日本国召喚・異聞録   作:無虚無虚

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第4話『パル・キマイラの影』

 帝都(ラグナ)は混沌の只中にあった。だから海軍大臣のカイザルが、ドイバ基地と通信が途絶したとの報告を聞いたのは、空襲から1週間も経ってからだった。

 カイザルは報告を聞いたとき、ドイバ基地がどこにあったか地図を見て確認した。それがイルネティア島にあることを知って、思わず側近を叱った。

「なぜもっと早く報告しなかった!」

 そして東方艦隊司令長官のミレケネスに命令を出した。

『万難を排してイルネティア島を再占領せよ』

 これを受け取ったミレケネスは、カイザルの執務室に怒鳴り込んできた。

「カイザル! 兵站を取り上げておいて、この命令は何よ!」

 このときカイザルは、自分の後任にミレケネスを推挙したのは間違いではなかったかと疑った。

「イルネティア島の実効支配は、絶対に必要なんだ」

 カイザルは女を説得するという、困難なミッションに立ち向かわざるを得なかった。

「本国からの補給なしで、できると思うの?」

「レイフォル地区に集積した物資を、全部使っても構わん」

 カイザルがここまで言い切ったので、ミレケネスの方が戸惑った。

「その島に固執する理由はなに?」

「ミリシアルに占領されるのだけは、絶対に拙い。あの島に基地を造られて、あの空飛ぶ車輪(パル・キマイラ)が駐留したらどうなると思う」

 それを聞いてミレケネスは理解した。神聖ミリシアル帝国の本土とグラ・バルカス帝国の本土との距離は、約1万5千キロ。だがムー大陸西岸のイルネティア島とグラ・バルカス帝国本土との距離は、約5千キロしかないのだ。そんな近距離に〈パル・キマイラ〉に駐留されたら、グラ・バルカス全土が焦土となりかねない。

「……講和が降伏になりかねないわね。陸軍にも協力を仰いだ方が良くない?」

「名案だ」

 カイザルはそう答えると、電話に手を伸ばした。

 

 日本国防衛省で、横田と堀山は衛星の画像を解析していた。

「旧レイフォルに動きがあるな」

「ええ、30隻近い戦闘艦と、少なくとも5隻の輸送艦が出港しましたね。西に向かっていますね」

 横田は地図を確認した。

「考えられる行く先は、イルネティア島かパガンダ島辺りか」

「補給部隊の護衛の線はありませんか? 彼ら、補給が途絶えているんでしょう? 洋上にいる補給部隊を迎えに行ったとか」

 堀山に言われて、横田は他の衛星写真を見直した。

「うーん、グラ・バルカスの大規模な輸送船団は見当たらないな。それに護衛にしては規模が大き過ぎるし、輸送艦を連れているのは説明がつかない」

「そうすると、やはり島ですか」

「待てよ。イルネティア島は『スーパーハンマーⅡ作戦』で、〈パル・キマイラ〉が爆撃していたな」

 そこまで分析して、二人は上に報告をあげた。

 

 レッタル・カウランは、再び洋上で報せを受け取った。

 伝文を読んで渋い顔をしたレッタルを見て、旗艦〈スケッティア〉の艦長が声をかけた。

「司令、悪い報せですか?」

「ああ、日本の『(しもべ)の星』がグラ・バルカス軍の動向を掴んだそうだ。グラ・バルカスの艦隊が、旧レイフォルからイルネティア島に向かったそうだ。おそらく島を再占領するつもりだろう」

「我が方の位置を考えますと、敵が先に島に着きますな。敵前上陸作戦ですか」

「その前に航空戦と艦隊戦だ。敵艦隊は30隻の規模で、空母が3隻いるそうだ」

 艦長も渋い顔になった。

「再編成されたばかりの我が艦隊には、少し荷が重いですな。同盟国の助力を得られませんか?」

 艦長の言葉に、レッタルは首を横に振った。

「上からは単独で(作戦を)やれと言われている。外交上の理由があるそうだ」

 そう言われて艦長も(不承不承だが)納得した。

 

