくれれば良いが、もと来た安全な道に向かうのが自然だろう。そこを一気に狩場とするのも、あの悪趣味なウルベルトさんならやりかねない」

「これは、ウルベルト様の罠なので御座いますか?」

首を傾げる執事に、間違いないとたっちは頷く。

「大方、追い立てて捕まえる作業が面倒にでもなったんだろう。そもそも、黒の陣地を通れば安全なことを、どうして法国民達が知っていると思う?」

そこでやっと執事は、悪魔の罠の全容に気が付いた。

あちら側の協力者には、ドッペルゲンガーが居る。不安と恐怖に陥った人々を法国兵の姿で騙すことは、赤子の手を捻るよりも簡単なことであろう。忍び込み、弱った人々を口八丁手八丁で騙し、彼らの意志で自ら地獄へと歩み行くように仕組まれてしまったのだ。

「それにしてもマズイな…。動ける者達がもう、ここに居る者達しか残されていないのに…」

たっちは渋い顔をして唸る。

ゲーム後半となった今では、大量の人々の世話をしている白陣営側のナザリックの者達で、手が空いてる者などいやしなかった。

黒と白で法国民の奪い合いを繰り返している土地での斥候も、追い立てる役割のアンデッドも、白側にとってはかなり希少な残された労働力だ。ユリとペストーニャを慕う冒険者達にはゲームを秘匿、安全のためと嘘をついて拠点から出していないために頼ることはできない。国境に向かって大移動を開始した法国民に割く人員など、ありはしなかった。

しかしそれでも、知っていて見捨てることなど、たっちにはできなかった。

「…俺とユリで行こう。セバス、すまないがこの辺り一帯を任せても良いか。それから、ユリに問題の場所への移動開始の指示を出してくれ」

「おまかせくださいませ、たっち様」

執事の力強い返答を背に、たっちは急ぎ足で進む。

「影の悪魔、伝令を!今後はセバスにこの一帯の管理を委任する!護衛だけ付いて来い!」

命令を出したたっちの後ろに、猛スピードで駆け寄ってきた馬車が近寄って来る。その風圧は幾つかの死体を吹き飛ばし、幾つかの火葬中だった炎を消して死体を生焼けにしてしまう程だった。しかしたっちは平然と、たなびく布飾りの奥にある高い座席へと、走行中の馬車へ飛び乗った。

上手く片手をついて勢いを殺し、平然とそのまま深く腰掛け地図を睨む。ただ飾り布がたなびくだけで風圧に襲われそうな車内なのに、そこは嘘のように静かだった。馬車が猛進していることなど幻のように布は垂れ下がり、車内に風は一切入らない。

たっちが指示した行き先を聞き届けた賢いアンデッドの馬は、主人の意志を汲み取り最短距離を突き進んで行く。

 

 

 

 大量の人間が、生きようと足掻くこと。蜘蛛の糸に縋るように国境の道へ移動をする行為を、正直言ってたっちは、舐めていた。

 それは地獄絵図だった。住民と、そして僅かに脱走兵が混ざり合い、必死の形相で駆け続けている。パニックとヒステリーがあちこちで起こり、法国民同士ですら突如として足の引張り合いを始める有様だ。子供や赤ん坊どころか、大人たちの泣き叫ぶ声まで木霊している。

「国境から出ないでください!私達の許可なく出たら命はありません!助かりたいのなら、こちらに来て投降してください!」

自身の陣地内に純白の馬車を停め、たっちは法国民達が大移動している黒陣営の陣地である林に駆けつけた。そしてユリと合流し、そこで繰り広げられる悲惨な光景に唖然とし、圧倒されながらも、法国民へと投降するように彼は呼びかけていた。

必死に、向かう先に救いは無いのだと、事実を。信じてくれと、彼は叫ぶ。

しかし、魔導国側のたっちの言葉を人々が聞くわけもない。むしろ、たっち達の出現は火に油、いや地雷原にミサイルを落とした様なものであった。地獄絵図の光景は、阿鼻叫喚のさらなる地獄の奥底へと、また変わってしまう。

パニックに拍車がかかり、発狂寸前の人々は更に足を速める。国境まであと僅かなこともあり、誰もその足を決して止めようとはしなかった。ここまで無事にやって来て今更捕まってたまるかと、誰もが必死に足を動かしていく。

しかし黒陣営の陣地であるため強制的に捕縛もできない白陣営は、完全に八方塞がりの状態であった。

「やはり駄目でしたか…。兵ならこちらに飛び掛かった所を捕縛とも出来ましたが、市民の方々は逃げるだけですね」

「クソッ、こうなったら仕方ない。国境近くまで行ったら彼らの先頭が殺されUターンすることになるだろう。その時に国境の空白ライン内で白の陣地に追い立てるしか、もう手段が無い」

「…それは、」

ユリが、たっちの取り出した地図内にある国境の空白ラインを見ながら言葉を濁す。黒と白、どちらにも属さない審判が管理している国境陣地。両陣営の活動を許可されたそこはあまり広くない。それに何よりも現状では、とても手が足りていなかった。

