アタシ達がたどり着いた場所はオシャレなカフェだった。
「あれ? ここって……」
「どうしたん? もしかして来たことあると?」
ここは以前春休み明けに来たカフェだった。
「うん。前に1回、友希那と来たことがあるの」
「マジか! いつくらい?」
「確か春休みが明けてすぐくらいだったと思う。ここのモールが出来たばっかりの時だったから」
そう言うと蒼真は黙り込んだ。何かを考えているみたい。
「どうしたの?」
「ん……? あ、いや……なんでもない。それよりほら、入ろ」
蒼真に促されるまま店内に入って行くアタシと友希那。用事ってここの事なのかな?
「マスター! こんにちは」
「ん? おー蒼真くんじゃないか。いらっしゃい。春以来かな?」
「そうですねぇ。色々と立て込んでたので中々来られなかったです」
お店の人と話をしている蒼真。知り合いなのかな?
「まぁゆっくりして行きなさい」
「ありがとうございます。2人とも軽く休憩しようか」
「そうだね。アタシもちょうど喉が乾いてたから。友希那もよかった?」
「えぇ。構わないわよ」
そうして、蒼真に促されるまま席に着いた。
「それにしても、蒼真はここのマスター?さんと知り合いだったんだね」
「まぁね。親が知り合いでちょうど店を出すって事になってたから、その時にちょっと手伝いをしとったんよ」
「え! そうだったんだ。知らなかった」
「そりゃ今まで言ってなかったけね。それまで来る事もなかったし」
確かにこの数ヶ月練習やライブ、体育祭とか色々と忙しかったから、中々アタシ達も遠出は出来なかったなぁ。
「……ん? 待って。蒼真がここで働いてたのって春先?」
「そうやね」
「友希那。アタシ達がここに来たのも春先だったよね?」
さっきも自分で言っていたけど改めて確認する。だって──
「えぇ。そうね」
「え、じゃあもしかして」
「そういえば、蒼真くんがここで働いている時に君達も来ていたね。そちらのお嬢さんが砂糖をたんまり入れていたからよく覚えているよ」
メニューを持ってきていただいたマスターさんがその時の事を話してくれた。
そう言われて友希那は少し恥ずかしそうに少し俯いている。
可愛いなぁ友希那……いやいやそうじゃなくって……
「やっぱり……そうやったんや。やけあの時、見た事があるような気がしたんや……」
──あの時……あのぶつかってしまった時が高校二年生に上がって初めて出会ったと思っていたけど、そうじゃないみたい。もうすでにこの場所で、お互い気付かずに出会っていたみたい。そう思うと……
うわっ……うわぁ……何だか急に恥ずかしくなってきちゃった……だって……あの角でぶつかった時の事を思い出すだけでも恥ずかしくなっちゃうのに、その前に出会ってたって考えると……何だか漫画や小説とかであるような……運命めいたものを感じちゃうじゃん……
だから今、アタシは物凄く顔が熱くなってきているのが自分でも分かる。
「リサ、大丈夫? 顔が赤くなっているけれど……」
友希那にも心配されるくらい顔が赤くなっているようだ。
「だ、大丈夫大丈夫! 心配してくれてありがとう友希那♪」
そう言いながら蒼真の方を向くと、まだ1人で考え事をしているようだった。
良かった……気付かれてないみたい。今のアタシの顔を見られたら卒倒しちゃいそう。
「……ふむふむ……なるほど。まぁゆっくりして行ってくれたまえ」
マスターさんに何か言われたような気がしたけど耳に入らなかった。
それからしばらくして、軽く飲み物を頼み少し休憩。ようやくアタシも落ち着きを取り戻した。
「いやぁでも、ホントビックリやったな。ここで会っとったなんて」
「そ、そうだねぇー。ホントにビックリしちゃったよ」
前言撤回。全然落ち着けていない。蒼真に話しかけられると胸が高鳴りすぎてマトモに顔を見て話す事がまだ出来ない。
「転校初日にリサと会った時に、服装で何処かで見た事があると思っとったんやけど……そうやなかった。まんまリサと友希那と出会ったから見覚えがあったんやとさっき気が付いた」
どうやら蒼真も同じ事を考えていたみたい。ちょっと嬉しい。
「こんな偶然ってあるんだねぇ」
と呟くと……
「ふふっ。本当に運命で繋がっているようね」
友希那に思っていることを言われてしまった。……口に出して言われると尚更恥ずかしくなってしまう……
それからしばらく談笑をして、お店を出た。学校帰りだし、そこまで長居は出来ない。
店の外までマスターさんが見送ってくれた。
「また何時でも来てくれたまえ。歓迎するよ」
「ありがとうございますマスター。また時間がある時に来ますね」
蒼真はマスターさんに挨拶をし、アタシ達はその場を離れまた歩き出した。
「蒼真は他に行く所はあるの?」
「そうやなぁ……あ、ちょっとアクセサリーショップに寄ってもいいやか?」
「お! アクセショップ! いいねぇ♪ 行こ行こ! 友希那もいいかな?」
アタシは凄く乗り気だけど友希那はどうだろ。
「ここまで来たのだから最後まで付き合うわ」
ホントに変われば変わるもんだね。前は用事が済めばすぐに帰ろうとしていたのに。
「ありがと♪ 友希那」
そして今度はアクセサリーショップ行くことになった。
☆★☆★☆★☆★☆★
アクセショップに着いたアタシ達は早速お店の物を見て周った。
蒼真はおもむろに何かを探し始めた。何かお目当ての物があるのかな?
