NARUTO 六道へ繋がる物語   作:アリアンキング

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今回、原作にない日常回です。


その後に待つ一波乱の前、のんびりと里で過ごす7班の一時をお楽しみ下さい。


第十二話 忍達の穏やかな時間

波の国から帰還した一行は、疲れる体を押しながら真っ直ぐ火影邸へと向かっていた。

 それは勿論、波の国で起きた事の全てを報告する為である。そして部屋の前に着くと、カカシを先頭に全員は中に入っていく。

 

 

「三代目、カカシ隊第7班。任務の報告へ参りました」

「おお、ご苦労であった。それでは…報告を聞かせてもらおう」

 

 

 ヒルゼンに促され、カカシは順を辿って起きた事を話した。全ての話を聞き終わった後、ヒルゼンは立ち上がり、こちらに背を向けた。その背中に向けて、おずおずとサチが口を開く。

 

 

 

「三代目、失礼を承知で伺いますが…貴方は初めから知っていたんでしょう? タズナさんが嘘を吐いていた事や波の国で起こるであろう事も。それでいて、私達に行かせたのは何故です?」

「…お主の言う通り、ワシはタズナ殿が偽っていた事を知っていたよ。じゃが、その後に起きた事は想定外の事だらけじゃ。無論、波の国を裏で支配していたガトー一派とは…一悶着あると思っていたが、まさか霧隠れの忍が出てきた事には驚いておる」

「はあ…。今回は無事に済みましたけど、今後は勘弁して下さいよ。あと、そういう依頼が来た時は‥予め伝えてくれると助かります。敵を知らずに戦うのは、面倒なんですから」

 

 

 確信を突くサチに、ヒルゼンは観念してその事実を認めた。だが、霧隠れの忍が出張った件に関しては本人も想定外だと…彼はそう言葉を返す。その顔を見る限りでは、本当なのだろう。サチに続いて、今度はカカシが苦言を申すが、済んだ事を追及しても仕方無い。カカシは今後は隠さず伝える様、釘を刺して話を終えた。

 

 

 三人の会話が終わり、火影室に重い空気が包み始めた時。それを破ったのはナルトだった。ナルトは波の国で体験した出来事で、身心共に彼を大きく成長していた事を、ヒルゼンも感じ取っていた。出発する前より、逞しくなって帰って来た事を一番喜んでいたのは、他でもないヒルゼンであった。勿論、それはサスケとサクラの成長も同じである。

 

 

「まあ‥思い返せば大変だったけどよ。おかげで俺が進む忍道も見つかったし、カカシ先生達の修行で強くも慣れた。それに…何だかんだであの任務はとても楽しかったってばよ」

「ほっほっほ… そうか。お前も随分、成長したようじゃな。そう言ってくれると、ワシも救われるわい」

 

 

 ナルトの言葉に、ヒルゼンは心から笑った。そんな彼の楽しそうな様子を見ていたカカシ達も、自然と笑顔を浮かべる。先程まで部屋を包んでいた重い空気は完全に消えていた。本人は自覚してないだろうが、不思議とナルトは周りの者を惹き付ける魅力を持っている。今でさえ、彼の言葉で全員が笑っている。

 

 その後、ヒルゼンは表情を戻すとカカシ達に今後の予定を告げるべく口を開いた。

 

「さて、任務の達成。改めてご苦労である。そして7班に明日は休暇を与えよう。各々、次の任務に備えて存分に疲れを癒してくれ。ワシからは以上じゃ」

「分かりました。それでは失礼致します」

 

 ヒルゼンの言葉に、カカシ達は頷いて部屋をあとにする。その後、皆は解散してそれぞれ家路に向かっていった。

 

 

 

 

 ナルトと二人。家路への道中、サチは隣を歩く弟へ声をかける。

 

 

 

「ねえ‥ナルト。昼のご飯はどうする? 何か食べたいなら私が作るし、一楽に行きたいならそれでもいいわよ」

「…んー 俺は姉ちゃんの飯が食いたいってばよ。そりゃあ、一楽のラーメンは魅力だけどさ。今は無性に食いたいのは姉ちゃんの料理なんだ」

「へえ…。珍しく嬉しい事を言うじゃない。でも、どうしたの? いつもなら一楽に行くのに…今日に限って、私の料理を食べたいなんてさ」

 

