「ただいまー」
家に帰り着いた俺は皆がくつろいでいることを確認する。
「あ、おかえりー」
リサを筆頭に皆それぞれ反応する。
家に帰ってきて自分以外に人がいるって久しぶりで何だか新鮮な気持ちなるな。
「どうしたの?そんな所で立ち止まって」
立ち止まって考え事をしていたからかリサがまた声を掛けてきた。
「ん?いや、なんでもないよ」
「そう?ならいいんだけど」
そんな会話をしながらキッチンに行き荷物を下ろし米の準備が出来ているかを確認する。
「うん。しっかり出来とるね」
「今日はね~友希那に手伝ってもらったんだ~♪」
リサは凄く上機嫌で話してきた。
「お、そうなんやね。ありがとう友希那」
「…いえ…ほとんどリサに教わりながらだったけれど」
少し恥ずかしそうに言っている。
もっと自信持っていいと思うけどなぁ。
「そっか。リサもありがと」
「いやいや、大したことはしてないよ。教えた事をしっかり丁寧にしてくれたからスムーズに出来たんだよ」
いつも思うが幼馴染だからなのだろうか本当に仲がいいと思う。俺はそこまで昔から仲が良かった友人はいなかったから少し羨ましくもある。
そんな事を聞きながら夜ご飯の準備を進める。
「2人ともありがとね。ココからは俺の仕事やけゆっくりしとって」
そう言うと…
「その作業見てていいかな?」
リサは俺がする作業を見たがっているようだ。
「うーん…そうやなぁ…後から教えようかとも思ったけど…うん。いいよ」
「やった♪」
凄く嬉しそうにリサはガッツポーズをしている。
そんなに嬉しかったのだろうか…
「友希那はどうする?」
「私は少し休ませてもらうわ」
そう言って友希那はリビングの方へ向かって行った。
「今日は何を作るの?」
「今日はね…カレー」
「カレー…?」
カレーと言う言葉に疑問を浮かべているリサ。まぁ確かに普通のカレーだったそうなってしまうと思う。けど…
「ただのカレーじゃないけ。リサに言われてた通り地元ならではの料理やけ」
「ホント?」
「もちろん。俺の地元付近で発祥って言われとる焼きカレー」
「焼きカレー!」
お、その反応は知ってたかな?
「名前は聞いた事あったけど食べた事は無かったんだよねぇ」
「そっか。それを聞いて安心した。食べた事あるって言われたらどうしようかと思った」
そう言うと…
「アタシお菓子とかは結構作るけど料理の方はお菓子程は作らないよ。だから作れる料理はそこまで多くはないかなぁ。知らない料理も結構あると思うよ」
「…へぇ。そうやったんや」
以外だった。凄く料理上手いから色々と作れるものだと思っていた。
いや、謙遜しているだけのような気もするけど。
「じゃあまぁ作り始めるかね」
「オッケー。じゃあアタシはカウンターテーブルの方で見てるね」
「分かった」
さてと、まずは焼きカレーを作る前の下準備から。
今回は時間短縮のためカレーは一から作ったものではなく代替えでレトルトのカレーを使う。
今日作る焼きカレーは全部で3種類。1つ目は鶏肉を使ったチキンカレー。2つ目は魚介のシーフードカレー。3つ目は野菜カレー。この3種類を作る。
何故3種類作るかと言うと、もしかしたらものによっては食べれない物もあるかもしれないと思ったから。
杞憂なのかもしれないけど。
1つ目の鶏肉は一口大0.5cm~1cm程の大きさに切り分ける。切り分けたら塩コショウを軽く振りかけ5~7分程置いておく。
