ラッキーとテストと召喚獣   作:テカサナ

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プロローグ2

「なんだよFクラスって、最下位のクラスじゃないか!振り分け試験は自信あったのにな、十問に1問は解けたのにな」

 

「……それって、問題が100あるとしたら、10しか解けてないことになるぞ?あいかわらずバカだな、明久」

 

「なんだよ、啓太なんて受けてないじゃないか!それよりはましだ……多分、きっと」

 

そう、この吉井明久はバカなのだ。俺も分数の足し算ができないくらいのバカだが、そんな俺とタメを張るぐらいにバカだ………まぁ、だから気が合うのかもしれないな。

 

~~~~~~~~

 

…そんなアホを会話していたら、自分のクラスに着いた。一瞬、豚小屋かと見間違える程、ボロく汚かった。中も期待を裏切らず、外見に見あった造りになっていた。

 

「これが格差社会というものなんだね、啓太」

 

「というより、単なる学園長のいやがらせだろう。この環境なら、公園で勉強してほうがましだ……くそ、あのババー、いつか殺す!」

 

 

教師に促され、俺達は好きな席に座った。ボロい座布団に、壊れそうなちゃぶ台、そして畳……いつの時代の人間だ、と突っこみたくなるような、設備だった………。

 

 

 

 

 

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…教師が壊れた机を治すため、工具をとりにいったので、クラスは一気に騒然となった。

 

「本当に酷い教室だな、ここで一年過ごすのか?」

 

「文句があるんだったら、振り分け試験でいい点数とっとけよ」

 

「雄二!」

 

寝ていたとても無愛想な赤髪が、明久に正論を言ってきた。この男は坂本雄二という。不良がカッコいいと勘違いしてるバカだ。明久と同様、俺の悪友の一人である。

 

「おい、啓太!今失礼なことを思わなかったか!」

 

「べっつにーーー、雄二が中二病を抱えた可哀想な人なんて思ってないよ!」

 

「よし、表にでろ!」

 

明久と違って、こいつはすぐキレて手をだしてくる。俺はケンカは強くないので、こういう時は決まって……

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、明久が言ってたぞ」

 

「えっ、僕?」

 

「あきひさ!」

 

ボコっ!!

 

俺の代わりに、明久は雄二の右ストレートを顔面に喰らってくれた。まったく、友達思いのいいやつだろ?こんな損な役割を進んで引き受けてくれるんだぜ……有りがたすぎて糞で茶沸かしてしまう。

 

 

「あいかわらず、にぎやかじゃの」

 

「なんだ秀吉も同じクラスか?」

 

こいつは木下秀吉、外見は美少女だが、実は男らしい。しかし真実を確かめたものは誰もいない。というか、誰もその気がないのであろう。だって、本当に男だったら、接し方に困ってしまうからだ。例えば外見はゴリラなのに、中身が犬だったら困るだろう?のし掛かってこられたら、すぐに死んでしまう。

 

 

「木下だけじゃないぞ」

 

雄二が示した先には、島田と土屋がいた。島田は本名を島田美波といい、胸の無い女だ。土屋は土屋康太で、エッチなことが大好きなドスケベだ。

 

「ねぇー宮本、今失礼なこと思った?」

 

島田はさっきの雄二同様、腕をならしながら、近づいてきた。

 

「……これは明久が言ってたんだが、島田は胸の無いペッタンコだって…」

 

「吉井!」

 

「ぐはっ!」

島田は意識を失っていた明久のみぞおちに、正拳突きを喰らわせた。ふむ、あいかわらずいいキレだ。これは世界も夢ではない……それにしても明久、どれ程俺に尽くしてくれたら気が住むんだ……?嬉しすぎて俺は明久の頬を叩いておいた。

 

 

「みえる、みえる!」

 

土屋は寝そべって、島田のパンツをみようと努力していた………。

 

 

 

 

 

 

 

「すいません、保健室にいってたので、遅くなりました」

 

そんなカオスなクラスに、一人の美少女が入ってきた。明らかに、Fクラスのむさい雰囲気に似合わない柔らかな品格が、彼女にはあった。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、宮本君」

 

俺の名前を呼んで、こちらに近づいてきた。

 

