人類の8割がうんぬんかんぬんでヒーローという職業が脚光を浴びている現代社会。
そのヒーローを多く輩出する名門である「雄英高校」の実技試験の試験会場。
「仮想ヴィランとやらを倒せばいいのか」
1人の普通の体格の少年がルールの再確認をしていた。開始の合図を待ちながら自身の個性の発動の準備をする。
「よしっ!やるか」
自身の手をパン!と合わせる。それが彼にとっての個性発動の合図である。
音が鳴る方を他の参加者が見るとそこには少年ではなく。
「動きに問題は……ないね」
髪の毛の色は同じ茶色であるが明らかに容姿が違う少女が居た。少しだけブカついた運動着に現れる小さいとは言えない乳房。腰まである長く少しふわっとしたカールが掛かった髪に整った顔立ち。目の色は黒色から青色に変化している。
あまりの変化に前から少年を見ていた参加者は動揺を隠しきれていない。その集まる視線に慣れっこな少年……いや少女は気にする様子もなく動作の確認をしていた。
「まだかな」
持参したヘアゴムで髪を縛り開始の合図を待っていると門が開き数秒後に既に始まっているとアナウンスが入る。
「じゃあ行きますか!」
少女はその見た目に合わぬ速度で他の参加者に並び門を潜っていく。
「おっ1Pみっけ」
早速仮想ヴィランを見つけた少女はその脚力で取り敢えず蹴りを入れてみる。思ったより脆いのか胴体を砕かれて機能停止する。
「これで1Pって事でいいんだよね。今日は脚力だけで大丈夫そうかな?」
トントンつま先を叩きながら足の調子を確かめる。特に痛みも無いから問題ないと認識する。
「じゃあガンガン行きますかー」
そうして少女はサーチアンドデストロイを繰り返していると崩れた瓦礫に足を挟まれている参加者を見つける。
「そい!」
瓦礫を蹴り飛ばしてケガを負っている参加者に手を差し伸べる。
「大丈夫?」
「ああ助かった。それよりアンタ試験は?」
「怪我人ほっぽいてちゃ駄目でしょ」
立とうとしない参加者の足の様子を確認して痛そうな傷口を見て仕方ないと手を取り。自分の個性の指定先を変更する。
「目を瞑っといて。良いと言うまで開けない事」
「あ………ああ分かった」
「体に少し変化があるけど気にしないでね」
自身の個性を発動する。参加者の性別が変わるが気にする事なく手を取り続けていると怪我をしていた足がみるみる治っていく。
変えてから20秒程で完治したかな?と思った所で手を離すと参加者の性別が元に戻る。
「どう?動けそう?」
「ああ大丈夫だ。ありがとう」
「気にしないで。じゃ」
動ける事を確認した少女は再度仮想ヴィラン狩りにひた走る。その少女の背中はまさしくヒーローであったとその参加者は言う。
そして残り2分と言った所だろうか。0Pである超巨大仮想ヴィランが投入される。
「あーありゃ無理だね」
自分の力は理解している少女は逃げの一択と思ったが道すがらにまたも瓦礫に足を取られている参加者を発見。とりあえず瓦礫を蹴り飛ばして参加者に立てるかと尋ねようと思った瞬間。
「すっごいジャンプ」
一人の少年が飛び出す。そして少年は腕を振りぬき超大型仮想ヴィランを一撃で粉砕する。
「あれ腕と足ボロボロだけど大丈夫?」
着地の姿勢を取れるとは思えない。すると先程まで瓦礫に足を取られていた参加者が少年の下まで運ぶようにお願いされる。
指示通り運ぶと瓦礫と一緒に浮き上がり着地の寸前で少年に触れて浮かせる。そして少年を受け止めて解除する。
「うっ………」
参加者が吐く。そして受け止めた少女は少年が動ける状態でない事を察していた。
「せめて……1Pだけでも」
「無理は駄目」
周りを見ても既に壊されている仮想ヴィランの山。とてもじゃないが間に合わないだろう。
少年を地面に優しく降ろして怪我の酷さを確認。
「残り1分半……治しきれるか?」
大丈夫な方の手を取り自身の個性を発動。性別と見た目が変わっていく事に困惑する少年であるが安静にと言い聞かせて個性を持続。
「足は治ったけど……腕は無理か」
無情のタイムアップ宣告。そのショックに気絶してしまう少年。
「……このまま治療続けるな」
その後にリカバリーガールと呼ばれる凄いお方が来て瞬く間に腕を完治させてしまう。
こうして少女の試験は終了する。
「戻れは……しないよね」
自身に対する個性解除の合図の手の平を合わせる動作をするが解除はされず少女のままであった。
「あの少年に力使いすぎたからかな」
仕方ないと受験会場を後にする。元の姿の時に着ていた男子制服を着て。
後日、教師になる平和の象徴オールマイトの映像と共に合格通知が届くのであった。
少年の名は天環セイ 個性:性転換
天環 セイ 性別:男→女
見た目:某運命/外典のユグドミレニア姉弟
個性:性転換
自身と他者の性を転換する個性。転換の際に特定の強化を付与できる。
強化対象は広く脚力や腕力等の身体能力、視力等の五感、自己治癒能力。
そして「個性出力及び出力上限」も強化可能。
これにより自身の出力が3倍が上限でも他者への強化が3倍の3倍である9倍まで強化可能。このため他者への支援の方が強くなる。
デメリットは他者への個性発動の為に相手に触れなければいけない事。また他者を3分以上転換するとその人は24時間転換後の性に固定されてしまう事。
また自身に対する個性を解除しないと定着して戻れなくなってしまう。他者に高い出力で強化を施し続けると解除までのラグが大きくなる。
転換して一定以上強化を施すと段々と個性の出力が弱まっていき最終的に強化不可になる。