その間に2つ目のシーフードの準備。今回はイカ、エビ、そしてツナ缶を使う。何故ツナ缶?と思うかもしれないがこれを入れることによって味が膨らみ美味しく出来上がる。
イカとエビも時間がないためあらかじめ下ごしらえをした物を使う。
エビはそのまま使いイカは一口大に切り分けそれををフライパンに乗せ中火で焼いていく。
魚介類は火が通りやすいためサッと炒める程度にする。量が多い場合は全体の色が変わるのをメドに焼いていく。
焼き上がったらお皿に載せ替え次の準備をする。
フライパンを洗い終わったらさっき置いておいた鶏肉を今度は焼いていく。
鶏肉も全体の色が変わるまで焼いていく。魚介に比べて火が通りにくいため少し長めに焼きそして焦げ付かないように気をつける。
十分に焼き上がったらこれも別のお皿に乗せ置いておく。
3つ目の野菜に移る。今回使う野菜は赤、黄パプリカ、ナス、アスパラガス。
これもさっきと同じように軽く焼き目が付くまで焼いていく。野菜は火の通りが良いためサッと焼く程度で大丈夫。ただしアスパラは火の通りが他より時間がかかるためアスパラだけ別で焼く。
「よし。下準備はコレでオッケー」
「やっぱり凄く手際がいいね」
作業中声を掛けてこなかったリサが一段落したのを見てようやく声を発した。
「そうやか?そんな事はないと思うけど。もうだいぶ時間が経っとるし」
「あれ?もうそんなに経ってる?」
時計を見ると準備を初めて既に30分は過ぎている。
「うわぁホントだ。見入っちゃってた」
「そんなに見とって楽しい?」
「うん!楽しいよ♪」
…そう言われると何だか気恥ずかしいな…
そうこうしているうちにご飯の炊ける音がした。
「お、炊けたみたいやね」
しっかり炊けているか確認をする。
「おぉーいい感じに艶が出とって上手く炊けとるね」
「でしょ!友希那~上手く炊けてたよ~♪」
リビングのソファーにいる友希那に手を振りながらしっかり炊けていることを伝える。
何かを書いている友希那はこちらに振り向き「そう」と言いまた手を動かし始めた。
多分新しい曲の歌詞作りをしているのだろう。
ああやって素っ気く感じる時は歌詞のフレーズを考えている時の証拠だ。それだけ集中しているという事だろう。
「ああいう時の友希那は凄いよ~。きっとい良い歌詞ができるよ」
「…」
「何?」
「いや…なんでもない」
何も言うまい…何でいつも心の中を詠むとかそんな事言わない…
「よし、じゃあ続きをするかね」
「はーい♪」
「いや、リサは作ってないやろ」
「いやぁ何となくノリでね♪」
「まぁいいけどね」
焼きカレーを作るのはここからが本番。
まず耐熱皿を用意する。この耐熱皿に出来たての米を装っていく。
装った皿の中にさっき作った鶏肉、シーフード、野菜をそれぞれ別の皿に乗せていく。この時真ん中は空けておくといい。
そしてその上にレトルトのカレーを乗せていく。
「レトルトのカレーってただレンジで温めるだけじゃなくてそういう使い方もあるんだね」
「まぁ創意工夫やね。俺も最近知ったんやけど」
「色々と調べてるんだねぇ」
「飯作るの割と好きやけねぇ」
乗せたカレーの上に皿にピザ用などに使われるチーズを全体に塗す。
そしてその上にさらに生卵を1つずつ真ん中に乗せていく。
これで作業工程は終了。最後にオーブンで焼いていく。
量があるから今回2つのオーブンを使う。
何故オーブンが2つあるのかは聞かないでほしい。
…だってその方がカッコイイからさ!