「姫路さん………あれ、啓太知りあいだったの?」

 

島田の攻撃を受けながら、明久は聞いてきた。

 

「知りあいっていうか、去年同じクラスだったからな。顔馴染みではある」

 

そう、去年、俺は明久達のとは別のクラスに居た。そこに偶々姫路瑞希が居たってだけだ。

 

 

 

「へー……でも、姫路さん頭いいんでしょ、なんでFクラスに?」

 

「それは、試験当日風邪をひいてしまって、休んだからです」

 

姫路は体を申し訳なさそういった。その仕草は、みているだけでこちらが申し訳なってしまう……。

 

「バカ、そんなこと察しろ!島田、明久に天誅を!」

 

「任せといて!」

 

「ぐひゃゃゃゃゃゃーーーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その後普通通りに、授業が始まったが、姫路の様子は明らかに悪そうだった。やはり、こんなくそみたいな環境は、病人にはよくないみたいだ。別にそんなに親しかったわけじゃないが、やっぱり顔馴染みの女が苦しんでいるのは心苦しい……

 

……といっても、どうすることもできない……そうだ!あのシステムを使ってみてはどうだろう?あのシステムなら、クラスを変えることも出来るはずだ………!

 

 

掃除の後、明久と雄二を教室の外に呼び出した。

 

「雄二、明久、俺は思うんだ、人間とは生れた時から平等であり、差別とは後から取って付けた無用なものだって。でも、最下位の俺らはが言っても誰も耳を傾けない。だから、しかるべき権利を得た後でしかるべき所でこのことを……」

 

 

 

 

「なるほど、つまりお前は姫路のため試召戦争をやりたい、ってわけだな?」

 

「いい考えだよ啓太、それなら姫路さんを救える!」

 

「恥ずかしいから遠回りに言ってるのに、なんで直球に言い直すんだ!それから、このことは誰にもいうなよ?俺はほんらいこんなキャラじゃないんだから!」

 

「わかった、いいだろう。実は俺も世の中学力だけが全てじゃない、て証明してみたくてな……それで、明久お前は?」

 

「いいに決まってる!姫路さんを早くこの豚小屋から、まともな環境に変えなきゃ!」

 

 

「試験召喚戦争」

文月学園では、先生の立ち会いのもと、各科目に応じた戦闘力を持つ召喚獣を召喚することができる。その召喚獣で戦争を行い勝つことで上位のクラスと設備を変えることができる、というシステムだ。

 

 

「みんな、聞いてくれ、おれたちFクラスはEクラスに試召戦争を行おうと思う!」

 

その日に、 Fクラス代表の雄二がみんなの前で話してくれた。ほんとうにこいつは、やる気になると行動が早い。もっとそれを勉強にいかせば、学力も伸びると思うのだが………。

 

雄二はお得意の弁舌で、Fクラスのみんなをその気にさせていった。そして、なぜか側にいた俺と明久に指をむけた。

 

「みんな、こいつらはなんと観察処分者だ!」

 

そう言った瞬間、クラスのみんなが騒然とした。それもそうだろう、観察処分者とは、。学習意欲に欠けたり、問題がある生徒に学園が送るバカの代名詞だからだ。

 

「雄二、いっておくが、俺は明久より観察処分者になるのが遅かったぞ!だから、こいつよりはましだ!」

 

「なに言ってるさ!送られた時点で大差ないよ!それに、啓太は学校こなさ過ぎて、直接家に送られたでしょ!」

 

「なんだと、やるのかこのバカ!」 

 

「バカっていったほうがバカなんだ、このバ~~カ!」

 

「よし、おめえらその元気でEクラスに宣戦布告してきてくれ!」

 

宣戦布告だと!そんなの、痛い目に遭うのに決まってるじゃないか!雄二の奴、自分がそうなりたくないからって、おれたちに押し付けやがったな!

 

「明久、こうしょう。ジャンケンをして負けたほうが、宣戦布告しにいく。いいな?」

 

「望むところだよ、いまこそ長年の戦いに決着をつける時」

 

各々ポーズをとりながら…………

 

 

「「ジャンケン、ぽん!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、俺が勝った。明久はどこかの俳優のように涙をながら、宣戦布告しにいった。

明久が帰ってきた時、どんな姿だったかを述べる必要はないだろう………。

 

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