今日は久しぶりにバンドの練習は休み。こういう日は皆大抵予定がある様だ。だから今日は俺はやることがなくて暇である。
「さて、どうしようかな」
久しぶりに駅前のショッピングモールにでも行ってみるか。楽器店や本屋、スーパーも入っているし。
「そういえば、最近忙しくてあっこに行ってなかったけ行ってみようかな」
そうして、俺は駅前の方へ向かった。
駅前に行く途中商店街を通るがここ最近色んな店の人に声を掛けられるようになった。
「おう! 兄ちゃんたまにはうちの野菜買って言ってくれよな!」
「了解です。今度何か作る時にでも寄ってみます」
八百屋のおじさんはいつも元気で楽しそうに野菜を売り捌いている。
「あ! そうくんじゃん! やっほー。うちの特製コロッケ買っていかない?」
今度は北沢精肉店の娘さんのはぐみちゃん。
「こんにちははぐみちゃん。学校から帰ってくるの早くない?」
「そうかなぁ? いつも走って帰ってるからかも」
いや、絶対それだろ。
「なるほどね。コロッケは今度また買っていくね」
「ありがとう!」
はぐみちゃんもいつも笑顔で元気だ。
「あ、そうだ。はぐみちゃんが入ってるハロー、ハッピーワールド! は最近どんな感じなの?」
はぐみちゃんはハロー、ハッピーワールド! 通称ハロハピというバンドのベースを担当している。
「うーんそうだなぁ…色んなところに行って沢山演奏してるよ!」
「そっかぁー。それは凄いなぁ」
ハロハピは沢山の病院や施設、幼稚園などを周って演奏をしているのは有名な話だ。みんなを笑顔に! をもっとうに活動しているそうだ。高校生でそれをやってのけるのは本当に凄いと思う。
「あれ? 蒼真さんだ。こんにちは」
「こんにちは蒼真さん!」
声をかけられ振り向くと。ヤマブキベーカリーの娘さんの山吹沙綾ちゃんと以前からカフェでもお世話になっているつぐみちゃんだ。
つぐみちゃんは以前聞いたようにAfterglow通称アフロ、またはアフグロのキーボードを担当している。以前あこちゃんのお姉さんの巴さんから聞いたが、幼なじみどうしで結成されたバンドだそうだ。
沙綾ちゃんはPoppin’Party通称ポピパのドラムを担当している。ポピパはなんというかthe女子高生って感じのバンドだ。何曲か聞いた事があるが、等身大の彼女達、その周りにいる人達の絆をありのまま歌っていて…そこまで上手くはないがRoseliaと違った惹かれる物がある。
…というか、この地域やけにバンドをしてる子が多くないか?
「こんにちは。2人共今帰り?」
「はい。すぐそこで沙綾ちゃんととばったり会って一緒に帰ってきました」
2人は違う学校どうしだが、家が近いからよく帰りが一緒になるそうだ。
「蒼真さんはこれから何処か行かれるんですか?」
「俺か? うん。ちょっと駅前の方までね。楽器の機材とか本とか見たいけ」
「なるほど。Roseliaの皆さんと一緒じゃないのは珍しいですね」
俺がRoseliaのサポートをしているのは何故か俺の事を詳しく知らない人まで知っている。
「珍しいかな? そんな事はない……いや、なくはないか…」
常にリサや友希那と一緒に居たからそう見られるのか。
「いつも一緒にいますから。特に
何故かつぐみちゃんはリサの部分を強調して言った。
「つぐみちゃん…何でそこだけ強調したの?」
「いえ! 別に何でもないですよ?」
「そう?」
「はい!」
そう言うとつぐみちゃんと沙綾ちゃんヒソヒソと何か話し出した。
「
「
なんだろう…俺の事を言われてる気がするが…
「おっと、時間もアレやしそろそろ行くね」
「あ、はい! 気を付けて。また店に来てくださいね!」
「おう。その時はまたよろしく」
「ヤマブキベーカリーもご贔屓に」
「北沢精肉店もね!」
そして俺はまた歩き出した。