というネタはさて置き、生前お袋が親父に――
〝キャーッッ!このオーブンカッコ可愛い!ねぇねぇパパーこのオーブン買って買って~〟
――と、ねだって買った代物だ。…結局あまり使わなかったけれど。
まぁでも今は役に立っているからいいかなと思う。皆の役に立つなら。
オーブンで焼く時間は通常約5分程度だが今回量が多いため10分程焼き上げていく。
「後は待つだけ」
「楽しみだなぁ」
「はいこれ。今作ったやつのレシピ」
そう言って俺はメモしてあったレシピをリサに渡した。
「ありがとう♪今度作ってみるね」
「おう。今日は時間が無かったけレトルトを使ったけど時間がある時は作ったカレーを使うといいよ」
「うん!分かった。作ったら今度は蒼真が味見してね」
「了解。楽しみにしとくわ」
その後はたわいもない話をして時間を潰していった。そして…
オーブンのタイマーが鳴る音が響いた。
「よしこれでホントに完成」
「ん~♪いい匂い」
確かにいい匂いだ。いつも以上によく出来てると思う。米のおかげかな。
「リサ。これをリビングのテーブルまで持って行ってくれんやか」
「オッケーまかせて」
「かなり熱いけ気を付けて」
そう言いミトンとおぼんを手渡す。
「うん♪ありがと」
俺も残りをテーブルまで持っていく。
「お待たせ皆。出来たよ」
各自一斉にテーブルに集まってきた。
「わー!すごーい!美味しそー!」
あこちゃんは凄く楽しそうにはしゃいでいる。
「ほんとだね…これは…焼きカレー…ですか?」
燐子ちゃんは少し驚いているようなそんな表情を浮べている。
「うんそうだよ。もしかして食べた事ある感じ?」
「いえ、知っていただけで…食べた事はないです。九州北部の方ではかなり有名なので…少しびっくりしました」
「そっかぁ」
「焼きカレーですか。私も聞いた事はありますが食べた事はないですね」
紗夜さんも食べた事はないのか…有名な割に食べた事がない人が多い気がするな。
「焼きカレー…久しぶりに食べるわね」
「友希那は食べた事あるん?」
意外…でもないのかな?
「お父さ…父に食べさせてもらった事があるから」
今更言い直さなくてもいいんじゃないかな。
「なるほどね。おじさんだったら確かに作れそうやね」
そして皆席に着く。
「じゃあ皆。冷めんうちに好きなの食べて」
「はーい!」
あこちゃんが、みんなの代わりに返事をした。
「じゃああこはー…このチキンカレーにします!」
「私もそれにするわ」
あこちゃんと友希那はチキンカレーを選んだ。紗夜と燐子ちゃん、リサはどちらを選ぶかな。
「私はこのシーフードカレーにします」
「じゃあ…私は…こっちの野菜カレーを…いただきます」
なるほど。紗夜さんは予想通りだったけど、燐子ちゃんは意外だった。
あこちゃんと少し分け合うだろうからてっきりシーフードにするかと思ってた。
「蒼真はどっちがいい?」
リサはどちらがいいか決めかねているようだ。
「どっちでもいいよ。リサは食べたい方を選び」
「うーん…じゃあこっちのシーフードにするね」
「了解」
これで全員決まった。
「じゃあ食おうか」
「うん♪いただきます」
他のみんなもそれぞれいただきますと言い食べ始める。
さて、皆の反応はどうだろう。
「 ん~♪美味し〜!焼きカレー始めて食べましたけどすっごく美味しいです!」
あこちゃんは嬉しそうに、そして何より楽しそうに食べている。
「そうだね。…一つ一つしっかり焼かれていて…手間がかかっていますね。本当に美味しいです」
燐子ちゃんはじっくりと食べているようだ。
「そうですね。魚介類もちょうど良い感じで調理されていてとても美味しく頂けます」
紗夜さんも美味しく食べてくれてるようだ。
「ん~♪この卵のトロトロ具合とチーズの絡み方が凄く良くて美味しい♪」
リサは見ていたからあれだけど、それでも美味しいと皆から言われるのやっぱり嬉しいな。
「友希那はどう?味の方は」
「えぇ。凄く美味しいわ。皆みたいに上手いことは言えないけれど、とにかく美味しいと思うわ」
「そっか。そんなに気にせんでいいのに。その気持ちだけで十分嬉しいけさ」
そう。と言いまた食べ始める。少し顔が赤い様な気がするけどカレー少し辛かったかな?
