NARUTO 六道へ繋がる物語   作:アリアンキング

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第一七話 極限のサバイバル

「ほらぁ 何をぼんやりしてんのよ。もしかして…次の試験にビビってる訳じゃないわよね?」

「空気読め。お前の行動に皆、飽きれてるんだよ。まずは名を名乗れ。啖呵を切るのはそれからだろうが…」

「う、分かってるわよ。あたしの名前はみたらしアンコ。さっきも言ったけど、次の第二試験の教官よ。それにしても、78名も残るとはね。イビキ、あんたにしちゃ少し甘いんじゃないの?」

 

 派手に登場した女性 みたらしアンコは、威勢よく啖呵を切るが…イビキのツッコミで大人しくなった。アンコが受験者の方へ視線をやると、皆一様に呆れた顔している。彼女は気を取り直し、誤魔化す様に咳払いを一つしてから自らの名を大声で言った。そして、今度はイビキに向き直ると、アンコは残った受験者達の数に不満を洩らす。

 

 

 

「そうでもないさ。俺はとことんやったが、残ったのはそれだけ優秀な証拠だよ」

「フーン まあいいわ。どのみち、次の試験で半分以下になるだろうし…さて、そろそろ試験会場へ移動するわよ。全員、ついてらっしゃい」

 

 

 

 訳を説明するイビキへアンコは、ぶっきらぼうに言葉を返した。そんな彼女にイビキは、肩をすくめる。アンコがこうなのは元からで特別上忍同士、接点が多い彼は慣れているが…初めての時は腹を立てたのを覚えている。

 

 

 そんな彼女は生き生きとして、受験者達を連れていった。それを見送った後で、イビキは教室内の答案用紙を回収していく。その内の一枚を手にして、彼は驚きの表情を浮かべる。それは自分に啖呵を切ったあの少年、うずまきナルトの答案だった。何せ、その答案は全て白紙であり、一問たりとも答えが書かれていない。

 

 

「まさか、白紙のままで試験を突破するとはな…。うずまきナルトか、面白い奴が出てきたものだ」

 

 

 彼は用紙を見つめて、穏やかに笑った。確かにこの試験は、白紙でも合格は可能だ。しかし、はなからやる気が無い者は即刻、失格にするつもりであった。しかし、最後の問題に賭けて進もうとするナルトの姿は、上に立つ者の資質を自分にしかと見せつけてくれた。またナルト以外にも、有能な若者達が育っている事が何よりも嬉しさを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 木ノ葉の里 第44演習場。

 アンコの引率で受験者達は、件の演習場に訪れていた。そこは鬱蒼とした森を金網で囲った場所である。外から見える木々は、とても太く空を覆う様に伸びている。恐らく、中は夜の如く暗いだろう事が一目で分かる程だ。受験者達が息を飲む様を満足そうに見つめるアンコが、第二試験の説明を口にする。

 

 

「此処があんた達の舞台。第44演習場よ。別名、死の森と呼ばれる場所。何故、そう呼ばれるのかは…すぐに実感する事になるでしょうし、説明は省くわね」

「へー すぐに実感することでしょうし!とか言われてもよ~ 別に怖くねえってばよ」

「ふーん 君は随分と度胸があるようね。それは感心だけど…」

 

 

 アンコが連れてきた場所について、話している最中。ナルトが彼女の話を遮り、馬鹿にした様な言葉を吐き捨てる。アンコはニコリと頬笑むと、袖からくないを取り出して、彼に向かって投げ付けた。クナイは彼の頬を裂き、後ろにいた長身の女の髪を掠めて地面に突き刺さる。

 

 

「こういう場所で真っ先に死ぬのって、アンタみたいな子なのよねぇ。あたしの好きな血をぶちまけてさ」

 

 

