日常と恋模様に祝福を   作:Syo5638

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第8話:サポートとして出来ることを見つけたい

 

side蒼真

 

 

 放課後。俺は急いでいつもRoseliaの練習で使っているCiRCLEに向かった。皆の練習機材の設置などの準備をするためだ。

 

ウィーン

蒼真「こんにちは!まりなさん」

 

まりな「こんにちは蒼真君。今日も早いねぇ」

 

 この人はこのCIRCLEで働いている方だ。以前Roseliaや他のバンドが開催したイベントで皆お世話になったそうだ。

 

蒼真「いやぁサポートとしてはこれくらいしないとですから」

 

まりな「頑張ってるみたいだね。はい予約してた部屋の鍵」

 

蒼真「ありがとうございます」

 

 

 部屋に入った俺はいつも皆が使っている機材諸々の準備とセッティングなどを始めた。

 

蒼真「…リサと紗夜さんのスタンドはここら辺かな……キーボードは下座でドラムは上座だったな……ドラムはあこちゃんに合わせて少し位置を狭めんといけんな……このくらいでいいかな…後であこちゃんにも聞いてみるか……あとアンプとシールド、マイクとマイクスタンドもいるな…」

 

 1つ1つ作動するか確認し、簡易的な準備はできた。

 

蒼真「後はとりあえず水分補給用のスポーツドリンクの用意やな」

 

 まりなさんからキーパーとコップを借り、持ってきたスポーツドリンクの粉末と水を入れかき混ぜ、味を整えて行った。休日であればキーパーとかは持ってくるが、流石に学校がある日は荷物になるから平日はここの物を借るようにした。

 

蒼真「味の方は…うんちょうどいいかな…あ、いや待てよ…九州の方は濃い味を好むけどこっちの人達は確か少し薄味の方が好みだった様な気がするな…少しだけ薄めとくか」

 

 後はマイクの音量調節をしないといけない。

 

蒼真「友希那はかなりの声量だからボリュームを下げて…このくらいかな」

 

蒼真『テステス、マイクテス…とりあえずこんなもんかな……ちょっと歌ってみるか』

 

 そう言って俺は携帯とイヤホンを取り出し音楽を流した。曲は友希那からもらった音源から彼女が書いた歌詞でLOUDERを歌ってみた。

 

 

.•*¨*•.¸¸♬

 

 

 歌いながら考えた。

 

 俺がこの曲に思い入れがあるからかもしれないけど…友希那が書いた歌詞には彼女の想いがたくさん詰まっているように感じた。

 出だしは暗い感情を描き…折れてしまった心…立ち直り、前の自分と決別…そして大声で気持ちを伝えている…これはおじさんに向けてなんだろう。

 …出だしからサビにかけて徐々に暗いフレーズから力強いものに変わって行く…友希那とおじさんの絆がここにあるな…。

 この歌詞を書く時…書くよりも以前なのか分からないけど、友希那は凄く苦悩していたのだと思う…。

 でもだからこそ今の自分がある…そんな想いが詰まった曲のではないかなと自分なりに解釈した。

 

 

.•*¨*•.¸¸♬…

 

 

友希那「相変わらずいい歌声をしているわね」

 

紗夜「そうですね。思わず聴き入ってしまいました」

 

蒼真「え…?」

 

あこ「チョーカッコよかったです!」

 

燐子「とても…素晴らしかったです」

 

蒼真「ちょ」

 

リサ「…」

 

 マジかぁ…メチャクチャ恥ずいんだけど…

 

蒼真「い…いつから()ったん?」

 

友希那「ちょっと歌ってみるか…て所から見ていたわ」

 

蒼真「歌う前から居ったん!?声掛けてよ…メッチャ恥ずかしいやん…」

 

紗夜「恥ずかしがることはないと思います。せっかく良い歌声なのですから」

 

蒼真「そうやかぁ…まぁ、ありがと。紗夜さん」

 

紗夜「!?…ど、どうして急に名前で…」

 

蒼真「あ、何も言わずに名前呼んでゴメンね」

 

紗夜「い、いえそれは良いのですが…」

 

蒼真「紗夜さんの妹の日菜ちゃんと同じクラスで苗字だと分からなくなるから名前で呼んであげてって言われたけね…それで名前で呼ぶようにしたんよ」

 

紗夜「そ、そうですか…(もう日菜ったら)…//」

 

蒼真「大丈夫?また少し顔が赤くなってるけど」

 

紗夜「だ、大丈夫です。では私も蒼真さんと呼びますね」

 

蒼真「お、おう。いいよ」

 

 急に呼ばれると恥ずかしいな…紗夜さんも同じだったのかな…

 

燐子「ず…ズルイです…!」

 

蒼真「ッ!どうしたん?白金さん」

 

 近い近い…近いって!

