NARUTO 六道へ繋がる物語   作:アリアンキング

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今回から波の国編が始まります。

原作も少しずつ盛り上がってくる頃ですね。



波の国激闘編
第四話 他国からの依頼人


 木ノ葉 近郊の森。カカシ小隊の第7班はある任務を帯びて、この森へ足を運んでいた。

 生い茂る草を掻き分け、進んでいると今回の目標を見つけた四人は、木を背にして隠れ気配を消して様子を窺う。

 

「こちらサチ。目標を発見したわ。距離はおよそ5mよ」

「分かった。なら、合図はお前が出せ。言っとくが…逃がす様なヘマはするなよ」

 

 目標から目を離さず、サチは別の場所で待機しているカカシに状況を説明する。現状を把握したのち、カカシは現場にいるサチへ指揮を任せる事にした。無論、しっかりと釘を刺す事を忘れずに…

 

「勿論。皆、私が目標の先にクナイを投げるわ。それと同時に三人は目標の背後から接近して、クナイを投げた方向へ追いやって頂戴。最後は私が捕まえるから。何か、質問はある?」

「別に無い」

「俺も…」

「私も無いです」

「分かった。それじゃあ、作戦開始」

 

 その言葉と同時に放たれたクナイを見て、三人も作戦通りに行動を開始した。突然、後ろから現れたナルト達に驚き硬直するが、瞬時に危険と判断してその影は逃げ出した。左はサクラ、右はサスケ、ナルトは真ん中。逃げる影が上手く正面へと誘導した直後、飛雷神の術で飛んだサチが先回りをしてその影を捕まえる。

 

 

「フシャァアアアア ヴヴヴッ」

「目標の捕獲に成功。右耳のリボンも確認した。ターゲットで間違いないわ」

「お疲れさん。すぐに四人は合流地点に移動をしてくれ。俺は檻の準備をしておく」

「了解。もう暴れないで…っ!? 引っ掻いたら痛いじゃないの、この馬鹿猫が!! よし大人しくなったわね」

「いや、そりゃ思いっきり叩いたらそうですよ。大丈夫なんですか?結構、凄い音がしたけど…」

「一応、手加減したから大丈夫よ。多分…」

 

 捕獲した影 それは飼い主の元から逃げた猫であった。しっかりと掴んで放さないサチの手から逃げようと暴れた挙句、猫は彼女の手を引っ掻いた。その痛みに堪らず、サチは猫の頭へ勢いよく拳骨を振り下ろした。ゴツンと鈍い音が響いた後、猫は項垂れぐったりしていた。その光景を見たサクラが心配そうに呟くが、本人は問題無いと返事を返す。最後に小声で言った言葉もサクラに聞こえていたが、突っ込まない事にした。

 

 

 

 

 その後、カカシと合流した四人は猫を檻に入れて里への帰路に着く。その際、猫の頭に出来たコブについて、カカシがナルト達に尋ねるが…知らないと首を横に振る。不自然な三人に眉を寄せるカカシだが、別段どうでもいいと気にしない事にした。だが、その後ろで血管が浮くほど拳を握りしめ、微笑みを向けるサチにナルト達は怯えていたのだ。

 

 

 

 そして里に辿り着いた一行は、任務の報告をする為に火影邸へ訪れた。そこでは猫の飼い主である大名夫人がおり、檻の中にいる猫を確認すると厳つい表情を崩し、明るい笑顔を浮かべる。余程、心配していたのか。檻から猫を取り出して頬ずりまでする始末。夫人の行動に猫は心なしか、嫌そうな顔で凄まじい泣き声を上げる。その様子を見て、一同はこの猫が逃げた理由が分かった。毎日、こんな事をされては猫も溜まったものではない。この分だと、また脱走するだろうと考えていた。

 

 

 受けていた任務を完了し、同室にいたヒルゼンは7班に与える任務を書類を見て考える。次はどんな任務だと、楽しみにしていた三人だったが。ヒルゼンの口から出た内容は…芋掘りの手伝い、老中のご子息の子守、隣街へのおつかい等。およそ忍者がやる仕事と思えないものばかりであった。その事に不満を募らせたナルトがついに文句を口にする。

 

 

「ダメー!! そんな任務ばかり、もう嫌だってばよ。第一、芋掘りって忍者がやる必要ないじゃんよ」

「何言ってんだ。お前はまだ新米になったばかりだろ。それにな…一見、大した事が無さそうな任務でもちゃんと意味があるんだぞ」

 

