艦隊これくしょん──The Last Ship──   作:アース@にわかミリオタ

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フェーズ6(1)

「遅刻しちゃーう!」

 

アメリカ東海岸、バージニア州ノーフォーク海軍基地。世界最大の海軍基地の桟橋近くの道を上は青色のNWU(海軍用作業服)、下はスカートという少々軍人らしからぬ格好をした中学生ほどの少女が走っている。頭の後ろでまとめられたポニーテールの黒い髪がたなびき、端麗な容姿からは呼気が漏れ出る。

 

「もー!みんなあれだけさわいで!たった4ヶ月話せないだけじゃん!」

 

そういう彼女が一番別れを哀しんでいたのだが、今彼女にそれを考える余裕はなかった。今するべきは全力で走って間に合うこと。彼女の集合時刻は08:00。現在時刻は7:59。桟橋の入り口に差し掛かったところだ。

 

「あと1分。ギリギリ間に合う!」

 

そういうと少女はラストスパートをかけ、桟橋を全力で走り出した。

 

「すみません!失礼します!」

「おぉい、危ないぞ!」

 

桟橋の上を行き来し作業を行う人々の合間を縫って、目的地まで走る。

勢い余った少女がブレーキをかけて止まった目の前には、大きな灰色の船が桟橋脇に浮かんでいた。

 

「チャンドラー艦長!」

 

チャンドラー艦長と呼ばれたサマー・ホワイトの軍服に身を包んだ男が、目にしていた積み込み品の目録から目を離して少女へと向ける。

少女は息を切らしながらも姿勢を整え、艦長に向けて敬礼を行った。

 

「本日、〇八〇〇をもって再び任務に従事します!」

「......自分の時計を確認するべきだぞ、ネイシー」

 

アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦・DDG-151≪ネイサン・ジェームズ≫の艦長、トム・チャンドラー中佐はチラリと腕時計を見た後に、僅かに皮肉の混じった声で答えた。

ネイシーと呼ばれた少女が怪訝な顔をした次の瞬間、あっと驚いた表情に切り替わる。現在時刻は08:01、残念ながら1分間に合わなかったのである。

 

「し、失礼しました!本日、〇八〇一をもって再び任務に従事します!」

「了解した。どうやらパーティーは楽しかったみたいだな」

 

チャンドラーは副長のマイク・スラッタリー中佐へ目録を渡すと、少女へと向き直った。

 

「はい!ヘイワードちゃんが離れてくれなくて。泣き虫なんですよね、あの子。そしてフォードさんやモンテレーさんが飲み始めて、みんなでワイワイしていたら私も寝落ちしてしまいまして...」

 

元気そうに始まった声が後ろに行くほどにすぼまって行き、顔が赤く染まる。

恥ずかしさのあまりに顔を伏せた少女の肩へチャンドラーは手をポンと置いた。

 

「4ヶ月も無線封鎖で話せないのが悲しいのはわかる。乗員や俺も、航海前に家族と話してきたからな。ただし、遅刻には気をつけるように。わかったか?」

「はい!あ、わすれていました」

 

少女は再び姿勢を整えて敬礼を行い、真面目な口調で話し出した。

 

USSG(United States Ship Girl)、ネイサン・ジェームズ、乗船許可を願います!」

「ネイサン・ジェームズ、乗船を許可する」

 

少女の正体はアメリカ合衆国海軍、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦・DDG-151≪ネイサン・ジェームズ≫の艦娘なのであった。

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