NARUTO 六道へ繋がる物語   作:アリアンキング

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今回から波の国編、完結に向けて物語が動きます。


第九話 胸に秘めた想いと再び襲い来る強敵!

 あの後、タズナ邸を飛び出したナルトは修行場の森を訪れていた。

 しかし、夜の森は想像以上に暗く。流石にこの状況で木登りは危険であると、ナルトも理解している。だが、啖呵を切って意気揚々と飛び出した手前。のこのこと戻るのも恥ずかしい。

 

 

「うーん 修行をしようにも‥これだと無理だよな。考えてもいい方法が浮かばねえし。もう此処で寝るとすっか」

 

 

 他の方法を考えるが、やはり疲れて頭が回らない。そうしてる間に襲って来た眠気に耐えられず、ナルトはその場にドカッと寝転がると静かに眠りについた。本人の体も疲労で限界を迎えていたのだろう。横になって、すぐに彼は寝息を立てる。

 

 

 

 

 

 それから時間は経ち、暗かった森は昇った朝日に照らされていた。そんな時、着物を着た少年が通りかかり、大の字になって寝ているナルトの姿を見つけると、彼はゆっくりと近づきその顔をジッと見つめる。実の所、少年はナルトの正体に気付いていた。

 

 

「この子は…あの時、再不斬さんと戦っていた少年か」

 

 

 湖畔で自分が再不斬を回収に来た際、やたらとこちらを見ていた少年だった。それだけを思えば、何て事のない出来事だが、何故かその時の目と表情は自分の脳裏に強く焼き付いていた。だが、その彼は今や完全に無防備。敵である以上、此処で始末しようと思い‥ナルトの首をへし折ろうと手を伸ばす。

 

 

「…起きて下さい。こんな所で寝てると風邪をひきますよ」

「ううん 何だぁ? って、お前は誰だってばよ!?」

 

 

 しかし、少年はそれを思い留まるとナルトを起こすべく。その肩を優しく揺さぶって声をかけた。当の本人も少年の声で目を覚まし、欠伸と吐くと同時に目を開くと自分を見下ろす少年に驚いて起き上がる。

 

 

「誰って、いきなり失礼ですね。偶然、通りかかったら…君が倒れているものだから心配して声をかけたんですよ」

「あ…。そっか。そういや、昨夜は此処で寝たんだった。ごめんなぁ姉ちゃん」

「いや、別に構いませんよ。それと…一つ言っておきますが、僕は男です」

「ええっっ!? 嘘だぁ… 何処から見たって、女に見えるってばよ」

「嘘なんか吐いてません。いいですか? 君がどう言おうと…僕は男なんですよ」

 

 

 ナルトの言葉に笑みを浮かべて、そう返事を返した。そして次に出た言葉に少年は若干、怒った様子を見せる。肩に届く黒髪とその顔だちは一見すると、女性に見える。だが、これでもれっきとした男だと少年は訂正した。その事実にナルトは、目を丸くして驚くと大声で叫んだ。それでも少年は引き下がる事なく、ナルトに迫ってそう言った。先程と違って、妙な迫力を醸し出す姿に気圧されたナルトが素直に頷くのを見て、少年はやっと引き下がる。

 

 

「そんで、ね‥兄ちゃんは何をしてるんだ?」

「ああ。僕は薬草を採りに来たんです。つい先日、僕の大切な人が大怪我をしてしまってね」

「そうだったのか… よーし、ならさ。俺もそれを手伝うってばよ」

「‥いいんですか? 君の申し出は助かりますけど、見ず知らずの人に手を貸して…。もしかすると、僕は君を騙してるかもしれないんですよ?」

「いや…俺はそうは思わねえってばよ。さっきだって、俺を放っておけば良いのに起こしてくれたじゃんか。それが兄ちゃんを手伝う理由だ。それに…薬草集めは大切な人の為なんだろ? 俺も大切な人がいるから分るんだ」

 

 

 自分を手伝う。そう言ったナルトに少年は、少し陰を含んだ顔で尋ねる。しかし、ナルトから返ってきた言葉は少年の予想とは…大きく外れたものであった。その言葉に堪らず少年は笑った。いきなり笑い出した少年にナルトは、初め驚いたが釣られる様に彼も笑う。

 

 

「なぁ。これはどうだ? 兄ちゃんが探してる薬草で合ってるか?」

「ええ。それです。ありがとう。これで大分集まったし、もう十分ですよ」

「それは良かった。そういや、今何時だ?」

 

 少年と一緒に薬草を集める事、1時間。二人でやった事もあり、必要な分はすぐに集まったようだ。そして、ふとある事が気になったナルトは、少年に時間を聞いた。

 