 

 ナルトの言葉にサクラとサスケも内心、同意する。確かにどの任務も忍者がやる必要性はない。それにこんな事をする為に自分達は忍者になった訳ではないのだ。口にせずとも、二人も同様の不満を感じていた。同じく同室にいたイルカが、文句を言うナルトを叱りつけた。それに続いてサチがナルトを宥めるべく口を開く。

 

 

「ナルト、いい加減にしなさい。こういう依頼が来るのは、一般の人達の理解を得る為でもあるの。戦う力が無い人からしたら、忍者は恐怖の対象でしかない。だからこそ、同じ目線に立ち、同じ仕事をする事で私達が恐ろしい存在じゃないと知ってもらうのよ」

「…それでも俺は別の任務がやりてぇだってばよ。少しでも上を目指す為にさ」

 

 任務に籠められた意味を諭す様に教える姉にナルトは、自分の気持ちを言い返す。姉の言ってる事は分からない訳ではない。それでも頭と感情は別だ、それにランクの高い任務で自分がどれだけやれるのか? 今の実力を試してみたい気持ちの方が強かった。サチの話を聞いても、意見を曲げないナルトを再び叱ろうとするイルカをヒルゼンは手で制し、静かに口を開いた。

 

「いいじゃろう。お前がそこまで言うなら…次は少し上の任務をやってもらおう。内容はある方の護衛任務じゃ」

「本当か!? そんでさ 一体、誰を護衛するんだってばよ!! 大名様か?それとも何処かの姫様だったりするのか?」

「落ち着かんか。今、紹介するでな。イルカよ。悪いが、その者を呼んで来てもらえるかの」

「分かりました。すぐ連れて来ます」

 

 

 

 ヒルゼンの指示を受けてイルカは部屋を出て行った。数分後、イルカは一人の老人を連れて部屋に戻って来た。その老人は額に鉢巻きを付け、手にした酒瓶を傾けながらこちらを睨む様に見た後で酒臭い息と一緒に言葉を吐き出す。

 

 

「何だよ… 護衛する奴って、女やガキばかりじゃねえか。特にそこのちっこいアホ面したガキ。ホントに忍者なのか? 超頼りねえなぁ」

「ハハハ 誰だ?そのアホ面したガキって…‥ このジジイ ぶっ殺すぞ」

「オイ これから護衛する人を殺してどうする。それに殺すなんて言葉。軽く口にするもんじゃないよ」

 

 老人の言葉に並ぶ二人を見比べて、馬鹿にされてるのは自分だと知ると、怒りを露わにして老人へ掴みかかろうとするナルトをカカシが止める。そして老人を見据えて、言葉を続けた。

 

 

「まあ…確かにご老人からすれば、この子達は頼りないかもしれません。ですが、彼らは里が認めた忍者です。そこらの大人よりも、腕は立ちます。それに護衛には、俺とサチも当たりますから心配は無用ですよ」

「…ほお。そこまで言うなら、あんたらに頼むとしようかの。おっと、まだ名乗って無かったな。ワシは…タズナと言う者じゃ。こう見えて、橋作りの超有名人でな。波の国へ帰るまでの道中と橋を完成させるまでの期間。ワシを狙う奴から守って欲しい」

「分かりました。それでは私達は出立の準備をしてきます。1時間後、門の前で落ち合いましょう」

 

 

 依頼人 タズナの話が終わると、サチ達は任務の準備をする為。その場は解散する事になった。そして1時間後、準備を済ませた7班のメンバーは、約束の場所へ集まった。他国で行う初の任務に緊張の色を見せるサスケとサクラだが、ナルトだけは楽しそうな様子であった。それが気に障ったのか、サクラは冷めた目でナルトに注意する。

 

「何、はしゃいでんの。これから任務なんだから気を引き締めなさいよ」

「いや~ だってよ。俺ってば、余所の国に行くの初めてだから楽しみでさ」

「おい 本当にこいつで大丈夫か? 今になって超不安になって来たぞ」

「ハハハ‥ これでもやる時はやる奴です。それは私が保証します。だから護衛の事は心配いりませんよ」

 

 

