「あ! 蒼真じゃん!」
そう言って声を掛けてきたのはリサだった。
用があるとは言っていたけどまさかここに来ているとは思わなかった。もちろん友希那も横にいる。
「こんにちは。蒼真」
「おう。こんにちは友希那、リサ」
結局Roseliaメンバー全員に出会ったな。
「珍しいね蒼真がこっちの方まで来るなんて」
「そうか? まぁ最近忙しくてあんまり来れんかったけね」
「私は来ようと思って来たわけではないのだけれど……」
どうやら友希那はリサに言いくるめられて来たようだ。
「今日は何か買い物に来たの?」
「ん? あぁ、まぁ音楽機材とかを見ようかと思ってね」
「なるほどーそっかぁー」
……何だろう……そのリサの含みのある言い方は……
「じゃあまぁ俺はこれで」
矢継ぎ早に俺はここから立ち去ろうとする。
先日の事もあるし少し居た堪れなくなってしまう。
練習とかでは意識しないようには出来ているけど……何故かそれ以外の時は無意識のうちに見てしまってる。
「アタシ達も同じ所に行くし一緒に行こ?」
「え…?」
驚いた俺は思わず声に出してしまった。
そして俺に近づいてきたリサは…
「……アタシ達とじゃ…嫌…?」
少ししゃがみ覗き込むように上目遣いでそう言ってきた。
「~~っ!」
思わず仰け反ってしまい顔も熱くなってきた。
そんな言い方されたら断れないじゃないか……いや、断るつもりはないけど…
というか何だよその上目遣いは!? 近いしそんな潤んだ目をするなよ……
「……いや、別に嫌じゃないけど…せっかく2人で出かけとるみたいなのにのにいいと?」
せめてもの抵抗をしてみるが……
「私は構わないわよ」
……友希那にそう言われてしまっては仕方がない。
「ふぅ……なら一緒に行くか」
「よし♪ そう来なくっちゃ!」
おい…さっきまでの涙目ではどこ行ったリサ!
そう思ってしまうほど切り替えの早いリサだった。
楽器店に着きそれぞれの目的の物を見て回った。
リサは新しい弦の購入とその張替えだそうだ。
「自分でも出来るけどこういう時くらいしっかり調整してもらおうと思ってね」
友希那はマイクを見ているようだ。
「高音から低音までしっかり拾えるマイクがいいわね。後ノイズがカット出来る物」
友希那が言っている物は通常の物よりもさらにクオリティーの高い物を言っているのだろう。
「蒼真は何を見に来たの?」
「俺か? 俺はバンドで使う機材とか個人的にはヘッドホンが欲しくてな。重低音の音が楽しめるやつ。前地元に居た時友人に教えられてね。少しのHzの違いだけで聴こえる音が違って聴こえるけしっかり聴けるやつがいいってさ」
「へぇーそうなんだね♪ 久しぶりに蒼真自身の事を聞いたかも」
そうか? とも思ったが確かに自分からはあまり話していないかもしれない。
「それにしてもその友達はそんなに細かい所まで聴いてるんだね」
「いや…それに関してはアイツが頭がおかしいだけやと思う。確かに音楽にはかなり詳しいけど」
「うぁ…蒼真がそんな風には言うなんて相当なんだろうね」
「まぁ、割と長い付き合いの悪友やけね」
「そっかぁー。いいねそういう友達がいて」
そう言うとリサは友希那の方を見ている。
「それを言うならリサと友希那もそうやろ。俺とアイツに比べたらさらに長い付き合いやろうし、仲がいいじゃんか」
「そう見えるかな? だったら嬉しいな♪」
前に聞いた事があるが友希那のお父さんがあんな事になってからはお互い距離を取ってしまうようになってしまっていたようだ。お互いと言うよりは友希那が一方的にの様だが。
「蒼真はその友達とはどのくらいの付き合いなの?」
「んー…そうやなぁ……小学5年くらいからやけ5年位の付き合いやな」
「そうなんだね」
「そういえば……」
「何?」
「アイツの事を話していると何故かいつも電話が掛かって来よったんよね……」
「えぇ?そんなまさかぁ」
そんな事を言っていると……
~~♪ ♩♬
携帯が鳴り出した……
