日常と恋模様に祝福を   作:Syo5638

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第15話:約束

 

 

 

side蒼真

 

 

雪斗「やあ。久しぶりだね蒼真君」

 

 俺は今一瞬思考が止まっていた。何で…と思ったが少し考えたら分かる事だった。ここは友希那の家なのだから友希那のお父さんがいるのは当たり前だ。

 

蒼真「…お…お久しぶりです。おじさん」

 

リサ「こんにちは。友希那パパ」

 

雪斗「こんにちは。リサちゃんも久しぶりだね」

 

友希那「ふふっ。緊張してるみたいね蒼真」

 

蒼真「…仕方ないやろ…イキナリでビックリしたんやけ」

 

リサ「あはは☆蒼真も緊張するんだね?」

 

蒼真「…俺を何と思っとるん…?」

 

 

 

 話をしていくうちに何となく全容が見えて来た。今日友希那が早く切り上げたのはおじさんが仕事から早く戻って来ていて俺に会わせたかったからみたいだ。

 

雪斗「それにしても、本当に大きくなったね」

 

蒼真「そりゃあ小さい頃に会ったきりでしたから。おじさんの方こそ元気そうでよかったです」

 

 それからしばらく近況報告などをした。おじさんは今はバンドはやってないけど、やっぱり音楽が好きだから音楽関係の仕事をしているそうだ。

 

リサ「そういえば、蒼真と友希那パパは昔からの知り合いだったんだよね。その時の話聞きたいなぁ」

 

友希那「私も聞いてみたいわ。あまりそういう話しないから」

 

蒼真「とは言っても俺も小さい頃の話だからよく分かってない事もあるんよね」

 

雪斗「そうか。君はお父さんから何も聞かされてないんだね」

 

蒼真「そう…ですね。知り合いとしか」

 

雪斗「なるほど…」

 

 そう言うとおじさんは何か考え始めた。

 

 …確かに親父とおじさんの事を聞いたことがない。そう思うとどんどん2人の関係が気になってくる。

 

雪斗「そうだなぁ…じゃあまず俺と蒼真君のお父さんの事から話をしよう」

 

 ゆっくりとその口が開かれる。

 

雪斗「俺と彼は小さい頃、幼稚園くらいからの幼馴染だ。ちょうど友希那やリサちゃんのような関係だね」

 

リサ「えー!そうなんだ!」

 

 ま…マジか…もしかしたらとは思ってたけど、ホントにそうだったのか…

 

雪斗「あまり驚かないんだね」

 

蒼真「い、いえ…驚いてますよ。確かに予想はしてましたけど、まさかそんなに古い付き合いだったとは思いませんでした」

 

雪斗「もう本当に長い付き合いになるな。高校時代は一緒にバンドを組んだりもしていたな」

 

蒼真「え!?ま、マジですか!あの親父が…」

 

 バンドを組んでたなんて1度も聞いたことない。なんで言ってくれなかったんだ…

 

 それからまた親父とおじさんの話を色々聞いた。大学まで同じ学校に進学し、切磋琢磨していた事。親父とお袋が知り合ったのもこの頃だと言うことも聞かせてもらった。

 

リサ「へぇー!蒼真のお父さんとお母さん大学生の時に知り合ったんだね」

 

友希那「お父さん。もしかして、お母さんとも大学生の時に知り合ったの?」

 

雪斗「ん?…あぁ、そうだな」

 

蒼真「親父とおじさんホントに仲がいいですね」

 

雪斗「うん。本当に色々良くしてもらったよ。あ、そういえば、4人でよく出掛けたりもしたな。懐かしい」

 

リサ「え!それってダブルデートですか!」

 

雪斗「まぁ、そうなるね」

 

リサ「わぁお♪青春してますね!」

 

 はははっ。ホントに親父とおじさん青春してるな。おじさんも親父の話をするのは楽しそうだ。

 

雪斗「お互いの結婚式の時にはスピーチをして歌を披露したの懐かしい思い出だ」

 

蒼真「そんな事もしてたんですね」

 

雪斗「今は凄く真面目に働いてるけど昔はかなりおちゃらけた性格だったからな。いつも驚かされたし笑わせてもらったよ」

 

 へぇー昔はそんな性格だったんだ。今からしたら考えられないな…

 

雪斗「性格が変わり始めたのは君が産まれてきてからだな。凄く頑張ったんだと思うよ今に至るまで」

 

