僕がアイアンマンだ 〜I am IRON MAN〜   作:アリ新タ

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NO.3 個性把握テスト

 §§§

 

 

 

「メタル様。ハンカチ持ちました?ティッシュは?ほんとに大丈夫?」

「過保護すぎるぞ!僕はもう高校生だ。心配いらないよ」

 

 前回の試験の後、根津から特別に入学の許可をもらい。推薦入学者として晴れて雄英高校ヒーロー科として入学することになった。

 そのあとI・アイランドでの残った仕事を終えて今年の春、日本に移住することになった。

 一人暮らしなのでハッピーは今日限りしかメタルの面倒を見れない。だからとても心配しているのだ。

 今は雄英の校門前までハッピーに送って貰ったのだが既に三回も忘れ物の確認をしている。ハッピーもメタルが心配なのも、仕方ない。また自分の上司(ボス)が勝手にいなくなるのを彼は恐れているのだ。

 

「もう行くよ」

「あ、メタル様!」

 

 普段メタルが着ているスーツではなく、年相応の学生服を来ているメタルはなんだが新鮮味がある。

 もういいだろうとメタルはハッピーの言葉を無視して、学校の中に入る。

 

「頑張ってくださいよ!!」

 

 恥ずかしいなと思いつつもなんだかんだであの時からボクシングをわざわざ自分のために覚えてくれて、ここまで世話や護衛をしてくれたことに感謝しながらハッピーに届く声で「ありがと!」と返事を返す。

 

「さて、ギリギリだな」

 

 校門をくぐり、校舎に入ったメタルは登校時間が迫ってることを確認し、足早に教室に向かう。

 雄英高校は2クラスにヒーロー科を設けており、推薦枠と通常枠合わせて40人しかいない。

 メタルが向かっているのは1ーAのクラスだ。

 広い学校なので、探すのに苦労したが、何とか教室を見つける。

 

「ん?入口が騒がしいな」

 

 教室の扉付近で数人が騒がしくしていた。

 あまり関わらない方がいいと、後ろの扉から教室に入った。

 教室で自分の席を探す。毎度恒例の席はやはり右の列の一番前。名前順にすると「愛杏」はどうしても席がこの位置になる。

 そして席の近くでそばかすの少年。メガネの少年。指に肉球がある少女。が何やら騒いでる。

 その3人の他にも、教室では「あれが噂の?」だとか「コネってホントかな?」などとざわついている。

 

(おいおい、噂が出回るの早すぎだろ)

 

 はっきり言ってメタルはかなり目立つ。

 大人といっても納得する程の体格に軽くアゴヒゲを剃った跡がある顔、したまつげの長い大きい目が特徴のハーフ顔(ホントはクォーター)。そのせいもあり、クラスの注目を集めているメタルは少し居心地が悪かった。

 しかしなぜメタルの噂がここまで出回っているかと言うと、実は普通入試の時にはもう出回ってたのだ。

 元々の推薦枠は4名と普通枠の36名のはずが普通枠は35名に減り、推薦枠は5名に増えていたのだ。

 推薦入学者は秋頃に既に決定しており、普通入試の時に行われる少し前の冬にいきなり一人増えたのだ。

 そして世界的に有名なI・アイランドにあるスターク社の社長の弟が仕事を終えたとのニュースがあったのだ。

 察しのいいものなら検討がついてるだろう。

 曰く、スターク社の社長の弟が日本に帰国したと。

 曰く、今年から雄英はスターク社から寄付金を貰えると。

 曰く、その二つの時期がかぶると。

 この時期の一致からスターク社の愛杏・S・メタルはコネを使い無理やり雄英高校のヒーロー科に入ったとネットを通じて噂になったのだ。

 もちろん入試試験を死にものぐるいで通過してきたものにとっては面白い話ではないので教室がざわつくのも無理はない。

 クラスが静まり返った時、すぐに黄色い寝袋にボサボサの髪の1-Aの担任がやってきた。

 

「ん?妙に静かだな。まぁいいか、お前達すぐにこれ着てグラウンドに集合」

 

 体育着を持ちながらそれを伝えると、そそくさと行ってしまった。

 少々混乱した生徒だが、そのまま男女に別れて更衣室に向かう。

 そして担任の相澤はやはり、とある生徒のことを考えていた。

 