 ナルトの背後に回り込み、頬から流れる血を舐めながら言うアンコにナルトは青ざめた。すると自分に迫る殺気に気付いて、新たに取り出したクナイを後ろに立つ女へ向けた。その女は蛇の様に伸ばした舌で、彼女が投げたクナイを差し出した。

 

 

「クナイ、お返ししますわ」

「態々、どうもね。それと…一つ言っておくけど、殺気を出してあたしに近づくな!! 次やったら、あんたの首が落ちる事になるわよ」

「それは失礼したわ。いえね、貴女が投げたクナイで私の髪が切られたものだから、ついカッとしちゃってねえ。あと私も血を見ると…興奮する性質でしてね。悪気はありませんよ」

「そう、ならいいわ。髪については悪かったね」

「いいえ…」

 

 

 二人のやり取りを周りの者達は、恐怖を含んだ目で見つめていた。それはナルト達も同じで特に不気味な女に、三人は警戒していた。見た目だけでなく、雰囲気も異様であった。だが、不意にその女達を見て、ナルト達は違和感を覚えた。第一試験の会場にあんな奴らはいただろうか?単に見落としていただけかもしれないが、それにしたってあれ程の存在感が強い者達に気付かない訳がない。

 

 

 

 何にせよ、あの三人には注意するべきだ。ナルト達は一層、警戒心を強くする。

 

 

 

 

「ハイハイ、全員注目!! 今から第二試験を始める前に…あんた達にはやってもらう事があるわ」

 

 

 場が静まった頃、アンコは懐から紙の束を掲げて受験者達に見せつける。一体、何事だと思う彼らにアンコが更に言葉を付け加える。

 

 

「これは…この試験に挑む際、受験者達に書いてもらう同意書よ。こっから先の試験じゃ、命を落とす可能性がぐんと上がるからね。予め、その事を同意して書類にサインしてもらう訳。そうしないと他里の忍が死んでしまった場合、里同士の争いに発展するし、何よりあたしの責任になっちゃうからね」

 

 

 アンコは笑って軽く言うが、受験者達の顔は険しくなる。命を落とす可能性があると、言われて明るくなれる訳が無い。先程、アンコの言葉通り…この試験で人数が半分に減るというのは、あながち本当なのかもしれない。

 

 

「…全員、同意書にはサインしたわね? それじゃあ…第二試験の詳細を説明するわ。まず、今いる場所が此処、第44ゲート前よ。この演習場は名前の通り、44のゲートが森と川を円で囲んでいるの。そして…中央に塔があって、そこが第二試験のゴールとなってるわ。そんでもって、試験の課題だけど…それは五日間のサバイバルよ」

 

 

 彼女の話を聞いて、少しだけ余裕を取り戻した受験者達だったが、続いて出た言葉に愕然とする。

 

 

「だけど、あんた達が行うのは単なるサバイバルじゃないわ。限られた場所で己が持つ力を尽くして、巻物争奪戦をやってもらうわ。この天と地の巻物をね」

 

 

 そう言って、アンコが見せたのは天と地。二つの文字が刻まれた巻物であった。彼女が口にしたルール。それは78名からなる26チームで巻物を奪い合い、ゴールである塔に三人で辿り着いたチームが合格との事だった。巻物は各チームに天と地13個ずつ、配られる。単純な話では13組が脱落する事を意味する。しかし、この試験はそう簡単に終わるとは思えない。五日の間、いつ狙われるか分からない恐怖と緊張、そして試験の途中リタイアは無し。つまり演習場から出るには自分達が再起不能になるか、五日間が過ぎるの二つしかない。

 

「あたしからの説明は以上よ。心の準備が出来た者は、あそこのテントで同意書と巻物を交換した後、それぞれの指定されたゲートへ向かいなさい。最後に…あたしからアドバイスを上げるわ。全員、死ぬな!!」

 

 

 彼女の一言で各々のチームは覚悟を決めた様だ。その言葉はアドバイスとは、程遠いものだったが…それに込められた想いは全員、理解出来たようである。

 