真剣な表情をしている蒼真を見てアタシは一瞬ドキッとしたけど、今は蒼真の邪魔をしちゃういけないかなと思い、友希那を連れて少し離れた場所の物を見ることにした。
「あ、このアクセ可愛い~。あ、この蝶の形の髪留め友希那がたまに付けているものに似てるね」
「そうね。リサは本当によく見ているわね」
「そりゃ見てるよ。なんてたって幼なじみなんだから」
「そ、そう……ありがとう」
そ、そんなに照れるとアタシまで照れちゃうよぉ……
それからも色々とアクセを見ていると……
「あ! この猫のアクセ超可愛い! 友希那、どうかな?」
勢いよく友希那に投げかけてみる。
「……にゃーんちゃん……可愛い……っん……い、いいんじゃないかしら。私はあまり興味はないけれど……」
……友希那……しっかり聞こえてるよ? それに、友希那が猫好きなのは昔から知っているし、隠しているつもりでも全く隠せてないからね? ホントに友希那は可愛いなぁ。
なんだか今日はいつにも増して友希那を可愛いって思ってる気がする。
そんなやり取りをしつつ友希那話しながらアクセを眺めていると、蒼真が戻ってきた。
「おかえり~蒼真。何かお目当ての物は見つかった?」
「ん? あぁ。見つかったよ。良いのが」
そう言われると気になってしまう。
「どんなのを買ったの?」
と、聞くと蒼真はアタシと友希那に紙袋を渡してきた。
「ん? 何?」
「さっきのお礼。大したものやないけど」
「え! いやいや、そんな気にしなくてよかったのに!」
蒼真はさっきの服のお礼にと何かを買って来てくれたみたい。ホントにそんなに気にしなくていいのに……
でも、ちょっと喜んじゃってるアタシが居る。だって好きな人からお礼だとしても何かをプレゼントしてくれるなんて嬉しいに決まってるじゃん!
言葉とは裏腹に凄く喜んでいるアタシだった。
「……理由は分かったけれど、どうして私まで?」
「んー理由は色々あるけど、今日付き合ってもらったお礼と、日頃の感謝の気持ちかな? いつも世話になってるし」
「私は蒼真の世話なんてしてないわよ」
「いや、まぁそれは言葉の綾みたいなもんで……まぁよかったら受け取ってくれんやか?」
「蒼真がそこまで言うなら有難く受け取らせてもらうわ。ありがとう」
そう言って友希那はプレゼントを受け取った。
「リサは貰ってくれるやか?」
「うん。せっかくだから頂くよ。ありがとう蒼真♪」
そしてアタシも蒼真から紙袋を貰った。
外に出たアタシ達は早速──
「開けてもいいかな?」
と聞き、許可をもらい袋を開ける。
「何だろうなぁ……あ、これって……」
ソレは、石の付いたイアリングだった。
「そのイヤリング、ワインレッドの色合いがリサのベースとリサ自身に凄く似合うんじゃないかなぁと思って」
アタシの事を考えて選んでくれたんだ……当たり前のことなのかもしれないけど、凄く嬉しい。
「ありがとう♪ 蒼真。すっごく嬉しいよ♪」
「そっか。それなら良かった」
後から気づいた事だけど、このイアリングの石の名前、ロードナイトと言うらしい。蒼真は知ってか知らずかソレを選んでくれた。ロードナイトはアタシ達Roseliaの曲名のなかにも入っているし、アタシにとっても特別な意味のあるものだ。
そう思うと、嬉しさが2倍3倍と膨らんでいくのと同時に恥ずかしさも膨らんでいった。
友希那が貰ったものは青薔薇をモチーフにした髪留めと、ヘアバンドだった。よく似合っている。そのヘアバンドでポニーテールとかすると凄く良いと思う。
蒼真は意外とそういうセンスがあるのかもしれない。
友希那も少しだけど赤らんだ表情で嬉しそうにしていた。
それからまた少しウインドウショッピングを楽しみ帰路に着いた。
もう夏はスグそこまで来ている。
今年は今まで以上に楽しい夏になるといいな。
……と、思っていたけど……夏休みの少し前、Roselia最大のピンチが訪れた。
だけど、この話はまた別のお話しで。
読了ありがとうございます。
中々書くのに時間がかかってしまいました。ごめんなさい。
如何でしたでしょうか?感想など頂けると凄く嬉しいです。
後、ここで1つ
最後の話にも書いた通り、一部話を飛ばそうと思います。
ただし、その飛ばそうと思う話はこれからの話でも触れて行くであろう所なので、回想シーンなどで書いていきたいと思っています。
それではまた次回