 そっか…親父も色々と頑張ってるんだな。今もだけど。

 

 

 

 親父とおじさんの事色々きけてよかった。そうだ、丁度いいからあの事についておじさんに聞いてみよう。

 

蒼真「おじさん」

 

雪斗「何かな」

 

蒼真「今日ホントは友希那とリサに見てもらおうと思ってた物があったんですけど、おじさんも居るから一緒に見てもらおうと思って」

 

リサ「そういえば、話したいことがあるって言ってたけど…見せたいもの…?」

 

友希那「何かしら…」

 

 そして俺はこの1枚の写真を3人に見せた。

 

リサ「え!これって…」

 

友希那「私達…?」

 

 やっぱり2人も困惑しているようだ。でもおじさんは――

 

雪斗「あぁ懐かしいな。そういえばこれも言ってなかったけど…と言うか皆ここまで聞いてなんとなく気付いているかもしれないけど、蒼真君の家族は昔はこの近くに住んでたんだ」

 

リサ「っえ!そうだったんだ!」

 

 やっぱりそうだったんだ。小さい頃だからほとんど覚えてないけど写真の風景は確かにこの近くだ。

 

蒼真「そっか…そうだったんですね。これで点と点が繋がりました」

 

友希那「という事は、私とリサも蒼真と幼馴染になるのね」

 

リサ「あ…そっか。そうなるんだね…(だから懐かしく思ったんだ)…」

 

雪斗「あの頃も3人共仲が良かったな」

 

リサ「へ、へぇーそうなんですねぇ」

 

蒼真「どうしたん?リサ」

 

リサ「え!い、いや何でもないよ~あはは~…」

 

蒼真「そう?ならいいんやけど」

 

 

 しばらく時間が経ち話が一段落した所で友希那から話が振られた。

 

友希那「そういえばお父さん」

 

雪斗「なんだ?友希那」

 

友希那「前に蒼真と歌を歌うって約束をしていたのを教えてくれたじゃない。あれ、よければ私が代わりに蒼真と歌ってもいいかしら…?」

 

 友希那から思わぬ提案なあがった。

 

蒼真「うーん…俺は構わんけど…」

 

雪斗「いいんじゃないか。俺も久しぶりに友希那の歌も聴いてみたいしな」

 

リサ「あ、じゃあアタシベース取ってくる!」

 

 そう言ってリサはベースを取りに戻った。

 

蒼真「じゃあ俺も少し準備しようかな」

 

友希那「私もそうするわ」

 

雪斗「なら俺も防音室の準備をしてくる」

 

 そして皆それぞれ準備に取り掛かった。

 

 …というか…この家防音室まであるのか。流石だな。

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 リサも戻って来て打ち合わせを始めた。

 

蒼真「歌う曲どれにする?」

 

友希那「もちろんこの曲でいくわよ」

 

リサ「この曲だねりょうかーい」

 

 まぁやっぱりこの曲だよな。

 

 

雪斗「準備は出来たかい?」

 

蒼真「俺は大丈夫です」

 

リサ「アタシもOKです」

 

 友希那は念入りにハミングや発声をしている。

 

雪斗「友希那はもう少しかな」

 

友希那「…いえ。もう大丈夫よ」

 

 2人とも準備が終わりセッティングを始め、俺もマイクを持ち始まりを待つ。

 

友希那「今日は紗夜達がいないから音源を使うわ。リサも蒼真もそれに合わせて頂戴」

 

蒼真「了解」

 

リサ「OK~」

 

友希那「じゃあお父さん、聴いていて。行くわよ2人とも。LOUDER」

 

 そして音楽が流れ始まる。

 

 

.•*¨*•.¸¸♬

 

 

 練習の時も思ってたけど、リサはホントにどんどん上手くなってるな。友希那もいつも以上に気合が入っている。俺も負けてられない。

 

 友希那がメインで歌を構成し、俺がユニゾンで友希那音を押し上げる。リサのベースで全体を包み込む。

 

 俺達3人での演奏…音に惹き込まれれる感覚がある。

 

 なんだろう…昔もこんな事をしていたような気がする。いや、もしかしたらそうなのかもしれない。

 

 友希那とリサも同じ感覚を抱いでいるようだ。少し驚きつつも楽しそうに演奏している。

 

 俺も友希那の横に立ち一緒に歌い、リサの音聴きながら一緒に友希那を押し上げる。

 