 他の二人と違い、緊張感の欠片もないナルトが信用出来ないのか。此処に来て、タズナは苦言を洩らす。大丈夫だと言われても護衛される身としては、不安要素は無くしたい。カカシもその気持ちを理解は出来る。しかし、一度決まった事を覆す事は自分達の威信にも関わってくる。出立前に面倒だなと内心、愚痴を溢しながらもカカシはやんわりと相手を説得した。だが、そんなカカシの苦労を考えず、そのやり取りを聞いていたナルトは再びタズナへ食って掛かった。

 

 

「コラ ジジイ!! さっきから人を馬鹿にしやがって、あんまり俺を舐めるんじゃねえぞ。それと俺の名はうずまきナルトだ! いずれ火影となる忍者だってばよ」

「お前が火影にだと? はっ 夜が更ける前に超寝言をほざくなよ。例え、火影になれたとしても…おめえみてえなガキ。誰も認めやしねえよ」

「うるせえ。誰が何と言っても、俺は火影になる。その為にどんな努力もする覚悟は出来てるんだ。そして…絶対に俺の事を認めさせてやるってばよ」

 

 誰も認めない。何気なくタズナが言った言葉は、ナルトの心に深く突き刺さる。彼の脳裏を過るのは冷たい視線で自分を見る人達。無論、そんな過去がある事をタズナは知らない。だからこそ、その言葉をナルトは受け流す事は出来なかった。先程と打って変わって、ナルトは真剣な顔でタズナの目を見つめ、己の気持ちを正面からぶつけた。

 

 

 そんなナルトに、タズナは目を細めると僅かに微笑みを浮かべる。パッと見ただけでは、分からない仕草にサチとカカシは気付いていた。どうやら、彼は少しだけナルトを認めたようだ。そして一行は波の国へ向けて出発した。

 

 

 木ノ葉を出発してから少し経った頃、その道中でサクラはある事が気に掛かり、タズナに尋ねる。

 

 

「ねえ…タズナさんは波の国に住んでるですよね?」

「そうじゃ。だが、それがどうした?」

「いや、波の国にも忍の里はあるのか、気になったんです。もし‥他里の私達が入ったら、忍者同士で争いが起きるんじゃないかって…」

「それなら大丈夫よ。波の国には忍の里はないわ。大抵、小国や大国に関係なく存在するけど、波の国は少々特殊でね。他国から干渉を受ける事がないの。何故なら、貿易で成り立つ波の国は他国にとって重要だからね。もし、その国を侵略すれば、その相手は様々な国から睨まれるからよ。その中には五大国も含まれているわ」

「因みに数多の里がある中、影を名乗る事が許されるのは五大国の火、水、雷、風、土に存在する里長だけ。詰まる所、この五人が世界に何万といる忍者達の頂点に君臨する訳さ」

 

 

 サチとカカシは五大国の凄さ、影を名乗る忍の偉大さをそれぞれ語るが…三人の脳裏に浮かぶヒルゼンがそれ程、凄い忍とは到底思えなかった。その考えは顔に出ていたのか、カカシに突っ込まれてドキリとするが…まあ、仕方無いとそれ以上は言わない事にした。そんな折、忍者同士の争い。この言葉が出た時、タズナが妙な反応をした事をサチとカカシは見逃さなかった。

 

 

 木ノ葉を出てから暫く歩いた所、道の端に小さな水たまりを見つけたサチはカカシに目配せする。しかし、カカシは何も言う事は無く、そっと手を前を向くよう指示を出す。どうやら、こちらから手出しはせず、様子を見ると決めた様だ。それに従い、サチは知らぬ顔で水たまりを通り過ぎる。そしてカカシが通り過ぎ、数歩進んだ後でその水たまりから二つの影が音も無く現れた。

 

 

 二つの影は素早く二手に分かれて、カカシとサチを腕輪から伸びた鎖であっという間に拘束すると…勢いよく鎖を引き、二人をバラバラにした。

 

 

 その光景に四人は言葉も無く、呆然自失として見つめる。さっきまで笑っていた人が、優しく話していた人があっさりとこの世から消えた。それを理解しても認めたくなかった。だが、現実は非情で二つの影は立ち竦むナルトを次の標的とした。

 

 

 先程と同じく、鎖でナルトを捕えようとした時。一早く立ち直ったサスケが手裏剣を投擲し、鎖を傍にある木へ縫い付ける。そして更にクナイを投げ付け、それを楔代わりとして鎖を完全に固定した。動きが止まった隙を突いて、敵の腕輪を乗ると同時に両の足でサスケは敵の顔を蹴りつける。だが、敵も冷静で鎖が抜けないと見るや、すかさず腕輪から外して一方はナルトへ。一方はタズナへ向かって行く。