さて、俺も食おうかな。
まず一口。口に入れるとカレーの辛さ、チーズのまろやかが広がりその後に米の甘さが徐々に増えていく。
今まで食べた中で1番美味いかもしれない。
リサの教え方も凄く上手かったのだろうが友希那はそれを聞き、一所懸命 にといで行ったんだろう。それが伝わってくる美味さだった。
「友希那」
「何かしら」
「ありがとね、米。めちゃくちゃ美味い」
「…そ、そう。それは良かったわ」
「家にある米やけどこんなに美味い米食べたの初めてかもしれん。友希那が頑張ったお陰やね」
そう言うとさらに顔が赤くなったような気がする。
「ツ…そ…そんな事ないわ。リサのお陰よ」
「いやいや、アタシはただやり方を教えただけだよ。頑張ったのは友希那だから」
すると友希那は恥ずかしそうに顔をうつ向けた。
「あ!友希那照れてる!可愛い~♪」
確かに可愛いと思う。凄く…
「うん。可愛い…」
言うつもりはなかったがポロッと口が滑ってしまった。
「ッ~~!……
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
それからしばらくして皆食べ終わり片付けとかをしていると…
「片付けはアタシがしておくから蒼真はゆっくり休んでていいよ」
リサが片付けを申し出てくれた。
「そう?じゃあお願いしようかな。少しゆっくりさせてもらう」
「うん!まかせて~」
「ありがと」
そう言って俺はリビングの方に向かった。
すると、以前と同じくあこちゃん達がトランプで遊んでいた。
「うー…紗夜さんホント強すぎ~…」
「宇田川さんは顔に出すぎなのですよ」
どうやらババ抜きをしているようだ。
「あ、蒼真さん!」
正面に立っていたからいち早くあこちゃんが気付いた。
「ババ抜きやりよると?」
「はい。宇田川さんがこの間のリベンジと言うものだから」
そう言いつつも表情は穏やかで楽しそうにしている。
「そっか。じゃあ俺も混ぜてもらおうかな。俺もこの間は惨敗やったけね」
「私は構いませんが」
「あこもいいですよ!みんなでする方が楽しいし」
「ありがと。燐子ちゃんはどうやか」
燐子ちゃんは自分に話を振られて少し驚いていたけど…
「はい。…私も大丈夫ですよ」
今ここにいるメンバーには承諾を得た。
友希那は相変わらず歌詞作りに没頭している。
「では始めましょうか」
俺達はカードを配りゲームをスタートさせる。
結果から言うと今回は全員2回ずつ1抜けし、ドローという形になった。
途中でリサも加わり他にと色々とゲームをし白熱したがそれはまた別の話にて。
「おっと、そろそろ皆帰ろっか」
リサの呼びかけに皆それぞれ返事をした。
「時間が経つのは早いな」
「そうだねぇ。楽しい時間はあっという間だね」
そして皆帰り支度が済んだようだ。今回はあこちゃんもしっかり起きている。
「今日はちゃんと歩いて帰ります。蒼真さん、この間は送ってくれてありがとうございました!」
「いや気にせんでいいよ。あの時はあこちゃんも疲れてたみたいやし」
あの時は体育祭前だったからホントにしょうがないと思う。
「そうですか?後からお姉ちゃんに聞いてビックリしました!おんぶして連れて帰ってきてくれたって聞いて。その…覚えてないですけど嬉しかったです!」
ホントに無邪気に嬉しそうに言っている。そう言って貰えると送ったかいがあったなと思う。
「まぁじゃあ今回も少し遅くなったし皆送って行くよ」
「アタシも皆を送っていく~。友希那はどうする?」
リサがそう言うと…
「…今日は少し疲れたから送るのは辞めておくわ。ちょっと考えたい事もあるから」
少し珍しかった。リサの誘いを断るのは。まぁ人間たまにはそういう事もあるか。
「そっか。じゃあ今日はゆっくり休んでね」
「えぇ。ありがとう」
そして俺達は家を出てあこちゃんの家の方に向かった。
歩きながら他愛もない話をしているとゲームの話が度々出てくる。
俺やあこちゃん、燐子ちゃんが話をするのは分かるけど、意外とリサやまさか紗夜さんまで話についていけるなんて思っていなかった。
そんな事を話しているうちに目的の場所に着いた。
