異形系個性 真・ゴジラ   作:⌒*(∴)*⌒ <滅尽滅相なの!

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ゴジラはふべん

僕こと神呉璽羅(かなえごじら)は感激に身を震わせていた。

クラスにいる、授業を受ける。

そんな当たり前だけど僕にとっては難しすぎたことが今叶っていたのだから。

先日までは教室にさえ入れず授業を廊下で受けるとかいう鬼畜の扱いを受けていたが、今日やっとこさ入り口が改修されクラスに入ることが可能になったのだ。

 

流石だぜ雄英お金持ちだぜ!

さすゆう!!

 

だから僕はめちゃめちゃ機嫌が良かった。

こんな気分は入学試験でビル群を一斉爆破した時以来だ。

えがったなー、ちょうえがったなー。

そんな気分で授業を楽しんでいるとヒーロー基礎学の授業が始まる。

ヒーロー基礎学は初授業だ。

 

「わーたーしーがー普通にドアから来た!」

 

先生らしきオールマイトがその言葉通り普通にドアから入室してくる。

オールマイトは筋骨隆々の金髪偉丈夫だ。

確かナンバーワンヒーローだかなんだかでいっちゃん有名なヒーローらしい。

まぁテレビとか見る機会自体数える程しかない僕はそこまで詳しくないのだ。

基本僕は家の庭にテント張って暮らしてたしね。

父さんの安月給で僕の体重を支えられる家に改築してくれなんて言えないしね。

 

「ヒーロー基礎学‼ヒーローの素地を作る為に様々な訓練を行う科目だ!!単位数も最も多いぞ‼」

 

皆がざわざわと色めき立つ中でオールマイトがカードを取り出す。

 

「早速だが今日はコレ!!」

 

そこには『BATTLE』という簡潔な文字。

 

「戦闘訓練!!」

 

『うぉおおおぉぉお』と皆が歓声をあげる。

 

「そしてそいつに伴ってぇ、こちら」

 

オールマイトが何かのボタンを押す。

すると教室の壁が何やらカッコよく、壁が開き、たくさんのトランクが収納された棚が出てきた。

 

「入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえた…戦闘服」

 

「「「おおぉぉおぉぉぉおおおお!!!」」」

 

ヒーローコスチュームである。

初めはコスチュームとかゴジラには不要だろうと耐熱性のズボンを申請しただけだったがもっと色々言えばよかったかもしれない………放射線防護服とか。

 

まぁ必要なのは周りかもしんないけど………。

 

「着替えたら順次、グラウンドβに集まるんだ!!」

 

 

 

 

 

「始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!」

 

「ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか」

 

真面目そうな眼鏡が質問する。

 

「いいや、もう二歩先に踏み込む。屋内での対人戦闘訓練さ!敵退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内のほうが凶悪敵出現率は高いんだ。監禁、軟禁、裏商売。このヒーロー飽和社会、真に賢しい敵は屋内にひそむ!!」

 

おく……ない…?

屋内?

 

「君らにはこれから『敵組』と『ヒーロー組』に分かれて、2対2の屋内戦を行ってもらう!」

 

えっ?

待って。

屋内ってことは俺無理じゃね?

雄英じゃなければ普通ゴジラの体重を支えられないよ?

2713tだよ?

2713tって人どころか船の重さだからね?

 

「いいかい?状況設定は敵がアジトで核兵器を隠していてヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーローは制限時間内に敵を捕まえるか核兵器を回収する事。敵は制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事」

 

僕の混乱を他所にオールマイトは説明を続ける。

 

怪獣映画では大体効かない核攻撃だとかくだらないこと考えるくらいには混乱している僕をおいてオールマイトは締めくくる。

 

「コンビ及び対戦相手はくじだ」

 

 

 

 

「さて、これで皆のペアは――」

 

「センセェ。オレノ名前ガ無インデスケド」

 

「神少年………。その、あの、すまない。君の体重を支えられる演習屋内施設がないんだ」

 

知ってた‼

凄い申し訳なさそうなオールマイト先生に言われんでも予想出来てた‼

だって2713tだから‼

2713tだから‼

皆大好き陽炎型駆逐艦の基準排水量(重量)で2000tだもん‼

それよりも713tも重いんだもん‼

知ってた‼

超知ってた‼

軍 艦 よ り 重 い も ん !!!