「畏れながら、厳しいのではないでしょうか?」

そもそもユリは本来ここではなく、占拠したばかりで大量の人間を受け入れることになったペストーニャの居る拠点に向かう予定だった。そんなユリが急遽駆けつけなければいけない程に人員が足りていないのだ。

「…仕方ないか」

用意された選択肢の中から、合理的に正義を騎士は選択する。そして、黒と白で繰り返している奪い合いのため残していた者達の移動を、たっちは決めた。

「南の方は、切り捨てる。これ以上の救済は行わない」

もう充分に救ったと、たっちは判断したのだ。居るか居ないか分からない残りの法国民の探索と捕縛に人員を割いている余裕は無い。それならば、確実に存在する救済すべき存在を優先すべきだと。

残してきたセバスに命令を伝えるため、影の悪魔をたっちは呼び出した。

「空白地帯に残り対応中のセバスと、その指揮下の者達も全員こちらに移動。国境近く空白ラインが見える場所で待機。不可視化が可能な者は国境近くで待機だ。彼らが国境に近付いた後、法国内部にUターンした瞬間に可能な限り捕縛、もしくは白の陣地内に追い立てる」

伝令が去ったのを見送り、続いてユリへとたっちは向き直った。

「ユリ、ペストーニャの補佐に行ってくれ。一応大丈夫だとは言っていたが、やはり彼女だけだと大変だろう。落ち着いたら連絡をくれ」

「畏まりました」

続いてユリが移動を開始したのを見送って、たっちは苦虫を噛み潰したかのような顔をして、その場から離れた。馬車に戻ると力なくしゃがみ込み、身を潜め、息を長く吐き出す。

「……………最低限の犠牲で、助けよう」

その呟きを最後に、空白地帯に残る人々への想いをたっちは断ち切った。空白地帯で拮抗し邪魔をしていた白が居なくなり、黒だけが好きなようにできるようになれば、残る法国民がどうなるかなど明白である。全員が、地獄行きだ。

しかしそれでも、アインズ・ウール・ゴウンの敵としているのなら地獄行きの覚悟くらいはしているのだろうと、彼は思考を完結させ、終わらせた。

 

 国境に、先頭を駆けていた者達はどんどん近付く。きっと逃げられると信じて駆けていく彼らの首が、ぽんっと、吹き飛んだ。その有様を、哀れな末路を、騎士と執事はじっと見ていた。

それを信じられなかったのか、その心理に何が起きたかは分からないが、後ろを駆けていた者達も死体に近付き、そして同じ末路をたどった。その結末を目にした法国民達は暫し呆然とし、そして一斉にUターンして自国へと戻ってくる。

 悲鳴を上げながら戻ってくる者達に目掛けて潜伏させていた自陣営の者達に、たっちは突撃を命令した。

それが殺戮しろという命令だったならば全滅だっただろう。それ程まで綺麗に囲まれた集団は、統率された動きによって白陣営の陣地へと誘導された。暴力は振るえないので、包囲できなかった者達は自ら黒陣営へと駆けていってしまったが、多くの者達は白陣営側の捕虜として捕獲されることとなった。

その結果に満足し、たっちはほっとする。

「さて、ウルベルトさんのことだ。どこかで見てるんじゃないか、あの悪魔」

天空を見渡すが、何もみえない。不可視化アイテムを所持しているので何も不思議ではないが、事が終わった後なら姿を現しそうな彼が一向に現れないことに、たっちは首を傾げた。

 そんなたっちの背中側、少し前までセバスが居たであろう南の方角に、ゲヘナの炎が高く上がる。それをみて、たっちは自身の勘違いに気が付いた。

てっきり、ゲリラ戦をちまちま相手取るのに飽き、わざと国境に穴を開けることで一箇所に集め一気に捕らえるつもりなのかと、たっちは思い込んでいた。もしくは逃げられると信じきった人々を絶望させ、殺し尽くすつもりなのかと。しかし、それは違った。そしてそれは冷静に、その性格を考えれば分かることだった。取り合い合戦なんて地味なゲームを、ちまちまするような性分ではないことを。

「いやいや、待て。まだ間に合う。今から急いで戻って黒の陣地に行っていない人をこっちの陣地に…」

あの一帯がどちらの陣地にも属さない事実は、揺るぎないはずとたっちは深呼吸する。

その足元に、影の悪魔が現れる。現れたそれは、全ナザリックメンバーへと前置きのうえ伝令を伝えた。

「白陣営側に通達、ゲヘナの炎内にナザリックの者は入らないように。そしてたっち様、黒陣営の陣地に追加報告が御座います」

「黒の陣地が増えたのか!?」

たっちがアイテムボックスから取り出した地図のとある一点を、影の悪魔が指し示す。そうして現れた巨大な黒の陣地に、たっちは目を見開く。そして、この一連の行為全て、黒陣営側が計画していたことを悟り、歯ぎしりする。

