一話
あぁ、いつからだろう?「私」がこの世界に存在したのは、
あぁ、いつからだろう?「ぼく」が黒の守護龍などと呼ばれるようになったのは、
「我」は「龍帝」そう呼ばれるものだ。
私が生まれたのは。いや、正しくは「生まれ変わった」と言うべきか。
そう察しているかもしれないが我は、「転生者」と呼ばれるものだ。
我がなぜ転生したのか教えよう。
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(ヤッベーー!遅刻するー⁉︎)俺、神崎 災禍、え?名前が不吉だって?
そんなの本人が一番わかってるよ!
俺は、今走っている。
学校に向けて走っている。
信号が青になる。
進む。
すると、
(あ、死んだわ、これ。)
そう思うほどのスピードでトラックが走って来た。
ーーーそして俺の視界は、暗転した。
(俺、どうしたんだったか)
そんなことを思いつつ地面に大の字に寝ている件くだんの男。
寝転んだまま周囲を見回し、場所を確認しようとする。
だが━━。
(何もない。いや、寝転んでいる以上は床か地面はあるのか)
本当に何もない。右を見ても左を見ても白一色の空間が広がっているだけだ。
男は考えても仕方ないと割りきり、なぜここにいるのかを考え始めた。
(ここは、病院?あの時、俺は、トラックに轢かれて、そうだ!傷は⁉︎
あれ?無い?何故?)
しばらく考え━━━、
(夢だな。よし、寝よう)
夢だと決めつけた。
あの時、俺は、トラックに轢かれた筈だ。それで死んでいたらこんなことにはなっていないだろうから、多分これは昏睡状態の俺が見ている覚めない夢ってやつなのだろう。
男はそう決めつけると目を閉じて再び寝ようとするが、
「ちょっ!?ちょっと待ってください!」
「あ?」
突然の声に反応して目を開けた。頭側の視線の先には白いローブを着た、腰まで伸びたブロンドの髪を風(?)になびかせる美女が浮いていた。
しばらく黙っていると、
俺に向かって謎の美女が言った。
「あ、あなた、変に落ち着いてますね」
「まあ、夢の中と割り切れればな」
即答で返した男に謎の美女は溜め息をついた。なぜあんなことをしてしまったのか。美女はそれを後悔し始めていたが、再び寝ようとしている男を見て、無理やり本題に入る。
「あなたに言いたいことがあります!あなたは死にました」
「…………は?」
美女の一言に男は間抜けな顔になるが、
「ですから、あなたは死・に・ま・し・た・」
美女が大事な部分を強調して言うと、男は完璧に固まった。
(ま、マジか。本当に死んでたのかよ……)
「ハハッ………!」
「━━━?あの、大丈夫ですか?」
美女が心配そうに男を見るが、俺はお構いなしに笑い始める。
「ハハハハハハハハハハハハッ!」
狂ったように笑う、笑う、笑う。笑い続ける。
そして、狂ったように笑う男に、美女は困惑しながらも声をかける。
「とりあえず、一回落ち着きましょう!」
「ハハハハハハッ!はぁ………」
わざとらしく溜め息をつき、男は美女に背を向けるように立ち上がった。
急に立ち上がった男を警戒する美女。男はゆっくりと美女の方に振り向き、美女と視線を合わせる。そして、
「ハァ、スッとしたぜ」
なぜかスッキリした表情になっていた。
「………は?」
男の一言と表情に思わず間抜けな顔になる美女。男は構わずに続ける。
「驚かしてスマンな。こう、感情は一回爆発させた方が落ち着くからな」
「……はぁ?」
「で、あんたは何者だ?」
いまだ困惑気味の美女に男が訊くと、美女は一度咳払いをしてから言った。
「私は神様です!」
男はその発言を聞き流すようにポケットからスマホを取り出すが、電源がないことに気がつきショックを受けていた。
「聞いていますか!?」
「あ?ああ、で、なんだ、Ms.神様」
明らかに信じていない俺に、自称神様の美女は手招きした。
「?」
自称神様の美女が手をかざすと、コーラが出て来た。
俺は、俺は、「なんでコーラなんだよ⁉︎」と言うツッコミを抑えて
さも、極めて冷静な様に無言を貫いた。
すると自称神様が、「これで信じてくれますか?」
と言いながらコーラを手渡して来たので、
「………どうも」と言って受け取った。
そして味がしないことに気がついた。
(コーラ味がしないってことは、本当に死んでるのか)
自分が本当に死んでいるという事実を実感した俺だが、すぐに自称神様に訊いた。
「で?Ms.神様。その死んだ筈の俺を何でこんなところに?」
「あなたにはこれから転生していただきます!」
ニコニコ顔で言った自称神様の言葉に、男は呆れながら味のしないコーラを飲む。明らかに何言っんだこいつという目で自称神様を見ている。
信じていない男に、自称神様は少し大きめの声で再び男に言った。
「ですから、転生していただきます!」
「てん……せい?」
明らかに狼狽うろたえている男の言葉と表情に自称神様は頷いた。
「はい!もう一度、別・の・形・で生きてもらいます!」
「……いらんお世話だ」
男は無愛想にそう返すが、
「あ、これは決定事項なので、拒否権もありませんよ?」
(この尼あま……!)