駅前の広場まで来た俺はふと広場の周りを見渡した。すると…
「あれ? 蒼真くんだ。やっほー」
「あら? 蒼真さん。こんにちは」
今度は氷川姉妹と出会った。
「こんにちは。紗夜さんと日菜が一緒に居るのは珍しいね」
何故か姉妹なのに一緒にいる所をほとんど見たことがない。
「そうかなぁ? 最近はだいぶ一緒に過ごす事も増えたよ」
「そうなん?」
「え…えぇまぁ…というか日菜が先回りして待ち伏せしていたのよ…」
今日の紗夜さんはテンションが少し低い。まぁいつもクールだけど。
「だってここに来るって聞いてルン♪ ってしたんだもん!」
「はぁー…報せるんじゃなかったわ……というか日菜! 仕事はどうしたの!」
「んー? まだ時間じゃないし大丈夫だよぉ」
前に言ったかもしれないが日菜は、アイドルバンドPastel*Palettes通称パスパレに紗夜さんと同じギターで所属している。最近はテレビ番組でも観るようになってきた今売れっ子のアイドルだ。
以前この事で一悶着あったようで、紗夜さんはかなり荒れていたそうな。今は和解して落ち着いてきているようだ。
あ…だから俺はあの時音を探している、なんて言葉が出てきたのか…今になって気付いた。
あの頃から比べると紗夜さんは正確に奏でるだけの音だけではなく少し楽しげにRoseliaらしくそして自分の音に誇りを持って弾ける様になっていると思う。
何がきっかけだったかは俺には分からないけど、紗夜さんにとってそれは凄く大事な事だったんだろうな。
「大体あなたはいつもいつも──」
…考え事をしていたけど未だに紗夜さんは説教している……でも何処か優しく姉らしく感じられるな。
「ははは…じゃあ俺はそろそろ行くな」
「え!? 蒼真くん行っちゃうの! 待って! お姉ちゃんを止めてー…」
「頑張れ日菜!」
「えぇ…」
「まだ話は終わってないわよ日菜!」
少し涙目でこっちを見ている日菜。だけどそんな日菜がどことなく嬉しそうだった。姉の紗夜さんと話が出来て嬉しいのだろう。前にもお姉ちゃん大好き! って宣言していたくらいだから。
というか…紗夜さん…説教を始めるとホントに長いな…俺もあのくどさよには気を付けないと…
そして俺はその場を後にした。
ショッピングモールに着き何処から行くか少し考えたが道順としてはゲームセンターから行く方が効率的だなと思いそっちの方に向かった。
ゲーム好きとしてはやっぱり寄らないと気が済まないし、それに買い物をした後だと荷物が邪魔になるから先に行っておこうと思い至ったのだ。
ゲームセンターに着くと何処からか聞き覚えのある声がしてきた。
「ねぇりんりん、次はあれ! あのゲームしない?」
「うん、いいよ。あこちゃん」
やっぱり…今度はあこちゃんと燐子ちゃんだった 。
「あ! 蒼真さんだ! こんにちはー!」
どうやら俺に気付いたようだ。
「こんにちはあこちゃん。それに燐子ちゃんも」
「こ、こんにちは。蒼真さん」
いつも2人は一緒で本当に仲がいいな。学年も学校も違うのに。
「蒼真さんはここで何をしてたんですか?」
「してたと言うか、今来たんやけどね」
「そう…だったんですね」
「うん。少しゲームでもしてから買い物をしようと思ってね。てか今日は色んな人に会うなぁ」
「そうなんですね。すっごい偶然!」
ホントに色んな知り合い会う。…もしかしたら他にも会うかもしれない。
それからしばらく2人と話をしつつアーケードゲームを少し遊んで別れた。
「さて、今度こそ買い物をして回らないとな」
そう言いつつ階を上がると…
「あ! 蒼真じゃん!」
また偶然が重なった…
読了ありがとうございます。
今回は少し早く出来上がりました。
ほぼほぼ日常回です。
少し少ない文字数ですが、あまり気にせず読んで頂けたなら幸いです。
次も出来るだけ早く投稿出来るように頑張ります。