 外交上の理由であるエイテス王子は、ビーリー卿と一緒に〈スケッティア〉に乗っていた。

「日本からいくつも飛行機械を乗り継いで、最後は空母という船から小舟でこの魔導戦艦に乗り換えて、これでようやく祖国に帰れるのだな」

 エイテス王子が感慨深げに言う。

「上陸したら、魔信で全世界に独立を宣言するのです。原稿にはよく目を通してください」

 ビーリー卿も事態を楽観していた。

 

 だがルーンポリスは事態を楽観視していなかった。

 ミリシアル8世は居城のアルビオン城に、リアージュ外交統括官とアグラ国防省長官、アルネウス情報局局長を呼んで、日本からもたらされた情報を検討していた。

「日本の情報は確かなのだな」

 皇帝が念を押す。

「日本の『(しもべ)の星』の情報は正確です。それは『スーパーハンマーⅡ作戦』で実証されています」

 アグラが答えた。

「先日の会合では、日本によるとグラ・バルカス軍の兵站は破綻しており、本国からの補給は途絶えているそうだが、それでも艦隊を動員できるものなのか?」

「旧レイフォルに集積してあった物資を使えば、暫くは戦えるでしょう。しかし長くは続かないはずです」

 アルネウスが答える。

「具体的には、どの程度まで続けられるのだ?」

 ミリシアル8世の問いに、アルネウスは答えられなかった。

「……明確な数字を出すには、情報が不足しています」

 アルネウスはギブアップを宣言した。

 そこにリアージュが助け舟を出した。

「日本は偵察機で旧レイフォルの物資集積点を調べ、空爆で破壊する作戦を提案していました。ムー陸軍の反攻を助けるための作戦ですが、この作戦を早めてもらえば、間接的に我々の支援になります」

「なるほど。ムーが陸上で反攻を行えば、グラ・バルカス軍の戦争努力を分散させる効果も期待できるな」

 アグラが感心する。

「これら同盟国の行動は、あくまで同盟国自身の利益のための行動です。我が国を直接支援するためのものではありません」

 アグラの言葉で、皇帝の心は決まった。

「リアージュよ。ムーと日本に働きかけられるか?」

「可能でございます」

 皇帝はアグラに訊いた。

「増援の艦隊は派遣できるか?」

「本土の防衛も考えますと、1個艦隊が限界かと」

「それでよい。直ちに派遣せよ」

 ミリシアル8世は、最後にアルネウスに命じた。

「日本から情報を収集し、グラ・バルカス軍の継戦能力を精査せよ」

 命令を受けた3名がアルビオン城を去ると、皇帝は一人で呟いた。

「味方より先に敵が気づいたか……四ヵ国同盟とて、いつまで保つだろうか」

 

『天の浮舟』を何度か乗り継ぎ、数日かけて神聖ミリシアル帝国からムーに移動した朝田は、オタハイトの日本大使館で意外な人物からの連絡を受け取った。

「えっ、加山大使からですか?」

 朝田は胸騒ぎを覚えた。自分が去った後、神聖ミリシアル帝国で何かあったのだろうか?

 加山から送られてきた文書は、淡々としたものだった。

 

・グラ・バルカス軍がイルネティア島再占領のため、艦隊を出撃させたこと

・ミリシアル側から非公式の接触があり、暗に陸上からの反攻を催促されたこと

・更にグラ・バルカス軍の兵站に関する情報の提供を求められたこと

・ミリシアル海軍第1艦隊に出撃の兆候があること

 

 ここまで読んで朝田は、「ミリシアルは相当な危機感と覚悟を持って、イルネティア解放を行うつもりだな」と思った。だが最後の一項を読んで、ギョッとさせられた。

 

・三津木によると、ミリシアルはイルネティア島に〈パル・キマイラ〉の駐留を企んでいる可能性があること

 

