天駆けるほっしーです!ヽ(*゚∀゚*)ノ
今回は前回の続きですが…紗夜ちゃんメインです。
私、氷川紗夜は妹が苦手だ。
私がどれほど努力しても彼女、日菜は努力もなく生まれ持った才能で私を越えていった。
私はそんな妹にいつしか強い劣等感を抱いていた。
そんな私が1つだけ続けていたのがギターだ。
練習に練習を重ね自分の納得のいく音を奏でるために弾き続ける。
そう、ギターは私にとっての全てだった。
そんな時に彼が現れた。
早川、弘人さん。
最初は日菜を抱えて来たので警戒こそしたものの話してみると不思議と居心地が良かった。
同年代の男子とは話す機会もなかったので新鮮なのもあった。
時間があればギターを弾いていた私の生活に彼とのやりとりという心が安らぐ時間が増えた。
ちょっと怠け癖がある人だけれどもそんな彼に心を惹かれていった。
だから今回のショッピングも内心とても楽しみだった。
しかし、現実は私に夢の終わりを伝えた。
日菜の声が聴こえて振り向くと日菜が彼に飛びついていた。
いつもの彼なら受け止められると思っていた。でも、彼はとっさの事で受け止めはしたけれどそのままふたり一緒に地面に倒れた。
勢いはそこまでなかったので日菜に対して叱ろうと思っていた。
しかしその光景を見た後、言葉を失った。
彼の唇と日菜の唇が重なって触れ合っていた。
「ひ、日菜…弘人さん…」
言いたいことがあるはずなのに口元が震えて声が出ない。
そうしている内に日菜が顔を赤らめて走り去っていった。
また日菜。
いつもそうだ。私は日菜にこんな思いをさせられる。
なんで私ばかりこんな思いをしなくてはいけないの?
――誰か教えてよ…。
―――――――――――――――――――――
…いきなり日菜が突っ込んで来たのに反応出来なかった俺も悪いがこればかりは神に誓ってもいい。わざとではないんだ。
たまたま唇同士が当たっちまっただけだ。それに日菜はすごい勢いで走り去っていった。
これがあれか?当て逃げってやつか?
だがこんなところを目撃して一番ヤバイのは何か。
そう、紗夜だ。
妹が苦手と言っても目の前でキスするところを見たりしたら…
俺は震えながら紗夜のほうを見る。
「さ、紗夜さん…?これは事故で―――」
紗夜は怒ってなどいなかった。
その逆。涙を流していた。
「さ、紗夜…?」
「…どうしてなの」
下を見てぽつりと呟く。
「…紗夜…」
俺はかける言葉が思いつかなかった。
それでも、黙っていることが出来なかった。
俺は紗夜の頭をそっと撫でた。
「……弘人、さん?」
「泣きたいときは泣けよ。俺は止めはしないからさ」
「わっ、たしはっ、どうすればいいの…?」
「そうだな…とりあえず人に甘えることも覚えてもいいんじゃないか?」
「人に…甘える?」
「一人で抱え込み過ぎなんだよ、紗夜は」
「…ごめんなさい」
顔を上げるとショッピングモールの時計は17時を指していた。
「そろそろ帰るか」
「…ええ」
ショッピングモールを出て無言が続いた。
氷川家の前に着くと電気はついていなかった。
まだ帰ってきてないのか…?
「それじゃあ、また」
帰ろうとしたら紗夜に手を掴まれた。
「もう少し…もう少し一緒にいてはくれませんか?」
「紗夜…」
彼女の表情は涙こそもう流れてはいないが陰りがあった。
「分かった。ちょうどギターを聞かせてもらってもいいか?」
「はい!では、その…私の部屋にどうぞ」
「紗夜の…部屋?」
こうして俺は紗夜の部屋に招かれることとなった。
22話はここで終わります!
よろしければ次回もよろしくお願いします(‘ω’*)
ではまた!ヽ(*゚∀゚*)ノシ
今後見たい内容は?
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氷川家へのお泊まり
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海
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日菜とのデート回
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リサとのデート回
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主人公のバイト探し