 

 

 

 

 巻物の交換を待つ間、ナルト達は巻物を交換しているチームを眺めていた。生憎の事、巻物を受け取るチームはテントに入る為、渡されたチームの誰が巻物を持っているのか。それを知る事は出来ない。どうやら、既に争奪戦は始まっているのだろう。

 

 

「試験が始まったら、まずはルーキーを狙いましょう。そうねぇ、あの三人をマークしておきなさい」

「了解…。此処からは、殺しても問題無いようですし、簡単に終わりそうですね」

 

 

 全てのチームが巻物を受け取り、指定のゲートで試験開始を待ちながら受験者達は作戦を練っていた。その一チームである草の忍達は、ルーキーのナルト達に狙いを定めた様だ。それは先程、アンコといざこざを起こしたあの不気味な女もいる。

 

 

 全てのチームが指定の場所へ着いた事を確認してから、アンコは無線を通じて各ゲートにいる者達に指示を出す。それと同時に皆は一斉に演習場の中へと、消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 それぞれのチームは、巻物を廻って森を駆け廻る。その一チームが森に立つ別のチームを見つけて、狙いを定めるが…実はそれが相手の罠であり、逆に返り討ちに遭ってしまった。彼らが上げた断末魔の悲鳴は、広い森の中へ響き渡る。

 

 

 

「ねえ…今の悲鳴よね!? まさか、もう誰かやられたの?」

「何、心配する事ねえってばよ。む、悪りぃ俺、ちょっとしょんべんしてくる」

「あんたねえ。もう少し緊張感を持ちなさいよ。全く‥」

 

 

 

 悲鳴を聞いて、些か緊張したサクラだが…ナルトの言葉によって、それが和らいだのか。サクラは少し落ち着きを取り戻した。そしてナルトが用を足して戻ってくると、サスケは彼に近づいた瞬間。ナルトを思いっきり殴り飛ばした。その勢いは強く、ナルトは傍の大木まで吹っ飛んでいく。

 

 

 

「ちょ、ちょっとサスケ君!? 何でナルトを殴るのよ」

「いや、あいつはナルトじゃない。あいつの顔をよく見てみろ」

「ナルトの顔? …あっ、そういう事ね」

「気付いたか。おい、偽物野郎。お前は誰だ? そしてナルトを何処へやった」

「何言ってんだってばよ。俺は本物に決まってんだろ!?」

「あくまでしらばっくれるつもりか。だったら、お粗末だな。右利きのあいつが、左にホルダーを付ける訳がない。それに決定的なのが、試験官に付けられた傷が消えてるぜ。お前はナルトより、変化が下手くそだな」

「何だよ。いきなりばれるとは…アンラッキーだな。そんじゃ、実力行使と行くか」

 

 

 

 サスケが取った行動に、流石のサクラも彼を咎めた。しかし、サスケは冷静な態度でサクラにナルトの顔を見ろと告げる。訳を説明せず、淡々としている彼に僅かに苛立ちを覚えながらも、彼女がナルトの方を見る。そこでサクラも漸く、サスケが言った事を理解した。無論、殴られた偽物は自分が本物だと言い張るが、サスケが不自然と思う所を指摘すると相手も観念して、正体を現わす。相手は妙な器具を口に装着した男で、額あてを見れば雨隠れの忍であった。

 

 

 宣言通り、実力行使に出た男は二人に向かって行く。その相手に対して、サスケは火遁 鳳仙花の術で応戦した。だが、相手もそれなりの実力者なのだろう。意図も容易く、その攻撃は避けられてしまう。その後、戦いの場を木の上に移すが、相手の巧みな攻撃に不利と判断して地上に降りる。しかし、敵の動きは想像以上に素早く、サスケは男に背後を取られてしまった。

 

 