 そうなのだ。冷静に考えてみれば、神聖ミリシアル帝国が、純粋な好意でイルネティア王国のために働くことなどあり得ない。当然自国の利益を考えているはずだ。

 では見返りとして〈パル・キマイラ〉をイルネティア島に駐留させることによって、ミリシアルは何を得られるというのか? グラ・バルカス帝国に対する抑止力? 確かにそれが主目的かもしれない。だが会合で言及しなかったのはおかしい。

「まさか……ムーか? ムーに対する威圧のつもりか?」

 朝田の脳裏を、加山大使の言葉がよぎる。

『魔法文明対機械文明という視点は、皇帝の中にはあったでしょうね』

 そういう構図で捉えれば、イルネティア島は機械文明の二つの大国を同時に牽制できる、地政学上の要衝になるのだ。

 朝田は少々くらくらした頭で、反攻作戦の打ち合わせのため、ムーの外務省に赴いた。

 

「ええ、我が国もミリシアルから催促されました」

 ムーの外交官、オーディグス列強担当部課長はあっさり認めた。

「あからさまな、イルネティア島占領作戦に対する間接支援の要請ですな」

 朝田は思い切って、切り出してみることにした。

「もしミリシアルが、イルネティア島に〈パル・キマイラ〉を駐留させるとしたら、貴国にとってはどうでしょう?」

「その可能性は我が国も気づきました。結論から言えば、痛し痒しですな。もし実現したら、グラ・バルカスから大幅な譲歩、ひょっとしたら降伏を引き出すこともできるかもしれません。ですが四ヵ国同盟は、完全にミリシアルに主導権を握られます。少なくともムーには、それを覆すことができません」

 オーディグスはここで言葉を切った。だが直ぐに続きを口にした。

「最後の魔法帝国との戦いにおいて、ミリシアルは機械文明国をラヴァーナル帝国の矢面に立たせるつもりかもしれません。そうやって機械文明国を疲弊させて、戦後も世界最強の座を維持するつもりかもしれませんね。ラヴァーナル帝国を斃した後に得られる知見は、ミリシアルにしか利用できないでしょう。彼の国が今までやっていた通りのやり方です」

 朝田は転移してから学んだ中央世界の歴史を思い返した。

 神聖ミリシアル帝国も最初は小国だった。だが魔法帝国の遺跡を使って文明を進め、隣国を併合し、その隣国内の遺跡を発掘して更に文明を進めた。こうして領土を拡大していったのだ。遺跡ではなく生の魔導技術が手に入れば、ミリシアルの文明が一気に進む可能性は確かに否定できない。

 オーディグスは話を続けた。

「でもそれは、ミリシアル軍が単独でイルネティア島を占領できればの話です。グラ・バルカス軍もその可能性に気づいて、全力で島を再占領しにきているではないですか。我々は島を横目で見ながら、陸からの反攻を行い、残りのグラ・バルカス軍を海に突き落としてやりましょう」

 やはりムーにとって、最優先すべきはグラ・バルカス軍をムー大陸から排除することらしい。

 

 シエリアは電文を読んで、憂鬱になった。

「イルネティア島が、空中戦艦の基地になるかもしれない!?」

 シエリアが思わず上げた声を、アルカイドとラクスタルは聞き逃さなかった。

「「それは本当か!?」」

 二人がかりの質問に、シエリアは少したじろいだ。

「まだ確定情報ではありません。空中戦艦の攻撃で戦力が空白になったイルネティア島を再占領したところ、現地で怪情報が流れていたそうです。ミリシアル軍の支援を受けたエイテス王子が、イルネティア島を解放するために島に向かっているという情報です」

 アルカイドは考え込むような表情を見せた。

「それこそ、怪情報ではないか?」

「ですがミリシアルの空中戦艦が、ドイバ基地を攻撃・殲滅したのは事実です。島を占領するための予備攻撃だった可能性は否定できません」

 ラクスタルが反論を試みる。ラクスタル本人は怪情報を信じているわけではないが、議論もせずに結論を出してよい問題ではない。

 だが材料に乏しく、議論はそこから発展しなかった。

 