「あの山羊、一掃する気か!クソっ、嵌められた!!」

足元に地図が叩きつけたくなる衝動を、必死に抑え、戸惑う執事にたっちは自嘲しながら解説する。

「あの辺り一帯全てを、焼き尽くすつもりだ。…俺達が、邪魔だったんだよ」

自分達が行っていた妨害工作、それがあの場所では今、一切機能していないのに気がついた執事がハッとする。

「私が退いたから…」

気付いた所で今更彼らにできることなどありはしなかった。少し前まで自分達が居た場所から巻き上がる噴煙と黒い炎を、執事と騎士はただ見つめるばかりだ。

 

 

 

 気落ちする創造主に、何も言えずに執事は黙り込む。もっと自身が賢ければ、主人が気落ちすることなど無かったかもしれないと思うと、セバスはますます胸が塞がるおもいだった。セバスがそんな様子だからか、急遽呼び戻すことになってしまったユリも暗い顔をしている。進み行くほどに黒く焦げ臭くなっていく周囲の景色は、執事とメイドの気分の落ち込みを更に助長させていく。

「酷いな」

馬車で近くまで来た後、救助できる人々を発見しやすいように降りて歩いていたたっちがぼやき、聖水を振りまく。召喚主が召喚した魔物を消してやっと消えてくれる黒い炎は、普通の水では消えないためだ。

「私共が居なかったために…」

「言っておくが、お前達は何も悪くないからな」

「ッ!」

その言葉にセバスが顔をあげると、落ち込んでいたはずのたっちは毅然と前をみていた。

「助けに行こう、きっと困っている人がいる」

「「はっ!」」

力強く答えたセバスとユリは、仕える主人に負けじと前を、炎があちらこちらで燻り、焦げ臭い真っ黒な世界を睨む。

「この一帯はまだ空白地帯のはずですが、火が確実に広がって来ていますね…」

黒い炎が斑に染める道の中、セバスは周囲を睨みながら零す。

「燃え移った炎に関しては事故扱いだろう。あくまで最初の狙いが黒の陣地だったのなら文句を言えない」

広範囲における攻撃で、規定年齢以下の死亡や余波による相手拠点や陣地の殺人は、仕方のないこととして許可されている。当然、視認してしまった場合は救済義務が生じるが、知らなかった場合は責任を追求しないのだ。

「たっち様、セバス様、おそらくもう黒の陣地内です」

「…そうか。…規定の年齢以下なら救済しても問題にはならない。少しでも生存者が居ないか探そう」

話し合いで決まった規定の年齢以下は、黒陣営から白陣営に引渡し義務がある。しかしその齢の人間が生きているか甚だ怪しい程に、炎は広がり燃え盛っていた。

「ん…?何か今、動いた気が」

その発言の途中で、その生き物にたっちは気が付いた。蹲り晒す背中が見知ったそれとはかけ離れた色だった為に認知できなかっただけで、それが、死にかけの生き物だと。

「っ、ユリ!」

名を呼ばれ駆け寄ったユリだが、彼女は躊躇した。黒の陣地内にいるその女性は、助けたところで結局のところその結末が決定された人間だ。しかし彼女は結局、この場合は残酷な行為ともとれる癒やしの魔法を行使した。

「いいから助けてくれ!」

偉大なる慈悲深き至高の存在の切羽詰まった声と、彼の視線の先、彼女が抱きしめる子供が、ユリの背中を押したのだ。

発動させたスクロールの光が背中が爛れた生き物を包み込み、苦しそうだった呼吸は安らかなものへと変わる。女性はそのまま気絶してしまい、その腕の中に抱えられていた子供はたっちに抱き上げられた。

煤けているが、綺麗な衣服を着た子供だった。肉付きのいい頬は丸く、薔薇色に染まりながらも涙に汚れている。抱きしめられながら気を失っていたその子供が、愛されていたことなど語られなくても誰にでも分かる話だ。

重苦しい空気が漂うその場に似合わない明るい声が、上空から振ってくる。

「あれぇ、たっちさんじゃないですか、奇遇ですね!」

「…」

世界を黒く塗り潰した相手は、楽しそうに嗤いながら平然と声をかけてきた。街中で親しい友人にすれ違った時のような爽やかなその声が、ただの嫌がらせのために発せられたものだと、たっちは知っている。

「えぇ、本当に、奇遇ですね」

ついつい眉間に皺を寄せてしまうたっちとは真逆に、にたにたと笑う心底愉快そうなその表情は、まるで幸せそうである。

「人間が、居たんですか」

じとりと、その目が、たっちの抱える人間を見た。しかしすぐにそれは逸らされそして、それは女を捉える。

「それじゃあ、そっちの規定年齢より過ぎてる女、こっちに寄越して下さい。殺しますから」

淡々と言った悪魔は、騎士を一瞥すると、堪えきれないといった風に嘲笑った。

そんな心底楽しそうな悪魔が本当に不愉快で、たっちは、全くもって憂鬱な気分だった。

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。