NARUTO 六道へ繋がる物語   作:アリアンキング

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最新話、お待たせしました。


今回はテンテン対テマリ。この二人の試合から始まります。





第二十八話 敵の裏を掻く戦い

予選の第五試合。対戦者は木ノ葉のテンテンと砂のテマリ。

 先の戦いと同じくノ一対決でも、違うのは互いに殺気を放っている所だろう。本来在るべき光景なのだが、その場を包む重い空気に普段は騒がしいナルト達も息を飲む。

 

 

 彼自身、波の国で再不斬。死の森では大蛇丸との修羅場を超えて来ているが…それでもこの空気に慣れる事は無い。無論、生き残れたのは戦った相手が手を抜いていたからに他ならない。だが、今後の戦いで殺し合いとなれば…相手も手を抜く事は無い。故にそういう雰囲気に慣れる。その点ではこの戦いはナルト達の良い教訓となるだろう。

 

 

 二人の様子を見ながら、サチとカカシはそんな事を思っていた。

 

 

「…まさか、砂のくノ一とぶつかるとはね。言っておくけど、私は手加減しないわ。怪我しても文句は言わせないでよ」

「ハッ、随分と大口叩くじゃないか。それは私に勝ってから言いな」

 

 

 売り言葉に買い言葉。テンテンの挑発に乗って、言い返すテマリだが…強かな彼女は相手の言葉がハッタリなのか、それとも真実なのか。見極めようと冷たく鋭い視線でテンテンを観察する。

 

 

 それはテンテンも同様であるが、異なる点はテマリの視線に怖気付いた事だ。無論、それを表に出す愚行はしない。しかし、一度心に根付いた恐怖は拭い去るのは難しい。テンテンは知らない内に重いハンデを背負う形となってしまった。

 

 

「お互い、準備は良いですね。では、第五試合始め」

 

 

 ハヤテの合図で二人は後方に飛び下がった。テマリは鉄の扇子。テンテンは巻物を構えて相手の出方を伺う。およそ数分、この膠着状態は続いたが…痺れを切らして動いたのはテンテンだった。

 

 

 テマリが使う武器を見る限り、大振りの攻撃となる。ならば、素早い動きで空振りを誘い、隙を突く。テンテンはそう画策していた。彼女の予想通り、テマリの攻撃は大振りであったが、攻め手はそれだけで終わらない。避けようとした時、凄まじい強風でテンテンの体は遠くへ飛ばされた。

 

 

「な、今のは何!?」

「フン、どうしたんだい? 鳩が豆鉄砲を食ったような顔してさ。まさか、あんた。私がこの武器を馬鹿正直に振り回すだけと思っていたのか? だとしたら、流石に舐め過ぎだ。相手の実力も計れないとはね。所詮、口先だけか」

「…っ!! 五月蠅いわね。本当の勝負は…此処からよ」

 

 

 嘲るテマリに怒りを覚え、テンテンは巻物を開封した。言葉通り、相手も本気になったとテマリも表情を引き締めて、鉄扇を構えて出方を伺う。巻物を使う場合、大抵は口寄せの術である。その予想は的中し、彼女の巻物から飛び出したのは無数のクナイであった。突然の事で反応が遅れたが、テマリは体を逸らしてクナイを躱した。

 

 

「ハッ、何をすると思ったら只の忍具攻撃か。生憎、その程度であたしはやれないよ」

「それはどうかしら?」

 

 

 攻撃が外れたのに関わらず、テンテンに焦った様子は無い。何かを狙っている様だが、考えた所でそれは分からない。だったら、正面から迎え討つ。己の実力に絶対の自信を持っているテマリらしい選択であった。

 

 

 それと同時にテンテンは次の攻撃を仕掛けた。彼女の手を離れた手裏剣は左右に弧を描いて飛んで行く。見事な投擲であるが、軌道が分かりやすい攻撃をテマリが受ける訳もなく、彼女は後ろに下がって回避する。しかし、テンテンの狙いはこれであった。その瞬間、テンテンは巻物を開き、再びクナイの口寄せをする。

 

 