 

 思わぬナルトの返答に、サチは照れた様に言葉を返した。只、何故いきなりそう言い出したのか。それが気になったサチは弟に尋ねる。問われたナルトは…少し考え込んだ後、その問いに答える。

 

 

「波の国にいた頃さ。俺達のご飯って、イナリの母ちゃんが作ってくれてただろ。それを食べてる時、ふと思ったんだ。あの料理も美味かったけど、やっぱり俺ってば姉ちゃんの料理の方が大好きだってよ。その次が一楽のラーメンだな」

「そっか…。そこまで言われたら、腕によりをかけて作らないとね。それじゃ、材料を買って帰ろう。それと他に要望はある?」

「うーん 波の国では魚ばかりだったから…。どうせなら肉が食いたいってばよ」

「そう来ると思った。それなら手っ取り早く生姜焼きでもしようか」

「おう。昼飯はたらふく食うってばよ」

「貴方の場合、昼もでしょう。そう言って、残したら承知しないわよ」

「へへ…。心配しなくても全部食うから、大丈夫だってばよ」

 

 

 そんな会話を交わしつつ、二人は里の商店街で買い物をした後。久しぶりの我が家へ戻ってきた。いつもと変わらない部屋であっても、やはり慣れ親しんだ場所が一番の安らぎを感じるものだ。そして自分の部屋に荷物を置いてから、サチは昼食の仕度を始める。程無くして、台所から漂ってくるいい匂いに釣られたのか。自室で寛いでいたナルトが、いつの間にか姿を見せていた。

 

 

「早速、匂いを嗅ぎ付けたか。もう少しで出来るから待ってなさい」

「おう。そうだ。折角だから、俺も何か手伝うってばよ」

「そう? なら、これでテーブルを吹いて頂戴。しっかり、隅々までお願いね」

「言われなくても、ちゃんとやるってばよ」

 

 

 ただ待つのは、本人も暇なのか。進んで手伝いを申し出るナルトに、サチは台拭きを渡すとテーブルを拭くよう、指示を出す。その際、隅までやるよう釘を刺す事も当然サチは忘れなかった。それにナルトは、口を尖らせて返事を返した。

 

 

「もし、綺麗にやってくれたら…ご飯大盛にしてあげるわ」

「よっしゃーー 俺に任せとけってばよ」

 

 姉が言ったその言葉で、ナルトは途端にやる気を出してテーブルを拭いていく。その現金な態度には、サチも苦笑いを浮かべた。だが、そんな姿もナルトらしいと彼女は穏やかに微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 その日の夜 夕食も済ませた後、サチは風呂を沸かそうと浴室に向かうが、そこである問題に見舞われた。なんと、何度も湯を沸かすコックを捻るが…肝心の火が一向に点かないのだ。記載されているマニュアルを見て、対処しようとするものの。やはり、火が点く事は無かった。どうやら、完全に故障しているようだ。

 

 

 仕方なく、居間に戻ったサチは起きた問題をナルトに伝える。そして、どうしようかと悩む姉にナルトはあっけらかんとした顔で…「だったら、銭湯に行こうぜ」と提案をしてきた。

 

 

「銭湯かぁ。まあ、お風呂が壊れた以上‥仕方無いわね」

「なら、早く行こうぜ。今ならそんなに混んでねえし、足を伸ばして入れるからさ」

「…随分と詳しいのね。貴方、よく銭湯に行くの?」

「ああ。姉ちゃんが任務とかで、いない時はいつも行ってたからな。だから、人がいない時間とかもしってるんだってばよ」

「そう。意外な発見ね。よし、善は急げだし行くとしますか」

「おっす。そんじゃ、俺は準備してくる」

 

 