「え…?」
うん…リサの反応は妥当だと思う。
そして携帯の画面を見るとやはりと言うかかなんと言うか……悪友の名前が表示されていた。
「やっぱりこいつなのか……」
「嘘…ホントに?」
「マジマジ…」
言ったはいいがまさかホントに掛かってくるとは思っていなかった。
そして俺は電話に出た。
「もしもし」
『もしもーしオレオレ!』
こいつはいつもこの言い方をする。だから少しイラッとする。
「誰ですか? オレオレとか言う人は知りません。それじゃ」
『ちょちょちょ! 待てちゃ! 俺だって! カズ!』
「そんな事は着信見れば分かるわ!」
この流れはいつもの事だ。
この電話の相手は昔からの友人
「ちょっと待ってなカズ。……ごめんリサ少し外すね」
「うん分かった~」
そう言って俺は店の外に出た。
「で、どうしたん?」
『いや、別にどうしたってわけやないけど最近連絡出来んかったけどうしとるやかと思って』
それは電話を掛けて来る度に言っているような気がするが今は気にしないようにしよう。
「そうか。まぁ環境が変わって色々大変やけど楽しくやっとるよ」
「なるほど。それなら良かった」
何だかんだ言って色々と気に掛けてくれる良い奴だ。
『で、さっきの声は誰?』
……さすがにコイツは耳がいい。ノイズがあっても聞き取れるのだから。
『もしかして…彼女か?』
「ぶっ!?」
さっきのは前言撤回。やはりコイツは頭がぶっ飛んでいる。
「は、はぁ? 何言っとるん? そんな訳ないやん? 友達でバンド仲間!」
てか、何で俺はこんなに焦っているんだ?
『そうなん? てっきりそうなのかと思ってしまった』
「何でそうすぐそっちの方向に持っていきたがると……」
『ってかバンドやりよると?』
音楽好きのカズ。やっぱり食いついてきた。
「うん。まぁ俺はサポートやけどね」
『そうなんか。いいねぇサポートでも』
それからしばらく今までの現状を話て電話を切った。
切り際に独り言の様に…
『あー…そうや。お前は自分の事とか他人の事にしても割と鈍いみたいやけど、これからもし何かあったとするならしっかり考えて答えを出した方がいいやろうな』
そう言い残して電話を切られた。
「何やったんやアイツ……」
「長かったねぇ話」
「うぉ!? びっくりしたぁ……」
振り向くとそこには買い物を済ませたリサと友希那が居た。
「あはは~♪ そんなにビックリしなくてもいいじゃん」
心臓が止まるかと思ったと言いつつ呼吸を整えていく。
「ごめんねビックリさせて。それにしても蒼真…ものすごく辛辣に話してたね。聞いてて凄く新鮮だったよ」
「そうね。中々聞けるものじゃないから貴重ね」
「え……」
2人に聞かれていたようだ。少し恥ずかしい……
「どこから聞いとったと?」
「んーとねぇ…バンド仲間! って所からくらいかなぁ」
「マジかぁ……割と前からやん…」
意外と聞かれてて尚恥ずかしくなってくる……
「まぁそれはそれとして、蒼真も買い物を済ませて来なよ」
「そ、そうやな。急ぐわ」
そう言って急ぎ買い物を済ませた。
「次はどこに行くの?」
リサから質問を受ける。
「これからちょっと、前にお世話になった所に行こうと思うんやけど…リサ達も来るか?」
「あ、そうなんだ。行ってもいいの?」
「うんまぁ構わんよ。見られて困るようなことはないし。…さっきのは別やけど……」
「あはは~…ごめんねぇ」
「友希那も来る感じでいいか?」
「えぇ。構わないわよ」
なら3人で行く事にしよう。
この時俺達は気付いていなかった。まさかこういう事だったとは……
読了ありがとうございます。
少しはペースを上げられているでしょうか。
これからは月一から月二のペースで書いていきたいと思っているのでこれからも何卒よろしくお願い致します。
っと…そうだ。今回オリジナルキャラクターが出てきましたが、これからの本編とはあまり関係がないので気にしなくても大丈夫です。
それではまた次回