日常と恋模様に祝福を   作:Syo5638

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第2話:今日の晩ご飯①

 

 

 

 

「…うーん…どうしようかなぁ…」

 

 今俺は悩んでいる事がある。それは今日の練習後の事―――

 

 

 

 

―――今日の練習を終えたRoseliaのメンバーと俺は帰り支度をしていた。

 

「あ、そういえば蒼真さ」

 

 支度を終えたリサが声を掛けてきた。

 

「ん?何?」

 

「前に蒼真が住んでた所って筑前煮の他に何か美味しい物ってあるの?」

 

 どうやらリサは俺が住んでいた所の料理に興味を示しているようだ。

 

「美味しい物か…そうやなぁ…思い出したら結構あると思うけど」

 

「そっか。いやぁこの間ご馳走になった時凄く美味しかったからさ、他にも作れる物があるんだったら教えて欲しいなぁって思ってね」

 

 そんなに気に入ってくれたのか…嬉しいような少し恥ずかしいような…

 

「アレやったらまた家にくるか?なんか作っちゃる( つくってあげる)けど」

 

「ホント!やった♪」

 

 そんな話をしていると

 

「え!蒼真さんまた何か作るんですか!」

 

「あ…あこちゃん…!」

 

 あこちゃんが話に食いついてきた。燐子ちゃんもあこちゃんに引っ張られて付いてきたようだ。

 

 そして他の皆も集まってくる。

 

「リサ。あなたまた蒼真の作った料理を1人で頂こうとしていたの?」

 

「っえ!そ、そんなことないよ!ちょっと作り方を教わろうかなぁって思ってさ」

 

 そう。と言って友希那はいそいそと片付けを再開する。

 

 よく見る光景だけど、友希那とリサは本当に仲がいいなぁと思う。

 

「それで蒼真さん。先程の話は本当ですか?」

 

 今度は紗夜さんが話しかけて来た。

 

「そうやね。そういう事になったね」

 

「そうですか。…では私達もご一緒してもよろしいでしょうか…その…以前頂いた料理、とても美味しかったので」

 

 そう呟きながら手の指を遊ばせながら少しモジモジさせている。

 

「紗夜さんも嬉しいこと言ってくれるね。もちろんいいに決まっとるやん。同じメンバーの仲間やろ」

 

 そう言うと何故か顔を手で隠し後ろを向かれた。

 

「どうしたん?紗夜さん」

 

「い、いえ。何でもありません…ありがとうございます…」

 

「?うん」

 

 よく分からなかったが、こうして紗夜さん達…と言うよりRoselia全員また家に集まることになった。

 

 

 

 

 

「じゃあ先に買い出しに行ってくるけリサ、鍵渡しとくけ先家に入っとって」

 

 そして俺はリサに手渡しで鍵を預ける。

 

「え?いや…え?いいの?そんなに簡単に鍵預けて」

 

「リサと友希那は家が目の前やし、それに何より信頼しとるけさ」

 

「信頼…そ、そっか…えへへっ♪うん分かった!しっかり預かっておくね」

 

 よろしく。と言い残して俺は急いで街に出た―――

 

 

 

―――そして現在(いま)に至る訳だが…

 

「あんまり時間もないしなぁ…かと言って半端なもんも作りたくないし…」

 

 色々と思考を巡らせながらスーパーを見て回っているとあるものを見つけた。

 

「あ!そっかその手があったか!これなら簡単にでも美味しく地元の料理を作れる!…となると後は…」

 

 それから色々と考え買い揃える物が決まり少し急ぎ目にレジに向かう。

 

「うん。これなら皆も喜んでくれるはず」

 

 もしかするとダメな物もとかも皆あるかもしれないから何種類か作っておこう。余ってもいつでも使えるから。

 

 

 買い物を済ませた俺は急ぎ家に戻もうとするが…

 

「あ、そうや…米炊いてなかったな…」

 

 うっかりしていた。家に戻ってから炊いてたら時間があまりなくなってしまう…

 

「…うーん…申し訳ないけど言い出しっぺのリサにお願いしとくか」

 

 携帯を取り出しリサに米を炊いてもらうようお願いのメッセージを送った。

 

 そしてまた急ぎ足で帰宅する。

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

「それじゃあ開けて入るよ」

 

 アタシ達は帰り支度を終えて蒼真の家にに来ていた。

 

 鍵を預かったアタシは玄関の鍵を開け皆を連れて家の中へと入っていく。

 

「それにしても…まさかまたここに来るとは思っていなかったです」

 

「確かにねぇ。アタシと友希那は家が目の前だからもしかしたら機会はあったかもしれないけど、紗夜達とこんなにすぐにまた来るとは思ってなかったよぉ」

 

 リビングに入り荷物を下ろしながアタシは紗夜と話をしている。そしてソファーに向かっていると…

 

「今井さん。それは自慢ですか?」

 

「ぶっ!!」

 

 足が滑り思わずソファーにダイブしてしまった…

 

「ちょ紗夜!?そんなわけないじゃん!」

 

「ふふっ。冗談ですよ今井さん」

 

 え…もしかして…紗夜にもからかわれたの?アタシ…

 

「もう…」

 

「それにしても今のは…ふ、ふふっ…」

 

「ちょ、そんなにおかしかった!?」

 

「リサ姉今のは凄かったよ!何かこう…バナナの皮で滑ってバーン!って感じだったよ」

 

「……」

 

「今井さん…今のは…ゲームのキャラクターみたいだった…ってあこちゃんは…言おうとしてるんだと思います」

 

「う、うん…何となく分かったよ。ありがと燐子…」

 

 分かるんだけど…それだとアタシが色んな意味で滑ったみたいじゃん…

 

 

 

 それから少し時間が経って蒼真からメッセージが来ていることに気づいた。

 

「了解っと…あ、そうだ!」

 

「何をしているの?」

 

 蒼真にメッセージを返していると後ろから友希那が話しかけて来た。

 

「あ、友希那。今蒼真から連絡があってお米の準備をしてて欲しいってきてね」

 

「そう…」

 

 …うーん…友希那何か言いたそうだけど…

 

 少し考えたアタシは1つの答えにたどり着いた。

 

 そっか。今友希那は蒼真のこと気にしているんだった。…じゃあ…

 

「友希那」

 

「何…?」

 

「米とぎやってみない?」

 

 え…?…と言われたけどまぁいきなりそんな事を言ったらそうなっちゃうよねぇ。

 

「友希那もこういう事とかも出来た方がいいと思うし、それにできるようになったら蒼真も喜んでくれると思うよ」

 

「そうかしら?」

 

「うん!アタシはそう思うな」

 

「…ならやってみようかしら」

 

 そう言うと友希那はキッチンの方に向かった。

 

 上手くいったかな?蒼真をダシに使っちゃったけど、そろそろ友希那も家事とか少しづつできた方がいいと思うから機会がある時は教えながらやってもらおうと思う。

 

「それで、どうすればいいの?米をとぐくらいなら私でもできると思うのだけれど」

 

 さすがに米とぎくらいはした事あるかな?じゃあ…

 

「じゃあね、美味しく炊けるご飯の炊き方を教えてあげるね」

 

「分かったわ」

 

 準備を始める友希那。決して手際がいいわけじゃないけどその眼は真剣そのもの。

 

…音楽以外でこんなに真剣になってるの…もしかしたら初めて見たかも。アタシも気合い入れなくちゃ。

 

 

「じゃあまず最初は米びつの中から米を…そうだなぁ…6合分入れようか」

 

「合?」

 

 あー…やっぱり単位とか分かんなかったかぁ…

 