「そうですね。陽の高さからすると、多分ですが…8時くらいじゃないですか?」

「う、不味い。それだと、もう朝飯の時間が過ぎてるかもしれねえ」

「それは大変だ。でも、その心配は無いみたいですよ。ほら、あそこに来てる人。もしや、君の家族じゃないですか?」

 

 

 そう言いながら、少年はナルトの後ろを指で指す。その先では、姉のサチが歩いてくるのが見えた。恐らく、一晩経っても戻らない自分を心配して、来たんだろう。そして、こちらに気付いたのか。姉は小走りでナルトの方へ向かって来た。

 

 

「此処にいたのね。朝になっても、戻ってないから心配したわよ。あら?貴方は…誰かしら?」

「初めまして! 僕はこの島の者で、怪しいものじゃありません。偶々、森に薬草を採りに来たら…この子を見つけて声を掛けたんですよ。そうしたら、意気投合しまして。僕の手伝いを買って出てくれたんです」

「おう。そうだってばよ!! ところで姉ちゃんはどうしたんだ?」

「どうしたんだ?じゃないわよ。さっきも言ったけど、貴方を迎えに来たの。朝御飯だって、用意してくれたのに帰ってこないんだから」

「すみません。僕の所為で…」

「別に気にしなくて…いいわ。それと貴方は、島の何処に住んでるの?ついでに送って上げるわ。近頃は物騒みたいだからね」

 

 

 サチは少年に向かって、そう言った。弟が世話になったのもあるが、僅かに不穏な気配をその少年から感じていた。それに少年の方も、サチが向ける疑いの視線に気付いている。朔麻から聞いた特徴からして。恐らく、彼女が朔麻を倒した忍だろう。もし、自分がその仲間だと知られたら…最悪の展開になる。また、戦おうにも朔麻をあそこまで痛めつける相手だ。

 

 自分の奥の手を持ってしても勝てるか分からない。若干、焦りながらもそれを表に出さない様に少年は返事の言葉を返す。

 

 

「いえ。それには及びません。幸い、僕の家は近いですから...。それに今、その子もお腹が空かせているでしょう」

「あ~ そうだってばよ!! 俺ってば、まだ朝飯食ってねえじゃん。なあ、姉ちゃん…早く行こうぜ」

「な、いきなり大声出さないで。今は…それ所じゃ。って、いない…」

 

 自分が空腹である事を思い出したナルトが、サチの腕を掴んでそう言った。それに気を取られて、少年から目を逸らした一瞬の内に。彼は忽然と姿を消していた。

 

「あ、本当だ。あの兄ちゃんも余程、腹が減ってたのかな?」

 

 後ろで呑気に呟くナルトだったが、サチは冷汗を流して、少年がいた方を睨んでいる。それもその筈、自分が目を離したのは…ほんの10秒足らずだ。その一瞬で音も無く消えた。そういえば、ナルトから以前聞いた話を思い出す。確か、再不斬を殺しに来た追い忍はナルト達と同じ歳で。今の少年もナルト達と同じくらいであった。

 

 

 そこまで考えて、サチは最悪の展開になったと唇を噛み締めた。自分達がこの森で何かをしてる事までは、知られていなくとも。此処に来ている事を知られてしまった。それは彼らを通して、ガトーにも伝わるだろう。そう判断したサチは、ナルトに向き合うと口を開いた。

 

 

「いい?よく聞いて…。今後、森の立ち入りは辞めにしましょう。変わりに貴方達には、屋内でも出来る修行をやってもらうわ」

「え? い、いきなり…どうしたんだってばよ。昨日だって、やっと半分まで登れたのに…」

「事情が変わったの。いいから言う事を聞いて頂戴。戻ったら、この事を皆にも伝えるわ」

 

 

 未だ納得してないナルトだったが、切羽詰まった姉の様子に渋々ながら従う事にした。

 

 

 

 

 

 

 ナルトを連れて、タズナ邸へ戻ったサチは、皆を居間に集めると森で起きた事を話し始めた。

 

 

「何っ!? 怪しい少年に会った? サチ。それはどんな奴か教えてくれ」

「‥ええ。黒髪の女っぽい顔をした子よ。歳も三人と同じくらいだったし、湖畔で皆が会った追い忍と関係があると見ていいわね」

「あるいは…同一人物かもな。しかし、厄介だな。お前の言う通り、これでは森での修行は出来なくなる」

「いいえ。それについては心配ないわ。屋内でも調節と持続。これを鍛える方法があるから」

「あ、それって、橋でサチ先生とやった修行ね」

「そういう事。この際、何もしないよりはマシだからね」

「あれとはなんだ? 一体、今度は何をやらせるつもりだ?」

 

 

 サチの話を黙って聞いていたサスケが、サクラの言葉に反応してサチに問い掛ける。最初は不満があるのか?と思ったが、表情を見る限りではそうでは無いようだ。どうやら、新たな修行が出来るならそれでいいのだろう。

 

 本人も珍しく興味津々といった様子で食い付いてくる。

 

 

 

「それはチャクラ手相撲よ。本来はお互いに手を向け合い、チャクラを放出して競う遊びよ。だけど、修行として行う場合。チャクラは相手と同じ量を放出して、その状態を長く保つ事を課題とする」

「何だ、今度は木登りよりも簡単そうだな」

「おう、それに面白そうな感じだってばよ」

「まあ、確かに木登りよりはね。けど、随一新しいルールを付け加えていくから楽はさせないわよ」

 

 

 サチの言葉に二人は、望む所だと笑って見せた。カカシとサクラもそんな二人を見つめて笑う中、只一人。イナリだけは何処か痛みを堪えるかの様に…ナルト達に視線を送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 森での出来事から5日後。

 昼間はカカシとサチで交代しつつ、タズナの護衛。夜はサチの指導の元、ナルト達は屋内で修行に励む日々が続いていた。開始した当初、ナルトとサスケは喧嘩をしてばかりであった。しかし、それがサチの怒りに触れてしまい、怒られてからは二人も真面目に取り組んでいる。

 

 

「皆、ご飯が出来たそうだ。修行は休憩して、下に行くぞ」

「お、やっと飯だってばよ。この修行、木登りより腹減るんだよな」

「そうよね。ジッと座ってやるだけなのに、意外だわ」

「まあ、チャクラの修行は思いの他。体力を消耗するからね。お腹が空くのはそれが理由よ」

「そんなのどうでもいい。さっさと行くぞ」

 

 

 そして夜になり、二階の部屋にてナルト達が修行をしていた。すると戸をノックする音が聞こえた後、カカシが入って来てそう告げる。その言葉に反応したナルトが空腹となったお腹を擦って、自分の気持ちを口にした。それに続いてサクラもナルトの言葉に頷く。その理由をサチが教えるが、同じく空腹だったのだろう。サチの言葉をばっさりと切ってサスケは下に降りていった。それで珍しく落ち込んだサチをカカシとサクラが慰めると、何とか元気を取り戻して三人一緒に部屋をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ。今日も懸命に働いて、超バテバテじゃわい。おかげでご飯が美味いのう」

「おう。そうだなぁ。俺の方こそ、修行の毎日でヘトヘトだってばよ」

「それは貴方が無駄にチャクラを消費するからよ。もう少し、放出を抑える事を覚えなさい」

「うーん 俺もそうしてるんだけどなぁ。知らない内に勝手にチャクラが出るんだよ」

「フン ウスラトンカチが… 自分で放出してる癖に何言ってんだ? 大体、俺とやる時はいつも全力でやってるじゃねえか。修行の趣旨を分かってんのか?」

「うるせぇ 分かってるってばよ。けど、本当にそうなるんだ。だから、俺も困ってんだよ」

 

 

 最早、恒例と言える夕食時の喧嘩が起きると思い、それをサチが止めようとした時。いつもと違って、ナルトが引き下がった為、喧嘩は起きる事はなかった。どうやら、本当に悩んでいるらしく。茶々を入れたサスケもどう言葉をかけていいのか分からず、困惑の色を見せる。うんうんと唸るナルトへ、サチが声を掛けようとするが…それよりも先に正面に座っていたイナリが口を開いた。

 

 

「だったら、辞めればいいじゃないか。どうせ、何をしたって無駄なんだから」

「…んだよ。簡単に辞めたら修行の意味がねえだろ。それにやれる事もしないで無駄なんて、勝手に決めつけるな!!」

「何でだよ。どうして、そこまで頑張れるんだ!? いくらカッコをつけたって、修行したって…弱い奴は本当に強い奴に勝てっこないんだ」

「…いちいちうるせえぞ。第一、俺はお前とは違うんだよ。放っておけってばよ」

「ッ…。お前を見てると…ムカつくんだよ。この国の事も…僕の家族の事も知らない癖にぃ。どうせ、辛い思いだってした事無いんだろ?だから、そうやってヘラヘラと笑っていられるんだっ!!」

 

 

 静かに喋っていたイナリだが、返すナルトの言葉に次第に熱が入って行く。やがて、目から大粒の涙を流してイナリはナルトに向かって、心の底にある気持ちを思いっきりぶつけた。イナリに何が遭ったのか。それはタズナの口から聞いた話で知っている。それもあって、ナルトもイナリと衝突する事を避けていた。だが、最後に彼が言った言葉でナルトの怒りに火を点ける事となった。そして、ナルトはイナリを正面から見据えると言葉を紡ぐ。

 

 

「…だから、悲劇の主人公みてえに泣いてりゃ良いってか? ふざけんじゃねえぞ!! 何かをする前から諦める奴にどうこう言われたくねえってばよ。お前みたいな奴は、俺は大っ嫌いだ。一人で好きなだけ泣いてろよ。この馬鹿野郎っ!!」

「ナルトっ、あんた、流石に言い過ぎよ」

 

 ナルトの迫力と言葉に負けて、イナリは黙ると俯いてしまった。それを見て、サクラが注意するが…彼はそれに反応する事なく、二階の部屋に戻っていった。

 

 

 

 それから軒先で塞ぎ込むイナリの元にサチがやって来て、その隣に腰を下ろすと静かに話し出す。

 

「さっきは弟が酷い事を言って悪かったわ。それに貴方の父の話…タズナさんから聞いた。でもね。ナルトはああ言ったけど、本心は貴方を心配してるのよ。何せ、私とナルトも両親と呼べる人は…もういないから。幸い、私は父と母の顔を知ってる。けど、二人共。あの子が生まれた日に死んでしまったから顔は勿論、どんな人だったのかも知らない」

「…。あいつも、僕と同じなのか」

「ええ。それでも、あの子はその事で泣いたりはしなかった。心の中では解らないけど、涙を見せた事はないわ」

「それは、あいつが強いからだよ。弱い僕とは…違う」

「本当にそう思う? 確かに貴方からすれば、ナルトは強く見えるかもしれない。でも、最初からそうだった訳じゃないわよ」

 

 

 そこまで言って、サチは一旦口を閉じる。そして彼女の言葉に耳を傾けるイナリへ、一呼吸おいて話を続けた。

 

 

「昔は貴方が言う通り、何をやっても駄目だった。それでも諦めたり、挫ける事無く努力を続けたから今のナルトがあるの。イナリ君。人は誰でも大きい可能性を秘めているわ。皆、それを掴み取る為に頑張るのよ。今はいいけど、いつかは自分の足で立って歩く事をどうか忘れないで…。私が言いたいのはそれだけよ。じゃあ、私は部屋に戻るわ。貴方も行きましょう」

 

 

 言うべき事を言うと、サチはイナリの肩を優しく叩いた。そして、彼の手を取るとタズナ邸へ一緒に歩いていく。その間、イナリは自分の手を包む暖かい感触を感じながら、今は亡き父の言葉を思い返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 夜 同時刻。

 森の小屋で再不斬達は、ガトーと対峙していた。数日前の戦いで負った傷も回復し、三度の襲撃をする計画を立てる為である。

 

 

「いきなり…呼んだかと思えば、明日に襲撃をするだと…。一体、何処で仕掛けるつもりだ?」

「それは決まっています。あの大橋で彼らを迎え打ちます」

「ああ。あそこでなら水辺もある分、俺達に有利だ」

「そうそう。それにいざとなれば、橋を破壊すると言えば。奴らも逃げる事は出来ない」

「成程…。今度はしっかりと考えているようだな。だが、念には念を押してわしもある策を講じる」

 

 

 三人の話を聞いて、ガトーは今回こそ抜かりは無いと確信する。しかし、此処で彼はそう進言した。その事に今度は再不斬達が訝し気な顔をする。三度目となれば、自分達も本腰を入れて動くつもりだ。それなのに策を講じると言う事は…奴は自分達を信用していないと言っているのも同じである。だが、二度失敗している事も事実である為、彼らは屈辱に耐えつつもガトーの言葉に耳を傾けた。

 

 

「わしの策…。それは奴らがタズナの家を出た後、わしの部下を差し向けて奴の娘とガキを人質にする。そうすれば、奴らも抵抗する事は出来んだろう。そこをお前達が仕留めるという作戦だ」

「けっ つまりは何だ。俺達に無抵抗の奴を嬲り殺せってか?」

「確実とはいえ、気が乗りませんね」

「白と同じく…。あたし達にも一応、流儀があるんだけどね」

「そんな物は知った事かぁ。今度こそ失敗は、絶対に許さん。わしの言う通りに動いてもらう。お前達は橋の付近に待機して奴らが来るのを待っていろ」

 

 

 

 想像していた通り、ガトーの策は自分達の意に反する物だった。しかしながら当然、再不斬達の意見など。ガトーは聞くはずもない。横柄な態度で言いたいだけ言うと、彼は小屋を立ち去った。暫く、ガトーが消えた戸を睨んでいた三人だったが…意味の無い事だと割り切り、それぞれは明日に備えての準備を開始した。

 

 

 

 

 

 翌日 今日も変わりない1日が始まろうとしていた。ナルトを除き、起床した7班のメンバーは、朝食を済ませるとタズナの護衛の為、彼と一緒に家を出て行く。

 

 

 

「…それでは、私達はタズナさんの護衛に当たります。ナルトの事、お願いします」

「大丈夫。任せておいて…。それにしても、今日は起きないって体調でも壊したのかい?」

「いや、単なる寝不足です。どうやら…昨日の事であの子、寝れなかったらしいんです」

「ああ‥。そういう事かい。何だかんだでいい子じゃないの。ナルト君はちゃんと見ておくから、皆は父さんを頼むよ」

「勿論です。では、行ってきます」

 

 

 その際、サチは寝坊したナルトの面倒をツナミに頼み込む。すると彼女は快く受け入れると、その理由をサチに尋ねた。いつもなら皆と一緒に起きて食事を取っていたナルトが、今日に限って起きない事をツナミは心配していた。だが、サチから事実を聞かされてホッと胸を撫で下ろした。それで不安の種も消えたツナミは、力強く頷いてナルトの面倒を任せろと言うと、また心配そうな顔で父の事をサチ達に託した。無論、サチ達も頷くと大橋へと向かって行った。

 

 

 

 通い慣れた道を通り、大橋へ辿り着いた一行はある異変に気が付いた。そこでは至る所に傷を負い、血を流す職人達が倒れ伏せていた。それを見て、駆け出そうとしたタズナをカカシが止める。タズナはそんなカカシを睨みつけるが、本人は正面を鋭く見つめていた。一体、何があるのか?と釣られて見ると体に衝撃が走った。

 

 

「よぉ…。やっと、お出ましかぁ! 俺ぁ、待ち草臥れたぜ」

「まぁまぁ。そう言っても、僕達だって今来た所じゃないですか」

「それは言っちゃ駄目よ。こういのは雰囲気が大事なんだから」

 

 

 カカシ達の正面にいたのは、数日前。ガトーが放った刺客の忍達だった。只、違うのは再不斬と朔麻だけでなく、仮面を付けた少年がいる事だろう。そして、サチとカカシは自分達の嫌な予感が的中した事に苦虫を噛んだ様な表情を浮かべる。

 

 

「やはり、仮面の少年はお前達の仲間だったか。ある程度、予想してたとはいえ。当たるのは勘弁して欲しかったな」

 

 カカシの言葉に再不斬達は、返事を返す変わりに霧隠れの術を発動させた。どうやら、向こうはゆるりと会話に興じるつもりは無いようだ。そして辺りに気を配っていたカカシは、声を張り上げて仲間に伝える。

 

「気を引き締めろ。仕掛けて来るぞぉ!!」

 

 その言葉と同時にタズナ達の周りに複数の再不斬が取り囲む様に現れた。以前よりも多い数にサスケは、体を震わせてジッと見つめた。その様子は再不斬に筒抜けなのか、霧の中から彼の声が響いてくる。

 

 

「おーお 可哀想にまた震えてるじゃねえか。大事と言う割にお前ら二人は、随分と部下を存在に扱うもんだ」

「ほざくな。これは…恐怖からじゃない。只の武者震いだよ」

「そうだな。よし…やれ、サスケ!!」

 

 

 再不斬にそう言い放つサスケに、カカシは微笑みながら号令を掛けた。すると彼は素早い攻撃で再不斬達を斬り伏せていく。だが、それは水分身であり、彼らの足元は水浸しになっていた。

 

 

「ほぉ… 水分身とはいえ、こうも簡単に倒すとはな。この数日で随分と成長したもんだ」

「そうねぇ。これは意外な強敵になったものだわ」

「ええ その様ですね。しかし、それでも勝つのは僕達です」

 

 

 霧から姿を現した3人は、それぞれの言葉を口にする。今再び、波の国の命運を掛けた戦いが幕を開いた。

 




今回のお話、いかがだったでしょうか?

自分の気持ちをぶつけ合うナルトとイナリ。あのシーンは波の国編でも印象に残っているので、作者としては気に入ってます。

さて、この戦いがどう転ぶのか。戦闘描写の苦手な自分も気合を入れて行かねば…

また、一言でもいいので感想を残して下さると作者の活力になりますので宜しければお願いします。
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