 そして家を出て、銭湯に向かった二人は入り口の前で、サクラとばったり遭遇した。見ると彼女も入浴道具を持っている事から、自分達と同じ理由で訪れたのだろう。暫し、驚いていたサクラだったが…ふと我に返ると彼女は二人に挨拶をする。

 

「こんばんは 二人も今日は銭湯に来てたんだ」

「ええ。実は…家の風呂が壊れちゃってね。それで来たって訳なの」

「そういや、サクラちゃんはどうしてだってばよ? まさか、サクラちゃんの家も風呂が壊れたのか?」

「違うわよ。単にのんびりと湯に浸かりたいと思っただけ。それに任務の疲れもあるからね」

 

 疑問に思ったナルトは、サクラにそう尋ねた。確か、彼女の家は自分達の家と違って設備もそこそこしっかりしていた筈。そう簡単に風呂が壊れるとも思えなかった。そんなナルトの言葉を、サクラは呆れた顔で否定した。彼女の言う通り、疲れを癒すなら家の風呂より広い風呂の方が、断然いいのは当然である。

 

「まあ、此処で会った訳だし…良かったら、サチ先生の背中は私が流してあげますよ。波の国じゃ、色々と面倒を掛けちゃったから…」

「あら。それなら是非ともお願いするわね」

「そんじゃ、俺がサクラちゃんの背中を「ああ?」何でもないってばよ」

 

 訳を話した後、サクラは若干照れた様子でサチにそう言った。そんな彼女の可愛い気遣いに、サチも嬉しそうに頷いて受け入れた。それに続いてナルトが冗談めいた言葉を吐くが…それはサチを怒らせるだけであった。姉の凄まじい形相に、流石に不味いと感じて大人しく引き下がった。

 

 

 銭湯の入り口でナルトと別れた後、二人は女湯に続く脱衣所の戸を開くと、中の光景にサチは驚いた。そう、脱衣所には自分達以外に誰もいなかったのだ。家を出る前、ナルトが今の時間帯は空いていると言っていたが、まさか此処までとは正直思ってなかった。そんなサチの尻目にサクラは、手頃な場所を見つけて入浴の準備を始める。

 

 

「ねえ‥サクラ。この銭湯、経営は大丈夫なの? いくら何でも私達しか、いないのはおかしくない」

「ああ。やっぱり最初は吃驚しますよね。でも、この時間はこれが普通なんです。入浴に来る人は、主に夕方ですから」

「そういう事かぁ。じゃあ、潰れる心配とかはいらないのね」

「勿論! それとこの銭湯は、里外の人にも人気があるんですよ。行商人や公務で来た大名達も入浴に来るって話も聞きますからね」

「へえ… それは凄い。それとサクラ…。さっきから気になってたけど、もう少し砕けた話し方でもいいわよ。無理に敬語を使われると、壁を感じるからさ」

 

 

 丁寧に説明するサクラの口調が、気になったサチはそれを指摘する。彼女が敬語を使うのは、自分が目上だからとサチは当たりをつけていた。しかし…そんなサクラの口から出た言葉は、サチの予想を超えていた。

 

 

 

「う、うーん。別に壁を作るつもりは無いけど、その‥ね。以前、猫を捕まえる任務の時に見たサチ先生が、怖くってさ。それでつい敬語になっちゃうのよ」

「こ、怖い‥。その時、私はサクラに何もしてないじゃない」

「やってたわ。こう…握り拳を見せ付けてさ」

「……。ああ、あの時か。確かにやったわね。でも、あれってそんなに怖かったの?」

 

 

 その時の真似をして、当時の事を語るサクラにサチは、漸くそれを思い出した。確かにあの時、自分は三人を威嚇する様に握り拳を見せ付けたが。別段、怖がる程の事でも無かった筈。それ故、サチは不思議そうに尋ねた。

 

 

「当然よ。血管が浮く程の拳と有無を言わせない笑顔を見たら、恐怖しか感じないわよ」

「う、それは…悪かったわ。私も冗談のつもりだったけど、サクラはそう思わなかったみたいね」

「はあ…。サチ先生も反省してるなら、もういいわ。それより、早く入りましょうよ。背中を流す約束もあるからね」

「フフ そうね。なら、私はサクラの背中を流してあげる」

 