「おっと、少しでも動いたら、背中から心臓を貫くぜ」

「…調子に乗ると、痛い目を見るぜ」

「へえ。だったら、見せてもらおうかぁ!!」

 

 

 

 サスケの背後を取った事で、有利と感じた男が嘲りの言葉をサスケに投げかける。不利な状況でもサスケは動じず、逆に男へ挑発を仕掛けた。それに男は逆上して、サスケを殺そうとした時。突如、飛んできたクナイに男は上に飛びあがって、回避する。

 

 

「この野郎!! さっきはよくもやってくれたな」

「やっと来たか。てめーはいつも遅いんだよ」

 

 

 クナイを投げたのは、姿を消していたナルトである。戦いの最中、木の上から縛られた彼を見つけたサスケの手で救出されていた。またナルトの攻撃で生まれた相手の隙をサスケは見逃さない。地面に落ちたクナイを足で拾い上げると、男に向けて投げ付けた。それと同時にサスケは、男に切迫すると投げたクナイを掴み取り、男の左肩に深々と突き刺した。

 

 

 

「おい、ぼさっとするな二人共。まだ敵は何処に潜んでるか分からないんだ。一時たりとも気を抜くな」

 

 

 相手の様子に注意を払いながら、サスケは下にいる二人へ叫んだ。だが、相手はその一瞬を突いて、サスケから距離を取るとその場から立ち去っていった。どうやら、勝ち目が無いと踏んで退いた様だ。

 

 

 

 

 その後、三人もその場から離れると今後の事を話し合う。また同じ事態が起きた場合、本物と偽物を瞬時に見分ける手段を今の内に見つけておかねば、厄介な事になるのは明白だ。

 

 

 

 

「いいか。また三人がバラバラになった時を考えて、合言葉を決めて置こう。もし、合言葉を尋ねて返事を返さなかった場合や合言葉が違っていた場合、それは敵という事だ」

「それはいいけどよ。一体、合言葉は何にするんだってばよ?」

「ああ。それは今から言う。一度しか、言わないから良く聞いておけ」

 

 

 そうしてサスケが決めた合言葉を口にする。

 『忍歌 それは忍機と問う。大勢の敵の騒ぎは忍びよし。静かな方に隠れ家もなし。忍には時を知ることこそ大事なれ… 敵の疲れと油断するとき』これがサスケの決めた合言葉であった。長く複雑だが、これなら仲間を識別する事が出来る。

 

 

「これが合言葉だ。二人も覚えたな」

「ええ。しっかりと覚えたわ」

「……おう」

「そうか。それと巻物は俺が持っておくぜ」

 

 

 

 合言葉を覚えたか?とサスケが二人に確認を取った後、彼は巻物を手にして懐へしまった。そして三人が移動しようとした時、彼らの後ろから凄まじい突風が吹き荒れる。咄嗟にサスケはサクラを庇った為、二人は余り飛ばされずに済んだ。しかし、全く警戒していなかったナルトは、その風によって何処かへ飛ばされてしまった。

 

 

 

 

「おい、皆…無事か?」

「ええ。私は大丈夫よ」

「待て、先に合言葉を言ってもらおう」

「あ、そうね。忍歌 それは忍機と問う。大勢の敵の騒ぎは忍びよし。静かな方に隠れ家もなし。忍には時を知ることこそ大事なれ。敵の疲れと油断するとき。これでいいでしょ?」

「ああ。問題はナルトだな」

 

 

 

 サクラと合流したサスケは、彼女から聞いた合言葉で本物であると確認した。だが、一番の問題はナルトのほうである。正直、あの長い合言葉を彼が暗記出来るとは思えない。本人は返事をしていたが、言うまでに少し間があった事に不安を覚えていた。

 

 

 