 アーリ・トリガーは帝王府からの急な呼び出しに戸惑っていた。彼は陸軍航空隊の将官であり、その地位は決して低くない。だが帝王府に呼び出される理由に、全く心当たりがないのだ。

 トリガーは『GM計画』に専従していた。『GM計画』とは戦略爆撃機の開発計画である。元々は前世界(ユグド)にいたときに発案された計画である。敵機が届かない高高度を飛行し、無着陸で惑星(ユグド)を一周し、敵国の中枢を爆撃しようというものである。

『GM計画』が発表されたとき、その大胆さで大いに注目を集めた。だが技術的なハードルの高さがすぐに明らかになり、ブームは一過性で終わった。爆撃機の要求仕様が、六千馬力のエンジンを搭載した六発機という化け物になったのだ。

 更に成層圏からの爆撃は前例がなく、航法や爆撃の精度の不足も問題視された。もちろん予算と時間をかければいずれは解決できるだろうが、その前に世界(ユグド)は統一されるだろうと思われた。

 にもかかわらず『GM計画』が中止にならなかったのは、大型航空機の技術は民間に容易に転用できるからだった。旅客であれ貨物であれ、航空需要は常に右肩上がりであり、それは世界が統一されて戦争が無くなっても変わらないどころか、むしろ増えると予想されたのだ。民間ではリスクが高い研究を、戦争という公共事業で行うことには合理性があったのだ。

 トリガーはひとつだけ、自分が呼び出された理由を思いついた。〈パル・キマイラ〉によるラグナ空襲である。戦略爆撃を自らが喰らってその威力に驚き、こちらも同じことをしようと帝王が考えたとしても不思議ではない。

 だがその推理は、トリガーを憂鬱にさせた。爆撃機は完成どころか技術的な問題の解決の目処さえ立っておらず、大幅にスペックダウンした技術検証機が辛うじて2機あるだけなのだ。帝王の思い付きは実行不可能であることを理解させなければならない。それは自分の無能を証明することに似ている。

 幸いなことに、トリガーはグラルークスに拝謁する栄誉に預かることはなかった。トリガーを待っていたのはジークスだった。

「爆撃機は使えるのか?」

 ジークスに単刀直入に訊かれたトリガーは、訝しみながらも事情を説明した。

「いいえ。爆撃機はまだ姿形もありません。大幅にスペックダウンした技術検証機が2機しかありません」

「検証機の性能は?」

「ここに」

 ジークスは渡された書類に目を通した。

 

・全長 30m、全幅 43m、全高 8.5m

・離陸重量 63.5t、戦闘重量 43.7t

・エンジン 2000Bhp×4

・最高速度 640km/h (高度9000m時)

・実用上昇限度 12000m

・航続距離 10000km

・爆弾搭載量 4t

 

 トリガーは冷や汗を流しながら、ジークスが書類を読み終わるのを待った。惑星(ユグド)を無着陸で一周するというコンセプトから大きく劣る性能は、相手の失望を買うのに十分だからだ。

 だがジークスの反応は予想外のものだった。

「使える」

「は? 閣下、今なんと仰いましたか?」

「作戦目標には使える。一週間以内に2機とも出撃可能な状態にせよ」

「……作戦目標とは、なんでありますか?」

「今はまだ話せない」

 トリガーは不安を抱えたまま、ラグナを離れた。

 

 ミリシアル第4艦隊はイルネティア島に向けて、第一陣を放とうとしていた。空母〈シャルハウト〉から3機の戦闘機が離艦しようとしていた。

 新鋭戦闘機〈エルペシオ3’〉のコクピットで、小編隊長タウラスが離艦前の最終チェックを行っていた。

「エンジン異常なし」

『了解。発艦に備えよ』

〈エルペシオ3’〉は日本からもたらされたアドバイスによって、〈エルペシオ3〉に改良を加えた機体だ。その変更点はエンジンのバイパス比の改善と、空気取り入れ口の形状変更である。