(愛杏メタル、校長は実力に問題ないと言ってたけど、やっぱり自分の目で確かめねーとな)

 

 

 §§§

 

 

 

「「「個性把握テスト!!??」」」

 

 グラウンドに集まった生徒に相澤が最初に言った言葉は「個性把握テスト」というものらしい。

 相澤曰く、雄英高校は自由が校風の学校であり、それは先生においても言えることで、教育方針は一任されている。

 

「お前達も中学校の頃やっただろ"個性なし"の体力テスト。実技トップは爆豪だったな。お前中学の時のソウトボール投げ何メートルだった?」

「……67m」

「なら今度は個性使ってやってみろ」

 

 そう言うやいなや、爆豪に専用のボールを渡す。

 受け取った彼、爆豪勝己の個性は『爆破』。球威に爆風を乗せて投げるつもりだ。

 

「円の中なら何してもいい。思い切り投げろ」

「んじゃまぁ…………」

 

 爆豪はボールを振りかぶり、完璧なフォームで投げる。

 

 

「死ねぇぇぇぇ!!!」

 

 ヒーローを目指さすものとは思えない掛け声とともに、綺麗に爆風に乗ったボールは彼方まで飛んでいった。

 一瞬で見えなくなったそれを唖然と見つめるクラス。

 相澤は手元の計測器を生徒たちに見せる。

 その数値は702m。

 

「まず自分の最大限を知る。それが君たちの素地を向上されるための合理的手段だ」

「「「おおおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

「700mって……」

「なにこれ!()()()()!!」

「………面白そうか」

 

 クラスが今まで抑制されてきた個性を全力で発揮できることに浮かれていく。

 しかし相澤は「面白い」という言葉が漏れた途端、生徒達を睨む。

 

「ヒーローを目指す3年間そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?………よし、この成績で最下位のものは除籍処分とする」

「「「はぁぁぁぁぁ!!??」」」

 

 クラスからの不満の声が絶えない。

 せっかくの雄英高校に入ったのにすぐにさようならされるかもしれないと言われたのだ。

 

「生徒の如何(いかん)は俺たちの自由……ようこそ雄英へ」

 

 理不尽だなんだとクラスの反感は消えなかったが、ヒーローにはそんなこと気にする暇なんてないと相澤が言うと、渋々個性把握テストが始まった。

 

 

 §§§

 

 

 

 〈第1種目 50m走〉

 

「最初の2人、前へ」

 

 相澤の指示により、最初の二人が前に出る。

 その二人のうちの一人はメタルだ。

 

「お、おい。あいつからだぞ。実技もしてねーのに大丈夫か?」

「奴の力は未だ未知数。見物だな」

 

 ある意味クラスが一番注目しているのはメタルなのかもしれない。見た目はいかにも強そうで貫禄があるが実技をしてないことには変わらないのでメタルの力を知っているものはいない。それは相澤も同じで根津から「大丈夫さ!僕が直々に審査したからね!」としか言ってなかったのでこの場でメタルの個性を100%把握しているものはいなかった。

 

「え?君も靴を脱ぐの?どうゆう個性?」

「僕かい?んーそうだな。『ロボット』かな」

「ロボット?」

 

 メタルと一緒に走るのは芦戸三奈。

 個性『酸』を使う、肌がピンク色で頭に触覚のある女の子だ。

 

「無駄話はやめろ。始めるぞ」

 

 そう言うと相澤はメタルと芦戸はスタートラインに立つ。

 芦戸は酸で滑りやすくするために靴を脱いだが、メタルの理由は恐らくここにいるものを驚愕されるものだろう。

 

(マシン・ギア)

 

 メタルが心の中で念じると(正確には電気信号を送ると)メタルの個性が発動される。

 メタルの個性は、共通して発動に時間がかかる。体がインプットした変形状態に自動でなってくれるのだが、いかんせん変形には細すぎるパーツの可動があるのでどうしても時間を食うのだ。

 

「位置についてーーー」

 

 専用の計測ロボットが、合図を出すと、メタルは手と足からエネルギーを噴射する。

 周りの驚愕する暇もなくそのまま低空飛行を維持する。

 

「よーいドン!」

 