 

 そうして二人は笑いながら浴室へ向かった。そこで約束通り、サクラはサチの背中を流す最中。右肩から左腰にむけて、伸びる傷跡が目に入る。只の切り傷と違うのは、所々が抉れている箇所がある事だろう。その痛々しい傷跡を見た為か、サクラの手は自然と止まっていた。

 

 

 サクラの視線から、手が止まった理由を悟ったサチは気まずそうに口を開く。

 

 

「…ああ、この傷。ちゃんと治療したけど、やっぱり跡が残ったみたいね。こういった事は、忍をやってる以上は仕方無いのよ」

「これ‥もしかして、私を庇った時に付いたの?」

「いいえ。それとは関係ないわ。だから、サクラが気にする必要は無いわ」

 

 

 自分の所為で負った傷かもしれない。そう思っているであろうサクラに、サチはやんわりと否定した。サチ本人としては、傷が出来る事に慣れているが…サクラはそうはいかない。しかし、傷の事は己の責任だ。そこはしっかりとサクラに伝えた。その言葉は、彼女にも届いたのだろう。先程までの暗い顔から、吹っ切れた顔へ変わった。

 

 そして止めていた手を再び動かすと傷に響かない様、サクラはサチの背中を労わる様に洗った。

 

 

 

 その後、入浴を堪能した二人は既に上がっていたナルトと合流する。ナルトは二人を見るや、不満そうな顔で近寄ると声をかけてきた。

 

 

「あ、やっと来た。もう、二人共‥遅いってばよ。俺ってば、30分近く待ってたんだぞ」

「あのね。女の子のお風呂は長いものなの。あんたと違うんだから、文句を言わない」

「サクラの言う通りよ。それに上がったなら、先に帰ってても良かったのよ。どうせ、貴方の事だから…風呂上りに何か奢って貰うつもりだったんでしょ?」

「…ハハハ。やっぱり、ばれてたか。そんなら、俺はフルーツ牛乳が飲みたいってばよ」

 

 

 待たされた事に文句を言うナルトだったが、姉のサチは弟の魂胆を見抜いており、それをズバリと言い当てる。言われた本人も、隠す所か。寧ろ、堂々とサチに強請ってきた。また甘いと感じながらも、サチは弟の要求したフルーツ牛乳を買ってやる。勿論、自分とサクラの分も忘れてはいない。

 

 その後、風呂上りの一時を過ごしてから二人はサクラと別れ、家路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 翌日

 いつもと変わらず、決まった時間に目を覚ましたサチは…朝食の用意をするべく居間へ向かった。するとそこには珍しく早起きしたナルトの姿があった。それだけでなく、テーブルの上には二つのカップラーメンが置かれている。

 

 

「おはよう。今日は朝早いじゃない。一体、どうしたの?」

「あ、おはよう。いやさ、俺もあと少し寝ようと思ってたけど…何か、腹減っちまってさ。どうせだから起きる事にしたんだってばよ。ついでだし、姉ちゃんのカップ麺も作っておいたぜ」

「ふーん。だとしても、朝から豚骨のカップ麺は少し重くない?」

「そうかな? 腹減ってれば、大丈夫だってばよ」

 

 

 弟は平然とそう言うが、やはり朝から食べるには少し重かった。食べ終わった後、日課にしている朝の散歩へ出かける。その際、ナルトも誘うが本人は二度寝をすると、部屋へ引っ込んでしまった。仕方なく、サチは一人で行く事にした。

 

 

 朝の陽射しを浴びながら、サチはお決まりのコースをのんびりと散策する。時折、すれ違う老人や子供達に挨拶を交わす。その穏やかな時間を満喫していると、後ろから自分を呼ぶ声に気付いた。振り向いた先にいた声の主はカカシであった。何とも珍しい事が続くと思い、サチは彼に歩み寄っていく。

 

 