「今日はありがとうございました!焼きカレーすっごく美味しかったです!」
「こちらこそそう言ってもらえて嬉しいよ。ありがとね。風邪引かんように寝るんよ」
「はーい♪じゃあまた!」
あこちゃんが家に入って行くのを確認し、紗夜さんと燐子ちゃんも近くまで送る。
「そういえば、紗夜さんと燐子ちゃんは家が同じ方角なんやね」
「えぇ、そうですね。ただすぐ近くの交差点で別れるのですけど」
それから少し歩き2人と別れた。
そして、帰り道はリサと2人になる。
「そういえば、こうして2人で帰るのって久しぶりな気がする」
そう言われればそうやな…
「中々2人になる事とかないけね」
「そうだねぇ。いつもは友希那がいるから」
「疲れとったみたいやね」
今日も練習一段と頑張ってたからなぁ。
そして会話が途切れてしまった。いつもなら途切れることもなく家に辿り着くのだがこの時はお互い話題が出てこなかった。
…何でだろ…と思うが理由は何となく思い当たった。
多分あの時体育祭の後の帰りの事だ。
ずっと考えないようにしていたから今まで普通通り過ごせていたけど、こう…夜に2人っきりで歩いていると嫌でも思い出してしまう。
それを考えていると少しづつ心臓の音が早くなって来るのがわかる。
それからしばらく声を掛けようとしたが話しかけることが出来ず無言の状態が続いた。
そして、家の前に着く。
「い、いや~家の前にたどり着くのあっという間だったねぇ」
先に口を開いたのはリサだった。
「そー…やね。気付いたらもう着いとった」
「何だか珍しく何も話さずに帰ってきちゃったね」
「そうかね。まぁそういう事もあるやろ」
自分にそう言い聞かせているだけだ。
「確かにそうだねぇ」
「…」
「…どうしたの?」
「…いや。なんもないよ」
「そう?」
…何だろう…緊張してるのか?俺…
「あ、そうだ。今日はありがとう凄く楽しかった」
「そう?それなら良かった。でもそれなら言い出してくれたのがリサやけさ。こっちの方こそありがと」
「アタシはただ蒼真が料理してる姿をまた見たかっただけなんだけどねぇ……あ…」
「え…?」
今なんて?
「いや!今のは、今のはなんでもないの!だから忘れて!お願い!」
「いや…え?」
めちゃくちゃ混乱している。頭が追いついていない。え?なんて言った?
「じゃ、じゃあ!アタシはこれで!また明日ね!バイバイ!」
「あ!ちょま!」
急いで家に入ろうとするリサの腕を慌てて掴んでしまった。
「え?わっ!」
そして…少し力が強すぎたのか腕を引っ張ってしまいそのまま抱きしめてしまう形になってしまった。
「…」
ほのかに甘いシャンプーのいい香りが漂ってくる。
「…」
「わ、悪い…」
「う、ううん…全然気にしなくていいんだけど……その……」
ゆっくり手を離し少し離れる。
「ホント…ごめん…いきなり腕掴んだりして」
「アタシの方こそ…急いで家に入ろうとしちゃってごめんね」
お互いこの空気が居た堪れなくなってしばらく謝り続けた。
それから少しして…
「あはは~何してるんだろうねアタシ達こんなに謝り続けて」
「ははっ。確かに」
やっと落ち着いた俺達は笑い合った。
「いや、まぁ色々あったけど…さっき言ったあれは…嘘ではないから…」
「…そ、そっか」
「う、うん…」
この話は…今は聞かないでおこう。今聞いちゃいけないような気がする。
「じゃあ今度こそ家に戻るね」
「うん。さっきはホントに悪かった」
「もういいって謝らなくて。じゃまた明日ね」
「分かった。おやすみ」
そしてリサは家に入って行った。
それを見送り俺と家へと戻る。
心臓が飛び出そうなほど高鳴っている。
明日、まともにリサと話を出来るだろうか…
そう思いつつ俺は部屋と戻って行った。
「……」
この時はまだ誰かに見られていたなんて思いもしていなかった。
読了ありがとうございます。
そして、令和元年おめでとうございます!
何とか…何とかこの日に間に合いました。
途中で右往左往してしまいました。
コレからもまた見ていただけると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします!