天環が指定されたクラスのA組に入るとそこには何やら言い争っている2人がいた。
「おはよう。どしたの朝から」
憶することなく首を突っ込む辺り遠慮無しだなと見ていたクラスメイトが思っていた。
「うっせークソモブ話しかけんな」
「ああおはよう。俺は飯田天哉だよろしく頼む」
「飯田君ねこちらこそよろしく。あっ名前は天環セイ好きに呼んで」
「では天環くんと呼ばせて貰う」
「あいよ。それでそっちは?」
不良にしか見えない態度が悪いクラスメイト爆豪から自己紹介はされずに飯田からの紹介で名前を知る。
そして一旦2人から離れて別のクラスメイトと交流を行う。
「デクくんあの人いないね」
「麗日さんあの人って?」
「ほら入試の時に助けてくれた女子。別のクラスかな」
「何の話?」
「あ、うん入試の時にねって君は?」
天環は入試の時に見掛けた2人に話しかけるが当の2人は気付かない。
その後に各々自己紹介を行い担任の先生が入って来て話を切り上げるのであった。
「入学初日から個性込みの体力測定か」
各々体操服に着替えて現在グラウンド。爆豪の記録を見て芦戸が面白そうと言うが担任の相澤が最下位を除籍処分すると脅す。
「マジですか……マジですね」
あの目は本気である。天環含めクラスメイトはその事を瞬時に察する。天環は自身の両手を合わせて個性を発動する。
「よしっと……ん?」
天環の大きい変化に初めて見た人達は口を開けたままだ。一部を除いて。そして一番大きな反応を示したのは緑谷と麗日であった。
「あー!君あの時の!」
「えっ!?女子になった?女子に戻った?どっち?」
「おいおい美少女になれるとか最高かよあの個性!」
興奮気味の峰田を無視して2人に向き直り説明を行う。
「入試の時はどうもだね。緑谷君と麗日さん。一応女性になったって言うのが正しいかな」
「あっそうなんだ……あの時はありがとうね!脚治してくれて」
「私も助けてくれてありがとう」
「気にしないで」
何でもない様に笑う天環。その反応を見て相澤は思考を巡らせる。
(あれが今年のレスキューPトップ。事前提出の個性欄には「性転換」と書かれていたが入試を見る限り別の事もこなせるらしいな)
今年は粒ぞろいだと密かに期待が高まる相澤であった。
そして始まる体力測定。天環の記録はと言えば増強系の個性が無い人よりも良いが純粋な増強系とか特化型には勝てないという結果である。
「八百万さん万能すぎません?」
「スクーターとか万力とか大砲とかアリですか?」
「アリだ!」
有りらしい。担任が言うなら仕方ない。そして緑谷のソフトボール投げの時に相澤が個性を消して自滅覚悟の記録は駄目だと注意を行う。
指1本のみの増強(犠牲)で記録を叩き出し動ける事を示した緑谷。
「相澤先生、緑谷君このままですか?」
「後でリカバリーガールに見てもらうから気にするな」
「今治さないんですか……じゃあ勝手に。緑谷君こっちに」
緑谷を手招きして指先の状態を確認。
「これなら大丈夫そうかな……ちょっと目を閉じてて」
「あっうん」
緑谷の手に触り個性を発動。緑谷の体の変化にクラスメイトが再度驚くがそれ以上に40秒程の変化の間に完治する先程までボロボロだった指。
「はい終わりどう?動く?」
「ありがとう天環くん?さん?」
「好きに呼んでいいよ」
女子になった天環に触られてか顔が赤い緑谷。その一部始終を見ていた相澤は尋ねる。
「天環お前の個性で他者を伸ばせるのは治癒能力だけか?」
「いえ脚力他色々上げられますよ」
「……緑谷少し協力して貰う」
そうして再度行われるソフトボール投げ。どちらの記録になる訳では無いがやってみろと言う。
「天環今の最大値でやってみろ。許可する」
「はい。緑谷君いいかな?」
「う……うん」
投げない方の手を触り個性を発動。体が女性になる緑谷が滅茶苦茶戸惑う。一部男子と女子が女緑谷を見ておおー!となっている。
「分かっていたけど恥ずかしいねコレ」
「気にしたら負けだから。少し負担大きいけど頑張って」
天環が施す強化は腕力。そして緑谷が思い切りぶん投げる。出た記録にクラスメイトが驚く。ちなみに手は記録が出たと同時に放している。
記録:612.5m
天環の記録150mの3倍以上である。これを見た相澤は不信に思ったのか問い詰める。
「天環お前手を抜いていたって訳じゃないよな?」
「いえ全然。あれが今出せる自分の本気ですよ」
「じゃあ何で緑谷の方が記録が伸びる」
「個性の性質上仕方ないんですよ」
天環は自身の個性の細かい説明を行いそれを聞いた相澤は納得はしていた。
「つまり他者への使用がメインだと」
「許可さえ貰えれば」
天環は……気にしてない訳ではないが個性である以上割り切っている男女の性差。それを受け入れるのは相手次第だ。
「例えば爆豪君とか切島君とか自分が女子になったら嫌でしょ?」
「あぁ?」
「確かに……」
強化だけだったら回復も出来るし重宝される個性であっただろう。だが性転換のついでに行われるとなると話は別だ。
「緑谷君も何度もごめんね」
「い、いやっ助けてくれたついでだし気にしてないよ」
「でも多用されるのも困るでしょ?」
「それは……まあ」
緊急時以外は他者への使用を強要出来ない。それが天環の個性だ。
「オイラはいつでもウェルカムだぜ!」
「じゃあやってみる?」
峰田がなりたいと挙手する。天環が手を取り個性を発動する。
「あれ?緑谷程見た目変わんねぇな。てか変わってない」
「見た目の変化も人それぞれだからね」
「でも女の体である事には変わりないはず!ぐへへへへ!」
そして自分の胸を触りだす峰田。だが少し触ってから。
「虚しい」
「だろうね」
見た目に変化が無いため楽しくも何ともない。虚しさだけが残る。
「クソッ!こうなったらセイの胸を!」
「そい!」
飛び上がる前に投げ飛ばされる峰田。
「男に触られるのはノーサンキュー」
女子達が峰田を汚物を見る目でみていた。忘れがちだが入学初日である。
そして全ての記録が終わり総合成績が発表される。天環は21人中で10位と真ん中の成績に終わった。
ちなみに除籍処分は嘘だったらしい。
「個性の解除……は出来ないなぁ」
更衣室に戻る前に解除を試みるが出来ずにいた。解除までのラグがあるためだ。
「まあいいや入ろっと」
躊躇いなく男子更衣室へと入るが、入った瞬間に皆固まる。一番最初に反応を示したのは飯田であった。
「天環くん!君個性の解除は!?」
「出来なかった。少しラグってる」
天環は自分のロッカーを開けて体操服に手を掛けようとするが止められる。
「待てせめて俺たちが着替え終わって出てから着替えるべきだ」
「飯田ー邪魔すんなー」
「そーだそーだ」
峰田と上鳴が抗議するも飯田は聞く耳持たず。仕方なしと溜息と共に天環は自分の荷物を取り更衣室を出る。
「教室で着替える」
戻れない時に別の場所で着替えるのは天環にとっては慣れっこであった。性差とはそういう物である。
主人公の成績はレスキュー65とヴィラン11で76(爆豪77)だったりします。
続くかな?