「あら。カカシじゃない。貴方も早起きしたの?」

「ま、そんな所さ。それに俺もって、引っかかる言い方だな」

「ああ。今日はナルトが私より、先に起きてたからね。しかも、朝食まで用意して」

「へー そりゃ、珍しい。と言っても、どうせラーメンだったんでしょ?」

 

 

 サチの話を聞いて、カカシはそう答えた。その事にサチは驚いていると、カカシが自分に指を向けて‥「だって、今のお前から豚骨の匂いが漂って来るからな。よく朝から、そんなもん食えるねぇ」と呆れた風に言い放った。容赦ない言葉に、流石のサチもムッとした表情になる。言ってる事は尤もだが、仮にも女性に向かって匂うという言葉を言われたくはない。

 

 

「失礼ね。何も平然と匂うって、言わなくてもいいじゃない。第一、弟が作ってくれたのを無視する訳にいかないもの」

「…そうか。すまん、今のは俺が悪かった」

「別にいいわ。所で何か用があったんじゃないの?」

「おっと、忘れていた。実はだな。今日、アスマ達からお茶会の誘いがあって、その集まりにお前を誘いに来たんだよ」

「お茶会かぁ! それは楽しそうね。勿論、私も行くわ」

「それは良かった。一応、言っとくが…ナルト達には秘密だぞ。今回のお茶会、久しぶりにやる訳だし…同僚同士でのんびりとやりたいからな」

「ふふ 分かってるよ。例え知られても、ナルトは遠慮して来ないと思うわ。やんちゃな所はあるけど、ちゃんと場の空気を読む子だから」

 

 

 

 お茶会の事を伝えた後。それをナルトに黙っておく様、カカシは釘を刺す。その言い方は、まるでナルトが邪魔だと聞こえるが、当然ながら本人にそんなつもりは無く。単純に仲間とゆっくり過ごしたいからであった。無論、彼女もそれは分かっているが、ナルトの事を少し勘違いしているとサチはやんわりカカシに言った。

 

 

 

「…そりゃ意外だ。普段のあいつを見ると、着いて来そうな感じがしたからなぁ」

「まあ…付き合いが長くなれば、分かる様になるわ。あと肝心のお茶会は何時から?」

「時間は13時頃だな。場所は中心街の団子屋でやるから遅れるなよ」

「ええ。じゃあ、その時にまたね」

「ああ。またな」

 

 

 

 サチの言葉に、カカシは訝し気な顔をするが無理もない。だが、それは過ごす時間が増えれば分かる事だ。その後、聞き忘れていた場所と時間を尋ねてからサチはカカシと別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 散歩から帰ると、居間に一枚の置手紙を見つけた。それを手に取り、手紙に目を通すと修行の為、近所の森に出かけると書いてある。どうやら二度寝から起きた後、暇を持て余したナルトは体を動かしたくなったのだろう。しかも家にいなかった自分を思って、律儀に書き置きまで残すナルトにサチは微笑みを浮かべる。

 

 

 大雑把に見えて、こういう気遣いが出来る子だ。それに何事も我武者羅にやる弟の事だ、恐らく夜まで帰って来ないだろうが…万が一もある。一応、出かける時に書き置きを残した方がいいだろう。

 

 

 

「さて、時間までまだあるし…いっその事、私も一眠りしようかな」

 

 

 時計に目をやり、時間を確認すると約束の時間までは大分先だ。何もやる事が思い付かず、サチは仮眠を取ろうと自室へ向かった。

 

 

 それから数時間後 寝返りをした際、目を覚ましたサチが傍の時計をみると、時刻は12時を回っていた。軽く寝るつもりが、気が付けば熟睡していた様だ。起きて顔を洗いながら、昼食をどうするか悩むが…今、食べたらお茶会に響くだろう。多少の空腹は感じていたが、サチは我慢する事にした。

 

 

 

 

 

 

 約束の時間が迫り、未だ帰らぬナルトへ書き置きを残してからサチは家を出た。慣れた道を歩き、里の中心街にある団子屋に着く。そして既に来ていた夕日紅がサチに気付いて、声をかけて来た。その隣には猿飛アスマやガイの姿もある。