 最初〈エルペシオ3〉の開発元であるルーンズヴァレッタ魔導学院は日本のアドバイスを相手にしなかったが、皇帝の勅命により渋々バイパス比の改善に取り組んだ。だがその成果は劇的なもので、魔光呪発式空気圧縮放射エンジンの推力は大幅に跳ね上がった。

 驚いた魔導工学者たちは改造エンジンを〈エルペシオ3〉の機体に戻したが、飛ばしてみるとエンジン以外の不具合が次々と見つかった。

 まずは吸気量の不足である。元々〈エルペシオ3〉の開発段階でも、空気取り入れ口から取り込める空気の量の不足は問題になっていた。それがエンジンの推力増大で再浮上した形になった。だが日本はそうなることを見越していたかのように、空気取り入れ口の形状までアドバイスしていた。魔導工学者たちはこれを複雑な思いで受け取り、実行した。それで空気不足は見事に解決した。この結果、〈エルペシオ3〉の最高速度は100km/hほど向上した。

 エンジンの改良を続ければ、最高速度はもっと上げることも可能だったが、空気取り入れ口以外にも機体に色々と不具合が見つかって、それは断念せざるを得なかった。機体そのものを再設計しなければならないからだ。それは時間がかかり過ぎて、今の戦いに間に合わない。

 タウラスの乗機は双胴空母の右舷飛行甲板にあった。彼の率いる小隊は3機編成で、僚機は左右の飛行甲板に各々1機ずつ控えている。

『ジャム小隊、離艦を許可する』

「了解、これより離艦する』

 タウラスは目視で飛行甲板上の安全を確認すると、待機運転だったエンジンを一気に最大出力まで吹かした。〈エルペシオ3’〉は〈エルペシオ3〉ではあり得ない加速で離艦し、〈エルペシオ3〉ではあり得ない急上昇で予定高度まで駆け上がった。

 予定高度に達すると、タウラスは機体を水平飛行に移した。間もなく彼を追いかけてきた僚機が左右後ろに付く。タウラスはそれ見て満足すると、魔信のスイッチを入れた。

『こちらジャム小隊。離艦に成功。これよりターゲットに向かう』

 ジャム小隊を追って、攻撃の本隊が離艦するはずだ。

 ジャム小隊が本隊に先行しているのには、もちろん理由がある。グラ・バルカス軍のレーダーを妨害するチャフをばら撒く任務を帯びていたのだ。

 もちろんミリシアルにチャフを作れる技術などない。チャフを散布するポッドは日本製である。これはミリシアル側から日本に依頼して製作したものだ。ムーは日本の文献をもとに、固定型の電子妨害装置を独自に開発していたが、魔導機関しか知らないミリシアルには真似すらできない。

 タウラスはイルネティア島と本隊との距離を確認する。本隊は従来の〈エルペシオ3〉と〈ジグラント2〉で構成されている。ジャム小隊と本隊との速度差を考慮し、突入のタイミングを確認する。

「ジャムリーダーよりジャム小隊、作戦を開始する。チャフを散布しつつ散開せよ」

 

 応急処置をしたドイバ基地では、レーダー担当者が異変に気付いた。

「南東にエコー、かなり大きい」

 上官が確認のために問う。

「距離と数は?」

「およそ50km、数は不明。まるで霧のようだ」

「霧? 大きさは?」

「直径およそ250から300m」

 報告を聞いた上官は、つい最近聞いたニュースを思い出した。

「まさか、帝都(ラグナ)に現れた空飛ぶ車輪か!?」

 思わず口に出した言葉で、基地内に緊張が走る。上官はそのまま次の命令を出した。

「緊急警報を出せ!」

 ドイバ基地内にサイレンが鳴り響いた。

「緊急警報、緊急警報! 南東から正体不明のエコーが接近。距離50km、高度200m。時速500kmで接近中。帝都を攻撃した敵航空機の可能性あり。航空隊は直ちに発進せよ!」


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