 

 

 突然の事で反応出来ずにいるタズナを庇う為、サクラは震える手でクナイを構えて迫る敵に向き合った。そんな中、ナルトは未だ恐怖で体を震わせ何も出来ない。どちらを手助けするか、サスケは一瞬迷うが…サクラの前に立ち敵を迎え撃とうした時、ガッと鈍い音と共に敵がサチとカカシの手に捕えられた。その事に四人は驚きの表情を見せる。まさか、死んだと思っていた人に助けられた事が信じられなかった。だが、そんな事をお構いなしに二人は口を開く。

 

 

「皆、大丈夫そうね。助けが遅くなってごめんなさい」

「ああ。サスケもサクラもよくやった。しかし、ナルト。初の実戦とはいえ、全く動けないとは予想外だったな」

 

 

 

 カカシの言葉にナルトは、何も返す事が出来なかった。殺気を向ける相手に殺されるかもしれない、その恐怖はあったが…一番の理由は姉やカカシといった身近な人が殺されたという現実であった。だが、それはサスケやサクラも同じだ。その二人は頼れる人がいなくなっても、自分と違って戦う事を選んだ。

 

 

「よぉ… 怪我はねえかよ。ビビりのナルトくん」

 

 

 そんなナルトに対して、サスケは不敵な笑みを浮かべて言い放った。事実とはいえ、嘲りを含んだその言葉に怒りを覚え、殴りかかろうとするナルトをカカシが止めに入る。

 

「ナルト 喧嘩はやめろ。こいつらの武器には毒が仕込んである。お前の手に付いた傷から入ったかもしれない。もしそうなら動けば毒が回る。今は毒抜きが先決だ。それと…サスケ。初の実戦で活躍した事は褒めるが、さっきの言葉は褒めらないな。仲間を嘲る真似は今後するな」

「カカシの言う通りよ。下手をしたら命を落とす危険な毒かもしれない。とりあえず、手当をするから手を出して…」

 

 

 

 火花を散らす二人をサチとカカシが宥めた後、カカシは冷汗を掻いて佇むタズナへ視線をやると静かに話かける。

 

「さて、タズナさん。貴方にいくつか聞きたい事があります。話してくれますね?」

「…分かった」

 

 カカシの言葉にタズナは…抵抗する事なく従った。事が起きた以上、もう隠し事は出来ない。此処でごねて相手に見切りを付けられでもしたら、自分の望みは叶わなくなる。そう悟っての事だった。タズナの了承を得た後、捉えた敵を近くの木に縛り付けた後、カカシは再び口を開いた。

 

 

「襲ってきたこいつら。どんな任務でも冷徹に遂行する事から鬼兄弟と恐れられた中忍です」

「何故…我らの動きが分かった? 直前まで完全に気配を消していた筈だ」

「噂の鬼兄弟も意外に抜けてるのね。ここ数日、雨も降ってない場所に水たまりがある。その不自然さに何かあると疑うのは当然でしょう」

「じゃあ、奴らが襲って来るのは初めから知っていたのか。それでいて、子供達に戦わせるとはあんたらも超鬼じゃな。一人は怪我まで負ったんじゃぞ」

 

 自分達の行動を見切った事を問う相手にサチは、呆れた表情で冷たく返した。どうやら、大した実力では無いが、彼らを恐れた者が流した噂に尾びれが付いていた様であった。しかし、それが分かっていながら様子を見る事を選択した二人に納得がいかないのか。タズナは険しい顔で問い詰める。例え、子供でも忍者である以上は戦う時もあるだろう。しかし、だからといって子供が傷付く事を見過ごす事は出来なかった。

 

「俺達は知る必要があったんですよ。こいつらが狙っているのは誰なのか? 見つけた時、すぐに制圧する事も出来たが…敢えて泳がせました」

「結果、この忍者は貴方が狙いだった。もし狙いが私とカカシなら、バラバラにした時に去っている筈ですからね」

「タズナさん。依頼内容は山賊や辻斬り等から橋が完成するまで護衛する話でした。しかし、我々は忍者と戦うとは一つも聞いてない。何か事情があるのでしょうけど、嘘を吐かれては我らも困るんですよ」

「ねえ‥カカシ先生。この任務、わたし達じゃ無理だわ。ナルトの治療もしないといけないし、任務を中断して里に帰りましょうよ」

 

 