 体を地面とほぼ水平にしながら進み、その勢いのまま50メートルのラインをきる。

 

「3.52………5.21」

 

 機械的なロボットの計測音。

 最初のはもちろんメタルのもので、次のは芦戸のものだ。

 みんなが呆気にとらわれている間に50メートルを3秒台で走った、いや、飛んだのだ。

 

「す、すげー。飛んだし、はえー」

「天下の雄英、伊達にコネなどで入れるほど最高峰はあまくないと思ったが、まさかあのような力があったと」

「あの個性って飛べるって個性なのか?」

 

 今までの曖昧なクラスの評価が一変し、個性についての憶測が飛び交う。メタルの個性はかなり珍しいものだ。

 基本的に個性はポピュラーなものはすぐに分かる。増強系、異形系、発動系、常時発動系、etc。

 元々はこれらの個性から始まり、それが次世代に受け継がれていくうちに、個性が混ざり合い、全く新しく珍しいものが生まれるのだ。

 メタルの『ロボット』という個性はスターク、翔子をはじめ、その曾祖父の代までの個性が混ざって生まれたものだ。

 受け継がれたオリジナルの個性より、ハイブリットの個性は珍しく、その能力も複雑になっていく。

 

「ほら、驚いてないで次のやつ前でろ」

 

 相澤の掛け声と共に、次々に計測をはじめて行く。

 そこにはもうメタルのことは「コネだけで入ったやつ」とはならなかった。

 その後も計測は続いていき、メタルは最終的に二位という結果になった。

 

(これで愛杏の心配はいらないな。問題は……)

 

 相澤が危惧していたメタルの力に心配はいらないだろうと判断すると、もうひとつの不安要素、緑がかった髪にそばかすの少年に目をやる。

 

 

 〈第2種目 握力〉

 

 

「すげー!!あんたゴリラかよ!!」

 

 次の競技は握力。

 計測用の計りが手で握るように出来ているので、各々あまり創意工夫が出来ないようでみんなほぼ自力で計測している。

 

「お、おい。万力ってありかよ!」

 

 その中で、抜きん出て大記録を出したのが二人、一人は障子目蔵。

『複製碗』という体の部位を6本の腕に複製できる個性だ。3つの腕が片手扱いとなり、500キロという人間離れした数字となった。

 そしてもう1人は八百万百。

『創造』という生物以外ならなんでも生み出せる個性で、なんと万力を作り出し、器用に計測していた。その数値や250キロ。

 そしてメタルはと言うと、

 

「あれ……いいな」

 

 八百万の万力を見て、自分も手のひらを即席で改造し、簡易的な万力を作ったのだ。

 

「300キロ!?」

 

 ここに来てのどんでん返し。

 パクられた八百万は少しショックな顔をしていて、メタルは少し申し訳ない気持ちになりながら、メタルはまたまた二位にという成績になった。

 

 〈第3種目 立ち幅跳び〉

 

「位置についてーー」

 

 第3種目の立ち幅跳びは各々工夫できることが多く、半数以上が通常では考えられない高得点をたたき出していた。

 その点抜きん出てたのは、

 

「よーいドン!!」

 

 ロボットの合図でジャンプする。

 計測するのはメタルと尾白という生徒。尾白は個性『尻尾』を上手く使い中々の得点を取ったがメタルの計測結果がいつまでも告げられない。

 そのメタルはと言うと、相澤の方をじーと見ながら空中に浮遊し続けていた。

 

「愛杏。お前それどれくらい飛べる?」

「エネルギーを補給すれば永遠に」

 

 そう告げると相澤は手元の計測器の結果をメタルにみせる。

 

「「「(むげん)m!!??」」」

 

 恐らく最高得点であろう数字をたたき出す。

 第3種目の結果は二位に大差をつけてメタルが1位となった。

 

「お、おい。すげーぞあいつ。飛べるとか反則じゃね?」

「そうね。でも翼とかで飛んでなくてロケットみたいに飛んでんのよね」

「さっきは手を万力にしてたし、いったいどんな個性なんだ?」

 

 〈第4種目 反復横跳び〉

 