 先程とは比べ物にならない数のクナイが飛び出して、テマリ目掛けて向かっていく。数十を超えるクナイを避けきるのは不可能だと判断し、彼女は鉄扇を盾にして防ぐ。だが、テンテンの攻撃はこれで終わりでは無かった。テンテンは右手をバっと振り上げると、何かを引き寄せた。一体、奴は何を企んでいる?一連の行動に訝しるテマリは、不意に悪寒を感じて後ろを振り返った。

 

 

「な!? うあああ!!」

 

 

 テマリの背後から迫っていた物。それは最初に躱したクナイであった。その柄に結ばれた糸によって、再び息吹きを拭き込まれてテマリを襲う。裏の裏を掻いたこの攻撃を躱す余地はなく、両腕で防御する事が精一杯だった。容赦なく二の腕に突き刺さるクナイの痛みに、堪らずテマリも苦痛の声を上げる。この隙を点いて、テンテンは更なる攻勢に出る。

 

 

 引き寄せたクナイがテマリに届いた時、テンテンは彼女の頭上へ巻物に封印してある全ての忍具を解放した。クナイと手裏剣から千本やまきびしまで。多数の忍具が雨の如く、テマリに降り注いだ。テンテンは勝利を確信し、見物していた者達も同様だった。しかし…。

 

 

「舐めるんじゃないよ。こんな物ぉぉぉぉ!!」

 

 

 怒号を轟かせながらテマリは鉄扇を力任せに振り回し、巻き起こした強風によってテンテンの忍具は一つ残らず弾き飛ばされてしまった。その余波は部屋中に届き、対峙するテンテンも容赦なく吹き飛ばした。

 

 

「な、こんな事って…」

「はぁはぁ。どうやら、あんたを甘く見てたよ。だけど、今ので手は尽きたようだね」

 

 

 息を切らし、言うテマリの顔には余裕が見て取れた。だが、実際は彼女の体力とチャクラも大きく消耗していた。もし…またあの攻撃が来たら、今度こそ防ぐ手立てはない。内心は焦りが支配していた。

 

 

 それはテンテンも同じで、彼女の心も焦りを抱く。何せ、先程の攻撃は自分の奥の手であり、ほとんどの忍具を使った事で攻撃手段も失ってしまった。無論、他の手段が無いという訳では無いが、テマリを倒す決定打にはならない。

 

 

 だがそれでもやるしかない。テンテンは唯一残っていたヌンチャクを取り出し、テマリへと向かって行った。しかし、彼女はこの時…失念していた。テマリはまだ奥の手を出していない事に…。真っ直ぐ自身へ向かってくるテンテンの姿に、テマリは笑みを浮かべた。奴にはもう奥の手は無い。この勝負は自分の勝ちだと。

 

 

「やあああ!!」

「今更、そんな攻撃を受けるものか。これを食らいな。風遁 カマイタチの術」

 

 

 

 掛け声と共に繰り出されたテマリの風遁。その風はテンテンを吹き飛ばすだけでなく、彼女の体を容赦なく刻んでいく。その痛みに顔を歪めて、落下するテンテンの下ではテマリが待ち構えており、彼女の体を鉄扇で受け止めた。

 

 

「ぐはっ!? 私は…負けな‥い。約束した‥んだから。中忍に…なるって」

「ふん。何と言おうと、現実は非情なのさ。ま、あたしに傷を付けた事は褒めてやるよ」

 

 

 朦朧とする意識の中、呟くテンテンにテマリは厳しい言葉をぶつける。しかし、その顔に当初の様な嘲りはない。この勝負で少しだけ、彼女を認めたからだ。だが、此処でテマリはある視線に気付く。上では彼女の仲間と思われる一人の少年リーがこちらを睨んでいた。

 

 

 普段は気にしないテマリだが、戦いで感情が昂っていた事もあり、その目付きが気に障った。テマリは気絶したテンテンを忍具が散らばる方に投げ捨てた。済んでの所で飛び出したリーが受け止めたおかげで無事だったが、この暴挙にリーの怒りを隠すなく、テマリにぶつけた。

 

 

「何をするんですか! 気を失った相手を放り投げるなんて…不躾にも程があります」

「ちっ、ぐだぐだ五月蠅い奴だな。無事だったんだから良いだろうよ。さっさとその負け犬を連れて下がりな」

 

 

 

 反省の色もなく、人を馬鹿にした態度が癪に触ったのだろう。リーは駆け出すとテマリに蹴りを見舞う。しかし、その一撃は彼女の鉄扇にあっさりと止められてしまう。怒りに任せたとはいえ、渾身の蹴りを防がれた事にリーの表情は驚愕に染まる。

 

 

 

「何だ。お前もこの程度かよ。あいつもお前も大した事は無いね。木ノ葉の忍も質が落ちたな」

「くっ…。それはやってみなくては分かりませんよ!!」

「待て、リー。そこまでにしておけ。これ以上、やればお前が失格になるぞ。戦わずして、敗退してはそれこそ笑い者だぞ」

 

 

 

 テマリの挑発にまんまと乗せられて、再度攻撃を繰り出そうとした時。見兼ねたガイが割って止めに入った。師の言葉で冷静さを取り戻したリーは、唇を噛み締めて振り上げた拳を下ろした。

 

 

 騒動を収めた後、此処でガイは上にいる我愛羅達に視線をやると口を開いた。

 

 

 

「砂の諸君。君達は腕が立つ様だが…一つ言っておこう。この子、リーは強いぞ。もし戦う時になったら覚悟はしておいた方がいい」

 

 

 たった一言。だが、その言葉は何よりも重みがあり、誰も反論する事は出来なかった。寧ろ、この言葉が我愛羅の心にさざ波を起こす。彼は殺気交じりの視線をリーに送り、リーもまたその視線を真っ向から受け止める。火花を散らし、暫し睨み合っていた二人だが、最後はガイに促されてリーは上に戻っていった。

 

 

 

 

 第五試合が終わり、続いて第六試合の抽選が始まった。この試合に臨む二人は音隠れのキンツチと木ノ葉の奈良シカマル。やる気に溢れたキンツチとは違い、シカマルの方はやる気が無い様に見えた。何とも対照的な者の姿に呆れる者もいれば、大声で応援する者等。観戦者の反応は様々であった。

 

 

「全く、寄りによってあんたが相手かよ。ったく、面倒くせー事になったな」

「ふん。だったら、すぐに終わらせてやるよ」

 

 

 シカマルの戦法と使用する術はドスから聞いている。その特性上、近距離戦闘が苦手である事も。影で相手を縛る術は厄介だが、対象方も分かっている分。こちらが有利となる。一方、シカマルはキンツチの事を知っているが、それは名前と音の忍という事だけ。相手が使う術や戦法は一切知らない。負けるつもりは無いが、敵の弱点を試合の中で見つけなければ、自分に勝機は無いだろう。この事実が彼の心に重りとなって圧し掛かる。

 

 

 当然シカマルとて、易々と負けるつもりは無い。まずは相手の事を知るべく、十八番の術 影縛りの術を放つ。

 

 

 

「馬鹿が。種が割れてる術を食らうか。馬鹿の一つ覚えで勝てると思うな」

 

 

 

 容易く迫る影を避けながら、キンツチはシカマル目掛けて何かを放った。当たる寸前、それを回避したシカマルが後ろを確認すれば、壁には二本の千本が深く刺さっていた。片方には鈴が付いているが、片方には付いていない。どうやら鈴が付いた千本で相手を惑わし、それに隠れた千本で相手を仕留める。千本の応用戦術だが、絡繰りが分かれば食らう事はない。

 

 

 キンツチの戦法。それは忍具主体の物だと、シカマルは確信した。無論、奥の手となる忍術もあるだろうが、先の様に相手の気を逸らして使う類だ。ならば、相手から目を離さなければ問題は無い。あとは如何にして攻めるか。それを思案していた。

 

 

 

「ふん。一度、躱したくらいでいい気になるなよ。どの道、お前の敗北は決まってるんだからさ」

 

 

 腕を振り上げて、キンツチが攻撃に入った時、不意にシカマルの背後から鈴の音が響いた。まさか、既に千本が放たれたのか?振り返って防御体勢を取る彼の目に映ったのは、壁に刺さった千本の鈴が揺れている光景だった。一体、どうなっているのか?困惑するシカマルは、不自然に揺れる鈴を見て絡繰りに気付いた。

 

 

 鈴を揺らしていたのは、千本に結ばれた糸であった。先程の行動は攻撃ではなく、自分の気を逸らす為の陽動。シカマルはその策にまんまと引っかかってしまう。この隙を狙い、キンツチから放たれた千本はシカマルを容赦なく突き刺さる。

 

 

 

「クク 影が使えなきゃ、所詮はこの程度か。次で止めを刺してやるよ!!」

 

 

 血を流し倒れるシカマルへ止めを刺そうとした時、キンツチの体がぴたりと止まった。突然の出来事に困惑したキンツチにゆっくりと起き上がったシカマルは、口を開く。

 

 

「フー やっと影真似の術。成功だな」

「な、何を言ってる。お前の影など、何処にも…。っ!?」

「気付いたか。まあ、高い位置の糸に影が出来る訳ねえからな」

 

 

 淡々としてるシカマルだが、この作戦は突発的に生まれた物だった。もし…千本に糸が仕掛けられてなかったら間違いなく彼は敗北していた事だろう。だが、強かさではシカマルもキンツチに引けを取らない。そして彼の反撃が始まった。

 

 

 

「さて、お前の動きを捉えた。お次は我慢比べと行こうか」

「正気か!? 私とお前は同じ行動をするんだぞ。攻撃すれば…お前だって傷付く事になる。それに手傷を負った状態で我慢比べだと? 先に倒れるのはお前の方だ」

 

 

 彼はそう言うと自身のホルダーから手裏剣を抜き取ると、術を掛けられているキンツチも同じ行動を取った。それでシカマルが何をやろうとしているのか。すぐに悟ったキンツチは焦り、半ば叫ぶ様に説得する。

 

 

「そうかよ。じゃあ、試してみようぜ」

「ば、バカ!! よしな・・・」

 

 

 お互いの手から放たれた手裏剣が両者に当たる瞬間、シカマルは体を逸らした。それを見たキンツチは、所詮相手のハッタリだと、安堵した瞬間…凄まじい衝撃が彼女の頭部を襲い、そのまま力無く崩れ落ちる。その様子を見て、シカマルは己の作戦が上手く行ったと笑みを浮かべた。

 

 

「人に偉そうな口を聞く割には、あんたも大した事無いな。忍なら自分の周りにもっと気を配って戦うべきだ。手裏剣に惑わされて気付かなかったのが、あんたの敗因さ。ま、俺の言葉はもう聞こえてねえか」

 

 

 

 第六試合はシカマルの勝利で幕を閉じた。意外な方法で勝ちを得たシカマルに同じ班の二人は称賛し、別の者達は彼の隠れた実力に驚いていた。相手の仕掛けを逆に利用するだけでなく、相手に己の策を悟らせない。敵の裏の裏を掻くのが忍の戦い。第五試合で戦ったくノ一も実行していたが、成功させるのは容易い事では無い。故にこの戦いは試験官や上忍達から注目の眼を集めていた。

 

 

 

 そして残っているのは八名となり、受験者達は誰とぶつかるのか不安を抱く者、うずうずと戦いを待つ者と様々であった。不安と期待が渦巻く中、次の試合の対戦者がモニターに表示される。

 

 

 

 その二名はうずまきナルトと犬塚キバ。遂に7班最後のメンバーが戦う時が来た。




今回、テンテンの戦いに力を入れてみました。
漫画では一コマ、アニメでも僅かなシーンで終わった二人の試合。実力差もあるのでしょう。

だけど中忍試験の第二試験を安定して突破したメンバーがあっさり負ける物なのかな?そう思ったのもありますが、前回のくノ一対決同様に熱い展開にしたいと思った事が正直な所です。

読んだ後、一言でも良いので感想を残してくれると励みになります。

それと新しく評価を下さったスパロウ様。どうもありがとうございます。




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 この度、ハーメルンで『ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~』を執筆している薮椿様のラブライブ!及びラブライブサンシャインを題材にした企画。これに自分も参加する事となりました。合計32名の作家様に大型企画で本日の21時より、毎日一話ずつ想いを籠めて執筆した作品の数々が投稿されます。自分の話は12月9日に公開となります。もし宜しければ、読んでみてください。
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