 起きた状況からカカシとサチは、嘘を吐くタズナを追及する。そんな当の本人は無言を貫き、何も返さない。そんな一行を包む重苦しい空気に耐えかねたサクラが、カカシに向けて自分の考えを口にした。その言葉にカカシは、迷う素振りをしながらナルトを見て、「そうだな。ナルトの治療もあるし、里に戻るか」と口にした瞬間。ナルトはクナイを取り出し、傷付いたその手に突き刺した。

 

「ナルト…貴方、一体何をしているの?」

「…が。俺がタズナの爺さんを守る。何があってもだ。それをこのクナイに誓う。今度、敵が襲って来ても震えて何も出来ないなんて無様な真似は二度としねえ。だから…任務は続行だってばよ」

 

 

 手から流れる血に構う事なく、決意の籠った目で見つめるナルトにカカシは…その目に嘘は無い事を知った。ナルトが取ったこの行動は、生半可な気持ちではまず出来ない。自らの痛みを持って示したその覚悟を、カカシも無下に出来ず、自分が折れる形で任務を続行する事にした。

 

 

「全く、無茶するんだから。貴方の決意は分かったけど、悪戯に傷を増やすのは愚か者がする事よ」

「う、痛いってばよ。もうちょっと、優しくお願いするって…いてて」

「サチ。ナルトの怪我はどうだ?」

「大丈夫。少し出血が深いけど、大事は無いわ。おまけに毒もさっきの行動で抜けたみたい」

「それは何よりだ。しかし、ナルト。今度からああいう事はやめてくれ。正直、心臓に悪いからな」

 

 

 サチから手当てを受けるナルトに、カカシは眉を寄せてそう言った。あの行動しか、自分を説得する術が無いとはいえ、見ていたカカシとしても良い気分ではない。幸い、何処も異常が無いのが救いだった。すると遠くから様子を見ていたタズナは、思い詰めた顔で話しかけてきた。

 

 

 

「なぁ…先生方よ。二人に話したい事がある」

「話したい事…? 一体、なんです?」

「ワシの命を狙っている黒幕についてだ。そいつはガトーという海運会社を経営する男じゃ。あんたらも名前くらいは聞いた事はあるだろ?」

「ガトー…。確か、世界有数の大富豪だったわね。何故、そんな人が貴方を狙うんですか?」

 

 

 タズナが言った男の名は、サチ達も知っていた。表向きは腕利きの商人だが、裏では莫大な財を利用して汚い事もやっていると聞く。しかし、そんな大富豪が接点の無いタズナを狙う理由が分からない。この際だと、サチは思いきって尋ねる事にした。その質問にタズナは重い口を開いて語り出す。

 

 

「事の発端は一年前。五大国との貿易で潤っている事に目を付けて奴は波の国へやってきた。そして持ち前の財と裏のコネを利用して、あっという間に波の国を牛耳りおったんじゃ。他の会社は全て奴の傘下に加えられた挙句、仕事がしたくば金を払えと違法な金額を請求されての。当然、払う事が出来ず、皆は泣き寝入りをするしかない。そして本来、国へ入る金すらも奪う始末だ。木ノ葉に正式な依頼料を払えなかったのはそれが理由じゃよ。だが、それでも動いてもらう必要があったんじゃ。奴の背後には金で雇われた凄腕の忍もいる。ワシらが抵抗しても無残に殺されるだけだしの」

 

 

 

 初めは静かに話していたタズナだったが、次第に熱が入り最後は叫ぶ様に隠していた胸の内を曝け出す。

 

 

「成程…。そういう事情でしたか。本来なら断る依頼ですが…それを聞いて無視する程、俺達も薄情じゃない。いいでしょう。改めてこの依頼、お受けします。ま、俺達が断っても一人で行きかねない奴もいますからね」

「確かにね。それに雑魚とはいえ、ガトーが嗾けた忍と事を構えた以上、ケリを付ける必要もある」

「…すまん。お主らの優しさに感謝する」

 

 

 

 無茶な依頼を受けてくれた木ノ葉の忍達にタズナは、深々と頭を下げた。そして一行は暗雲渦巻く波の国へ足を進めた。




今回のお話、いかがだったでしょうか?

原作にない台詞や展開を交えて書くのが難しいけども楽しく。ああでもない、こうでもないと考えながら執筆してます。

それと今回から文字数を少なめにして読みやすく改善してみました。


宜しければ、一言でもいいので感想を残してくれると作者の活力になります。



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