「おーい サスケ、サクラちゃん。やっと、見つけたってばよ。さっきの風は一体、何なんだ?」

「止まれ、合言葉を言うのが先だ」

「おっと、そうだった。忍歌 それは忍機と問う。大勢の敵の騒ぎは忍びよし。静かな方に隠れ家もなし。忍には時を知ることこそ大事なれ。敵の疲れと油断するとき。確か、こうだったよな」

 

 

 

 すらすらと噛む事もなく、ナルトは複雑な合言葉を言ってみせた。それにサクラはホッとするが、サスケは鋭い目つきで睨むや、クナイを彼に向かって飛ばす。それをナルトは、サッと避けるとサスケに向かって怒鳴り出す。

 

 

「何するんだよ。危ねえだろうがっ!!」

「黙れ、懲りずに変化するとはな。だが、今度はさっきとは別だな。一体、何者だ?」

「え?どういう事なの?」

「フフフ どうして…分かったの? 私が偽物だと」

「簡単な事だ。俺が合言葉を言う際、お前が盗み聞きしていたのは知っている。だからこそ、あの合言葉にしたんだ。それにあいつがあの言葉を覚えるとは、思ってないからな」

 

 

 一度ならず、二度までナルトを攻撃したサスケに、サクラは何が何だか分からないと困惑する中。ナルトの姿をした者は、いきなり笑い出すと正体を露わにする。その人物はあの不気味な女であった。どうやら、試験開始前から自分達に狙って来たのだと、二人は悟った。

 

 

 

「成程…。まさに疲れも油断も無いという訳ね。思った以上に楽しめそうだわ」

 

 

 二人は嗤いながら言う女を見据えて、身構えた。

 

 

 

 

 

 一方、突風に飛ばされた本物のナルトは、木に打ち付けられて痛みに喘いでいた。すると大きな影が彼を覆う様に現れた。何だとナルトが見上げると…驚く事にそこにいたのは、とてつもなく巨大な蛇が彼を見下ろしていた。

 

 

「…何だよ。やるってのか?」

 

 

 

 蛇を睨み返し、ナルトはそう言い返すが…当然、返事は返って来ない。数分、お互いは動く事なく、睨み合っていると後ろから物音が聞こえて、振り変えると地面から飛び出す蛇の尾がナルトに迫っていた。自分に迫る尾から逃げようとするが、蛇の方が一瞬早く、彼は捕まってそのまま蛇に飲みこまれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 ナルトが危機に見舞われていた頃、それはサスケ達も同じであった。こちらは相手の能力も敵の数も知らないが、向こうにはそれが知られている。どう攻めるか、二人が考えていると女は巻物を取り出して話しかけて来た。

 

 

 

「あなた達が持っているのは、天の巻物よね? だったら、私が持ってるこの地の巻物…欲しいわよね?」

「…だとしたら何だ? くれと言ったら、くれるのかよ」

「フフフ、それは無理よ。ならば…答えは一つよね。さあ、始めましょう。巻物の奪い合いを命懸けで…」

 

 

 

 そう告げると女は巻物を口から丸呑みにした。その姿はまるで蛇の様で二人は背筋が凍りつく。そして…女が殺気を放った時、二人の体中に無数のクナイや手裏剣が突き刺さっていた。だが、それは現実の事ではなく、二人が見た幻である。女の殺気は、自分が殺されたと錯覚する程に強いものだったのだ。

 

 

 

 

「ぐう… うえええ」

 

 

 女の殺気に当てられて、サスケは堪らず嘔吐した後。力なくへたり込んでしまった。震える体を押して、サスケがサクラに声をかけるが、当の彼女もへたり込み。震えて泣くだけで、返事を返す事が出来ずにいた。

 

 

 

「くくく ほんの少し殺気を出しただけでこれとはね。楽しめると思ったのに…見込み違いの様ね。とっとと終わらせるとしましょうか」

 

 