 

「ソレデドウスレバ?」

 

「あっ、あぁ、神少年はヴィラン役をやってくれないか?それなら二階に上がらなければ演習を行えると思うんだ……本当にすまない…」

 

「良イデスヨ。ソレクライ。ソレデ、相手ハ如何シマスカ?」

 

「う~ん、よしっ、神少年は入学試験も文句なしのトップ合格だったしこの演習で一番成果を上げた二名を君の対戦相手にしよう」

 

「ペアハ如何スレバ?」

 

「えっと、そうだな………大丈夫だ‼君なら一人でもできるさ‼あっ、ビームは禁止だ。あれは殺傷力が高過ぎるからね」

 

 

 

 

 

そうして始まったヒーロー基礎学。

皆色々と工夫を練って戦っている。

すげぇなぁ~。

個性って便利だな~。

そんな皆の個性の汎用性の高さと、ゴジラデメリットを比べて落ち込んでいるといよいよ僕の出番がくる。

 

「え~轟少年と八百万少女は神少年と戦ってくれ」

 

うわぇ~い。

何か手から氷出すイケメンと何か色んな物ポンポン出す美女だぁ~。

美系の男女と大怪獣!!

これは凶悪ヴィランとヒーローですわ~。

ゴジラとか基本人類悪だからね。

子供と美女に弱くてもゴジラだからね。

てかシン・ゴジラは完全に人類の敵だったわ。

シン・ゴジラわぁ人類の存続を脅かす脅威そのものでありぃ、人類に無限の物理的な可能性を示唆する福音であるのさぁ♪

そんなくっだらねぇことを胸の中で歌い上げながら位置につくと先生の声が響く。

 

「それでは演習開始!!」

 

 

 

 

 

あ~あ、始まってしまったなあ~。

ゴジラがヴィランとかしっくりくるけど、それ以上にゴジラが核守ってるとか違和感しかない。

ゴジラって基本原子炉目指して進撃!進撃!だからなぁ~。

てかゴジラが核持ってるとか、そんな状況詰んでるわ。

だって爆発しても死ぬのヒーローだけやし。

核を食ってパワーアップするだろうし。

ふと思ったが僕の中のゴジラ原子炉のが核爆弾よりヤヴァくね?

だって僕やろうと思えば放射能垂れ流せるよ?

まぁ僕の放射能ビームは原作ゴジラ君の約20日で半減し、2~3年で完全に無害化する奴を腹の中で更に改造した特別製なので基本被爆とかはしないんだけどね。

でも意識して制御しなきゃ普通に被爆すると思う。

だから僕が本気出せば首都圏壊滅とかできるよ?

多分だけど。

 

そんな感じのことを考えながら、核兵器のレプリカを尻尾でひょいと持ち上げる。

落としたり握り潰したりしないように慎重に尻尾を巻き付ける。

 

暇ぁ~。

 

ゴジラなんだからヒーロー役の彼らが来るまで待っていようとだらだら考え事をしていると急激に付近の気温が下がっていくのが感じられる。

背鰭の通称ゴジラレーダーは上空の戦闘機も探知できるくらい高性能なので事前察知など楽勝である。

冷気が肌というか皮を撫で、一瞬で身体の半分以上を氷に閉ざす。

ざっとレーダーで調べた限りではビルごと凍りついているみたいなのでやべぇくらいの本気である。

が、冷気でこのシン・ゴジラを無効化なんて片腹大激痛!!!