「そう。合はお米で使われる単位ね。1合約150グラムくらいで、炊けた後だとだいたいお茶碗1杯半くらいって覚えてればいいかな」

 

「なるほど」

 

 説明をしながら米びつの中にある計量カップを取り出す。

 

「で、その1合はこの計量カップ1杯分が1合分ね。ソレを6杯米がまの中に入れてね」

 

 分かったわ。と言い慎重に米をかまのなかに入れていく。

 

「終わったわよ」

 

「オッケー。今度は米をといでいくんだけど、ボールとザルで洗った方がいいんだけど今回はこのままで洗うね」

 

「何故使わないの?」

 

「お!いい質問だね。それじゃそれも一緒に説明するね」

 

 そう言ってアタシはまず冷蔵庫に行き中に入っているミネラルウォーターを取り出した。

 

 さっきメッセージを返した時に使っていいか確認してちゃんと許可してもらっている。他にも使っていいと言われたけど今はこれだけで十分かな。

 

「米とぎをする時1番最初に入れる水は、水道水じゃなく美味しい水。つまり洗浄された水やミネラルウォーター」

 

「何故?」

 

「それはね、とぐ前の米はカラカラな状態でしょ?そこに水を入れると米がその水を吸収して使った水の風味が出るの。水道水だと少しだけ塩素が混じってるから味が落ちるの。だからこのミネラルウォーターを今回は使うんだよ」

 

 本当は水道水を沸騰させれば塩素も飛んで美味しく炊けるんだけど、今回は時間がないからミネラルウォーターを使う。

 

「なるほど」

 

 説明通り友希那ミネラルウォーターを入れてとぎ始める。

 

「最初のは水を吸収させたいだけだから少し水に浸して2、3回かき混ぜる程度でいいよ」

 

 少し時間を置きそしてかき混ぜる。

 

「こんな感じかしら」

 

「うん!オッケーだよ。じゃあ水を切っていくね。かまの中の水がある程度無くなったら今度は水道水で米をとぐよ」

 

「ミネラルウォーターじゃダメなの?」

 

 お、これもいい質問だね。

 

「確かにミネラルウォーターでもいいんだけど、勿体ないってのもあるし最初の水でちゃんと米に吸収されてるから残りはとぐ時水道水で大丈夫なんだよ」

 

 なるほど。と言い作業に戻る。

 

「米の出汁で今白くなってきてるけど、それがある程度無くなるまで洗ってみて。それをだいたい2、3回繰り返す」

 

 そして友希那は言われた通りにある程度水が透明になるまでといでいった。

 

「このくらいかしら」

 

「うん!バッチリ!じゃあ最後の工程ね」

 

 少し身構える友希那。

 

「と言ってもそんなに大した事はしないよ。最後はまたミネラルウォーターを6合のメモリまで入れるだけ。何でか分かる?」

 

 たまには友希那にも少し考えてもらおうかな。

 

「そうね……リサが最初に言っていたように米を美味しく炊くためじゃないかしら」

 

「正解。さすがに分かるよねぇ。最後にミネラルウォーターを入れることによってより米の美味しさが引き立つようになるの」

 

「リサはお菓子作りだけじゃなくて料理にも詳しいのね」

 

「まぁ和食とか好きだから自分で作ってたりしたからねぇ」

 

 そんな話をしながら作業を進め準備が整った。

 

「後は炊飯のボタンを押すだけ。これで大体40分から50分くらいで炊けると思うよ。メーカーにもよるんだけど」

 

「なるほど。勉強になったわ。ありがとう」

 

「アタシの方こそ手伝ってくれてありがとね。じゃあちょっとアタシ達もゆっくりしよっか」

 

 そうね。と言い友希那はソファーの方に向かっていった。

 

「ただいまー」

 

 それと同時に蒼真も帰ってきたようだ。

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます。

久々に投稿が出来ました。中々諸事で遅くなっていますが、自分の中では満足のいく物が書けたと思います。

ではまた次回

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