 ここで輝いた成績を残したのは峰田実。個性『もぎもぎ』というらなんともファンシーな名前の個性だ。

 峰田は頭のぶどうのようなものをもぎると反復横跳びの両橋の線におき、ぶよんぶよんはねながら一気に点数を稼いでいた。

 今回の成績は峰田が1位をダントツでとった。

 

 ちなみにメタルは工夫という工夫があまり思いつかなかったが元々自分の体を強制的にコントロールする力があるので疲れても、それを感じないようにして、5位に収まった。

 

 〈第5種目 ボール投げ〉

 

 先程はメタルが∞mという記録を出したが、今回のボール投げでもその記録がでた。

 麗日お茶子、個性『無重力(ゼロ・グラビティ)』で投げればボールは落ちてこないので数分後、計測器が∞mとでた。

 その他にも、砂藤力道という巨漢の生徒が個性、『シュガードープ』で中々の距離を出したり、口田甲司は個性、『生き物ボイス』で鳥を操り遠くへボールを運ばせたりして、得点を稼いでた。

 そしてメタルは、

 

「また……パクられましたわ……」

「こ、今度は腕を大砲にしやがった!?」

 

 八百万が大砲を生み出したのを見ると「悪いね」と彼女に耳打ちしながら右腕の肘から先を筒状の大砲に変形し、その中にボールの球を入れ、ドンという大きい音を立てながら打ち出したのだ。

 

「火薬はやっぱり腕に負担かかるな……。レーザー光線がやっぱり1番ベターだな」

 

 余談だが、メタルは火薬やガソリン、電気などのエネルギーを生み出すことが出来る。正確にはエネルギー自体を変形させて代用できる。

 普段メタルの体に流れてるエネルギーは体を変形させた時の燃料になるのだ。さらにそれは、高圧に溜めればレーザーにすることも出来る、いわばメタルだけの万能エネルギーなのだが、これをさらに加工して前述の燃料類の代わりにするよりそのままの状態で使う方が効率がいい。

 ぶっちゃけメタルの個性は恐ろしく燃費が悪い。

 まぁ、その分のリカバリーが凄すぎるのだが。

 

「ん?」

 

 ボール投げのテストの途中、緑色の髪の少年、緑谷出久が相澤に呼び出しをくらっていた。

 

「なぁ、あれどうしたんだ?」

「む?あぁ。君は無限男子!」

「無限男子?」

 

 メタルが声をかけたのは50メートル走で1番の成績を出した飯田天哉。個性、『エンジン』を持つメガネをかけた少年だ。

 

「指導を受けているんじゃないか?」

「そういや、あのそばかす君ってさっきから個性使ってないけど、どんな個性なんだ?」

「愛杏君は、実技にでてなかったから知らないんだね。彼の個性は『超パワー』だと思うよ」

「は?なら何故?」

「超パワーは凄いんだけど、使ったあと体がバキバキに壊れていたんだ」

 

 飯田の説明が終わる頃、相澤のお説教も終わった頃でこちらに戻ってくる。

 その時のメタルの心境はずっとずっと頭にハテナが浮かんでいた。

 個性は長い年月をかけて体に慣れていき、大人になるとほぼ100パーセント使いこなせるはずだ。

 超パワーの不可が凄まじいのなら、体の成長が個性に合わせてムキムキになるはずだが緑谷はせいぜい細マッチョ位の体だろう。

 個性の副作用か?と考えていると、緑谷が意を決して投げるようだ。

 緑谷の表情からそのバキバキになってしまう『超パワー』を使おうとしている事が分かる。

 しかし緑谷は思わぬ使い方をする。

 

「「「!!??」」」

 

「751m」

 

 相澤の手元の計測器に出た数字は文句無しの高得点。

 しかし驚いたのは緑谷の投げ方だ。投げる直前までは特に変わった様子もなく、普通に投げていたのだがボールが指から離れる瞬間に個性を発動したのだ。

 その証拠に緑谷の指だけが先程飯田が言ったように、赤く晴れ上がっている。

 これ出ようなく皆が納得する高得点が出せたのだが約1名納得出来ない生徒がいた。

 

「おい!くそデク!!」

 

 

 ……To be continued

 

 

 

 




爆豪が怒って終わりましたが、そのシーンはめんどいんでカットしたと先に伝えて起きます。
ごめんね

次回は禁断の一人称視点が!!
お楽しみに


新タでした。

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