 

燐子「わ…私だけ苗字です…皆さん名前で呼ばれてるのに…」

 

蒼真「そ、そうやね。確かに1人だけ名前で呼ばないのは可哀想やね…じゃあ…燐子ちゃん。でいいやか…」

 

燐子「は、はい…!だ…大丈夫です///…私も蒼真さんと…呼ばせてもらいますね」

 

蒼真「お、おう」

 

 燐子ちゃんってこんなに積極的な娘だっただろうか…

 

 まぁ…とにかくRoseliaのメンバー全員を名前で呼ぶようになった。

 

蒼真「そういえばさっきから一言も喋ってないけど…どうした?リサ」

 

 そう言いながら肩を軽く叩いた。

 

リサ「へ!?な、何でもないよ!」

 

蒼真「そ、そう?ならいいんやけど…キツいんやったら無理するなよ」

 

リサ「…ありがと…///」

 

蒼真「ま、じゃあ気を取り直して練習始めようか」

 

それぞれ返事をした。

 

蒼真「あ、そうだ。あこちゃんちょっといいやか」

 

あこ「はい!何でしょう」

 

蒼真「ドラムの位置なんやけど、こんな感じで良かったやか?」

 

あこ「はい!大体大丈夫です!あ、あとはスネアとハイハットをもう少し寄せれば完璧です!」

 

蒼真「了解。覚えとくよ」

 

あこ「ありがとうございます!」

 

 それから皆それぞれ準備をし、練習を始めた―――

 

 

☆★☆★

 

 

side友希那

 

 

 それから私達は2時間、休憩を挟みながら練習を続けた。

 

 休憩中、蒼真が作ってくれていたスポーツドリンクを飲んだ。アレはとても美味しかった。なんでこんなに美味しく感じるのかしら…蒼真が作ってくれたから…?

 

まだドリンクが残っていたからコップについで飲んでいると――

 

蒼真「さっきから結構飲んでるみたいだけど美味かった?」

 

友希那「とても美味しかったわ。ありがとう」

 

蒼真「そっか。なら良かった」

 

友希那「これからも色々と頼りにしているわ」

 

蒼真「おう!」

 

 蒼真がサポートに入ってくれてまだ日は経っていないけどれど、もう既にRoseliaには欠かせない存在になって来ている。

 

 何故かしら…今まで音楽以外の事には興味を引かれなかったけれど、ここ最近は蒼真の事が気になっている自分がいる…

 

 あれこれ考えても答えは出ない。だからこの事は一旦置いておくことにする。

 

蒼真「あ、そうだ。皆に聞いてほしい事があるんやけど」

 

 ?…何かしら…

 

紗夜「何かあったのですか?」

 

蒼真「皆はもう知っとると思うんやけど、今度うちの学校で体育祭があるんよ」

 

紗夜「はい。知っていますね。それがどうされたのですか?」

 

蒼真「いやさ、今日リサと話をしてて体育祭の話になってね紗夜さんや燐子ちゃんも観に来るって聞いたからそれやったら皆の分の弁当を作ろうかって話になって―――」

 

 蒼真は事の詳細を説明してくれた。最初は2人で作る予定だったそうだ…

 

 …なにかしら…この胸がチクチクするような…心の中がぐるぐる渦巻いているような感じは…

 

 その後に続いて、2人だけ作るのは大変だと思うから私達にも手伝ってほしい。という事だった。

 

 すると今度は何故か安堵している自分がいる。

 

 私はなぜこんな感情が出てくるのか分からず少し戸惑ってしまっていた。

 