 

.•*¨*•.¸¸♬

 

 

 演奏が終わり、辺りが静まり返る…そして、後からおじさんの拍手が響き渡った。

 

雪斗「うん。凄く良かった。3人共本当に上手くなったね」

 

蒼真「ありがとうございます。でも彼女達はまだまだこんなもんじゃ満足はしないですね。やろ?友希那、リサ」

 

友希那「もちろんよ。私達はこんな所で止まってられないわ」

 

リサ「そうだね。Roseliaの目標はまだまだ上だからね」

 

 再度目標を確認する2人。俺も2人を、Roseliaを全力で支えて行こうと改めて心に誓う。そして―――

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★

 

 

蒼真「今日は本当にありがとうございました。おじさんにまた会えて良かったし、楽しかったです」

 

雪斗「ああ。俺も楽しかったよ。また遊びに来なさい」

 

蒼真「はい!」

 

 

 おじさんに挨拶をし、友希那の家を出た俺はすぐ家に戻ろうとするが――

 

リサ「あ、そうだ!今日2人にクッキー作ってきたんだった。はいこれ」

 

 リサからクッキーを渡された。凄く形が凝っていて上手に焼けている。

 

蒼真「ありがとうリサ」

 

リサ「うん♪」

 

 そういえば、友希那の反応が無いけど…

 

友希那「…にゃーん……にゃーんちゃん…ふふっ」

 

蒼真「ゆ、友希那?どうしたん」

 

リサ「あぁ…あんまり気にしなくてもいいよ。いつもの事だから」

 

 そうなのか…それにしてもあまりにもギャップがありすぎて…

 

 確かにネコの形をしたクッキーもあったけど、それだけでこんなになるとは…

 

リサ「可愛いでしょ友希那。この表情あんまり見せるつもりは無かったんだけど蒼真には特別。幼馴染だったって分かったから」

 

蒼真「うん、ありがとう。また2人の新しい一面が見れて嬉しい」

 

リサ「そ、そう?なら良かった♪」

 

 

 しばらくして友希那も元に戻り――

 

友希那「ごめんなさい。少し取り乱してしまったわ」

 

蒼真「少し…?」

 

リサ「ま、まあまあ。それにしても友希那パパと蒼真パパの過去を聞けて良かった♪」

 

友希那「そうね。お父さんはあまりああいう事をあまり口にしないから新鮮だったわ」

 

蒼真「そうやな。うちの親父も全くそういう事いわんけ聞きよって面白かった」

 

 

 それから少し世間話をした俺達は――

 

蒼真「じゃあそろそろ家に戻るか」

 

リサ「そうだね」

 

蒼真「友希那。今日は誘ってくれてありがとな凄く嬉しかった」

 

友希那「そう。それは良かったわ。私も今日楽しめたわ」

 

リサ「えぇ~?それっていつもアタシ達といても楽しくないって事?」

 

友希那「そ、そんな事言ってないじゃない」

 

リサ「あはは♪ウソウソごめんね。ちゃんと分かってるから」

 

友希那「もう…」

 

蒼真「はははっ。ホントに2人は仲がいいな」

 

友希那「これからもっと私達の事を知っていけばいいわ」

 

リサ「そうだね♪アタシももっともっと蒼真の事知りたいし」

 

蒼真「そうやな。俺ももっと2人の事知り合い」

 

リサ「そうだ!今度Roseliaの皆も一緒にお出かけしない?」

 

友希那「いいわよ。その代わり次からの練習はもっとハードになるから覚悟していて頂戴」

 

リサ「OK~♪」

 

 

 こうしてまた次の予定が決まったようだ。

 

蒼真「じゃあそういう事で。また明日」

 

リサ「はーい。おやすみー」

 

友希那「おやすみなさい」

 

蒼真「おやすみ。2人共」

 

 そして家の扉を閉じた。

 

 

 

友希那「…ねぇリサ―――」

 

 




読了ありがとうございます。

最近あまり書く事が出来ていないSyoです。見て下さっている方、更新が遅れてしまってごめんなさい。


さて、次回より新章に入ります。それに伴って前回も言っていましたが、メインタイトルを変更します。

そろそろ(仮)じゃアレだなぁっていうのは常々思っていたのでこの度きりもいいので変更する形となりました。

これからも見て頂けると自分も嬉しいです。

それではまた次回


感想などもお待ちしてます!

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