 女は動けずにいるサクラへ、クナイを投げた。それを見て、サスケは残った気力で震える体に鞭を入れる。間一髪、サスケはサクラを助ける事に成功したが、その代償は大きく。彼の太ももからは、大量の血が流れ出ている。あの時、サスケは自らをクナイで刺して痛みで、恐怖を無理やり抑え込んでの行動だった。

 

 

 

 

「…ごめん、サスケ君。その…怪我は大丈夫?」

「問題無い。それより、静かにしろ!! 奴に気付かれる」

 

 

 心配してサクラが声をかけるが、本人はそれを突っ撥ねた。普段と違って、今のサスケは何処か怯えた様子であった。

 

 

 

 

 

 そして蛇に飲まれたナルトは、グイグイと胃に押し込まれそうなって慌てていた。このままでは、本当に蛇の酔う分になってしまう。何とかしようと体を動かすが、押し潰そうと蠢く蛇の肉によって阻まれていた。そんな時、ナルトはある事を思い付く。それは以前、無理やりに食事を食べては吐いていた時の事だ。そうだ、限界を超えればどんなものでも何れは…。思ったら即行動だと、ナルトは何とか両腕を動かして、影分身の印を組む。

 

 

 

 すると蛇のお腹が異様に膨れ上がり、やがては大きい音を立てて内側から破裂した。ナルトの作戦は見事に成功して、彼は窮地を脱する事が出来た。そして…一息吐いてから、ナルトは仲間の元へと駆けていく。

 

 

 

 

 その頃、女から隠れていた二人は近くの木の上で息を押し殺し、女の様子を窺っていた。何かあった時、騒がないようサスケはサクラの口に手を押し当てる。だが、その時…サクラは自分達の頭上から迫る一匹の蛇に気が付いた。しかし自身の口は塞がれていて、声が出せない。このままでは全滅すると、サクラはサスケの手を強引に外すと大声で危険を知らせた。

 

 

「サスケ君、上を見て!! 蛇が来てるわ」

「ちぃ、やはり気付かれていたか」

 

 

 

 サクラの声に反応して、彼は手裏剣を投げ付けてからその場を離れる。件の蛇はどちらを狙うか、迷っていたが…厄介なのはサスケと判断して、彼に迫っていく。己に向かってくる蛇の目を見たサスケは、先程の女の目を思い出して忘れていた恐怖が再びこみ上げてきた。

 

 

 

「うわあぁぁぁぁぁ 来るなぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

 半ば半狂乱の状態でサスケは、用いる手裏剣やクナイを当たり構わず投げ付けた。幸いにもいくつかは蛇に命中して、仕留める事が出来たが…余りにも尋常ではない彼の姿に、サクラは声を失っていた。だが、二人の危機はこれで終わる事はない。仕留めた蛇の頭がボコっと音を立て、膨らむとそこからあの女がせり出してきた。

 

 

「気を抜いたら駄目じゃない。獲物であるお前達は、常に気を配って逃げるものよ。私という捕食者からねぇ」

 

 

 

 低い声で言うと、女は体をくねらせてサスケに迫る。彼は恐怖から硬直して動けずにいた。しかし、そんな女の行く手を遮る様に手裏剣が木に刺さり、相手の動きを止めた。

 

 

 

 邪魔をするのは何者か?女は不機嫌そうに上を見ると、姿を消していたナルトがそこにいた。彼はサスケを見て、こう呟く。

 

 

「遅くなって悪かったってばよ。因みに合言葉だけど…忘れちまったから勘弁してくれよな」

 

 

 思わぬ人物の登場に、サスケとサクラは安堵した。だが、この後で訪れる真の恐怖に三人は気付いていなかった。

 




今回のお話、いかがだったでしょうか?


第二試験が始まって、動き出し始めた者達。此処から中忍試験編の物語が加速してきますね。それ故、自分も楽しんで書いてます。



宜しければ、一言でもいいので感想をお待ちしてます。また評価やお気に入りも付けて言ってくれると一層、励みになりますのでそちらもお待ちしてます。
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