 

 

「サチ、こっちよ。早くいらっしゃいな」

「お、おめえの顔を見るのは久しぶりだな。変わらず元気そうで安心したぜ」

「ええ。アスマと紅も久しぶりね。それにガイも来てたのね」

「おう。珍しくカカシの奴が、誘って来たからな。所でサチ、お前達の噂を聞いたぞ。何でも波の国で大活躍したそうじゃないか」

 

 

 久方ぶりに会う仲間と挨拶を交わした後、ガイが興奮した様子で話しかけてきた。その内容にサチは、思わず耳を疑う。確かに自分は、カカシ達と波の国で力を尽くした事は事実だ。しかし、その事はまだ誰にも話した覚えはない。カカシから聞いたのかと、サチは思ったが…彼は余り自分の事を話すタイプではない。ならば、ナルトから聞いたのだろうか?とも考えたものの。ガイは噂と口にした。もし人から聞いたのであれば、正直にその名前をだすだろう。考えても分からない為、サチは思い切って尋ねる事にした。

 

 

 

「その…噂。一体、何処で聞いたの? 私は誰にも話した記憶は無いけど…」

「ああ。まあ、聞いたというより。見たと言った方がいいかな。実は…今朝の瓦版に件の記事が載っていたんだ。最初見た時は、驚いたぞ」

「へえ‥そりゃ、凄いな。そんで、どんな記事だったんだ?」

「確か…ガトーなる者が雇った霧隠れの忍を倒して、その陰謀を打ち砕いたとあったな。そして、相手の名前が百地再不斬と朔麻だったな」

「オイ、それはマジかよ」

「寄りによって、その二人とはねぇ」

 

 

 ガイの口から語られた話に、紅とアスマも驚きを隠せずにいた。当のサチは、何故二人がそこまで驚くのかが理解出来ずにいた。しかし、二人の口振りだと‥その訳を知っているようだ。先程と同じく尋ねようとサチが、口を開いた時。遅れていたカカシが姿を現した。

 

 

 

「やぁ 諸君。遅れて申し訳ないね。所で何やら、盛り上がっているようだけど…」

「ったく‥。言い出しっぺのお前が遅れてんじゃねえよ」

「丁度いいタイミングね。今、貴方達の話題をしてた所よ」

「俺達の? 何の話をしてたんだ?」

 

 

 

 遅れた自分に文句を言うアスマを尻目に、紅の言葉が気になり、カカシは首を傾げて尋ねるとサチが事情を説明した。そのおかげで話の内容を把握したカカシを見ながら、サチは改めて二人に問い掛けた。

 

 

 

「ねえ…二人のさっきの反応。それが気になったんだけど…一体、どういう事なの?」

「貴女、相手の事を何も知らないの? 鬼人や狂人と言えば、名の知れた忍だというのに」

「本当だな。鬼人といえば、一晩の内に集落の人間を一人で皆殺しにした話があるし…狂人に至っては、女と見れば子供大人関係なく、攫っては拷問する話もあるんだぜ」

「だから吃驚したのよ。そんな二人と殺り合って帰って来たんですもの」

「…只者じゃない事は…知っていたが、まさかそれ程の忍だったとはね」

「ええ。私達、よく本当に生き残れたわね」

 

 

 

 

 思わぬ話を聞いて、カカシとサチの顔は若干青ざめていた。そんな二人を見て、アスマ達は楽しそうに笑っていた。その後、二人は散々弄られる羽目になったが…それでも穏やかな時間を過ごせた事をサチは、心から嬉しいと感じていた。

 

 

 その後、偶然通りかかったナルト達を見て。カカシは自分の注目を逸らす為、彼らを強引に引き入れる出来事もあった。結局、いつもの7班メンバーが揃う形になったお茶会は大いに盛り上がった。

 




今回のお話、いかがだったでしょうか?

波の国での戦いや任務が終わって、過ごす休日。漫画では余り、こういう描写は無かったので書いて見ました。


また一言でも良いので、感想をお待ちしています。


2/21 サブタイトルを一部変更しました。
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