「誰が尼ですか!?」
「聞こえてんのかよ……」
「神様なんです!心の声ぐらい聞けます!」
胸を張って返す自称神様だが、男は気にすることなくコーラを飲む。
だが、自称神様は、気にすることなく続ける。
「向こうで何をするかはあなた次第です」
男の微笑に自称神様も不敵な笑いで返す。
二人がしばらく睨みあうようにしていると、男は大きな溜め息をついてから言った。
「やれやれ、面倒なことになったな」
後頭部をかきながら答える男。その返答に自称神様も笑顔で答えた。
「まあ、本当に何をするかはあなた次第なので、私は責任を取りませんし、命を奪っても魂の強制送還なんてこともありませんから」
「へいへい」
男は適当に返しつつ自称神様に訊いた。
「細かいことは聞かないが、何か条件とかあるのか?」
自称神様はどこからかホワイトボードを持ってきてそれを男に見せる。が、
「たった一つにホワイトボードを使うか?」
「き、気にしないでください……!」
自称神様は男の正論に狼狽える。それもそうだろう、大きめのホワイトボードの真ん中にポツンと何かが書いてあるだけなのだ。
「えっと、何て書いてあるんだ?」
「え?読めませんか?」
「Ms.神様。字を練習しろ。読めん」
「うっ!?」
男の一言に露骨にショックを受ける自称神様だが、「仕方ないですね」と呟くと口頭で告げた。
「あなたの意識は次の世界に行ってもしばらくは覚醒しません。人間で言うところの『物心ついた頃』に完全に覚醒します」
「それだけか?」
「はい」
男の確認に自称神様は頷き、そして付け加えた。
「行き先はそれなりに危険なので、すぐに戻って来ないでくださいね」
「了解」
「では………」
男の返事を聞いた自称神様の右手には何かのボタンが握られている。
「おい、Ms.神様。なん━━━」
「いってらっしゃーい」
男が言い切る前に自称神様はボタンを押す。すると、
ガタンッ!
何かが開く音と共に男は浮遊感に襲われた。男はその瞬間に理解した。━━━床が抜けたのだと。そして、このまま落ちるのだと。
「これは、面倒だな…………」
男がそう呟きながら落下していくなかで、自分を送り出す自称神様の笑顔が妙に癇かんに障ったことは言うまでもない。
こうして、男の第二の人生がスタートする。のだが、男はある勘違いをしていた。
自称神様は男に別・の・形・で生きてもらうと言ったのだ。つまり、男の第二の人生は人間ではない『何か』ということになる。
男がその事実に気がつくのはもう少し先の話……。
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「で、自分のミスで死なせたとは言っていないんだな?」
「は、はい……」
先程の自称神様が正座をして、派手な椅子に座る見るからに偉そうな男性に睨まれていた。
「まったく、なぜおまえはそんなに適当なのだ」
「その、変なこというと、殺されそうだったので……」
自称神様の言葉に呆れながら溜め息を吐く偉そうな男性。
「まあよい。通例の通りに転生はさせたのだろう?」
「は、はい」
「それで、行き先は?」
「ハイスクールD×Dだったはずです」
そこまで聞くと偉そうな男性は背もたれに体を預けて大きく息を吐いた。
「その男、すぐに戻ってくることはないだろうな?」
「……大丈夫だと思いますよ?」
「………やれやれ」
首を左右に振りながら困り顔になる偉そうな男性。
転生した男は知らないのだ。自称神様に転生の理由はあーだこーだと言っていたが、実際はその自称神様のミスによるものだと。
転生した男がそれを知るよしもないが、とにもかくにも、こうして男は転生することになったのだった。
さぁ、今宵始まるのは、世界に厄災を齎す龍の物語。
さぁ恐れろ!そして、跪け!厄災の龍が現れる。
覚悟は、良いか?では、また次回お会いしましょう。
厄災の龍は、この世界で何を見て、どんな物語を作るのか、
それは、誰にも、例え神様だってわからない。
何故なら其の者は、神をも恐れさせる龍なのだから。