天才少女に手を惹かれて   作:あまぽー

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お待たせしました。

紗夜編続きです!ヽ“(・ω・;)ノ


第30話 早川弘人はゆっくり休みたい。2日目②

 

大きな紅葉が出来た頬を擦っていると紗夜がコホンと軽く咳をして話を切り出した。

 

 

「全く……寝たふりで反応を見るなんて、趣味が悪すぎると思いますけど?」

 

「すまん……」

 

「反省しているようなので今回は不問とします」

 

「不問ね……」

 

 

強烈なビンタ貰ってたから不問って気はしないが……。

 

そんな事を考えていたら紗夜がジト目で言った。

 

 

「不満ならもう少し反省してもらいますが?」

 

「不満なんてありませんよーHAHAHA!!」

 

「ならいいですけど」

 

 

やはり顔に出てしまうのか……今度鏡の前でポーカーフェイスの練習でもしたほうがいいかもしれない。

 

 

「それよりも、熱は測りましたか?」

 

「あー……午後になってからはまだ測ってないな」

 

「ならすぐに測って下さい。あとはそれからです」

 

「あぁ、分かった」

 

 

紗夜から体温計を受けとるとそれを右の腋下で測定を開始する。

 

2分程の静寂の後に電子音がなる。

 

腋下から体温計をゆっくり取ると数値を確認する前に紗夜にひょいと持っていかれた。

 

 

「37.8℃、今朝より低いですか?」

 

「少し下がったかな?」

 

「よかった……。それならまた横になって休んで下さい。このまま熱が下がるよう熱冷ましシートを貼りますので」

 

 

熱冷ましシートを箱から取り出すと封を開けて近づけてくる。

 

再びベッドに横になり、少しずつ近づいてくる紗夜に内心ドキッとしながら素直にそのまま任せる。

 

額に貼るため紗夜の手で前髪がすっとあげられる。

 

その際に触れた手がヒヤッとして気持ちがよかった。

 

 

「どうですか?少しは楽になりましたか?」

 

「冷たくて気持ちがいい。シートも……紗夜の手も」

 

「わ、私の手ですか!?」

 

 

予想外の一言だったのか紗夜は顔を赤らめて言った。

 

 

「でも、私の手は……」

 

 

そう言いながら紗夜は自分の手を見る。

 

ギターを初めて指先が固くなっており、爪もかなり短め切っているためとても女性らしくない手になっている。

 

特に気にせず練習に励んでいたが、こうして目の前に気になる異性がいると意識しないというのは出来なかった。

 

そんな思いの私に彼は続けていった。

 

 

「やっぱり……紗夜といると……落ち着くな……」

 

「それってどういう……弘人さん?」

 

「……」

 

「……寝るのずいぶんと早いのね」

 

 

ちょっと悔しいけれど、今度は嘘でなくホントの寝顔が見れたから善しとします。

 

こうして看病をしていると小さい頃を思い出す。

 

あの頃は私も日菜も一緒に外で遊ぶことが多く、よく風邪をひいていた。

 

 

「おねーちゃーん……苦しいよぉ……」

 

「ひな、おねえちゃんがいっしょにいるからね!」

 

「紗夜、ありがとうね。」

 

 

そんな私たちを見てお母さんは日菜も私も優しく頭を撫でてくれてた。

 

 

「そんな日菜にお母さんからのおまじない!」

 

 

そういうとお母さんは日菜の頬に優しくキスをした。

 

 

………

……

 

 

「……おまじない、ね」

 

 

そっと弘人の頬に触れる。

 

 

夕日が差し込む部屋の中で赤い空と同じように顔を赤くした少女は少年の頬におまじないをかける。

 

 

早く良くなりますように、と。

 

 





紗夜編はこれにて終了です!


次回はメインヒロイン登場です!

お楽しみに!

今後見たい内容は?

  • 氷川家へのお泊まり
  • 日菜とのデート回
  • リサとのデート回
  • 主人公のバイト探し

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