艦隊これくしょん──The Last Ship── 作:アース@にわかミリオタ
そして、やって来た艦娘はこれまたどこかからやってきた深海棲艦と戦う。
人間同士の戦争に参加することもあったが、この流れは200年以上に渡って続けられて来た。
そしてこれからも人類社会と共に続いて行くと考えられて来た。少なくとも今までは......。
現在、≪ネイサン・ジェームズ≫は大西洋を北上中。荷物の積み込み時に小さなトラブルもあったがノーフォークを無事出発した。
今回の任務は、北極海における行動について4ヶ月に渡って様々な試験を行う......と命令書には書かれている。
そのついでということで、鳥の研究をしているレイチェル・スコット博士とクインシー・トフェット博士が北極での調査のために艦に同乗している。
艦長やネイサン・ジェームズ以下船員ら216名全員にはそう伝えられている。なのでNavy SEALsが乗り込んでいても極限環境で博士を手助けするためで、ヘリコプター格納庫の片方をまるまる占拠する設備を見てもヘリコプターは1機だけだなと思うだけで、特にそれ以上は何も思わず、ほとんど博士らに関わらなかった。
「これは何をするためのものなんですか?」
......
ネイサン・ジェームズは≪
現在格納庫にはネイサン・ジェームズと博士2人しかいない。
トフェット博士はラボの中にいたので、彼女は外にいたスコット博士に話しかけた。
「ええと、あなたは?」
スコット博士は少し困惑した様子を見せた。15歳ほどの少女が艦に乗っているとは思わなかったからだ。
「あっ、申し遅れました!私、USSGネイサン・ジェームズ、この艦の艦娘です。よろしくお願いします」
スコット博士は驚いた表情をする。
それもそのはず、世間一般に良く知られている艦娘とは華々しい活躍が多い大型の航空母艦娘、又はかつての大戦で戦った戦艦などが主だ。軍事に興味がない人がどんな艦娘がいるかなど知らないのが普通なのである。
余談ではあるが、逆に詳しい者にとって駆逐艦は小・中学生ほどの子が多いのはよく知られているので、
閑話休題。
スコット博士の場合、今まで海軍に関わることがなかったので
「あの〜、どうかしましたか?」
「いえ、なんでもないわ」
カルチャーショックから気を持ち直したスコット博士はネイサン・ジェームズの質問に答えることにした。
「これはラボ、細菌やウイルスの研究や実験をするために周りを覆って隔離するの」
スコット博士がビニール製の透明な大きな箱を指して説明した。
中には様々な機材が取り揃えられており、ネイサン・ジェームズには殆どが見たことのないものだった。
「この中で鳥の体内のウイルスを採取して調べて、万が一があっても外に感染しないようにするの」
へーという表情のネイサン・ジェームズにスコット博士は顔を少し綻ばせた。
それからネイサン・ジェームズが何個か質問を投げかけ、スコット博士は快く答えてくれた。
「博士って、すごいんですね!」
「いえ、大したことないわ。わたしにも、どうにも......」
スコット博士が何か返答しようとした時、ハンガー内に戦闘配置を示す警報が響き渡る。
その瞬間、ネイサン・ジェームズの可愛らしい少女の顔が戦士のそれになった。先ほどまでの少女らしい雰囲気が消え去り、兵士の威圧感が醸し出される。
「博士、外へ出ないように」
ネイサン・ジェームズは低い声で博士にそう言うと、ヘリコプター甲板に続く扉へと向かった。
「敵は深海棲艦、アルファ級駆逐艦およびエコーIII級軽巡洋艦。繰り返す、敵は深海棲艦、アルファ級駆逐艦およびエコーIII級軽巡洋艦」