冬眠するような温いゴジラとは違うのだよ。

 

 

 

 

 

その日を私は絶対に忘れないだろう。

いや、忘れられないだろう。

 

推薦組でのトップツー。

それは私の誇りであり自信であった。

優秀である証。

私も轟さんも同年代では優秀であると思っていた。

事実それは間違ってはいなかったのだろう。

個性による広範囲凍結。

それは並みのヴィランではひとたまりもない正に必殺技とでも呼ぶべきものであった。

神さんをビルごと氷で閉じ込めた時は、やり過ぎだと見当違いの心配をしていた。

有り体に言って、勝利を確信していたと言っても良い。

 

神さんは見た目通りの異形系個性。

あの体重と体格から放たれる攻撃が、破格の破壊力を持つことも知っていたし油断ならない相手だとも思っていた。

中遠距離であれば、二人がかりであれば、倒すことはできなくとも一時的な確保くらいはできると思っていた。

入試に使ったというビームも禁止されていたし十分勝ち目はあると信じていた。

 

でもそれは余りにも楽観的過ぎたのだとすぐにわかった。

 

地面を震わせ、建物を揺らしながら放たれる大音量の雄叫び。

 

聞くものに根元的な恐怖と畏怖を与える声。

 

獣のような理性なき咆哮にも怒れる神の神託にも感じられる圧倒的生命の鼓動。

 

本能的に恐れた。

殺される、と。

人類は為す術もなく駆逐されると。

一片の慈悲もなく天災のように潰されると。

人類は食物連鎖の頂点から転がり落ちたのだと。

 

そんな思いが波のように私の思考を拐っていた。

 

雄叫びが止み、地面の揺れが収まっても私の震えも冷や汗も止まらなかった。

 

そして何も出来ず茫然とする私の前でビルが燃えた。

 

天を焦がすような焔がビルの窓を叩き割り瞬く間に火の手を広げる。

何メートルも離れた私の顔を熱した空気が叩く。

一階から上がった炎はまるでビル自らが燃えるようにその身を焦がす。

黒煙が青空を汚し焼け焦げたコンクリートが音を立てて崩れ落ちる。

余りの熱量にゆらゆらと陽炎が揺れる。

 

まるで映画や小説のような光景。

現実感なんてまるでなくて思考が纏まらない。

 

そしてその中を神さんが当然のように歩いてきた。

 

鬼よりも恐ろしい形相でこの破壊を当然のように。

赤熱化した表皮で大気を熱し、地面を歩む。

丸太のような尻尾が天を貫くようにそびえている。

 

がらがらと崩れるビルが私の棺桶か何かのように見える。

 

神さんはそこで私を見つけてこちらを向く。

 

あぁ、死ぬんだ。

なんて感想がすっと出てきた。

恐怖はなかった。

ただ諦観が私の心を覆っていた。

 

神はこちらを向くと獲物を喰らう蛇のように顎門を広げる。

そして――

 

 

 

 

 

端的に言って僕は負けた。

完膚なきまでに。

一切の同情の余地なく。

完敗した。

ゴジラの力を持ってしても?と疑問に思う方もいるかな?

ばっか!!そのせいだよ!

使いこなせねぇよ!

放射線流使わなくてもゴジラの口からファイヤーは戦略兵器なんだよ!!

世界水準軽く超えちゃってるから!

扱いきれねぇよ!

方向定めて撃つだけ?

炎は一直線に飛ばないし残留するんだぜ?

無理!

スペックだよりのゴリ押ししかできないもん。

 

つまり核兵器が燃えた。

正確には核兵器のハリボテだけど燃えた。

うん。

ゴジラの能力は炎を吐くことであって炎を操ることじゃないからね。

燃えた。

氷には炎だ!とかいうポケモン及びドラクエ脳が悪いね。

いやぁ、火炎放射は強敵でしたね。

負けたし。

 

「大切な訓練なのにごめん。自爆しちゃった」

って言ったら轟くんも八百万さんも呆れてたし。

いや、怒ってたのかもしれない。

口聞いてくれなかったし。

本当に二人には悪いことをしてしまった。

すみません。

何でもするので許してください。

 

とりま個性制御の練習だ!

思えば僕は雄英入る前は極力個性使わなかったもんなぁ。

ビームも炎も初めてだったし。

放射能汚染恐れて鍛錬をしなかったツケだな……。

鍛錬するか!!!




・神呉璽羅

グラウンドの隅っこに炎を吐いて個性制御の練習中。

・轟少年

氷で攻めたらビルを燃やして出てきた神くんに思考が追いつかなかった。

・八百万少女

この胸のドキドキ……まさか恋!!?
心なしか腕や足も震えますし授業中も目で追ってしまいます!
緊張のあまり上手く話せませんし……

・オールマイト

あいつ私より強くね?
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