リサ「友希那。大丈夫?顔色が少し悪いみたいだけど」

 

友希那「!え、えぇ大丈夫よ」

 

蒼真「あんまり無理はするなよ」

 

友希那「えぇ。ありがとう」

 

蒼真「で…どうやろうか」

 

 もちろん行くに決まっているわ。家も目の前なのだから。

 

友希那「私は構わないわよ」

 

あこ「楽しそうです!あこも行きたいです!」

 

燐子「何か…手伝える事があれば手伝います」

 

紗夜「皆さんがそう言うのであれば私も構いません」

 

蒼真「ありがとう。じゃあ体育祭前日の放課後にここの外のカフェで待ち合わせでいいやか?」

 

 待ち合わせをしなくても簡単な方法があるわ。

 

友希那「私が皆を集めて蒼真の家に行くわ。その間にリサは蒼真と買い出しをお願い。もちろん割り勘で」

 

蒼真「買い出しまではいいんやけど…うーん…割り勘は流石に悪いかなぁ」

 

友希那「何を言っているの。メンバー全員で作るのだからそれくらい当然よ」

 

紗夜「そうですね。そのくらいはしないと」

 

蒼真「うーん…そこまで言ってくれるんやったらお願いしようかな」

 

友希那「初めから強がらずにそう言えばいいのよ」

 

蒼真「でもさ」

 

友希那「でもじゃないわよ」

 

蒼真「あ…はい…すいません」

 

友希那「…なんで謝るのよ…」

 

蒼真「いや、何となく?まぁありがとう」

 

友希那「…分かればいいのよ」

 

 蒼真はいつも私達の事を気遣ってくれるけど、私達の事ももっと頼ってほしい。私はそんな事を思っていた。

 

リサ「よし!じゃあ予定も決まったしそろそろ片付けて解散しよっか」

 

友希那「そうね」

 

リサ「あ、そうだ。皆も蒼真と連絡先を交換したらどうかな?何かと便利だろうから」

 

友希那「そうね。そうしようかしら…」

 

 …ん?皆も?

 

友希那「リサ」

 

リサ「なに?」

 

友希那「あなた、もう先に連絡先交換しているの?」

 

リサ「え!?…う、うんそうだね…」

 

友希那「そう…」

 

 それは少しずるいのではないかしら…

 

友希那「まぁいいわ。練習のスケジュールや今後の予定とかも送れるから丁度いいわ。交換しておきましょう」

 

 という分けて蒼真と連絡先を交換し帰り支度を始めた。

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

side蒼真

 

 

蒼真「鍵は俺が返しとくけん先出とっていいよ」

 

リサ「了解。ありがと♪」

 

蒼真「おう」

 

 そう言って俺は受付の方に向かった。

 

蒼真「まりなさん。鍵返しに来ました」

 

まりな「はーい。ありがとうござました♪」

 

 あ、そうだ。

 

蒼真「まりなさん。ちょっと今いいですか?」

 

まりな「大丈夫だよー。どうしたの?」

 

蒼真「以前ここでRoseliaがライブをしたと聞いたんですけど、その時のライブ映像とかってあったりしますか?」

 

まりな「あるよ。でも貸出とかはできないかなぁ」

 

蒼真「やっぱりそうですよねぇ…」

 

まりな「でも急にどうしたの?」

 

蒼真「いや、まだRoseliaのサポートを始めてまだ日が浅いからもっとRoseliaの事を知りたいと思いまして」

 

まりな「なるほどねぇ。だったら時間がある日にここに来ればいいよ。スタジオ練だったら貸出も出来るからさ」

 

蒼真「ホントですか!じゃあ時間がある時早めに来ます!」

 

まりな「了解♪じゃあそれまでに用意しておくね」

 

蒼真「ありがとうございます!」

 

 Roseliaの一員として何か出来ることがあるといいんだけど…

 

 そんな事を考えながらリサ達と合流し帰路に着いた。

 

 




読了ありがとうございます。


今回から勝手ながら後書きのみで書いていこうと思います。


練習風景など素人が書いているのでチグハグしてたりするかもしれませんが、生暖かく見守って頂ければと思います。

意見、感想などありましたら感想欄やメッセージなどでお待ちしております。


ではまた次回


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